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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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2009年 07月 12日 ( 1 )

第183回接近遭遇「そばにいて欲しいから」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
超童顔メガネのおっとりした新人営業マンは仮の顔。
その正体はプラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「桃子さんが目覚めさせてくれたので、
あの世界から戻ることが出来ました」

緊急入院した桃子の病室を見舞ったレンは、
彼女の手にそっと触れた。
すぐに彼から温かな波動が伝わり、全身に行き渡る。
「遊太郎も無事だったんだ。良かった…!」
桃子は心の底から笑顔を見せた。
彼は気遣うように言う。

「僕のせいで、桃子さんを疲れさせてしまいました。
…本当に、すみません」
すると、桃子は平気だよ、と明るく舌を出した。
「だって、お母さんが大騒ぎして救急車を呼んじゃうんだもん。
明日には退院できるから心配しないで。
それより、何で、あんな怖い場所に捕まってたの?
お父さんとステーションで再会してたんじゃなかったっけ?」

入院中だろうと関係なく、
いつものようにストレートに質問攻めにするので、
レンは少し戸惑ったように答えた。
「ちょっと、アクシデントがあっただけで…」
「ちょっと?あれで?まぁた、なんか、隠してるでしょ」
彼を上目遣いに見やったが、
それ以上追及する気はなさそうだった。

「まあいいや。超手強いお父さんだし、
一筋縄にはいかないだろうと思ってたから」
「大丈夫です。父とは和解しました」
「えっ?ホント?」

彼女が目を大きく見開いたので、彼は微笑みながら頷いた。
父であるソリュート王との、長きに渡った確執が、
少しずつだが氷のように溶け始めているのだ。
奇跡が起きたとしか言いようがない。

「良かったね。遊太郎」
「桃子さんのお陰です」
「あたしは別に何もしてないよ。それで、お父さんといっぱい話せた?」
「いえ、まだ。あまり話さない人ですから」
「それは遊太郎もでしょ。
顔とか全然似てないけど、そういうとこ親子だよね。
ていうか、おじさんもテレくさいんだと思うよ」

ここまで喋った時、桃子はあることを思い出した。
「そうだ。ごめんね。あたし、遊太郎のマグ、割っちゃった」
リビングのソファから転倒した時、
手からマグカップが離れて、少し欠けてしまったのだ。
レンは謝る桃子の手をもう一度、握った。
「そんなことは気にしないで。ゆっくり身体を治して下さい」
「もう元気になったって。遊太郎が来てくれたから」
彼女は、にこっとして可愛い拳を作ってみせた。
彼から伝わる温かい波動が、すっかり彼女を癒やしてしまったようだ。


楽しい時間は早く感じられる。
桃子のそばに、もう少し居たいが、
レンはステーションへ戻らなければならなかった。
彼女には伏せてあるものの、
長時間マイナス磁場に滞留していたため、
森田遊太郎に変身するのが、やっとだったのだ。
絶対安静を上司ロータスに命じられたのに、
こっそり抜け出したのがバレたら、説教どころでは済まない。


「え?もう帰っちゃうの?」
名残惜しそうに、桃子は彼を見上げる。
「今日は、時間があまりなくて…」
「やっと会えたのに?」
「すみません」
「いっぱい心配したんだよ?」
「…はい」
「仕事で忙しいのはわかるんだけど、
もうちょっと、いてよ」

彼を困らせるつもりなはかったが、
今日はワガママを言いたい気分だった。
色々なことがありすぎて、2人きりの時間がなかったせいもある。

しばらく黙っていたレンは、スッと高い背をかがめて、
桃子に顔を近づけた。
端正な白い顔が間近に迫る。
青く、青く、限りなく澄んだ瞳が、形の美しい唇が、
ふっと彼女を黙らせてしまった。
…ずるい、と桃子は心の中で思った。
こんな優しいキスをされてしまうと、文句が言えなくなってしまう。

レンはゆっくりと桃子から離れて、微笑み、そして消えた。
彼女は残像を目で追いながら、もう、と顔を赤らめる。
もっともっと話したかったのに。
もっと触れていたかったのに。

「遊太郎のバカ…」

それでも、指先を唇に当て、
ほのかに残る余韻に幸せを感じていた。


~第184回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2009-07-12 15:09