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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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第30回接近遭遇「守りたい人」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は銀河連盟より派遣された地球調査員で、コードネームはレン。

●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やスピリチュアル系には全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「もっと早く傷を診せに来て欲しかったけど。
・・・我慢強いのね、彼」

ここは郊外の緑に囲まれた場所にある、異邦人たちのクリニック。
美しき女医の天野律子は、処置室で通信モニターに向かって話していた。
モニターには遊太郎であるレンの上司、キャプテン・ロータスが映っている。


「それにしても、なぜレンは攻撃をよけなかったのかしら?
彼なら簡単でしょう?ロータス」
「おそらく、相手の力量を確認する為だろう」
ロータスが思慮深く答える。
「それはまた、お仕事熱心ですこと!」
あきれたように言い、天野律子は美しい唇を尖らせた

処置室には幾つかの半透明な医療カプセルが設置され、
地球にいながら、ステーションと同じ治療を受けられる。
「それでレンの傷は?ドクター律子」
「ええ、毒消しはなんとか終わったけど。
・・・でも、あまりレンを叱らないであげて、ロータス」
「わかってる。しかし今度の侵入者は危険な相手なのだ」
モニターの一部が開いて、
無機質なキツネ顔をしたエイリアン画像が現れた。


それはタクシードライバーに化け、遊太郎に脅迫をした男だった。
彼らによる被害事件は世界中で発生していたが、
日本に出没したのは今回が初めてのようだ。

データではM66星系、ゼルダ星人と登録されている。


「あら、まだ寝ていないと駄目よ。レン」
ステーションとの通信を切った天野律子は、
カプセルから出て来た彼を見て怒ったように言った。
「ゼルダ星人の毒を消すには、普通なら半日はカプセルで安静にするものよ?」
「大丈夫です。ありがとうございました」
確かにレンの脚や肩、頬から傷は跡形もなく消えていたが、
彫刻じみた白い顔が、より透き通るように見えていた。

仕方なく、天野律子がカフェイン抜きのコーヒーを入れる。
「あなたが心配しているのは、五十嵐桃子さんでしょ?」
「・・・・・」
「ゼルダ星人に彼女が狙われて、本当に危害を受けるかもしれない、
だから自分で何とかしようとしてる、そうね?」
「何でもお見通しですね」
当たり前よ、と律子が美しく微笑んだ。


「でも、これでわかったんじゃない?あなたのホントの気持ち」
「・・・・?」
「大切に思っている人が誰かってことよ」
「それは・・・」
レンは珍しくたじろいで、律子から視線をそらす。


「いいじゃない。恋は人を成長させると言うでしょ。
桃子さんに出会ったことで、あなたは地球で素晴らしい経験をしていくと思うわ」
「・・・でも、僕は彼女を守れるかどうか」
「守りたいくせに」
悪戯っぽく律子が睨む。
「それは、もちろん」
「じゃあ、自分を信じること。きっと光が見えて来るはずよ」
白衣の女神のメッセージは、少しだけレンの心を解きほぐした。



クリニックから月の裏側にあるステーションに転送したレンは、
上司のロータスより諭された。
「すでに銀河連盟のパトロール強化と、同じエリア内の調査員メンバーに指令を出している。
だからスタンドプレーはするな。レン」
「承知しています。キャプテン」
謙虚に受け入れるレンを、ロータスはまるで父親のように見つめる。

「・・・先走る気持ちはわかる。
だが、君が優秀な能力者でもネットワークを信頼して動いた方が、
彼女も、また他の地球人も守ることに繋がるのだ」
「はい」
「それに、君に何かあれば、
あの桃子くんに私は噛みつかれるかもしれない。
・・・それは、ごめんだからな?」
片目をつぶってみせたロータスに、もうひとつの顔である神崎部長が重なって、
レンはようやくそのクールな顔を和ませた。


~第31回をお楽しみに♪(^O^)/~
by yu-kawahara115 | 2008-04-04 22:23
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