人気ブログランキング | 話題のタグを見る
excitemusic

ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
ICELANDia
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
メモ帳
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


第260回接近遭遇「乱闘事件発生!」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

翌日。
薬師丸達也は研修最終日を迎えた。
結局、日常的な地球人の生活様式はわかったものの、
期待するようなエキサイティングな事件もなく、
営業担当の男性社員だけで飲み会へと流れ込むことになった。

「で、研修が終わったら、どこの勤務地になるんだ?薬師丸」
広い洋風居酒屋で、ほろ酔い気分の高山がワイン片手に訊いた。
すると、遊太郎の隣で大人しく飲んでいた薬師丸は、
少し考えたあと答えた。

「まだ決まってません」
「まだかよ?」
「研修の評価が終わってから配属先が決まるようです」

薬師丸は、表向き保険会社の営業研修生だが、
実際は遊太郎と同じく地球に派遣された銀河連盟調査員である。
どのエリアへ派遣されるかはまだ未定というわけだった。

「お前、生意気だけどよ、
営業面じゃ、わりあい評価は高いはずだぜ。
森田に比べりゃな」
高山がニヤニヤして意地悪なことをつぶやき、
皆の失笑を買った。
「1年たつのに、パッとしねえもんな。コイツ。
デカい契約ひとつも取ってくりゃ、オレだって営業指導の甲斐があるのによ」

聞かされている遊太郎はすみませんとはにかんだように笑い、
他の先輩社員たちが、そうだそうだと同意する光景に、
薬師丸には情けなく思ってトイレを理由に席を立った。

様々な人間たちが群れる広い店内は騒がしく、
タバコや酒の匂いが鼻につく。
出来るだけ早く外の空気を吸いたい。
そう思って急ぎ足になった為に、誰か他の客とぶつかってしまった。
その拍子に、その客が手にしていたワインが服を汚し、
怒声が店内に響き渡る。

「どうしてくれんだよ?買ったばかりの服だぜ」
中年男性だが、目つきが禍々しい。
連れの男たちも一緒になって避難する。
「あ、ホントだ。ひでえシミ」
「いくらすると思ってんだ?このブランド」

面倒なことになりそうだったので、薬師丸はすぐに謝り、
「クリーニング代を出させて頂きます。本当に申し訳ありません」
と、上着の内ポケットから財布を出した。
すると、シミをつけられた中年男が財布をはたき落とす。

「クリーニング代で済むか。オーダーメイドの服なんだぞ。30万だ」
「30万?」

薬師丸が驚いていると、面白そうに見物に来た高山が、
部下の不始末を詫びるどころか、余計な言葉を吐いた。

「何だよ。30万するブランドか?オレのより安物じゃねえか。
ぼったくりかよ。しけたオッサンが」
「なんだと、コラぁ!」

カッとした中年男が高山をいきなり殴りつけた。
とたんに周りのテーブルに盛られた料理が皿ごとぶちまけられ、
ビールやワインのガラス瓶が割れ狂う音がした。

「高山係長!」
遊太郎が現場にやって来た時には、高山が相手を殴り返したあとで、
薬師丸も、加勢した他の男たちに殴られている最中だった。
店のスタッフが慌てふためき、止めに入ろうとするが、
酔った男たちはパワフルで、引くことを知らなかった。

なんとか止めないと警察沙汰になる。
しかし目立った行動は控えなければならない。
仕方なく、遊太郎はスタッフと一緒に止めに入るしかなった。

「駄目ですよ。高山係長。ここは引き下がって謝ってください」
「るせえ。てめえもボコボコにされたいか?森田」

血の気が多い高山は日頃の鬱憤を晴らすかのように叫び、
中年男と殴り合いながら、薬師丸にも毒づいた。

「お前もな、薬師丸。やられたらやり返せねえか!
オレに意見するくらい勢いがあるくせに、口先だけかよ」
「!」
男たちに殴られ、床にたたきつけられていた薬師丸が、
それを聞いて口を悔しげに歪ませた。
なおも高山の挑発は続く。

「お前も森田みたいに情けない男になっちまうぜ?」

薬師丸の目に火がついた。
いけない、と思った遊太郎の前で、薬師丸の力が発動した。


〜第261回をお楽しみに♪〜
by yu-kawahara115 | 2010-05-09 15:44
<< 第261回接近遭遇「侵入者現る!」 第259回接近遭遇「セレブな花... >>