第242回接近遭遇「告白デート?」 |
〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜 ★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★ 地球に派遣された銀河連盟調査員。 普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。 おっとりした新人営業マンだが、 その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。 ★五十嵐桃子(26)★ 遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。 宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。 この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....? ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ その週末。 朝から桃子はワクワクしていた。 大倉健人から夕飯に誘われていたからだ。 もちろん単に美味しいものが食べたかっただけで、 健人が何故誘ったのかを気づけないでいた。 「遊太郎もいっしょに行かない?新しくオープンしたイタメシ屋」 無邪気に遊太郎も誘うが、 彼はキッチンに立ち、朝食を作りながら首を振った。 「今夜は仕事があって……すみません」 「まぁた仕事?金曜日だよ」 「すみません」 「ほら、いっつも、すみませんすみませんって。 なんで謝るのよ?」 「……」 どちらかというと口下手な遊太郎が戸惑っていると、 桃子はさすがに悪いと思って、口調を和らげた。 「ごめん。たまには息抜きしなよって言いたかったんだ。 あんたってさ、24時間、表と本業で仕事漬けじゃん」 かといって無理に来いとは言えない。 桃子はわかったと強引に話をまとめた。 「まあ、さ。今夜は大倉くんと行って来るけど。 次回は一緒に行こうよ」 「はい」 そう返事をしたが、仕事が入ってなくとも、 遊太郎は彼らの邪魔をするつもりはなかった。 大倉健人は、桃子に自分の気持ちを伝える為に、 彼女を食事に誘ったからだ。 遊太郎は、慌ただしく朝食を食べる桃子を静かに眺めていた。 心の奥底で、揺れる想いを持て余しながら…… その夕刻。 桃子は待ち合わせた大倉健人と、 オープンしたばかりのイタリアンレストランへ向かった。 広い店内の真ん中に、ガラス張りの厨房があり、 シェフやソムリエたちが、華やかなパフォーマンスを繰り広げている。 健人は、わざわざ予約したらしく、テラスの席に桃子を案内した。 普段、ラフな格好の健人が小綺麗なジャケットを着ているので、 桃子はおかしそうに笑う。 「なんか似合わない。大倉くんていえば、カラオケか安い居酒屋だし」 「悪かったな。俺でもレストランぐらいは行くんだよ」 「ふうん。でも感じいいお店だよね。すっごく美味しいし。 遊太郎も連れて来たかったなあ」 「遊太郎くん?」 そう訊く健人の怪訝な顔を気にもせず、 桃子はアルデンテのパスタを美味しそうに食べながら続ける。 「うん。遊太郎って年中無休で仕事ばっかりだし、 ホントは息抜きに連れ出したかったの。 たぶん夜とかも寝てないよ、アイツ」 「そうなんだ。忙しいのかな」 「真面目過ぎ。適当にやるって事を知らないんだよ。 例えると、そうね。まるでストイックな軍人みたい」 「軍人はないだろ」 健人はありえないと苦笑してみた。 それにしても、桃子はよく遊太郎の話をする。 しかも、つまらないとかバカみたいだとか、 悪口雑言を連ねながら、どこか楽しそうだ。 「あのさ、桃子」 デザートが目の前にやって来たとき、健人は切り出した。 「なに?」 「今日は、おまえに話があって誘ったんだよ」 「話って?」 ミルクティを飲みながら、桃子は楽しげに眉を上げる。 全く気づいていない。 これはストレートにぶつけるしかなさそうだ。 「俺とつきあってくれ」 「は?」 「大学の頃から、おまえのこと、気になってた」 「!」 桃子は目を大きく見開いた。 冗談でしょと笑いかけたが、途中で表情が固まってしまう。 真っ直ぐ見つめる健人が、真剣そのものだったからだ。 「おまえがまだ、一の宮先輩と続いてると思って諦めてたんだ。 けど、そうじゃないんなら……」 「ちょ、ちょっと待ってよ。大倉くんは、友達で」 「いい。ちょっとずつ、好きになってくれたら」 桃子の心臓がドキッと跳ねたところへ、 健人はハッキリと告げた。 「おまえが好きだ。桃子」 〜第243回をお楽しみに♪〜 |
by yu-kawahara115
| 2010-02-07 13:06
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