第224回接近遭遇「桃子、異星人交流パーティーに誘われる」 |
〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜 ★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★ 地球に派遣された銀河連盟調査員。 普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。 おっとりした新人営業マンだが、 その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。 ★五十嵐桃子(26)★ 遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。 宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。 この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....? ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 「顎の骨を砕いて欲しいのか。サーフィス?」 瞬間移動で帰って来たレンが、 サーフィスの胸倉を掴んで、そう警告した。 以前にも、彼は要らぬ事を桃子に言ったが為に、 レンに顔を殴られた事があり、青くなった。 「相変わらずキミは野蛮だねえ。レン」 「もう手加減はしないが」 「それはやめてくれ。ボクの繊細な美しい顔が粉々になってしまう」 必死に懇願するサーフィスを、レンは仕方なく離した。 すぐに彼は服や髪を整えて、ああ良かったとホッとする。 そんな2人のやり取りを見ていた桃子は、 レンと一瞬目が合ったが、ぷいと自分から外した。 サーフィスにさっき言われた事が、不本意ながら気になっていたのだ。 (アイツに言われた事は、悔しいけど、ちょっと当たってる。 あたしたちの間に進展がないというか、 ホントに恋人って感じがあまりしないし。 あたしが想ってるほど、遊太郎は本気じゃないのかな。 あの夏の海でキスをして以来、必要以上近づいて来ないもの……) ふてくされた桃子へ、 例によって空気を読むことを一切しないサーフィスが、 胸ポケットから何かを取り出して渡した。 「忘れるところだったよ。桃子サンへのプレゼント」 セレブ系異星人の面目躍如かサーフィスは品良く微笑みを作る。 渡されたものは半透明で、角度によって虹色に輝くカードだった。 「なにこれ?」 「パーティーのIDカードだよ」 「パーティー?」 「近々、地球へ訪れている旅行者が集まって、 ステーションで交流パーティーが開かれるらしい。 この間のお詫びに、桃子サンも誘おうと思ってね」 それを聞いたレンが一瞬眉をひそめた。 「サーフィス、勝手なことをするな」 「え?桃子さんも、一応関係者だという事で招待できるはずだよ。 レンも強制的に参加させられるんだろう? まあ、キミは昔から、ああいう社交的なイベントは苦手だったものねえ。 本音は、サボリたいんじゃない?」 先刻の気弱さとは打って変わり、悪戯っぽく上目遣いをする彼に、 半ば呆れながらレンは咳払いをした。 「話をそらすな。それより……」 そこへ桃子が割って入った。 「あたし、行ってみようかな。そのパーティー」 レンが少し意外そうな表情で彼女を見ると、 カードを裏返したりしながら桃子が言った。 「だって、遊太郎も参加するんなら、一緒に行ってみたい」 実際は華やかなパーティーに興味のカケラもなかった。 その上、異星人旅行者ばかりとなれば、緊張してしまうはずだ。 しかし桃子は遊太郎、つまりレンに少しでも近づきたかった。 そして彼の事を理解したかったのだ。 それには、多少強引な事もやってみなければ。 「……」 レンは、しばらく考えていたが、観念したように溜め息をついた。 彼女の性格上、言い出したらきかない事を承知しているからだ。 「わかりました。その代わり約束してください。桃子さん」 「約束?」 「パーティーの出席者は、正規の登録手続きを完了した旅行者と、 銀河連盟関係者ばかりですから、危険はないと思いますが、 地球人だという事で何か言われても、大人しくしていて下さい」 すると桃子が抗議した。 「大人しくってなによ。あたし別に暴れたりしないけど? ニコニコ愛想笑いしてりゃいいんでしょ。 それにさ、遊太郎がそばについてくれるんじゃないの?」 その質問にレンは首を振った。 「僕はSPとしての任務があるので……」 「SP?」 すると、サーフィスが横からしゃしゃり出た。 「そりゃ、レンは銀河連盟調査員だからね。ボクと立場が違うのさ。 でも桃子サンは、ボクがエスコートするから何も心配いらないよ。 キレイなドレスも用意させるから」 すっかりその気のサーフィスに、 今さら断れなくなった桃子だった。 〜第225回をお楽しみに♪〜 |
by yu-kawahara115
| 2009-12-06 12:21
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