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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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第117回接近遭遇「寂しい宇宙の迷い子」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

★森田遊太郎(23)★

地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているが、
最近ようやく恋人モードに♪

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

桃子を繭の中に閉じ込めて、
植物の群生を操っていたエイリアンの正体。
それは、まだ幼い普通の少年だった。

しかし、高山や祥子は戦慄を覚えて後ずさった。
何故なら、少年の両目は燃えるような金色に光っていたからだ。


(おねえさんを消さないで)

少年はテレパシーでレンに訴えた。
繭の中に捕らえた桃子を、何故か大切に思っているようだ。

(そんなことはしない)

レンはサイキックガンを下におろして少年に近づいた。
(君は1人で地球に来たのか?)
すると少年は、とたんにうなだれた。
(違う。お母さんと一緒だったけど、すぐに死んでしまった。
だから、植物の種とかくれていたんだ)
(植物の種?)
(うん。ぼくの星から持って来た)


背後の植物の群生がザワザワと揺れた。
地球に来て急成長したのかもしれないが、
少年の思いに感応しているところを見ると、
場合によっては危険な武器にもなるだろう。

(ひとりでさびしかった。でも、おねえさんがきた。
びっくりして逃げられちゃうと思って、
繭の中に閉じこめたんだ)

見知らぬ星に来て母親を亡くした少年は、
空屋のビルに植物と一緒に引きこもっていたらしい。
そんな時にひょんなことから、
桃子がこのテナントビルのドアをノックしたのだ。


(君の気持ちはわかる。
でも、彼女は解放してあげてほしい)
レンは諭すように思念を送る。
(どうして?)
(地球人だから。繭の中では生きられない)
(………)
少年はじっと目を下に向けたまま唇を噛んだ。


(…おにいさんは、ぼくをつかまえに来たの?)

違法侵入者を摘発することが、
銀河連盟調査員のレンの仕事である。

(いや。君は宇宙の迷い子だ。連盟が保護することになる)
(そこは、こわいところ?)
(こわくはない。君のような子供がたくさんいる。
きっと友達もできるよ)
(ほんと…?)



一方。
遠巻きにして異様な光景を眺めていた高山と祥子は、
レンと少年が何を話しているのか分からず混乱していた。

なんなんだ。あの子供は?
と高山に至っては怯えつつも苛立つ。
それに、あの銀髪野郎は驚きもしないじゃないか。

「藤井。逃げるぞ」
彼がそう囁くと、祥子は少し眉をひそめた。
「五十嵐さんは?助けるんじゃなかったんですか」
「知るかよ。もうたくさんだ。気が変になっちまう。
警察を呼んで、ここから出る」

自分達が招いた結果なのだが、結局は自己防衛本能が勝った。

「あんな気味の悪いガキや、
バケモノみたいな植物なんか相手にできるか?
あの銀髪野郎はヘンな銃を持ってやがるし。
ありゃあ、ぜってぇカタギじゃねえ」
「ひょっとしたら刑事かもしれないですよ?
あの身のこなし、警察関係者みたいに思うんですけど」

祥子がうっとりとして話すので高山は舌打ちした。
女という生き物は、こんな事態でも平気で甘い妄想に浸れるのか。

「馬鹿。あんな髪の刑事がいるか。
とにかく普通の警察を呼ぶんだ。
うん?圏外か。外に出るしかねえな」

高山は少年に気づかれぬようエレベーターへ忍び足で近づいた。
祥子も好奇心を残しながら彼の背中について行く。
しかしエレベーターホールの前まで来て高山は焦った。
おかしい。1階のボタンを押しても動かない。
再び携帯電話をかけようと試みた時、
その右手に植物の触手が巻きついた。

「わっ!」

後ろを振り返った2人は震えあがった。
少年が金色の目を光らせて、こちらを凝視していたからだ。
無表情であり髪は逆立っている。

(けいさつって何?やっぱり、ぼくをつかまえに来たんだ)

いけない、とレンは危険を感じた。
少年の怒りは植物に感応する。

「くそっ!」

触手に右手を捕まれ、恐怖に引きつった高山は、
もう片方の手でライターに点火し、
触手を伸ばしているおおもとの植物に向かって投げた。


カッと、嫌な光が生まれ、すぐに真っ赤な炎が踊り狂った。


~第118回をお楽しみに♪~
by yu-kawahara115 | 2008-11-07 22:28
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