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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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<   2010年 05月 ( 5 )   > この月の画像一覧

263回接近遭遇「自分の居場所」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

遊太郎がマンションに帰宅すると、ちょうど桃子と一緒になった。
彼女も女友達と飲んでいたらしく、顔がぽってりと赤い。
さらに飲み足りないのか、
缶ビールを入れたコンビニのビニール袋をぶらぶら下げてゴキゲンだった。

「そっか。遊太郎も薬師丸くんの送別会で飲み会だったっけ。
どう?盛り上がった?」
「途中までは盛り上がったんですが……」

リビングで上着を脱ぎながら、
遊太郎は高山たちが酔った勢いで他の客とケンカをした一件だけを話した。
明日会社に出勤すればわかることだから、隠すこともない。
桃子はへえっと呆れた顔で話を聞きながら缶ビールを開ける。

「つくづく、トラブルメーカーだよね。高山係長。
それで、薬師丸くんは大丈夫だった?ケガとか」
「はい」

酔っ払いの乱闘よりも、問題はそのあとだ。
街に潜んでいた侵入者を引き寄せてしまったようで、
もちろん一応確保することは出来たものの、
薬師丸と気まずい別れ方をしてしまったのだ。


(あなたが、特別過ぎるんです)

薬師丸が投げた言葉が胸に痛い。
己が並外れた特殊能力者であるために、
他人に拒絶反応を示されることは、慣れてはいたのだが……


「遊太郎?なんか元気ないじゃん」

考えごとをしている彼へ、桃子が隣に座れと命令した。
遊太郎は微笑を返して、言われた通りに座った。

「なに飲む?遊太郎」
「少しだけ、僕もいただきます」
「え?あんた、アルコール、だめじゃん。
珍しー。飲み過ぎたら、元に戻っちゃうよ?」
「誰も見てません。桃子さん以外は」
「そりゃまあそうだ」
「それに、ちょっと今夜は飲みたい気分なんです」
「ふうん」

桃子は軽く頷いただけで理由を訊かなかった。
それが遊太郎にはありがたい。
彼女はナッツを口に入れたまま、
キッチンから新しいコップを持って来た。
遊太郎にそれを持たせて、並々と冷えたビールを注ぐ。

「ようし、今夜は飲み明かそう!」
「明かすんですか?」
「そ。ハメを外すのもたまにはいいじゃん。
あたしもさ、実をいえば飲み足りなかったんだ」

友達と飲んで来たのだが、あまり楽しくなかったようだ。
口を尖らせながら、彼女はポロポロと愚痴った。

「恋バナはキライじゃないんだけどさ、
長々と彼氏とのケンカや別れ話の顛末とか聞かされてもねえ。
あんたらのアタマん中、そんなのばっかりで埋め尽くされてんのか?
って、ウンザリする。
やりたいこととか、夢とかないのかな」

遊太郎は少しずつビールを飲みながら質問した。
「桃子さんの夢は、何ですか」
「へ?あたしの夢?」
目を大きく見開く。
「はい。良かったら教えて下さい」
「へへへ。そうねえ」

桃子は酔いが回って来たせいか、桜色の頬を彼に近づけた。
トロンとした瞳に、遊太郎の胸は少しドキドキしたが、
彼女はにっこりして唇を開く。

「あたしの夢は、高原のおっきな家に、大好きな人と住むことかなあ?」
「……」

桃子は自分の頭をちょこんと遊太郎の肩に乗せた。
そのまま気持ち良さそうに寝てしまう。

「桃子さん?」
囁いてみるが、桃子は彼に身を預けたまま、
本当に心地よい夢を見始めたようだった。

彼女の寝息、温かさがすぐそばにある。
いつしか遊太郎は、素顔のレンに戻り、
彼女を優しく抱きしめていた。

大好きな人。
桃子のいうその男とは、自分のことなのだろうか。
だとしたら、嬉しさと同じほどに苦しくもなる。
自分は地球人ではない。
しかも、あまりにも多くの業を背負った男なのだ。
彼女の夢を叶えてはあげられない。


朝が永遠に来なければいいのに。
レンは桃子の寝顔を見つめ、そっと唇を重ねた。


〜第264回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-05-30 13:00

第262回接近遭遇「特別な人間」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「そのまま。動かないで。薬師丸さん」

銀髪の若い男が、背後で絶句する薬師丸に指示した。
振り上げられた侵入者の鎌首のような腕を、
瞬時に掴んだ彼が、森田遊太郎の本来の姿、
レン・ソリュートだと気づくのに時間がかかった。

ノラ猫さえ近寄らない廃屋の倉庫内部。
異形の侵入者たちの、無差別的な攻撃を、
レンはまるで翻弄するようにかわし、疲れさせたところへ、

「もう終わりか?」

と、返礼にしては冴えた手刀で、確実に1人ずつ地に沈めてゆく。

……あれは、誰なんだ。
薬師丸は呆けに取られた表情で、ただ信じられない場面を見ていた。
本当にあの男が、数日間行動を共にして来た、
頼りない遊太郎なのだろうか。
上役や先輩社員に都合良く使われているサラリーマンではない。
姿かたちや声だけではなく、纏っている雰囲気も、
ケンカ慣れしたように容赦ない動きすら、別人過ぎる。

最後に残った2人を、同時にあっさり床へ叩きつけたあと、
レンは、虫の息のエイリアンの1人へ向かって尋問した。

「おい」
「……」
「まだ寝るな」
「……あ、あ?」
「地球へは何の目的で侵入していた?」
「面白いから、だ」
「面白い?」
「見栄をはった、地球人ども。
何の力も、ないくせに……」
「それで?」
「弱いくせに、ちょっと威嚇すりゃ、逃げ回る。
その、情けない風体が面白い。だから、この惑星に来たのに」

どうやら、夜の街に潜んで、地球人を脅していたようだ。
潜在的にはまだ散在しているはずで、パトロールを強化する必要があるだろう。
しばらく間をおいて、レンは最後の一撃を喰らわせ、
クールな捨てセリフを吐いた。

「悪趣味だな」



倉庫内部へ、
銀河連盟パトロールが現れて撤収されるまで、
薬師丸は全く動けなかった。
筋肉が縮み上がったようになっている。
凶暴な侵入者の攻撃のせいばかりではない、
もっと彼を驚愕させたのはレンだった。
自分も同じ派遣調査員だ。
その、多少腕に覚えがあるはすの薬師丸さえ、硬直してしまうほどに、
レンのケタ違いのレベルにショックを感じてしまったのだ。


「大丈夫ですか?」

ふと気づくと、傍らに心配そうに立っているのは、
遊太郎、その人だった。
いつの間にか、姿が戻っている。
いや、戻ったというより派遣調査員としての特別任務以外は、
地球人の肉体に切り替えているのだが。
いまさっきの光景が夢か幻に思えた。

「黙って店を出たので、高山係長は今頃怒ってるでしょうね。
でも、薬師丸さんは気にしないでいいですよ」

「……気に、します」
カラカラに乾いた声が、薬師丸の口からもれた。
「え?」
「研修を終えても、派遣調査員として、やっていけるか、
わからなくなりました」
「薬師丸さん……」
覗き込む遊太郎へ薬師丸が言った。

「あなたが、特別過ぎるんです」

その言葉に遊太郎は言葉に詰まって、彼を見た。
すっかり自信喪失をした薬師丸は、
遊太郎と視線を合わさず、失礼しますと頭を下げて倉庫から出て行った。


あなたは、特別過ぎるんです。

言われた言葉を脳裏で反芻する。
遊太郎は、ため息を吐いた。
そう思われてしまうのには慣れてはいた。
慣れてはいても、寂しさを感じさせる言葉だった。


〜第263回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-05-23 12:39

第261回接近遭遇「侵入者現る!」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜
★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

薬師丸の内に怒りの火がついた。
酔った勢いで、中年男と殴り合いをしている高山の背中へ、
サイキック能力を発動したのだ。

「いけない……!」

すぐに遊太郎は不可視のバリアを放った。
赤い火花が一瞬散って消える。
空気魂を受けたように、
高山と中年男は格好悪く床に折り重なった。

「ああ?なんだよ、痛えじゃねえか!」
下敷きになった高山が毒づき、中年男も赤ら顔で起き上がる。
遊太郎は、高山が無事なのをさりげなく確認して安堵したが、
店長が駆けつけて来て店の惨状に目を剥いた。

「お客さん。なんてことしてくれたんですか。
これ、弁証してもらいますよ?」
屈強そうな店長の威圧感に、
高山たちは苦虫を噛み潰して頭をかくしかなかった。
床に座り込んでいた薬師丸だけが、茫然と目を泳がせる。

(……力を放ったのに、また森田さんにリセットされた?)


高山たちがケンカの連帯責任を問われている隙に、
遊太郎は、薬師丸をそっと外へと連れ出した。
暗い路地裏を抜け、人気のない方へ黙々と歩き続ける遊太郎へ、
薬師丸は怪訝そうに声をかけた。

「あ、あの、森田さん?」
「振り向かないように歩いて下さい」
「?」

寂しい街外れに来て、ようやく薬師丸は気づいた。
不穏な気配が周囲を取り巻き始めたことに。
廃屋となった倉庫辺りまで辿り着いた時、
遊太郎は、ゆっくり頭を巡らせた。

「薬師丸さん」
「はい」
「さっき、力を使ったでしょう」
「ああ、すみません。つい、カッとなって……」
「あれは、空間に振動を起こすので、
地球外生物が引き寄せられることがあるんです」
「地球外生物……、それは侵入者のことですね?」

それを聞いた薬師丸は急に興奮した。
エキサイティングな事件が起きず、思えば退屈な研修だった。
しかし、その最終日に、派遣調査員らしい仕事が出来るかもしれない。

「森田さん、侵入者確保は僕に任せて下さい」
「でも、薬師丸さん、油断をしては……」
「何を言ってるんですか。
地球では初めてですが他の惑星じゃあ、けっこう経験してますから。
森田さんは後ろで見物していて下さい」

薬師丸は、名誉挽回だと言わんばかりに両手を揉む真似をし、
先刻のように熱いエネルギーを内に蓄え、
自信満々に遊太郎の前に立った。

しかし、ざわり、と濃密な気配が辺りを塗り替えた。
廃屋に集まったのはなんと1人ではなかったのだ。
猪首のような頭の異星人が数人。
茶色く焦げたような体を薄汚れた服が包んでいるが、
濁った黄色の、感情のない目が横に切り裂かれ、
2人を品定めをするように近づき始めた。

「派遣調査員か」
ざらざらした声た。
「目障り。つぶす」
「つぶす。同意」
「同意」
「同意」

その時、
くの字に曲がった腕が、しゅうっと煙を発し、
予告もなく薬師丸へ伸びて来た。
「わっ!」
攻撃が見えず、かわした薬師丸のネクタイが切れて落ちた。
急に心臓がばくばくと波打つ。
奴らの泥臭い姿とは裏腹に、俊敏な腕を持っていた。
立て続けに釜のような腕が容赦なく襲って来るために、
薬師丸はサイキックパワーを使うタイミングを失い、
次第に焦りと不安を覚えた。

背後の遊太郎は、普段からぼんやりしているし、
頼りにならないと勝手に決めつける。
かといって、このままでは2人とも殺られてしまう。
再び鎌首が薬師丸めがけて振り下ろされた。
もう、ダメだ。そう思った瞬間、その鎌首のような腕が、
彼の頭上で制止している光景が目に飛び込んで来た。

「?」

いつの間にか、誰かが薬師丸の前に立っていた。
侵入者の鋭い腕を掴み、動きを封じている。
長身痩躯の男の銀髪がわずかに揺れて、
低い、しかし良く通る声が空間に響いた。

「そのまま……。動かないで。薬師丸さん」


〜第262回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-05-16 11:28

第260回接近遭遇「乱闘事件発生!」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

翌日。
薬師丸達也は研修最終日を迎えた。
結局、日常的な地球人の生活様式はわかったものの、
期待するようなエキサイティングな事件もなく、
営業担当の男性社員だけで飲み会へと流れ込むことになった。

「で、研修が終わったら、どこの勤務地になるんだ?薬師丸」
広い洋風居酒屋で、ほろ酔い気分の高山がワイン片手に訊いた。
すると、遊太郎の隣で大人しく飲んでいた薬師丸は、
少し考えたあと答えた。

「まだ決まってません」
「まだかよ?」
「研修の評価が終わってから配属先が決まるようです」

薬師丸は、表向き保険会社の営業研修生だが、
実際は遊太郎と同じく地球に派遣された銀河連盟調査員である。
どのエリアへ派遣されるかはまだ未定というわけだった。

「お前、生意気だけどよ、
営業面じゃ、わりあい評価は高いはずだぜ。
森田に比べりゃな」
高山がニヤニヤして意地悪なことをつぶやき、
皆の失笑を買った。
「1年たつのに、パッとしねえもんな。コイツ。
デカい契約ひとつも取ってくりゃ、オレだって営業指導の甲斐があるのによ」

聞かされている遊太郎はすみませんとはにかんだように笑い、
他の先輩社員たちが、そうだそうだと同意する光景に、
薬師丸には情けなく思ってトイレを理由に席を立った。

様々な人間たちが群れる広い店内は騒がしく、
タバコや酒の匂いが鼻につく。
出来るだけ早く外の空気を吸いたい。
そう思って急ぎ足になった為に、誰か他の客とぶつかってしまった。
その拍子に、その客が手にしていたワインが服を汚し、
怒声が店内に響き渡る。

「どうしてくれんだよ?買ったばかりの服だぜ」
中年男性だが、目つきが禍々しい。
連れの男たちも一緒になって避難する。
「あ、ホントだ。ひでえシミ」
「いくらすると思ってんだ?このブランド」

面倒なことになりそうだったので、薬師丸はすぐに謝り、
「クリーニング代を出させて頂きます。本当に申し訳ありません」
と、上着の内ポケットから財布を出した。
すると、シミをつけられた中年男が財布をはたき落とす。

「クリーニング代で済むか。オーダーメイドの服なんだぞ。30万だ」
「30万?」

薬師丸が驚いていると、面白そうに見物に来た高山が、
部下の不始末を詫びるどころか、余計な言葉を吐いた。

「何だよ。30万するブランドか?オレのより安物じゃねえか。
ぼったくりかよ。しけたオッサンが」
「なんだと、コラぁ!」

カッとした中年男が高山をいきなり殴りつけた。
とたんに周りのテーブルに盛られた料理が皿ごとぶちまけられ、
ビールやワインのガラス瓶が割れ狂う音がした。

「高山係長!」
遊太郎が現場にやって来た時には、高山が相手を殴り返したあとで、
薬師丸も、加勢した他の男たちに殴られている最中だった。
店のスタッフが慌てふためき、止めに入ろうとするが、
酔った男たちはパワフルで、引くことを知らなかった。

なんとか止めないと警察沙汰になる。
しかし目立った行動は控えなければならない。
仕方なく、遊太郎はスタッフと一緒に止めに入るしかなった。

「駄目ですよ。高山係長。ここは引き下がって謝ってください」
「るせえ。てめえもボコボコにされたいか?森田」

血の気が多い高山は日頃の鬱憤を晴らすかのように叫び、
中年男と殴り合いながら、薬師丸にも毒づいた。

「お前もな、薬師丸。やられたらやり返せねえか!
オレに意見するくらい勢いがあるくせに、口先だけかよ」
「!」
男たちに殴られ、床にたたきつけられていた薬師丸が、
それを聞いて口を悔しげに歪ませた。
なおも高山の挑発は続く。

「お前も森田みたいに情けない男になっちまうぜ?」

薬師丸の目に火がついた。
いけない、と思った遊太郎の前で、薬師丸の力が発動した。


〜第261回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-05-09 15:44

第259回接近遭遇「セレブな花嫁候補!」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

上司ロータスのコールサインを受けて、
森田遊太郎から本来の姿であるレンへ戻った彼は、
月の裏側に浮遊する銀河連盟ステーションへ、
瞬間的に転送を果たした。
コントロールセンターの流線型デスクから、
悪戯っぽく片目を瞑って見せる。

「やあ、レン。旅行者がゲストルームで待っている。
すぐに行きたまえ。かなり美人だったぞ」
「女性の旅行者、ですか?」
「君の花嫁候補者の1人のようだがね」
「……」

花嫁候補。
レンの母星、ソリュート星団の王族には、
複数の花嫁候補者が生まれながらに決まっているのだ。
もちろん恋愛や結婚は本人の自由だが、複数の花嫁を持つ事が可能なため、
生涯を通じて候補者たちのアプローチは止むことはない。
レンの迷惑そうな表情を面白がる上司を後目に、
彼はゲストルームに入室した。

月に浮遊するステーションの中とは思えないほど、
ゲストルームは花々に囲まれ、噴水さえ設置された広大な部屋である。
数人のボディガードを奥に従えた1人の女性が椅子から立ち上がり、
噴水の前に立つレンへ近づいた。

「レン・ソリュート王子様。エリカ・ロードと申します。
お目にかかれて光栄ですわ」

彼女はうやうやしく微笑した。
見事なプロポーショナンを意識してか、
光を放つ透けるような柔らかい衣服に身を包んでいる。
金色の巻き毛にグリーンアイ。
明るく華やかな顔立ちは誰かに似ている。まさか……?

「あなたはサーフィスの?」
「ええ。妹です」
「妹」
「兄の話題はいつもレン王子様のことばかり。
私は、ずっとあなたを遠目には見ていて……
でも、このように近くでお会いするのは初めてです」

エリカは感動を抑え切れないように、
彼を熱い眼差しで見つめ、両手を合わせた。
「レン王子様。噂以上に、これほどお美しい方とは……!
花嫁候補に選ばれるなんて、胸がつぶれそうなほど光栄ですわ」

頬をバラ色に染めるエリカとは逆に、レンは多少うんざりしてしまった。
元々、あまり婚姻問題には触れたくなかったが、
まさか候補の1人が、友人サーフィス・ロードの妹とは。
顔立ちもそうだが、性格も兄のサーフィスに少し似て、
一方的に盛り上がっているのも困った。

「兄が度々地球へ旅行しているらしいのに、
花嫁候補者の私がレン王子様に会えないのは不公平ですし、
ようやくムリを言って参りましたの。
お仕事の邪魔にならぬように致しますから、
滞在中だけでも、こうして時々は会って下さいますよね?」

グリーンの瞳を潤ませ、形の良い胸を意識して近づいて来るエリカに、
レンは制止をかけるように少し低い声のトーンで言った。

「僕は数年前ソリュート星を捨てている。
もう王子ではありません」
「……でも」
「あなたのご期待には添えられない。ソリュート星へ帰られた方がいい」

きっぱり言ってレンはエリカから離れて歩き去ろうとした。
すると、彼女がその背へ向かって声を放った。

「地球で好きな方がいらっしゃるそうですね?」
「……」
「私、あきらめません。
あなたはきっとソリュート星団へお戻りになりますもの」

それには答えず、レンはゲストルームを出た。


コントロールセンターへ戻った彼を、ロータスが苦笑いをして迎えた。
「疲れたかね。レン?」
やっぱり面白がっているようだ。
彼は無愛想に答えた。
「サイキックジムで少し汗を流して来ます」
「侵入者退治は平気なくせに、こういうケースは苦手なようだな?」
「からかわないでください」
「いや。桃子くんが知ったら、もめそうだと思ってね」
「……」

桃子は既に花嫁候補の存在を知っていた。
ただでさえ機嫌が悪い桃子のところへ、
エリカが地上に降りて、桃子に接近したら、それはまた厄介なことになる。
レンはサーフィスに連絡を取ろうと決めた。


〜第260回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-05-02 13:27