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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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第100回接近遭遇「対決!レン×ガナック・ギア」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

★森田遊太郎(23)★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているが、
最近ようやく恋人モードに♪

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「ようこそ。レン王子」


ガナック・ギアは、
滞在中のホテルの部屋の豪華なソファでレンを迎えた。
レンはそのガナックから少し距離を置いて立ち、
真意を探るように問いかけた。

「ガナック。あなたが望んでいることを教えてください」
「決まっているでしょう。
あなたに大切な恋人を殺された恨みを晴らす事ですよ」
「それなら、僕を殺せば済むはずです」

するとガナックは脚を組み替えて、おかしそうに笑った。
「ご冗談を。あなたをあっさり殺してしまったら、
愛するソフィの元へ逝かせてしまうことになる。
そんな楽なことはさせません」


言い終わると、ガナックが立ち上がり、
懐から細長い銃を取り出した。
やや曲線を帯びた金属製の小型光線銃である。

「古典的なやり方ですが、
あなたの目の前で私が自殺をすれば、
復讐の仕上げとしては効果的だと思いませんか?」

「ガナック!」

レンは驚いて、すぐにサイキックパワーを右手から放射した。
しかし、どういうわけか全く手応えがなく空回る。

「無駄ですよ。レン王子。
あなたにはサイキック能力が制限されているはずだ。
私があなたの右目を失明させた時に、
能力抑制チップを飛ばしていたんです」
「……!」

能力抑制チップ。
あの時レンの右目を貫通した赤い光は、
彼から視力を奪い、姉の幻覚を見せるだけのものではなかったのだ。

ガナックは余裕を見せて、
自分のこめかみに銃を押し当てた。

「レン王子。いいですか?
あなたは自分の母親や姉だけではなく、
私までも死に追いやることになる。
精々、一生苦しんでください」
「やめてください、ガナック!」
「すぐに終わりますよ」
「!」


瞬時のことだった。
電光のような速さで、レンの身体がガナックに体当たりをした。
銃から無音の光線が乱射し、部屋のカーテンを斜めに裂いて、
二人は折り重なるように床へ倒れた。


「馬鹿なことを…」

レンに押さえつけられたガナックは、
肩や腕を打撲し、光線銃を手から放した。

転がった銃を回収しようとしたレンは、
自分のワイシャツの脇腹の辺りが、
真っ赤に染まっているのに気がついた。
ガナックがはっと眉を潜めたが、レンはかまわなかった。

「さっきの銃で、かすっただけですよ。…それよりも」

彼はガナックの身体をぐいと起こして、
強い光を宿した瞳で真っ直ぐに見つめた。

「あなたが信じてくれなくてもかまわない。
でも僕は姉を慕っていた。
あなたに負けないくらい好きでした。
彼女が幸福になることを、ずっと願っていたんです。
なのに、あの事故が起こって…」


引き裂かれた願い。
それは結婚を誓っていた姉の恋人ガナックを、
姉の幸せを思う弟のレンを、同じ地獄に突き落としたのだ。

「できるなら、あの頃に戻りたい。
あなたと姉が幸せになっている姿を見たかった。
でも全てを壊したのは僕だ。
あなたをこんな風に追い詰めたのも…」
ガナックは、もう精魂を尽き果てたようにうなだれている。

「ガナック。一生許してくれなくてもいい。でも…。
あなたには絶対死んで欲しくないんです」


初めて伝わる胸の内。
レンがガナックのこころの真ん中に入った瞬間だった。
しかし、それを感じたガナックは首を頼りなく振る。

「…もう、遅いんです」

そして信じられない事をもらした。
「ホテルに爆弾を仕掛けてしまいました」
「え……?」

何を言っているのか、すぐには理解できなかった。
レンは彼の肩を強くつかんだ。

「爆弾?ホテルの一体どこに?」
「…あなたのご両親が宿泊している部屋のドアに、です」
「ドア…?」
「内側から開けると、いつでも爆発するようになっているんです」
「……なぜ」


その時。
世界が一瞬歪んだように見えた。
レンの脇腹から、にじみ出した鮮血が流れ過ぎていたのだ。


~第101回をお楽しみに♪~
by yu-kawahara115 | 2008-09-19 00:05
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