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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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<   2010年 09月 ( 4 )   > この月の画像一覧

第281回接近遭遇「銀髪男の素性は?」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

時任晴彦の探偵事務所を訪問した遊太郎は、
自分の素性を調査しようとしている係長の高山について、
どう対処するべきか考えていた。

高山が依頼した探偵が奇遇にも、
同じ異星人である探偵、時任晴彦であった為、
対策を講じやすくはなっているのだが........

時任はインスタントコーヒーを飲みながら、
少し悪戯っぽい視線を遊太郎に流した。
酸いも甘いも味わった中年男が、
青臭い小僧を見る真似をしてみたかったらしい。

「で、事の原因は三角関係かな?遊太郎くん」
「三角関係?」

時任ほど地球生活に慣れていない遊太郎はキョトンとした。
地球人に紛れて暮らしているものの、
基本的なマニュアルには無い言葉にぶち当たると、
なにげない日常会話でも、つまづく事がしょっちゅうだ。
首をひねる遊太郎に、時任は笑い出した。

「ごめん、ごめん。
ちょっとからかいたくなっただけだよ。
君ってさ、エイリアン狩りはプロだけど、
こと恋愛関連には恐ろしく疎いから」
「はあ......」

その通りなので、遊太郎は怒りもせずに困ったように頭を掻いた。
三角関係の意味がなんとなく理解できたのだ。
「時任さんに依頼して来た高山係長は、桃子さんに関心を持っているんです」
「なるほど。それで、ひょんな事で素顔を晒してしまった君を、
盗撮した高山が嫉妬をしているというワケか」

時任は高山から渡されたらしい写真を見つめた。
暗くてハッキリしていないが、温泉街らしい場所で、
桃子が長身の青年と手をつないでいるところが映り込んでいた。
青年は黒い帽子を被り黒いサングラスをかけてはいるが、
白い襟足から少し覗いた銀色の髪や整った顔立ちは、
遊太郎の素顔に間違いない。
高山はまた、この銀髪の男に殴られてもいる。
今年の夏、海岸で桃子に迫り、襲おうとしたからだ。

「本来の姿の君に思い切り殴られて高山の恨みは募り、
この写真を頼りに調査を依頼してきたというわけか。
地球人にはありがちな恋の逆恨みだね」

時任は苦笑いし、で、どうするのとまん丸メガネの地味な男に訊いた。
いくら調査しても、この童顔な男と、
写真の銀髪青年が同一人物とはまず判らないし、
銀髪青年が何者かは永遠に謎だろう。
もちろん調査する側が地球人の探偵や警察ならば。

「高山には、この男の素性について、
何もわからなかったと俺が報告しておくよ」
それには遊太郎は首を振った。
「いえ。それでは、また高山係長は別の探偵に調べさせたりするでしょう」
「そっか。面倒なヤツに目を付けられたもんだね。
高山って男は、君の弱味を見つけて恋路を邪魔しようとしてるんだな」

恋路と言われて、一瞬遊太郎は顔を曇らせたのを、
敏感な時任は察知したが、何も言わなかった。
地球人との恋愛は難しい。
それは遊太郎より良く経験しているからだろう。

しばらくして、遊太郎が考えを口にした。
「時任さん。僕の、いや、この男の素性を作ってもらえますか?」
「ニセのプロフィール?おやすい御用だけど」
時任が心得たようにニヤリと笑い、遊太郎はメモを取り出した。

「どうせなら、リアリティを持たせた方が納得して、
充分に恨んでくれるかもしれません」
「それ、ヤバくないかな」
彼は遊太郎から渡されたメモを見て肩をすくませたが、
遊太郎はのんびりと答えた。

「大丈夫です。派遣調査員はこういう事態の為に、
ダミーのプロフィールを幾つか持ってるんですよ」
「ヤツは調子にのって、君に電話して呼び出すかもしれないよ?」
「その時は会うことにします」

え?と、時任は飲み干しかけたコーヒーを戻しそうになり、
童顔なサラリーマンをしげしげと眺めた。
何を考えているんだ?と思ったが、
遊太郎は事務的にプロフィールをスラスラと書いて手渡した。


「銀髪男の素性調査をした結果報告を、高山係長にお伝え下さい。
よろしくお願いします。時任さん」


〜第282回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-09-26 14:18

第280回接近遭遇「探偵・時任晴彦、再登場」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

遊太郎の携帯電話が震え、桃子との話が一時中断された。
自販機の向こうで、話をしている遊太郎の背中を睨みつけながら、
桃子はイライラし始めた。

なんて呑気なんだろう?
私情に走る係長の高山が、
探偵を使って遊太郎の素性を調べようと企んでいるのだ。
平気でいられるはずがないのに。
もちろん普段の遊太郎と、
高山が目の敵にする遊太郎は見かけは別人であり、
同一人物だと知れる可能性は少ない。
しかし高山が調査を依頼している銀髪の男と、
遊太郎とが何らかの関係を持っていると思われたら、
ますます遊太郎は高山に目を付けられてしまう。

しばらくして用件が終わったらしい遊太郎が、
桃子のそばに戻って来た。
相変わらずぽややんとして、まるで危機感がない。
桃子は拳を作って、そんな彼の頬をポンと殴る真似をした。

「あたしがどんだけ心配してるかわかってる?」
すると、遊太郎は彼女の拳をふんわりとつかみながら、
はい、と柔らかく頷いた。

「いま、探偵事務所から電話がありました」
「はあ?」

桃子はこれ以上はないというくらい目を大きくして、
彼のネクタイをひっつかんだ。
「ど、どういうこと?もしかして、もうあんたの素性が探偵にバレて……」
「違いますよ、桃子さん」
遊太郎は苦笑しながら桃子の肩に手を置き、
彼女はネクタイから自分の手を離した。
「だって、探偵から呼び出しが来たってことは、
高山の奴が依頼した件の事と関係あるはずよね?」
「さあ、どうなんでしょう」
「どうなんでしょうって。意味わかんない。ちゃんと説明してよ」
「帰ったら説明しますよ」

桃子の焦りをよそに、遊太郎は腕時計をチラッと見た。
今すぐ真相を知りたい桃子は口をパクパクさせたが、
遊太郎はにっこりとスルーして、営業部フロアへ向かって歩き出し、
彼女は奇妙な表情で、のんびりした後ろ姿を見送った。

「ナンなのよっ。遊太郎の馬鹿!」



その夕刻。
仕事を早めに終わらせた遊太郎は、ある雑居ビルの前を訪れていた。
最寄り駅から奥まった場所にあり、ひと気もまばらで、
流行っているとは言い難い探偵事務所は、
二階にひっそりと存在していた。

遊太郎が静かにドアをノックをすると、すぐに中年の男が現れた。
まだ若さを残した愛嬌と渋さを同時に持ち合わせた男である。

「やあ。いらっしゃい。森田遊太郎くん」
「お久しぶりです。時任さん」

昼間に遊太郎に電話をかけて来た探偵とはいうのは、
以前事件絡みで知り合った時任晴彦、その人だった。
時任晴彦は、どうぞと言って狭い事務所の中へ遊太郎を通し、
地味な来客用の椅子に座らせた。

「コーヒーでいいかな。インスタントだけど。
あ、遊太郎くんはコーヒーだめだっけ?」
「頂きます。飲めるようになりましたから」
「そう?良かった。1年以上暮らすと、地球人らしくなるか」

そんな冗談を言いながら、
時任晴彦はコーヒーを遊太郎の前に置き、
早速本題だと話し始めた。

「いやあ、ビックリしたね。
調査の依頼が高山って男から舞い込んで来たときは」
「まさか、時任さんの事務所に依頼していたとは思いませんでした」
「まあ、よその探偵じゃ、絶対君の素性はわからないさ」

係長の高山が雇った探偵が、
偶然にも遊太郎の知人の時任晴彦だったのだ。
遊太郎が異星人だとわかっている時任は、
高山から依頼されて、すぐに遊太郎へ連絡をしてくれたのである。

「で、どうする?なんなら、適当に調査結果出して終わりにするけど。
一応、クライアントだから丁重にね」
時任晴彦がニヤリとしてタバコをふかした。
彼も実はシーマ種族という、
遊太郎よりは地球に永く住み着いている異星人だ。

遊太郎は適当に作られたニセの調査結果を眺め、
どうすれば高山を納得させられるだろうと考えた。


〜第281回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-09-19 14:46

第279回接近遭遇「桃子、怒りが爆発する」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜
★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

その日の夕方、桃子は怒り狂っていた。
社員もまばらになった営業一課のフロアで、
宮本清美がミルクコーヒーが入った紙コップを持って来て、
昼間聞いた話を桃子にバラしたからだ。

「高山係長、桃子の彼氏のこと調べてるって。
探偵事務所に依頼したんだって」
「な……」
開いた口がふさがらず、パクパクさせていると、
清美は、ありえないよねえと明らかに面白がりながら続けた。
「森田クン、優しいから桃子には黙っていてくださいって言ってたけど。
なんかさあ、高山係長って、なんでもやり過ぎるから心配じゃん」
「知らせてくれてありがと。清美」

ミルクコーヒーをごくんと飲み干し、紙コップを握りつぶした桃子に、
清美にギョッとされたが構わず立ち上がり、
高山に文句を言うために広い営業部内を歩き始めた。
「ちょ、ちょっと桃子?」
慌てて追いかけようとした清美は、桃子が怒りに燃えた怖い顔つきで、
かなり速いスピードで探し回るのに追いつけなくなった。


許せない。何なの、あの男!
絶対に高山を捕まえて糾弾し、止めさせなければ。
相手が雲の上の社長でも、許してはおけないと柳眉を逆立てる。
遊太郎の、というより本当の彼の事を探偵を雇って調べようとは、
プライバシー侵害を通り越して、人間として軽蔑してしまう。


社内各フロアを探し回りながら、
桃子は夏の終わりに、海で高山に迫られたことを思い出していた。
あのとき遊太郎はレンの姿で高山を殴った。
殴られて当然の事をしでかしておきながら、
高山は逆恨みをしているわけで、厄介この上なかった。

どこを探しても高山の姿はない。
スケジュールボードには、高山の外出先は書かれていないし、
どこかに隠れている事に違いないのだが。

「桃子さん?どうしたんですか」

諦めかけて給湯室の近くまで来たとき、
ふんわりした声がして、桃子は振り向いた。
自販機でミネラルウォーターを買ったばかりの遊太郎が立っている。
髪を振り乱した桃子を見咎め、少し怪訝そうな表情だ。

「遊太郎。高山係長、どこに行ったか知らない?」
つい怒ったように詰問すると、
彼はああ、とにっこりした。
「合コンで知り合った女性とランチを取ると言って出かけました。
行き先を適当に書いておいてくれと頼まれたのに、
僕、うっかり忘れてしまって」
「はあ?」

遊太郎ののんびりした説明に、桃子は思いきり脱力した。
探しても見つからないはずだ。
無駄に時間とエネルギーを使い果たした気がして、
桃子は給湯室になだれ込み、水を汲んで飲み干した。
遊太郎が心配そうにミネラルウォーターを差し出す。

「良かったら、これを飲んでください。まだ開けていませんから」
「……」

桃子は黙って遊太郎からミネラルウォーターを受け取り、
礼も言わずに飲み出した。
半分近く飲んだあと、ボトルを給湯室の棚にドンと置いて、
遊太郎の相変わらずぽややんとした顔を睨みつける。

「遊太郎は、悠長ねえ」
「はい?」
「高山があんたのこと、探偵使って調べてるっていうのに」

遊太郎は、まん丸メガネの奥の子犬のような目をちょっと見開き、
知ってたんですかと苦笑いした。

「大丈夫ですよ。桃子さんが心配しなくても」
「大丈夫じゃないわよ。
探偵っていうのはね、あんたのこと24時間つけ回して、
隠し撮りも聞き込みもしまくるんだよ?」

脱力していたが、怒りを再燃させる桃子に、
遊太郎は戸惑った。
やはり、桃子にまた要らぬ心配をかけさせているからだ。
そこへ、遊太郎の携帯が震えた。
ディスプレイには見知らぬ電話番号が光っていた。


〜第280回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-09-12 11:47

第278回接近遭遇「高山係長のたくらみ再び」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「なンだよ。今月も数字、ぜんぜん伸びねーじゃん?
やる気あんのか。ええ?森田ぁ」

再び始まった一週間。
営業一課では、係長の高山が相変わらず毒舌を吐き、
遊太郎は神妙な顔で黙って聞いていた。
下手に弁解すると執拗に突っ込んで来るし、
かといってあまり無表情では、
バカにしてるのかと噛み付くに決まっている。

「お前、営業に向いてないワ」
突き放したように言い、高山はタバコを灰皿に押し付け、
デスクから立ち上がった。
携帯電話をいじりながら、知り合ったばかりの女たちのアドレス帳を眺める。

「営業数字は変わりばえしねえ下降線。
酒に弱いし口下手だから接待もつまんねえ。
オレさまと違って外見もイケてねえから女にもモテねえ。
サイアクなメガネ野郎だぜ」

言いたい放題で気が済んだのか、ところで、と遊太郎に向き直る。
「斉藤課長には、お前のやる気なさを報告するの止めといてやるから、
お前、こいつ頼まれてくんないかな?」
内ポケットからコンサートチケットを取り出す。
かなり高そうなクラシック音楽のS席だ。
「適当に言って渡してくれ」
「え?誰にですか?」
キョトンと訊き返す遊太郎の頭をクシャクシャにして、
高山はバカとほざいた。
「五十嵐桃子に決まってんだろ。てめえのイトコ」
「はあ」
「普通にオレが渡しても断るだろうからさ、
お前に頼んでんじゃねえか」
「それは、ちょっと……」

高山の意図に遊太郎はようやく気づいて、
チケットを押し返した。
高山は、桃子を遊太郎をダシにうまく誘って、
当日いきなり高山自身が彼女の前に現れるベタな作戦でいたらしい。
遊太郎に断られて高山が鼻を鳴らした。

「んだよ。マジ、使えねえ奴だな」
高山はチケットをポケットにおさめたが、
意外に落胆した様子はなく、
二枚目面を意地悪く歪ませる。

「まあ。クラシックなんざハナから興味ないしな。
それよか面白いこと進めてんだぜ。聞きたいか?」
「面白いこと……」

この男は一体何を考えているのだろう?
いつも桃子に相手にされないので、
ついに強行手段に出ようとしているのか。

「高山係長、何を考えてるんですか」
「ほら、あいつ。五十嵐の男を調べてるんだよ」

あの銀髪野郎、と憎々しげに囁く。
以前海で桃子に迫った際、殴られた恨みを高山は忘れてはいないようだった。
去年の春先に盗撮した写真をまだ携帯のフォルダに残していたのだ。

「こないだ探偵事務所に依頼しといたんだよ。
あいつ、絶対ヤバい野郎だぜ?
たたけば色々ホコリが出るんじゃねえかと睨んでる。
あ、五十嵐には言うなよ?チクったらボコボコだぞ」

楽しげに脅して、高山は盛んにメールを打ちながら、
フロアから出て行った。
眉をわずかにひそめた遊太郎の横に宮本清美がするりと近寄って、
ねえねえと訊いて来た。
清美は桃子と仲の良い同僚だ。

「高山係長、いまヘンな事言ってなかった?
ほら、探偵事務所とかに依頼したって」
「さあ」
さりげなく流そうとするが、
清美はクルクルとよく動く目を遊太郎に向けて囁いた。

「いくら桃子の彼氏が憎いからって、そこまでする?
あれ、相当プライドへし折られた事とかあったんじゃないかな」
「……」

遊太郎が素顔であるレンの姿で高山を殴った一件は、
桃子以外の誰にも知られていない。

「宮本さん」
「ん?」
「いまの話、五十嵐さんには言わないでもらえませんか?
心配してしまうかと思うので」
「そ?森田くん、優しいね」

清美はヒラヒラと手を振って席を移動した。

探偵事務所。
そんなものに動かれたところで、
遊太郎の正体がバレる可能性は皆無だが、
桃子に要らぬ懸念をかけることになるのは本意ではなく、
遊太郎は厄介だなと、ため息をついた。


〜第279回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-09-04 21:48