第187回接近遭遇「初めての合コン☆注意事項」 |
~もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?~ ★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★ 地球に派遣された銀河連盟調査員。 普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。 おっとりした新人営業マンだが、 その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。 ★五十嵐桃子(26)★ 遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。 宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。 この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....? ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 「合コン…って、君が?」 翌日の昼下がり。 セルフサービスのコーヒー店で、 佐々木が森田遊太郎に聞き返していた。 食品会社の営業マンである佐々木は、 神経質そうな三角形の顔に、 メタルフレームの眼鏡をかけた知的な男である。 「はい。同僚に誘われてしまって。断れなくて」 遊太郎が困ったような表情をするので、 佐々木が、彼を上から下まで観察した。 確かに、まん丸メガネは愛嬌があるが、 全体的に子供っぽく、およそ合コン向きとは思えない。 佐々木はブラックコーヒーをひと口飲んで答えた。 「断れないのなら、地球人調査の一環として、 割り切って参加すればいいんじゃないかな」 「調査、ですか?」 「そう。実にくだらないけどね。僕には」 相変わらずシニカルな言い方をする。 佐々木も遊太郎と同じくサラリーマンだが、 実は、地球に派遣された銀河連盟調査員の1人である。 ただし管轄エリアも違うし、そのキャリアは比べようもなく長い。 直接的には遊太郎との交流はないが、 たまたま仕事を通じて知り合って以来、時々会っている程度だ。 「でも、同居をしている彼女が、僕が合コンに行くと知ったら、 怒ってしまったんです」 遊太郎は頭を掻いた。 ルームシェアしている五十嵐桃子が激怒して、 昨日から口も利いてもらえないのだ。 すると、佐々木が冷静に口を開いた。 「地球人女性は嫉妬深いからね。 たかが男女の交流パーティー。 君がお持ち帰りなんかしなければ、すぐに忘れてくれるよ」 「お持ち帰り? 何を持って帰るんですか」 大真面目な質問に、佐々木が珍しく声を出して笑ったが、 すぐに我に返って咳払いをした。 「これは失礼。とにかく対策としては、 気に入った女性がいても、うっかりメルアドの交換はしないこと。 そういうのは、絶対に同居人の女性にバレる。 君、正直過ぎるし」 「僕、知らない女性とそんなことはしません」 また真顔で否定するので、佐々木は苦笑いをするしかなかった。 「君みたいな地味な男なら、たぶん、大丈夫だろうね」 何が大丈夫かわからなかったが、 先輩調査員から貴重なアドバイスを受けた気がして、 遊太郎はお礼を言った。 「佐々木さん。ありがとうございます」 その夜。 マンションに帰宅した遊太郎を桃子がリビングで待っていた。 幾分反省しているようで、罰が悪そうに謝る。 「昨日はごめん。一方的に悪く言って。 やっぱり、マジで合コン行くつもりなの? 」 遊太郎はすまなさそうに頷いた。 「すみません。桃子さん。でも、すぐ帰って来ますから」 「っていうかさ。ああいう場ってアルコールは当たり前だし、 無理やり飲まされて、正体バレても知らないよ?」 そうなのだ。 信じられないことだが、彼は変身機能を使って地球人を装っている。 しかし、アルコールを一定量摂取すると、 自分の意志と関係なく、 一時的に素顔に戻ってしまうことがあり、 桃子は、これまで何度か冷や冷やしているのだ。 「桃子さん。大丈夫です。 これでも耐久時間が、少しは長くなったんですよ」 呑気にそう答える遊太郎に、彼女はわざとらしく眉を釣り上げた。 「はあ?耐久時間ってなによ」 「アルコールを摂取してから、元にもどるまでの時間です」 「ふうん。どれくらい保つわけ?1日?半日?3時間?」 「い、いえ、そんなには…」 じゃあ、全然ダメじゃん。 コイツ、バカじゃないの? 「あっそう。良かったね。 あたし疲れたし、もう寝るわ。おやすみ」 呆れ果てた彼女は、脱力したように部屋に戻って行った。 「桃子さん?」 なんとなく、また桃子を怒らせた気がする。 初めての合コンは明日に迫っていた。 ~第188回をお楽しみに♪~ 石井→佐々木でした。訂正させていただきます。^^;(祐) ■
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by yu-kawahara115
| 2009-07-29 23:26
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