第191回接近遭遇「今カノ VS 元カノ」 |
〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜 ★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★ 地球に派遣された銀河連盟調査員。 普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。 おっとりした新人営業マンだが、 その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。 ★五十嵐桃子(26)★ 遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。 宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。 この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....? ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 「私も森田さんと同じく派遣調査員です。 あなたなんですね。五十嵐桃子さん。 彼と一緒に住んでいる地球人って」 笹川夏希のこのセリフに、桃子は絶句してしまった。 遊太郎と同じく派遣調査員ということは、彼女も異星人なのだろうか……? 「言い当ててしまって、ごめんなさい。 あなたが彼と暮らしている映像が視えてしまったのと、 とても珍しいケースだと思ったから、つい…」 「珍しい?」 「ええ。普通、調査員は1人でいることが多いんです。 特に彼のようなタイプが、誰かと暮らしていることが不思議で」 「どういうことですか?」 食い下がって聞いてみる。 以前の遊太郎のことを良く知っている口振りが気になる。 すると、彼女は思い出すように答えた。 「私といた時、彼は、とても冷たい瞳をしていたから」 「あなたと、いた時……?」 「そう。まるで孤独な戦士みたいな、ね」 「……」 「だから、まだ信じられないんです。 調査員になっていることも、 現地惑星人と、一緒に暮らしていることも」 どう答えていいか分からなくて混乱している桃子へ、 彼女は、我に返って詫びた。 「変なことを話してしまって、ごめんなさい。 お仕事中に、失礼しました」 笹川夏希は軽く会釈し、エントランスの向こうへ消えて行った。 残された桃子は、呆然としながらエレベーターホールへと歩いた。 私といた時。 彼女のそのセリフが引っかかっていた。 …それって、つまり、あの笹川夏希って女と、 遊太郎が昔付き合ってたって意味? とても賢そうで、落ち着いていて美人で。 なんだか再会出来て、嬉しそうだった。 「遊太郎のバカ……」 桃子は、そう口の中でなじりながら名刺を握りしめた。 その頃。 外に営業に出ていた遊太郎は、ハンバーガーが入った包みを抱えて、 高山が待つ車の中に飛び込んだところだった。 運転席にふんぞり返った高山が罵声を浴びせる。 「森田。てめぇ、ハンバーガーごときで何分かかってんだよ?」 「すみません。混んでいて」 謝りながら、高山の言いつけ通り、特大ハンバーガーとコーラを渡すと、 「ん?お前のは?」 と、妙な顔をした。 遊太郎は、にっこりして、僕はいいんですと答えると、 バカにしたように眉を八の字に寄せる。 「へっ。ハンバーガーが食えないのか?今どき珍しいヤツだな」 「はあ」 逆に、遊太郎からすれば不思議だった。 何故、地球人が好んでファストフードを食べるのか。 仕事に対してやる気がないらしい高山は、 ほとんど遊太郎に仕事を押し付け、 車内でCDを聞きながらハンバーガーをほおばり、メールを打ちまくっていた。 「そういや。今週の土日、開けとけよ」 「はい?」 「会社の電子メール、見てねえのかよ。 イベント好きな斉藤課長が急に計画して、 営業一課全員参加で海ツアー、やるらしいぜ」 「は、はあ」 今週といえば、桃子と海に行く約束をしたのだが、 行事があるなら、流れてしまいそうだ。 すると、高山が嬉しげにつぶやいた。 「けど。海っていや、五十嵐桃子の水着姿か。それも悪くねえよな」 「……」 遊太郎は複雑な思いだった。 プライドの高い高山は、いまだ自分になびかない桃子を、 執念深く狙い続けている。 その為に、この男を彼女に近づけさせたくはないのだが…… その夜。 帰宅した遊太郎は、 リビングで桃子が待っているのに気づいた。 また何やら怒っているが、並みの怒り方ではない。 髪をポニーテールにし、腕を組んでいる姿は男顔負けの迫力だった。 彼女は顎を動かして座れと命令した。 訳がわからないまま、上着だけを脱いでソファーに座った遊太郎へ、 彼女は据わった目つきで尋問した。 「遊太郎。笹川夏希って、女。……だれ?」 〜第192回をお楽しみに♪〜 |
by yu-kawahara115
| 2009-08-12 23:20
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