第112回接近遭遇「正義の味方は桃子の彼氏?」 |
~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~ ★森田遊太郎(23)★ 地球に派遣された銀河連盟調査員。 普段は童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、 その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。 ★五十嵐桃子(26)★ 遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。 宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。 この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているが、 最近ようやく恋人モードに♪ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 「昨日の夜、ワルッぽい人達に襲われて怖かったんですよぉ」 翌朝の社内。 藤井祥子は昨夜、チンピラ達に襲われた事を皆に話していた。 「で?一緒にいた森田は逃げ出したってわけか。 やっぱり、お前って気弱なのび太だよなあ」 係長の高山が馬鹿にして皆がどっと笑った。 笑われた遊太郎は、祥子にぺこりと頭を下げる。 「藤井さん、昨夜は本当にすみません。 僕、警察を呼びに行こうと思って…」 するとまた高山が意地悪そうに補足する。 「違うだろ?怖くて逃げただけだろ。 女の子1人も守れねえでよ。男の風上にもおけねえヤツだ」 「高山係長、森田さんを責めないでください」 祥子が猫のような目で睨んだ。 どうやら、遊太郎が逃げた事はマイナスポイントにはならないらしい。 「あんな怖そうな人が3人もいたら、誰だって逃げますよ。 それより超カッコイイ人に助けてもらったから、もうイイんです」 朝から際限ない藤井祥子のお喋りを聞かされて、 桃子は仕事をしながらげんなりしていた。 この研修生は何をしに会社に来てるんだろう。 遊太郎も遊太郎だ。 昨夜帰りが遅かったと思ったら、祥子と一緒だったのか。 桃子の憤りをよそに、祥子は夢見るように続けた。 「その男の人、凄く強いんですよ。 あっという間にやっつけてくれて」 「おいおい。スーパーマンじゃあるまいし。 そんなに都合よく正義の味方なんて現れるか、普通?」 高山が気にいらないように話の腰を折るが、 彼女の次の言葉に、驚くことになった。 「本当に現れたんですよ。 えっと、銀色の髪をしててサングラスをかけていたけど、 ハーフっぽい超美形だったんです」 「…ぎ、銀色だあ?」 ひときわ大きな声に桃子が一瞬ギクリとした。 (銀色の髪って、まさか…?) 思わず遊太郎の方をチラッと見たが、 彼は架かって来た電話を受けて、席を立ったところだった。 そこへ同僚の清美が、耳打ちする。 「銀髪でハーフっぽいイケメンっていえばさあ。 その人案外、桃子の彼氏だったりして」 「な、何言ってんのっ!」 桃子はギョッとして清美を睨んだ。 しかし高山も同じことを考えて急に黙り込んだ。 カンの鋭い祥子が気づいて探りを入れる。 「高山係長、ひょっとして知ってる人なんですか?」 「え、ああ。知ってるというか」 「詳しく教えてください。 わたし、もう一度会って彼にお礼を言いたいんです」 祥子の目がキラキラして、お願いのポーズをするので、 高山は自分の携帯電話のデータフォルダを見せた。 今年の春、社員旅行中に隠し撮りした例の写真である。 そこには、桃子と一緒に銀髪の若い男が写っていた。 祥子はそれを見て目を大きく見開いた。 「似てます…。すごく。昨夜助けてくれた人に」 「なに?本当かよ」 眉を吊り上げた高山へ祥子は小さな声で尋ねた。 「この人、…五十嵐さんの彼なんですか?」 五十嵐桃子が付き合っているのは、イトコだという遊太郎だと思ったのだが。 高山はさあね、と首を振った。 「社員旅行の夜に五十嵐がコッソリ会ってた奴だぜ? トモダチじゃあねえだろう。 にしても気に食わねえ。 正義の味方気取りで、いい格好しやがって」 高山は敵愾心を剥き出しに吠えた。 ルックスも腕にも自信がある彼は、いまだに桃子を落とせずにいる。 これではメンツが立たない。 この男をいつか引きずり出して、 自分の方が男の器量が数段上だと思い知らせてやりたい。 そんな高山のライバル心など綺麗に無視して、 祥子は桃子の方を横目で見た。 (あんなカッコイイ人が五十嵐さんの彼氏? ウソよ。そんなの、ありえない) 五十嵐桃子は見るからに気が強そうな女で、 自分の方がずっと可愛いし、それに若い。 確か、森田遊太郎も彼女が好きなようだが、 何故あんな女がモテるのか祥子には納得できなかった。 その夜。 マンションへ帰った遊太郎を待っていたのは、 仁王立ちをした桃子だった。 「遊太郎。ちょっと、こっちに来て座って」 「は、はい」 今夜の桃子はかなりご機嫌斜めのようである。 ~第113回をお楽しみに♪~ |
by yu-kawahara115
| 2008-10-24 22:33
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