第255回接近遭遇「理解できない地球人の上下関係?」 |
〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜 ★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★ 地球に派遣された銀河連盟調査員。 普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。 おっとりした新人営業マンだが、 その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。 ★五十嵐桃子(26)★ 遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。 宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。 この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....? ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 「おい、森田」 翌日、係長の高山が遊太郎を呼び出した。 斎藤課長が出張中のため、あからさまに態度が大きい。 研修生の薬師丸と外回りから帰社したばかりの遊太郎は、 はいと答え、高山の前に進み出ると、 高山が椅子が倒れんばかりにふんぞり返って口を尖らせた。 「お前の担当代理店な、不備が多すぎんだよ。 ちゃんと代理店指導出来てんのか?解約件数も増えて来てるしよ。 今季の予算達成が危なかったら、課長につめられるんの、オレなんだぜ?」 「すみません」 「それによ、営業会議でやかましく部長に指摘されてる新設代理店。 お前、全然ノルマ達成出来てねえし、やる気あんのか?森田」 「すみません」 「すみませんしか、日本語知らねえのかよ。 営業マンなら、結果出せって言ってんだよ。ええ?」 それでも頭を下げる遊太郎を見兼ねた薬師丸達也が、 「高山係長、そんな責めるような言い方はないじゃないですか!」 とハッキリ抗議を口にした。 「森田さんの責任ばかりではないと思いますが。 他の営業課も、数字的には低迷しているようですし、 社会的背景も考慮に入れた対策を立てる方が優先課題かと思いませんか」 「ああ?」 高山が顔色を変えて眉を釣り上げる。 「なんだ、なんだぁ?森田。どんな後輩指導してるんだ? 係長のオレに口応えさせたり、 いっぱしに説教たれさせるなんざ、 社会人の上下関係ってもんを知らねえのかっ!」 営業部全体が一瞬にして張り詰めた雰囲気になったが、 課長クラスが全員不在のため、誰も止められない。 いつもなら平気で文句を言いにやってくる桃子も不在だった。 「……申し訳ありません」 と頭を下げに下げて詫びる遊太郎に、薬師丸がまた余計な一言を発した。 「なんで森田さんがそんなに謝るんですか? 不当な言われようは放置してはだめですよ。 高山係長は明らかに言い過ぎですから」 「なんだと」 「さっき上下関係とおっしゃいましたが、 人間はお互い尊重すべき存在であり、いまは上下関係を問題にするのは不毛ですよね。 それより営業活動に関する建設的な話し合いを……」 「黙れ!」 高山は完全にキレた。 もとよりエリートであり、人より頭一つ常に抜きん出て優秀な彼は、 誰からもストレートに注意を受けた事がない。 営業一課全体の数字を単独でも伸ばしているせいもあり、 斎藤課長たちも行き過ぎた言動には、やんわり諭す程度に留めているのだ。 それなのに、まさか短期間の研修生である若い薬師丸から、 己が悪いと指摘されるとは、高過ぎるプライドが許さなかった。 ガタンと音を派手に立て、椅子から立ち上がり、 高山は薬師丸を睨んだあと、怒りの矛先は遊太郎へと向かった。 「森田。上役に対する薬師丸の暴言は許し難い。 薬師丸の責任は、お前の責任だ。 さあ、いますぐ、床に這いつくばって土下座しろ!」 ・・・・・・・・・なんでそうなるんだ? と、薬師丸は高山の言動に驚愕していた。 遊太郎と同じく、実は異星人である薬師丸にとって、 地球人の思考形態は理解不能過ぎた。 しかし高山は、口の端を曲げて遊太郎へ指を突きつける。 「早くオレに土下座して謝れ!森田」 〜第256回をお楽しみに♪〜 |
by yu-kawahara115
| 2010-04-04 00:19
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