第260回接近遭遇「乱闘事件発生!」 |
〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜 ★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★ 地球に派遣された銀河連盟調査員。 普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。 おっとりした新人営業マンだが、 その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。 ★五十嵐桃子(26)★ 遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。 宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。 この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....? ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 翌日。 薬師丸達也は研修最終日を迎えた。 結局、日常的な地球人の生活様式はわかったものの、 期待するようなエキサイティングな事件もなく、 営業担当の男性社員だけで飲み会へと流れ込むことになった。 「で、研修が終わったら、どこの勤務地になるんだ?薬師丸」 広い洋風居酒屋で、ほろ酔い気分の高山がワイン片手に訊いた。 すると、遊太郎の隣で大人しく飲んでいた薬師丸は、 少し考えたあと答えた。 「まだ決まってません」 「まだかよ?」 「研修の評価が終わってから配属先が決まるようです」 薬師丸は、表向き保険会社の営業研修生だが、 実際は遊太郎と同じく地球に派遣された銀河連盟調査員である。 どのエリアへ派遣されるかはまだ未定というわけだった。 「お前、生意気だけどよ、 営業面じゃ、わりあい評価は高いはずだぜ。 森田に比べりゃな」 高山がニヤニヤして意地悪なことをつぶやき、 皆の失笑を買った。 「1年たつのに、パッとしねえもんな。コイツ。 デカい契約ひとつも取ってくりゃ、オレだって営業指導の甲斐があるのによ」 聞かされている遊太郎はすみませんとはにかんだように笑い、 他の先輩社員たちが、そうだそうだと同意する光景に、 薬師丸には情けなく思ってトイレを理由に席を立った。 様々な人間たちが群れる広い店内は騒がしく、 タバコや酒の匂いが鼻につく。 出来るだけ早く外の空気を吸いたい。 そう思って急ぎ足になった為に、誰か他の客とぶつかってしまった。 その拍子に、その客が手にしていたワインが服を汚し、 怒声が店内に響き渡る。 「どうしてくれんだよ?買ったばかりの服だぜ」 中年男性だが、目つきが禍々しい。 連れの男たちも一緒になって避難する。 「あ、ホントだ。ひでえシミ」 「いくらすると思ってんだ?このブランド」 面倒なことになりそうだったので、薬師丸はすぐに謝り、 「クリーニング代を出させて頂きます。本当に申し訳ありません」 と、上着の内ポケットから財布を出した。 すると、シミをつけられた中年男が財布をはたき落とす。 「クリーニング代で済むか。オーダーメイドの服なんだぞ。30万だ」 「30万?」 薬師丸が驚いていると、面白そうに見物に来た高山が、 部下の不始末を詫びるどころか、余計な言葉を吐いた。 「何だよ。30万するブランドか?オレのより安物じゃねえか。 ぼったくりかよ。しけたオッサンが」 「なんだと、コラぁ!」 カッとした中年男が高山をいきなり殴りつけた。 とたんに周りのテーブルに盛られた料理が皿ごとぶちまけられ、 ビールやワインのガラス瓶が割れ狂う音がした。 「高山係長!」 遊太郎が現場にやって来た時には、高山が相手を殴り返したあとで、 薬師丸も、加勢した他の男たちに殴られている最中だった。 店のスタッフが慌てふためき、止めに入ろうとするが、 酔った男たちはパワフルで、引くことを知らなかった。 なんとか止めないと警察沙汰になる。 しかし目立った行動は控えなければならない。 仕方なく、遊太郎はスタッフと一緒に止めに入るしかなった。 「駄目ですよ。高山係長。ここは引き下がって謝ってください」 「るせえ。てめえもボコボコにされたいか?森田」 血の気が多い高山は日頃の鬱憤を晴らすかのように叫び、 中年男と殴り合いながら、薬師丸にも毒づいた。 「お前もな、薬師丸。やられたらやり返せねえか! オレに意見するくらい勢いがあるくせに、口先だけかよ」 「!」 男たちに殴られ、床にたたきつけられていた薬師丸が、 それを聞いて口を悔しげに歪ませた。 なおも高山の挑発は続く。 「お前も森田みたいに情けない男になっちまうぜ?」 薬師丸の目に火がついた。 いけない、と思った遊太郎の前で、薬師丸の力が発動した。 〜第261回をお楽しみに♪〜 |
by yu-kawahara115
| 2010-05-09 15:44
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