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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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<   2010年 08月 ( 6 )   > この月の画像一覧

第277回接近遭遇「宇宙人との結婚を決意」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

桃子の話に、マユミが目を見開いた。
「ええ?なにそれ。その男、桃子と結婚する気ないわけ?」
「マユミ、声が大きいんだけど」

慌てて桃子がたしなめた。
ここは割合静かなカフェで、目立たない席を選んだものの、
女同士の会話は声がつい高くなってしまう。
マユミは咳払いをしてコンパクトを取り出し、
メイクをチェックするフリをしながら、聞き直した。

「今までの話の流れからいくと、
桃子の彼、結婚に関心ないってことだよね?」
「っていうか、ストイック過ぎるんだよね」
「ストイックな外国人?桃子のこと、ホントに好きなの?その男」

桃子はまたしても痛いところをつかれた気がした。
一緒に暮らしていながら、キスしかしていないとは、
今更口に出せなかった。
煮詰まっている表情の桃子へ、マユミがハッキリと言う。

「桃子。既婚者のあたしに相談するより、
彼の気持ちを確かめる方が先なんじゃないの」
「え……」
「特殊な事情がある国際結婚なら、なおさら、
2人の気持ちを一つにしなきゃ、絶対結婚なんか出来ないよ」
「……うん」

マユミに言われる前に、わかりきった事だった。
周りがどうというより、遊太郎と自分の心を固める事が大事なのだ。
だけど、遊太郎は肝心なところでスルリとかわす。
一定の距離を置いて近づきもしなければ、
近寄ろうにも見えないガードを最近は良く感じる。

「なんか、桃子らしくないじゃん」
「へ?」
「ストレートに壁をぶち破るのは、あんたの得意ワザでしょ?」
「……」

マユミに指摘されて、桃子はハッとした。
彼女は普段から考えずにすぐ行動をするタイプだった。
それでダメなら諦めるし、少しでも可能性があるなら、
どんな高いハードルでも、気合いで飛び越える。
もちろん失敗も多かったが、立ち直りも早かった。

「そうだよね。ぶつかってみなきゃわかんないよね。
ありがと、マユミ」
俄然、パワーが湧いて来た桃子は、マユミの手を握った。
目の輝きが違っているのを見たマユミが、手を握り返す。

「そうだよ、桃子。
本気で好きなら、彼を捕まえて放さないこと。
結婚したいなら、ちゃんと話して協力を得ることだよ。
確かに結婚は家同士の問題って言われるけど、
結局はね、やっぱり2人の意志とか気持ち次第なんだから。
苦労して結婚にこぎつけたあたしが言うんだから間違いないよ」

姉御肌のマユミがズバリと断言し、
桃子はモヤモヤしたものが晴れてゆく気持ちになった。
やっぱり友達に相談をして良かった。
でなければ、迷う自分に負けてしまうところだったからだ。
マユミに礼を言い、桃子は立ち上がった。

もちろん、友人のマユミにはたくさんウソをついている。
相手の男は外国人ではなく、地球人ですらない。
しかも異なる星の大変なしがらみというのもあって、
一般的な国際結婚ではないのだ。
後ろめたさはあるが話せぬ事だから仕方がない。

桃子の愛する男は宇宙人。
遠くない未来に、地球を離れてしまうかもしれない。
だからこそ、いまが一番正念場なんだと桃子は固く決心した。
スレ違いばかりで、ちゃんと話して来なかった。
ちゃんと自分たちの現在と未来について、
彼と心を開いて話しあいたい。


むろん桃子はこの時点で、
そう簡単に事が運ばないだろうとは感じていたが、
現実的には分かっていなかった。
遊太郎の心の闇と、遊太郎を取り巻く状況が、
彼女の予想をはるかに越えて、
越えがたい冷たい壁を作り上げている事に。


〜第278回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-08-28 23:04

第276回接近遭遇「結婚したいけど」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

その頃。
遊太郎の留守に彼の花嫁候補だという女に突然訪問され、
いよいよ煮詰まってしまった桃子は、
たまたま連絡がついた友達に会いに出かける事にした。

大学時代に同じゼミ仲間だった女友達で、
周囲の猛反対の末、アメリカ人男性と結婚をし、
一年の半分をアメリカと日本で過ごす生活をしているらしい。
いまは日本に帰って来ていて、気軽に呼び出す事が出来た。


「久しぶり。急にどうしたの?桃子。
思い出してくれて嬉しかったけど」
カフェで待ち合わせた友人、山田マユミは、
桃子よりひとつ年上で、背の高い個性的な女性だった。
桃子はミルクティを頼み、実はと話を切り出した。

「ちょっと、マユミに相談があってさ」
「相談?桃子がまた珍しい」
「うん、マユミなら特殊な恋愛経験とかしてるし、
先輩として参考になるかなあって、ひらめいたの」
「特殊な恋愛経験」

マユミは綺麗に重ねられたマスカラ越しに桃子を意地悪く睨んでみせたので、
桃子はトボけるように頬を軽くかいた。
するとマユミは桃子を面白そうに観察しながら訊いた。

「へえ、桃子って特殊な恋愛してるんだ?」
「と、特殊っていうか」
「あたしみたいに外国人の男?」
「そんなとこ」

まさか宇宙人です、とは口が割けても言えない。
もちろん言ったところで信じては貰えないが、
いまは一般的な参考意見を訊きたかった。

「どうして良いか煮詰まってて」
桃子の唇から本音がポロリと転がり出て、
慌てて運ばれて来たミルクティを飲む。
その様子に洞察力に長けているらしいマユミがふんふんと頷く。

「あたしの時みたいに結婚したい男が外国人だから、
桃子の親に反対されてるとか?」
「ううん。どっちかというと彼側の方がややこしくて」
「ややこしい?どこの国の人?」

適当な答えを用意していなかったので、桃子は少し詰まった。
「えっと、あんまり知られていない国」
「アメリカとかイギリスとかメジャーな国じゃないって意味?
まさかアラブの国のどこかの部族とか」
マユミが冗談混じりに訊くので、桃子はいやいやと手を振った。

「詳しい国は言えないけど。
彼が家の跡取りで、特殊な事情が絡んでて」
「もしかして大金持ちのお坊ちゃま?」
「うーん、御曹司というのかな。家出中だけど」
「そんな御曹司が家を飛び出して日本に逃げて来て、
それで桃子と知り合ったって話?」
「花嫁候補者とかもいるらしいし、大変なんだ」
「なんか、映画みたいだね」

現実的じゃないと呆れたようにマユミが腕を組んだ。
あやしまれているかな?と桃子は心の内で舌を出した。

正確にいうと、遊太郎という男は宇宙人で、
実際は巨大な星団の王子であり、
ある悲惨な事件があって故郷を捨て、
いまは銀河連盟調査員の任務に就き、地球に派遣されている人間だった。
最近になり、王である父親とようやく和解したのだが、
今度は、彼を快くは思っていない政治家集団や、
花嫁候補たちも視界に出現し始めた。
そんな複雑な背景を持つ遊太郎と桃子は本気で、

「結婚したい」

と、思っている。


桃子の曖昧な話から、マユミは頭をひねり推測をした。
「良くはわからないけど、要するに複雑な国の人間と、
桃子は恋愛関係に陥り、結婚したいと思ってるわけだ。
でも相手側からは良い反応は得られない。
まあ、あたしの時も周りに反対されたしさ、
結局はムリやり2人で結婚式挙げちゃったんだけど」

知らない島でね、と笑う。

「彼は?桃子との結婚には積極的?」

痛い質問だ。
桃子は長い溜め息を吐き出した。

「結婚は考えてないみたいなんだ。
誰ともそうはならないって」



〜第277回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-08-22 11:49

第275回接近遭遇「胸に暗黒の穴を抱えて」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「あ、あああああ……っっ!!」

苦悶を押し殺したような声がレンの唇から漏れた。
それでも天才ヒーラーDr.律子の手から放たれた紫色の光は、
容赦なく彼の胸を精査し続けていた。
紫色の光はレーザー光線さながら、
異常を発している部位を的確に探し出したのち、
その部位をホログラムとして、あぶり出す事が出来るのだ。

「思ったより、あの時の後遺症が酷いみたいね」
Dr.律子はレンとの中間に立ち現れたホログラム、
つまり立体映像を、凝視しながら厳しい口調で言った。
その映像は禍々しく負の波動を放つ暗黒の穴だった。

探られたくなかったものを強引にえぐり出されたレンは、
カウンセリングの長椅子に、ぐったりと身を沈ませた。
前髪が乱れて、白磁のような肌がさらに青く透き通り、
浅い呼吸を苦しそうに繰り返す。

「荒っぽい方法を取ってごめんなさい。
でも、こんなに酷い穴だったなんて」

律子は映像をデータ化して手元のモニターに移し替えた。
レンとしては、決まりきった説教など聞きたくないので、
早くこの場から逃れたかったが、
残念ながら身体が鉛のように重く、動けない。

「あなたは隠したかったかもしれないけど」
続けてDr.律子はズバリと言い当てる。
「この穴、あの隕石のでしょ?
他の派遣調査員が受けている定期的ヒーリングを、
サボっていた理由の一つが、なんとなくわかったわ」
「……」

天才的ヒーラーの天野律子に誤魔化しは効かないようだ。

確かに数ヶ月前レンは、
マイナスエネルギーの塊である隕石の欠片を、
やむなく胸に受けてしまった事件に遭遇していた。
あの特殊な隕石は、どんな微細な破片であっても毒々しい磁場を持ち、
超人的能力者のレンにとって、唯一の弱点だった。

「それにしても、呆れた。
普通、自分のエネルギー体に穴を開けたままで、
平気で生活していられると思う?
今まで時々、強いめまいとか、胸の痛みがあったはずだけど」
「さあ……気づきませんでした」

レンは、ややかすれ気味の声で、まるで他人事のように答えた。
すると律子が見透かし気味に、あらそうと微笑んで、
サラリと命令する。

「とにかく、大穴が開いている事実が私にバレたんだから、
いいかげん観念して、一週間に一度は私のクリニックへ来ること。
いいわね。レン?」
「一週間に一度?」
「あら、不服そうね。
本当はメディカルセンターに2ヶ月くらいは縛り付けたいくらいなのよ。
嫌なら、桃子さんにこの事実を教えて、
私の元へ通うように、あなたを説得して貰った方が良いかしら?」
「……今度は脅迫ですか」

レンは不機嫌そうに言い、立ち上がろうとしたが、
まだ心臓辺りに圧迫を感じ、
諦めて長椅子に深く寄りかかって目を閉じた。
この時がチャンスとばかり、律子が声を柔らかく落とし、
諭すように言う。

「ねえ、レン。
あなたは優れた身体能力の持ち主だけど、
自分を粗末に扱い過ぎよ。
もう、あなた1人の体じゃないって事を自覚しないとね」
「……」

その意味がすぐには理解できずに黙っていると、
律子が鈍感ねとため息をついて腕を組む。

「あなたには桃子さんがいるじゃないの。
ちょっと地球的表現だけど、
桃子さんの為に、もう少し自分を大切にしなきゃ」

しばらくして、レンは重たげに瞼を開けた。
あぶり出された負のエネルギーの名残か、
青灰色の瞳に一瞬、赤い光がよぎって消えた。

「……僕のことは、彼女に、何の関係もない」


〜第276回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-08-15 16:52

第274回接近遭遇「苦手なヒーリングタイム」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「急用ですか。キャプテン」

森田遊太郎、いや、いま素顔に戻っているレンは、
中枢コントロールセンターへ入室した。

ここは月の裏側に浮遊する銀河連盟ステーション。
センターの流線型デスクで上司ロータスは、
「やあ、レン」
と、いつものように穏やかに彼を迎えた。
ロータスのそばには、
真っ赤な服に身を包んだ美女もいて、
呼ばれた理由を察知したレンは、形の良い眉をわずかに潜める。

「あら、露骨に嫌そうな顔をするもんじゃないわ。レン」
美女は冗談半分に肩をすくませた。
彼女の通り名は天野律子。
天才ヒーラーであるが、地上では女医の顔を持ち、
派遣調査員の健康管理を一任されている。
ハリウッド系美女の外見にそぐわずオープンでサッパリした性格だ。

ロータスが苦笑いを作り、自分の部下へ説明した。
「察しの通り、君を強引に呼んだのは、
ヒーリングをしっかりと受けてもらう為だ」
「ヒーリング」
「ああ。派遣調査員メンバーは全員、
少なくとも2週間に一度、
Dr.律子の地上クリニックへ顔を出すという規則がある。
それをきれいに無視して、サボっているのは君ぐらいだからね」
「……」

その通りなので、口ごたえはしなかった。
レンの頬にかかる長めの前髪が、うまく表情を隠してはいるが、
あまり気が進まない雰囲気なのはロータスにはバレている。

「調査員は多忙で時間的余裕はない。面倒なのはよくわかるが」
と、ロータスがフォローをしかけると、Dr.律子がピシャリと言った。
「若い男って、ホント、面倒くさがりなんだから。
でも、それは職務怠慢。
今日こそは逃さないから覚悟なさい。レン」

ようやく捕まえた不良生徒を前に勝ち誇った担任教師のように、
Dr.律子が得意げに微笑み、
ロータスは、観念しろと彼に片目を瞑って見せた。

レンにとってみれば、
定期的に皆が受診するヒーリングなど正直なところ面倒で、
地球人的表現を使えば、「ウザい」ものだった。
もちろん、環境が劣悪な地球に身を置く以上、
クリーンな状態へ波動調整をしなければならないし、
汚染に伴う原始的なウィルスや、
人々の吐き出すマイナス想念もバカには出来ない事も承知している。
しかし孤独に慣れた彼には、
他人にあれこれ心配されたりする事が苦手だった。


「聞いてるの?レン」
ふと気づくと、Dr.律子が美しい眉を釣り上げていた。
メディカルセンターへ渋々連れて行かれたレンは、
ヒーリングポッドで横になり、トータル的な波動測定をされたのち、
別室のカウンセリングルームへ呼び出され、
精査された数値に対する指示を仰いでいた。

「思った通り、全身あちこち、環境汚染による波動の乱れがあるわ。
ちゃんと除去しておいたけど、
ヒーリングを怠けると、そのうち痛い目にあうわよ。わかってる?」
まるで授業をサボる常習犯に向かって、
教師が説教をするかのように、
手元のモニターを磨かれた美しい指でトントンと叩く。
レンは興味なさそうに眺めるだけだ。
ヒーリングなど早く終わらせて、
サイキックジムで射撃訓練をしたかった。
そんな彼へ、女医がいつになく厳しい顔を向ける。

「ちょっと、いい?」
「え?」
「手荒だけど我慢して」

そう断るなり、Dr.律子の魔法の手が、彼の胸にかざされた。
その瞬間、紫色の光がレンの胸を貫き、彼は低く呻いた。

「……っ!」

紫色の放射線によって、レンの胸から飛び出したホログラムは、
禍々しく穿った暗黒の穴だった。


〜第275回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-08-12 11:53

第273回接近遭遇「宇宙人とのラブラブは障害だらけ」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「桃子さん。レン王子様を好きなら、彼を手放してくださいません?」

花嫁候補だという宇宙人美女エリカのセリフに、
桃子は一瞬固まってしまった。
しかしこんなところで黙ってしまう性格ではないので、
ハッキリ言い返した。

「あのさ、手放すってなに?
遊太郎はあんたの所有物じゃないでしょ?」
「はい?」

桃子のような人種に慣れていないお嬢様が一瞬ひるむ。
かまうもんか。
いかにも相手は上品な風情だが、失礼にもほどがある。
売られたケンカは買ってやらなければ。

「エリカさんとやら。花嫁候補が何サマか知らないけど、
あたしを品定めする為に上がり込むなんて超失礼じゃん。
それにさ、遊太郎がソリュート星に帰らないで、
派遣調査員の仕事を続けてるのだって、本人の意志でしょう。
あたしが束縛してるわけじゃない。
あいつはね、どんなにきつくたって、地球にいたいから居るんだよ。
そんな相手の気持ちもわからないで、花嫁候補なの?
さあ。あたしが、どんなひどい女かわかったんなら、
さっさと自分の星に帰れば?」

お帰りはあっちと、玄関の方を指差すと、
エリカは信じられないといった半泣きの顔で飛び出した。
驚いてあとを追おうとした兄のサーフィスだが、
クルリと桃子に向き直ってこう言った。

「ボクの可愛い大切な妹を泣かせたね」
「謝らないわよ、あたし」
「だろうね」
「え?」

てっきり、彼独特の嫌みを言われるかと思い込んでいた桃子は、
サーフィスがニヤリと笑うのを見て調子が狂った。
彼は腕組みをして得意げに説明する。


「実はね。君たちの関係がなかなかラブラブにならないから、
ちょっとイタズラしたかったんだよ」
「ラブラブって」

よくそんな日本語を知っているものだ。
呆れ半分に感心していると、彼がふっと真顔でささやいた。
「妹には悪いけど、花嫁候補が何人いても、
桃子さんは折れないのはわかっていたしね。
でも、勝負はこれからだから。覚悟しておいたほうがいいよ」
「勝負?」
「君たちのラブラブは、まだまだ障害だらけだってことさ。
では、地球のレディ。ごきげんよう」

サーフィスはウィンクを返して、
ヒラヒラと手を振りながら帰ってしまった。
何しに来たんだ?あのセレブ宇宙人。
いつも他人の都合などお構いなしに訪問するので、
桃子はぶつぶつ文句をこぼしながら、
飲まれなかった紅茶のカップを片付け始めた。

はあ、とため息をついて昼前なのに缶ビールを開ける。
ソファにどっかり座り込むと、なんとなく落ち着いて来た。

きっとサーフィスは遊太郎の自称親友だから、
彼なりに心配はしてるのだろう。
遊太郎が、地球人のフリをして生活する様子に心配し、
ややこしい事情がたくさんあるらしい遊太郎の母星のことや、
いっこうに進展しない遊太郎と桃子の関係も、
多少じれったいと考えているのかもしれない。

「ラブラブか」

彼らが訪問する前まで、
遊太郎に結婚しようとプロポーズしてみたらどうだろう?と、
珍しく浮ついた気分を楽しんでいたのに、見事にふっ飛んでしまった。

サーフィスが釘を差したように、
自分たちの間には障害というより、
普通のカップルでは考えなくても良いハードルがあると思う。

地球人の桃子が愛する彼は、宇宙人のレンだから。

もちろん、イトコの森田遊太郎のDNAをコピーして、
戸籍上も地球人だから、表向きな結婚には問題ない。
両親も最初はイトコ同士だからと反対したが、
いまは応援してくれて、どちらかというと桃子より、その気である。

しかし、遊太郎は前にこう言った。

「僕は誰とも、そうはなりません」

つまり、結婚とか深く誰かと交流することを、
出来るだけ避けたいスタンスでいるらしい。
桃子は携帯電話を取り出し、
メールも寄越さない遊太郎のアドレスをむっつりといつまでも眺めていた。


〜第274回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-08-08 12:48

第272回接近遭遇「ライバルとのベタな展開」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜
★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

マンションに訪れた外国人風美女は、
眩しい金色の長い髪、ガラス玉のようなグリーンアイの若い女だった。

「やあ、桃子さん。彼女はエリカ。ボクの自慢の妹さ」

勝手にリビングに上がりこんだサーフィスが、
美女の傍らで得意げに紹介するので、
紅茶を淹れながら、桃子はああと納得した。
確かに彼女はどことなく雰囲気が似ていて、
2人が座っているだけで、場違いな華やかさが演出される。

「遊太郎なら、残念ながら仕事でいないけど?」
つい仏頂面を向けてしまうと、エリカが桃子に微笑んだ。
いかにも愛想笑いといった感じで。

「わたくし、ずっと桃子さんに会いたくて、
無理を言って兄に連れて来てもらったんですわ」
お嬢様は、なかなか流暢な日本語を操った。
「あたしに会いたかった?」
なんとなく嫌な予感はしたものの、深刻ぶるのは避けたいので、
桃子はことさらトボケたように訊いた。
すると、人形のように取り澄ましたエリカは、
桃子を上から下までじっくりと観察し、安心したかのようにつぶやいた。

「良かった」
「何が?」
「レン王子様がなかなか地球から帰らないので、
同居なさっている桃子さんという方が、
どんなに素敵な女性なのだろうと胸がつぶれそうに悩んだんです。
でも、あなたをひと目見て、すごく安心しました」

それはどういう意味だ?
口をパクパクさせていると、セレブな兄はこう言った。

「エリカはね、レンの花嫁候補の1人なんだよ」
「えっ?」

遊太郎の花嫁候補?
桃子の苦いものを呑み込んだような表情を見て、
サーフィスは妙なフォローをした。
「大丈夫だよ。地球の日本と違ってわがソリュート星は、
望むだけ花嫁を迎えることが出来る。
だから、桃子さんが対象にならないとは限らない。
まあ、周りが認めたらの話だけどね」
「はあ?」
桃子はサーフィスを恐ろしい目で睨みつけたが、
空気を読まない彼は気にする風でもなく、エリカに優しく言った。

「さあ、これで気は済んだだろう?
レンは、可愛いエリカだけを愛するようになる。
何も心配しなくて良いんだよ」
「ええ。お兄様。わたくしも自信を取り戻しました。
レン王子様は、地球人女性が単に珍しいだけなのかもしれないと」
「ははは。確かに桃子さんは飽きないからね」

……ちょっと待て。
桃子は紅茶のポットを2人にぶちまけたかったが、
地球人は乱暴だと思われたくなかったので、
歯を噛みしめて低い声で話した。

「前から花嫁候補なんて制度があるって聞いてたから、
別にいまさら驚かないけど。
本人の遊太郎がその気がなきゃ、
何人の花嫁候補がいようが関係ないんじゃない?
母星なんかに帰らないって言ってたし」

一瞬しんとした。
人形じみたエリカの表情がわずかに固くなったが、
サーフィスが人差し指を振って冗談を言うように否定した。

「いや。レンは、きっとソリュート星に帰る。
派遣調査員なんて地味で苦労ばかりの仕事に、
疲れ果ててるからね」
「疲れ果ててる?」
「ずいぶんムリをしているじゃないか。
これほど汚れた惑星だ。
ボクたちが旅行に来るのも危険なのに、
地球人の肉体を纏い、生活するなんて拷問以外の何ものでもないさ。
なのに、君はそばにレンを置いて、わがまま放題して来た。
彼を束縛してるようなもんだよね?」
「束縛……」

すぐに言い返す言葉が見からなかった。
確かに遊太郎は、故郷と環境の違い過ぎる地球で、
ろくに休まずに不法侵入者を取り締まってる。
さらに、桃子が怒っても文句ひとつ言わず、
黙々と家事もこなしているし、
地球人サラリーマンとしての仕事も力を抜かないのだ。
疲れないはずはない。
縛りつけていると言われたら、胸が痛む。

黙ってしまった桃子へ、エリカが慈悲深く微笑んだ。
「桃子さん、レン王子様を好きなら、彼を手放してくださいません?」


〜第273回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-08-03 22:15