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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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第206回接近遭遇「プチ家出二日目の夜」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

プチ家出を決行して二日目の夜。
研修中だった桃子は、会社でも遊太郎に会わずに済んでいたが、
ふと気がつくと携帯電話のディスプレイを開けたり閉めたりを繰り返していた。
相変わらず、遊太郎からは何も言って来ない。
睨みつけていると、いきなり派手な楽曲を奏で始めたので、思わず素早く開く。
残念ながら、相手は同僚の清美だった。

「もしもし桃子?研修お疲れ。二日ぶりだよね」
「清美」

母親の博子が何気なく耳を澄ませているのを感じたので、
話しながら二階の部屋へ上がる。
「仕事、大丈夫?ごめんね。清美」
「うん。大丈夫。特に変わったことはないよ。
まあ桃子がいないから、高山係長がウロウロしてたくらいかも?」
「ふうん」
高山の事は、言い寄られた一件でますます毛嫌いに陥っていたので、
どうでも良いことだった。
たわいないお喋りを続けたあと、清美が思い出したように言う。

「そういえばさ。森田クン、桃子が研修行くこと知らなかったみたいじゃん?」
「え?」
心臓が跳ね上がる。
家出は誰にも話していないはずだからだ。
カンの良い清美が、好奇心いっぱいの声を出した。
「ひょっとして、なんかあった?」
「……別に」
すっとぼける。
「ホント?森田クン、一瞬さみしそうだったからさ。
カレ、桃子を慕ってんだから、イジメちゃダメだよ」

桃子は絶句した。
清美は、普段の遊太郎しか知らないので、
そう茶化すのは無理はないが、
それにしても、さみしそうというのは、本当だろうか。
詳しく聞いてみたい気がしたが、詮索されてはいけないので、
適当な話をして電話を切った。

居間に降りると、博子が茶菓子を運んで来ていた。
「ホントは遊太郎ちゃんからの電話待ってんじゃないの、あんた」
「な、なんでよ?」
清美をやり過ごしたかと思ったら、今度は母親が待ち構えていた。
煎餅をかじりながら、見透かしたように言う。

「あたしはあんたの母親なんだからね。なんでもお見通し。
遊太郎ちゃん、きっと心配してるわよ。桃子の方から電話してあげなさいよ」
「うるさいなあ。別になんでもないんだから、放っておいてよ」
「気になるくせに。意地張っちゃって、バカな子だねえ」
「……」

居心地が悪くなって、桃子はまた急いで二階へ駆け上がった。
母親は少し前まで、、
桃子と遊太郎がイトコ同士で付き合っている事に反対していたが、
今では逆に面白がっているから始末が悪い。

今夜は月が雲間に隠れて、窓からは見えなかった。
こうして毎晩、月の姿を探していると、
自分がまるで、月に帰ってしまったかぐや姫を慕う若武者みたいに思えてくる。

……本当はどうしたいんだろう。あたし。
桃子は飽くことなく窓の外に広がる夜空を眺めていた。


その同じ夜。
遊太郎は斎藤課長と共に得意先企業の接待を終えるところだった。
遊太郎は先に会計を済ませ、
タクシーを呼ぶ為に、電波状況を確認しながら外に出た。
そんなどこにでもいるようなサラリーマンの遊太郎を、
遠方からうかがっている者がいた。

「なんだ。アレがターゲットか?
ずいぶん地味で、チビじゃないか」

男がガッカリしたようにつぶやくと、
隠し撮りした写真と見比べるように、もう1人の男も感想を述べる。

「ああ。日本人は若く見えるらしいが、それにしても、まだ子供だよな」
「あんなメガネの坊やで間違いないのか?
普通の地球人そのものだぞ」
問われた方の男も、やや疑わしげに考えながら頷く。

「たぶん。
笹川夏希という女が接近していたから、同じ仲間だろ」
「そうか。じゃあ、銀河連盟から派遣されている調査員のはしくれか。
あんなのじゃ、襲うって言っても簡単過ぎて面白くないけど」
「いいじゃないか。ゆっくり遊んでやろうよ」

不審な男2人は含み笑いをしながら、車を出した。


〜第207回をお楽しみに♪〜
by yu-kawahara115 | 2009-10-04 16:11
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