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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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2009年 06月 28日 ( 1 )

第179回接近遭遇「ソリュート王の涙、桃子の想い」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
超童顔メガネのおっとりした新人営業マンは仮の顔。
その正体はプラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ソリュート王は、ロータスの案内により、
レンの個人ケアブースへ向かった。
入口のセキュリティーロックを解除しながら、
ロータスが、こんな事を話した。

「あなたのご子息のレンは、
私の部下の中では最年少の調査員です。
ですが、誰よりも平然と、危険な任務に飛び込んでいく。
特に気負ったところもなく、
それが普通に出来てしまうのです。
死ぬ直前まで、超然と荒野を歩き続ける野生の獣に似ています。
少しも、自分を大切にしない。
何故、あんな風なのか、あなたには分かりますか」
「……」

ソリュート王は何も答えられなかった。
レンが、そういう風になったのは、
父親である自分のせいかもしれない。
特殊な能力を持つ子供だった彼を、
ずっと疎ましく思い、遠ざけていた。
そして、あの隕石事故の時から今まで、
お前など生まれなければ良かったと、恨み続けて来たのだ。


「こちらです」

ロータスがブース内部へ入るよう誘導した。
そのあとソリュート王を残し、立ち去ろうとしたため、
少し皮肉を込めて訊いた。
「息子を殺そうとした父親と、こんな密室に2人きりにして良いのか?」
すると、ロータスは溜め息混じりに首を振った。
「あのような状態のレンをご覧になれば、
もう、そんな気は起きないはずです。
私は外のフロアでお待ちしていますので、
何か変わったことがあれば、知らせて下さい」
ドアが閉じる電子音が消えると、
王は、ゆっくりとブースの奥に設置されたベッドに近づいた。


そこに、
真っ白な肌の青年がベッドに横たわっていた。
魂が何かにさらわれたような、生ける屍に見えた。

「レン…」

息子の顔など、今まで間近に見た事はなかった。
王妃やソフィ王女に顔立ちが酷似している事が、より憎々しくて、
ありのままの彼を受け入れようとはしなかったからだ。

今、ようやく、ぎこちなくではあるが、
額から頬にかけて触れてみた。
やはり体温がないかのように冷たい。
ふと、首筋に視線が落ちた。
先刻、締め殺そうとした自分の指の跡がまだ青く残っていて、
再び激しい後悔と罪悪感が襲って来た。
あんな危険な隕石を持ち出し、
何故、彼の真意を試すなどという、恐ろしい真似をしたのだろう。

「私を、…許してくれ。レン」

管に繋がれた彼の手を握り締めた。
そして、今さら気づく。
数年前の隕石事故で、一番深い傷を負ったのは、
他でもない、息子だったのだと。
それなのに全責任をレンに押しつけ、現実から逃避して来たのだと。

「戻って来い。レン。
お前は、私の、たった1人の息子なのだぞ…!」



そのレンの魂が堕ちていたのは、暗黒の想念世界だった。
隕石がもたらした強力に渦巻くマイナスの磁場に、
精神もろとも取り込まれていたのだ。
十字架にかけられているかのように、
全身を縛り付けているものは、蛇の形態をした想念の塊である。
塊の、ひとつひとつの顔は人間のように見え、
呪詛に満ち、牙を隠しながら、
彼の生命エネルギーを残らず呑み干そうと隙を伺っていた。

( 遊太郎…! )

偶然にも、
その想念世界に足を踏み入れていた桃子は、
この光景に遭遇し、恐ろしくて、ただ震えていた。
しかし、いつまでも怖がっているわけにはいかなかった。

今まで、何度も何度もレンに命を救われて来た。
どれほど危ない目に遭わせて来たか、よく分かっている。
だから、今度は自分が彼を助けなければ。
好きだからこそ、絶対に救いたいと思った。

桃子は、レンの俯いた顔へ両手を伸ばし、
包み込むようにして自分の方へ向かせた。
周りにひしめく無数の蛇が、
鎌首を持ち上げて、おぞましくも睨んでいるが、
構わず彼女は、彼の唇にキスをした。
想像した通りの冷たい唇。
気が萎えそうになったが、心から想いを込めて熱いキスをした。

( お願い。あたしのところに戻って来て。遊太郎! )


~第180回へ続く~
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by yu-kawahara115 | 2009-06-28 00:17