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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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第44回接近遭遇「懐かしい笑顔」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「遊太郎?ホントに遊太郎なの・・・?」
「ただいま、桃子さん」

にっこりしている遊太郎へ、桃子は反射的な行動に出た。
いきなり遊太郎の頬を指でつまんでみたのだ。
ちゃんと人間らしい感触があったが、うたぐり深い彼女は、
彼の鼻もつまんだあと、髪をあちこち引っ張り始めた。
とうとう遊太郎は小さく悲鳴をあげてしまう。

「い、痛いです、桃子さん」
「やっぱり、ホンモノ?」
ようやく手を放した桃子へ、遊太郎がはにかんだように笑う。
「はい、残念ながらユーレイじゃないです。
今まで心配をかけてすみませんでした」
そして無邪気にペコリと頭を下げた。

「!」
とたんに桃子が体当たりするように遊太郎に抱き着いた。
・・・夢じゃない、ちゃんと体温もある!

「すっごくすっごく心配したんだから!
ああ、でもよかった!元気になったんだ。
ホントによかった・・・・!」
「桃子さん・・・」
二人はしばらく確かめあうように抱き合っていた。
お互いの温かい波動が伝わる。
・・・間違いない、これは現実だ。
神崎があの時に諭してくれたように、信じ続ける気持ちが彼に通じたのかもしれない。


夢中になって遊太郎にしがみついていた桃子は、しばらくしてハッと我に返った。
「あっ!ゴ、ゴメンね!」
耳まで真っ赤になって飛びのいてしまう。
「ヨシ、飲みなおそう!遊太郎、ビール持って来て」
テレ隠しに命令する。
「えっ!これからまだ飲むんですか?」
さっき空き缶を片付けたばかりの遊太郎が驚く。
しかし桃子は何言ってるの、と怒る真似をした。
「あったり前じゃん!あんたの復活祝いをしてあげようって言ってんの。
それに遊太郎は長いこと休んで忘れてるかもしれないけど、
今日は金曜日!って、もう土曜日かな?」
桃子はテレ隠しに笑いながら、心の中で喜びをかみしめていた。


・・・本当は泣きたいくらい嬉しい。
生きてちゃんと帰って来てくれたのだ。


桃子に命じられて冷蔵庫へビールを取りに行った遊太郎は、
キッチンに並ぶコゲた料理を見つけた。
桃子が慌てて飛んで来る。
「ち、違うのっ!これはね、失敗作!あとで捨てるから」
「捨てるなんて。大丈夫ですよ。食べられます」
「いいって!」
「僕がちょっと手を加えてみますから、桃子さんは待っててください」

遊太郎は手慣れたようにエプロンをかけた。
その姿を見て、桃子は顔を赤くしながらも嬉しくてたまらなかった。

・・・本当に彼だ。
男のくせにエプロンが似合って、
料理も家事も器用にできてしまう遊太郎だ。


すぐに桃子の失敗作が見事にアレンジされ、美味しそうにテーブルに並んだ。
桃子はビール、遊太郎はウーロン茶で乾杯をして二人は再会を祝う。

安心したのか、桃子は食べて飲んで熟睡してしまった。
遊太郎は彼女が握っているチーズをそっと取り除いてやり、
薄い毛布を背中にかけた。
そしてその寝顔をしばらく見つめる。


怒ったり笑ったりする彼女を、再び自分は見ることができた。
ゼルダから彼女を護る為に毒刃を身に受けた時、
もう二度と会えないと覚悟をしていたのに・・・

遊太郎は桃子の額に柔らかなキスをした。
何故か、自然にそんな行為をしてしまう自分に少し驚きながら。



いつかは、本当に別れがやって来るだろう。
しかしそれまでは、彼女を護りたい。どんなことがあっても。
そして地球にいるあいだ、少しでも長く彼女を見続けていたい。

遊太郎、いや・・・地球へ派遣されている調査員レンは、
初めて人間らしい感情を抱き始めていた。


~第45回をお楽しみに♪(^O^)/~
by yu-kawahara115 | 2008-05-06 12:30
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