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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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<   2010年 03月 ( 7 )   > この月の画像一覧

第254回接近遭遇「地球人と同居なんてありえない」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

新人研修3日目。
営業一課の歓迎会の翌日、
薬師丸達也は、再び役員室の神崎部長を尋ねた。
神崎は相変わらず温厚な雰囲気で彼を迎える。

「営業担当見習いとして、なかなか優秀とは聞いているが。薬師丸君?」
「ありがとうございます。あの、それよりお聞きしたい事が……」
「なにかね?」

何となく分かっているよと言わんばかりに笑いを含む神崎に、
薬師丸は咳払いをひとつしてから思い切って質問をした。

「森田さんは、同じ課の五十嵐桃子さんと同居されているとか」
「戸籍上はイトコだからな。五十嵐君がお姉さん代わりだ」
「いえ、そういう表向きな事ではなくて……」

ごくんと息を呑みこみ、多少声のトーンを落とす。
誰もいない人事部内の役員室。
秘書は分厚いドアの向こうだが、
内密な話をする為に周囲に気を配らなければならない。

「僕は、地球は初めてではありますが、
他の外惑星で、多少なりとも派遣調査の経験はあります」
「そうだったね」
「でも、調査員は極秘任務ですから、
滞在中は当然1人で暮らしていました。その方が都合が良いので」
「地球でも、他のメンバーはそうしている」
「は?と、いうことは、森田さんだけ……?」

薬師丸は高くなる声を慌てて下げて、眉をしかめた。
いま実地研修のガイド的役割をしている森田遊太郎は、
派遣調査員なのに、地球人女性と同居しているのだ。
しかも、昨夜の飲み会で知ったことだが、
その同居人の五十嵐桃子も、遊太郎が異星人だと承知して、
ごく普通に、いや、ある意味それ以上に接している。
……ありえない。

「極めて珍しいケースだろう?薬師丸君」
神崎は、薬師丸の戸惑いをものともせずに答えた。
彼の反応を少し楽しんでいるようにも見え、
薬師丸は怪訝な表情で上司を見つめた。

「神崎部長。僕をからかってらっしゃるんですか?」
「いや。事実を話したまでだ。
実験的に地球人と同居させてるケースは森田君が初めてで、
この1年、我々は今まで以上に地球人の実態を知り、
今後の調査に役立てている」
「しかし、2人は男と女。何かあったらとは考えないのですか?」

この真面目過ぎる問に、神崎は声を立てて笑った。
薬師丸は焦ってドアの向こうへ視線を走らせるが、
誰も入って来る気配はない。
しばらくのち、神崎は口を開いた。

「派遣調査員は、別に恋愛を禁止しているわけでもない。
同居などしていなくても、長く滞在中の調査員の中には、
地球人と結婚した者もいるからね」
「はあ」
「全ては学びだよ。薬師丸君。
任務に支障さえ出なければ、
また、相手の地球人が全てを承知すれば、恋愛も結婚も自由。
しかし、あのカタブツではなかなか、進展しなくてねえ」
「カタブツ?」
「森田君だよ」

薬師丸は脱力するかのように肩を落とした。
全くありえない。
外惑星の派遣調査は、もっと調査員の生活には厳しかった。
それとも、派遣される星によってルールが異なるのだろうか?

「僕は真面目な気持ちで地球へ研修に来たんです。
森田さんがまるっきり地球人になりきり過ぎて、
全然、調査員らしく仕事を教えようとしないのも、
いまの部長のお話から分かったような気がします。
……失礼しました」

それだけ言って、薬師丸は役員室を退室した。
神崎は顎に手を当てながら、
生真面目な新人を、目を細めて見送った。
調査員にも個性が色々あるな、と今更思う。
遊太郎のようにストイックな男もいれば、
四角四面で正義感が強い薬師丸のような男もいる。
かつてアメリカ支部より研修に来たベテランのカールという調査員は、
真逆にプレイボーイを自認していた。

全ては学びだ。
神崎は、ほおっとひと息ついてニヤリとした。
残りの研修期間、何が起こるのか楽しみだった。


〜第255回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-03-24 23:43

第253回接近遭遇「桃子に接近」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

研修2日目も、薬師丸達也の期待ハズレに終わり、
営業一課の飲み会に否応なく参加させられ、
またしても遊太郎が係長の高山や先輩営業社員たちに、
良いようにイジられているのをただ見せられ、
心底ウンザリしてしまっていた。

「薬師丸君、楽しんでる?」
洋風居酒屋の席で、薬師丸に近づいて来たのは宮本清美である。
グロスたっぷりな唇に笑みを浮かべて、ワインを継ごうとするのを、
桃子がやんわりととめた。
「飲み過ぎたらダメだよ。薬師丸君。明日も外回りあるんでしょ?
ほら、清美も。馴れ馴れし過ぎ」
すると、清美が膨れて、桃子に口を尖らせる。
「桃子は森田クンを心配してたらいいじゃん。ジャマしないでよ」
「遊太郎はどうでもいいの。ふん、あんなヤツ」
桃子はビールをあおり、その飲みっぷりに薬師丸はただ呆然としていた。

五十嵐桃子。
確か、森田遊太郎と同居している地球人女性。
詳しいデータはないが、それくらいは把握していて、
薬師丸は桃子に興味を持った。
さりげなく質問をする。

「五十嵐さん、でしたよね?」
「え?ああ、そうよ」
桃子は幹事に向かってビールの追加を言い渡し、
投げやりな雰囲気で薬師丸の質問に答えた。
気の強そうな女性だ。
こんなのと、あののんびりした遊太郎は住んでいるというのか。

「あ、あの。森田さんのこと、伺ってよろしいですか?」
「遊太郎のこと?なんで」
「イトコだとお聞きしていたので。
それに、僕はいま森田さんと外回りさせて頂いてるし」
「ああ、そうだっけ。あの頼りない遊太郎、ちゃんと薬師丸君に教えてる?」
「はい。営業って大変なんですね」
「そう?あいつが出来てんだから、薬師丸君なら大丈夫でしょ」

いや、こんな回答を聞き出したいわけではない。
やがて清美が席を外し、
テーブルには桃子と薬師丸だけになったのを見計らって尋ねる。

「五十嵐さんは、森田さんと、同居されてるんですよね」
「えっ?」
ギョッとする顔をする桃子へ、薬師丸が声を落とす。
「すみません。急に。僕も実は森田さんと同じ派遣調査員なんです。
まだ研修生ですが……」
「や、薬師丸君が?」

桃子の酔いがさあっと冷めたようだ。
辺りを見回し、社員全員が酔っ払ってるのを確認して、
奥の空いているボックスへ薬師丸を連れて行く。

「ちゃんと説明して。どういうこと?」
眉をきつく寄せて詰問しる桃子に、彼は少し堅くなった。
あまり驚かず、堂々と迫るところを見ると、
彼女はこうした対面に慣れているようだ。
薬師丸は簡単に自分のプロフィールを話し、
地球は初めてで、いまは1年先輩の遊太郎のそばについて研修中なのだと説明した。
桃子は、へえと納得して文句を吐いた。

「遊太郎はなあんにも話してくれないから。
ま、普段から仕事の事は話さないし、無口だし。
いつもなんかあったとき初めて驚かされるんだけど」
「森田さんは、一緒に暮らしていても、あんな感じなんですか?
その、地味というか、あまり親しく色々話してはくれないので。
正直、ホントに僕と同じ調査員なのかなと疑問で」
「あー。そうね」

桃子はチラッと、先輩社員にオモチャにされている遊太郎を見て、
深い溜め息を吐き出した。

「知らない。あんなヤツ。
何を考えてるかも、全然わかんないし。
仕事しか頭にないんじゃない?あたしの気持ちなんか、遊太郎は全然……」
「え?」

気持ち?
薬師丸は聞き出したかったが、彼女はぷいと席を立ってしまい、
清美が変わりに擦り寄って来て、残念ながら、
遊太郎のことはそれきりになってしまった。

派遣調査員が現地惑星人と同居している。
極秘で動かなければならない仕事なのに、それだけでも珍しいケースだ。
薬師丸はますます、ワケがわからなくなってしまった。


〜第254回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-03-21 23:05

第252回接近遭遇「期待はずれな研修」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

表向きは営業マンとして、
遊太郎と共に、短い期間だが行動を共にしている研修生、
薬師丸達也は、呼ばれた役員室で神崎部長に質問をしていた。

「あの、森田さんは本当にこの惑星で、調査をされているんでしょうか?
今日1日、森田さんに付いて行きましたが、
この会社の営業活動をされているだけで、
特に不法侵入者のパトロールをしている気配もなく、
どういったら良いのか……
100%地球人になりきっている気がしました」

黙って聞いていた神崎は、ああと温厚そうに微笑んだ。
「森田遊太郎君が、100%地球人に見えたなら、良かった」
「は?良かった、……ですか?」
怪訝な顔を向ける薬師丸に、余裕の動作で神崎はデスクから立ち上がった。

「いいかね?薬師丸君。
我々、派遣調査員は不法侵入者を取り締まる前に、
地球人に溶け込まねばならないのだよ」
「それはわかりますが……」
「うむ。地球人を知るには地球人になりきり、
この惑星の事に慣れなければならない。
進化を見守るために、外側からだけでなく、
内側からのアプローチが一番重要なのだ」
「だからといって、森田さんは、あまりにも会社の仕事に埋没し過ぎて、
僕が見る限りでは、本当に不法侵入者を取り締まる余力さえなさそうに思えましたけれど」

正直な感想だった。
たった1年だけ先輩ともいえる遊太郎は、
営業の外回りについて注意事項は教えてくれたが、
調査員として何をどう実行しているかは、あまり話してはくれない。
観察していても、調査員らしい素振りさえなく、
驚くほど地味で目立たず、のんびりした頼りない若いサラリーマンだ。
つまり、地球人そのものなのである。

「まだ1日目だよ。薬師丸達也君」
神崎は薬師丸の肩をポンと叩いた。
部長も地球人になりきって、彼が期待する解答はくれなかった。

薬師丸は役員室を出て、営業一課へ戻るためにエレベーターに乗った。
はあっと溜め息が出る。
銀河連盟の厳しい訓練を経て、ようやく地球に降り、
対侵入者の実践が出来ると、やる気満々だっただけに、
脱力感がはなはだしい。
ひょっとしたら、この担当エリアは平和過ぎて、
不法侵入者は少ないのかもしれない。
腕にはかなり自信があるのだ。
もっと実践出来るエリアで研修をしたい。
そしてもっとベテランで、もっと活躍をしている調査員をそばに付けて貰い、
技術を身につけ、能力を研鑽し、知識を吸収したいと思った。

営業課のフロアへ戻ると、ある女子社員から話しかけられた。
「薬師丸君」
「はい?」
「明日の夜は、薬師丸君の歓迎会だから、空けといてね」
「歓迎会?」
「営業一課の飲み会よ」

飲み会。
頭の中にあわただしくデータがよぎる。
そうだ。
日本人サラリーマンは理由を付けては飲みたがると聞いた。
あのおっとりした遊太郎も出席するのだろうか。
ふと、遊太郎がいるはずのデスクを見たが、
エリート係長の高山に頭をクシャクシャにされ、
オモチャのようにイジメられていた。

情けない。
あれで、本当に銀河連盟の調査員なのだろうか。
抵抗もせず、地球人にバカにされて続けて平気なのか。
薬師丸は軽い失望と共に、女子社員から貰った歓迎会のチラシに視線を落とした。


〜第253回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-03-17 23:59

第251回接近遭遇「新人派遣調査員の1日目」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

遊太郎は研修生の薬師丸達也を連れて、取引先企業を訪問していた。
応対した総務担当相が、早速クレームをつけて来る。

「森田さん。この間、社員から指摘を受けたんですよ。
契約者の名前が間違ったまま、保険証券が送られて来たそうです。
ほら、濱中っていう漢字。浜になっていて……」
遊太郎は驚いて、頭を下げ、
薬師丸もそれに習って、やや遅れがちに下げた。
「申し訳ありません。それは気づきませんでした」
「よく確認してくれないと。もし間違ったままだと、
保険金支払いが出来なくなるんじゃないかって不安になりますからね」
「本当に申し訳ありません。すぐに訂正をさせて頂きますので」

他にも不備を指摘され、丁寧に詫びる遊太郎の姿を、
薬師丸は内心、怪訝な気持ちで観察していた。
ようやく解放され、次の訪問先へ向かう電車の中で、たまらず問いかける。

「あの、森田さん」
「はい」
「この惑星では、いつもあんな風に謝ってばかりなんですか?」
「いえ。たまには喜ばれることもありますよ」
「例えば?」
「顧客の家族の誕生日をメモしておくと、
ささやかなものを贈って、喜んで頂けたり、
それが解約防止にもつながりますからね」
「はあ」

地味な仕事だなと薬師丸は思った。
しかし、営業という仕事はどうやら小さな事の積み重ねらしい。
それは地球の日本という国に研修派遣される前に、
既にリサーチ済みで覚悟はしていたが。
それにしても、バッタのように地球人に謝り続ける遊太郎に、
ますます拍子抜けをした事は確かだった。

噂では、
遊太郎はまだ1年しか地球に滞在していないにも関わらず、
ベテランをしのぐ侵入者検挙率の高さを保持しているらしい。
しかし、単なる誇張された話かもしれない。
薬師丸には、遊太郎は地味で不器用そうなサラリーマンにしか見えないからだ。
しかも、走ったら小学生より遅いのではないかと思われるほど、動作が緩慢だ。
どちらかといえば、キビキビした薬師丸から見れば、
行動を供にしていると、多少イライラしてしまう事もあった。

「薬師丸さん。今のうちに、お昼を取りましょうか」
と、遊太郎は駅前の立ち食い蕎麦屋に案内し、
薬師丸は地球に降りて初めて外食をする事になった。
立ち並ぶ他の客もほとんど似たようなスーツ姿で、
時間に終われるように、蕎麦をすすりあげている。
中には携帯電話を耳と肩に挟み込んで、
部下に向かって厳しく指示を与えながら、
丼をかき込んでいる忙しい男もいた。

「あわただしいですね。昼食くらいゆっくり食べないと、
体に良くないと思いますが」
薬師丸は見よう見真似で、ぶっかけ蕎麦にネギを入れてもらって、
不思議そうに言った。
遊太郎は、そうですねと無難な返事をしながら、
手帳を開き、次の予定を確認していた。

「30分後に、アポが入ってます。
薬師丸さん、大丈夫ですか?」
「あ、はい。すぐ食べ終えます」

慣れない箸をなんとか操り、蕎麦を胃の中に流し込むと、
せっかくの味もわからなかった。
こんな調子で、薬師丸の研修1日目は、
面白味もなく終わった。

もっとエキサイティングな事件が起これば、
研修の甲斐があるというものだが、
この遊太郎とペアで行動する限り、残念ながら期待外れかもしれない。
薬師丸から見た初めての地球、初めての日本は、
ひたすら平和で、ただ時間に終われて働くだけの国に感じられたからだ。


「どうだったかね?薬師丸君。研修1日目は」

帰社してすぐに役員室に出向いた薬師丸は、
人事部長の神崎に報告を促された。
彼は、やや落胆したような表情で、こう言った。

「神崎部長。どこに侵入者が潜んでるんでしょう?
平和過ぎる街に、派遣調査員は必要ないと思いますが」


〜第252回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-03-14 12:34

第250回接近遭遇「新人調査員。薬師丸達也、登場!」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

遊太郎と桃子が所属する営業一課にやって来た薬師丸達也。
新入社員とはいえ短期間の研修生であり、
1年先輩になる遊太郎と行動を供にする事となる。

「森田さん、薬師丸です。よろしくお願いします」
明るく笑顔で挨拶をする彼に、一課のメンバーは好印象を持った。
そこへ係長の高山が例によって遊太郎にイヤミを言う。

「森田と薬師丸。どっちが先輩だかわかんねえよなあ。
しっかりしろよ、のび太」
すると、薬師丸が不思議そうに
「のび太?」
と聞くので、他の同僚たちが要らない解説をしてしまう。

「森田って、ドラえもんののび太に似てるだろ。
ボーっとして天然で、ケンカに弱いし、頼りない。だからだよ」
他の社員たちも笑う。
「そうそう。おまけに女にモテないしな。
こんなガキが教えるんだから、ごめんな。薬師丸」

薬師丸は、はあ、と無難な笑顔で受けとめ、
居住まいを正し、きちんと自分の新しい名刺を確認し始めた。
そんな様子を女子社員たちがパソコン越しに見ていた。

「薬師丸クンてさあ、爽やか系でカンジ良いよね。
フットワークも軽そうだしさ」
「なんか、森田クンより営業マンぽくない?」
「逆に教えてもらうの、森田クンだったりして」

冷やかし半分の笑い声が起こる中、桃子だけはそれには関心がなく、
仕事に没頭するフリをしていた。
この間の一件で、遊太郎とはギクシャクした雰囲気が続いているからだ。

( 遊太郎。将来、誰とも結婚する気ないんだ。
まあ、あたしより全然若いからかもしれないし、
あたしだって結婚とか真剣に考えてなかったけど。
でも、それじゃ、あたしは遊太郎にとって一体何なわけ? )

縮まったかに見えた遊太郎との距離がまた遠く感じた。


その午後。
研修スケジュールに沿って、遊太郎は薬師丸達也を連れ、
得意先企業を回る事になった。
薬師丸にとっては、見るもの聞くもの全てを吸収したいらしく、
積極的に観察しながら遊太郎へ話しかける。

「この惑星は、車とビルの排気で空気がすごく濁ってるんですね。
びっくりしました。
いつも営業で外を回りながら、パトロールも兼ねてるんですか?森田さん」

この薬師丸達也は、表向きは新入社員で営業の研修生に見せてはいるが、
その正体は遊太郎と同じく、銀河連盟から派遣された調査員である。
他の惑星は経験があるらしいが、地球は初めてらしく、
実際はその研修で来ていたのだ。

彼の質問に、遊太郎は曖昧に答えた。
「昼間は、こっちの仕事で手がいっぱいですから」
「え?」
「顧客のフォローだけでなく、新規代理店も新設しなきゃいけないので」
「は、はあ」
「じゃ、地下鉄に乗りましょうか」

はにかんだような笑みを浮かべ、地下鉄へ向かって歩き出す遊太郎に、
薬師丸は少し調子が狂ったような、妙な顔を作ったが、
すぐに迷路のような地下鉄構内に関心を移した。

「森田さん。例えば、こんなところに侵入エイリアンが潜んでそうですよね?」
「さあ」

相変わらず、のんびりした遊太郎に少々アテが外れてしまう。
何故なら派遣調査員の仕事には、
地球に無断侵入した異星人の摘発も挙げられるからで、
薬師丸達也は他の惑星でもそうした経験をし、
今回も、侵入者摘発のつもりで研修に参加していたのだ。

しかし、もっと色々な話題が聞けると思った遊太郎は、
地球人のサラリーマンになりきっており、
どこか天然で、のんびりしていて、
とても調査員には見えない。
遊太郎が、実際はまだ1年しか経験がない新人だからだろうか。
それなら、もっとベテラン調査員をガイドにつけてくれても、
と、薬師丸は多少物足りなく思った。


〜第251回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-03-11 00:17

第249回接近遭遇「つかめない彼氏のキモチ」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜
★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

遊太郎がマンションへ帰宅してみると、
予想通り、桃子がビールの空き缶だらけのリビングで座っていた。
CDを大音量で流しっ放しにして鼻歌を歌っている。

「ただいま帰りました。桃子さん。あの……」
さっきの話と言いかけたが、
桃子はチラッと遊太郎を横目で見やっただけで、
雑誌に視線を落とし、鼻歌を止めようとしない。
これは最悪に機嫌が悪いようだ。
諦めて、自分の部屋に入ろうとした遊太郎は、
ドアの貼り紙にギョッとした。
チラシの裏に、ピンク色の蛍光ペンで書きなぐった文字は……

『 バカ遊太郎の浮気もんっ! 』

斜め下にはアッカンベーの顔らしきものも描かれている。
遊太郎はため息をついて貼り紙を外した。
振り返ると、睨んで、またぷいと横を向いた桃子がいた。
遊太郎は近づいて、室内に流れる音楽に対抗するように、
少し大きめの声で言った。

「桃子さん。僕の話を聞いてください」
すると、桃子は雑誌に視線を向けたまま、
「あんたの花嫁の話なら、どうでもいいんですけど?」
と、手厳しい桃子の反撃を返して来た。
彼は仕方なく、先ほどの貼り紙に何かをサラサラと書いて、
空き缶だらけのテーブルの隅に置き、自分の部屋に戻って行った。

しばらくそれも無視していた桃子は、やはり気になるので、
ビールを飲み干しながら、ついっと紙を引き寄せた。
そしてそこにメモされた内容に、え?と首をひねる。

『 桃子さんが聞いた花嫁候補の話と、僕は何の関係もありません。
僕は誰とも結婚しないからです 』

花嫁候補の件よりも、2行目の意味が引っかかった。
「誰とも?」
この言葉通りなら、遊太郎は桃子すら見ていない事になる。
「イミわかんないし」
そうつぶやきながらも、桃子は眉をきつく寄せる。
遊太郎の考えていることが、またわからなくなった。
つかめたと思うと、またスルリと逃げてしまう。
まるでそれは広い海の中に消えた一滴の水のようだ。

本当はどう思ってるの?
どうしたいの?
そう問いかけたいが、今度こそ全てを遮断されてしまう恐れを感じて、
桃子は遊太郎の消えたドアを見つめ続けていた。


数日後。
人事部長の神崎が遊太郎に話した通り、
営業一課に研修生が1人現れた。
愛想良く挨拶する元気いっぱいの新入社員。

「薬師丸達也です。短い間ですが、よろしくお願いします」

薬師丸達也。
表向きは、営業職の研修生。
しかし、実際は遊太郎と同じく銀河連盟派遣調査員であった。


〜第250回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-03-07 11:55

第248回接近遭遇「難クセをつける男」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「お前さあ、のび太ソックリのくせに、フタマタかけてるとはな。
さっきの話が本当なら、結婚相手がいるらしいじゃね?
五十嵐に振り向いてもらえねえから、かまわれたい作戦だったりしてな」

そう難クセをつけながら、
係長の高山は遊太郎のネクタイをぐいぐい引っ張って、
髪をぐしゃぐしゃとかき回した。
桃子と交わした会話をこの男に聞かれたのは厄介だった。
何故なら、高山は桃子に執拗に言い寄っては振られ、
彼女に関係する異性は目の敵にしているからである。

「本当に違うんです。放してください。高山係長」
「どこがどう違うんだよ?
少なくとも、お前が五十嵐に気があるのは事実だろ?
いい加減認めろよ、森田ぁ」

高山が小憎らしそうに吐き出した言葉に、居残っていた社員が、
え、そうなの?という好奇の目に変わった。
イトコ同士ということだけでも目立つのに、これはマズい展開だ。
「さあ、吐けよ。のび太」
しつこく詰め寄る高山を、誰かが引き離した。
「なにやってんだ、お前ら」
営業一課の斎藤課長である。
課長会議で席を外していたのだが、部署フロアに戻って来たところで、
呆れたように遊太郎から高山を、やや強引に引き剥がした。

「オレは森田に営業指導をしてただけですよ。課長」
しれっと言い訳した高山は、携帯を架けるフリをしながら、その場から逃げた。
斎藤課長は肩をすくめて、遊太郎に耳打ちする。

「あのなあ、森田。
五十嵐と同居してるのが、ああいうのに知られたら面倒だぞ。
イトコったって男と女だから。まあ、恋愛は自由なんだが。色々とな。
……まさか、2人はそうなってるんじゃないよな?」
「……いえ。大丈夫です」

髪とネクタイを直しながら、遊太郎はちいさく否定した。
斎藤はそうか、と頷き、早く行けと手を振ってみせた。
お騒がせしてすみませんと頭を下げ、遊太郎は最上階へ向かった。
斎藤が止めてくれたから助かったものの、
トラブルの火種である高山には、今後も注意しなくてはならないだろう。
気を取り直して、遊太郎は神崎部長が待つ役員室へ急いだ。


「森田君。15分の遅刻だ」
黒の革張りソファで待っていたのは温厚な紳士、
人事部長の神崎である。
「申し訳ありません。ちょっとゴタゴタがありまして……」
詫びると、神崎は血色の良い顔に笑みを浮かべた。
ビル内で起こった事は全て把握しているようだ。
部長だから、ではない。
表向き人事統括部の最高責任者ではあるが、
実体は遊太郎と同じ異星人だからだ

「神崎部長。お話というのは?」
ドアの向こうの秘書に聞かれても良いように、
遊太郎は社員としての口調で質問をした。
神崎も心得て、部長として話を繰り出す。

「また研修生が来る。君より1年後輩だ」
「研修生」
「そう。表向きは、営業担当見習いとして、
営業一課に一時的に配属されるが、
研修を終えたら、ふさわしいエリアに派遣される予定だ。
短い期間だが、色々教えてやってほしい。
忙しいだろうが。……かまわんかね?」
「わかりました」

遊太郎は少しホッとしたように頷いた。
呼ばれたのは、別の用件かと思っていたからだ。
すると、目ざとくキャッチした神崎がニヤリとする。
このあたりは、本性のキャプテン・ロータスの波動を重ねている。

「安心しなさい。君の花嫁候補とは何の関係もない人物だよ」
「知っていたんですか」
「あれだけ騒がしければ伝わって来る。
桃子君のご機嫌を激しく損ねたようだから、
早く帰って説明してやりなさい」

説明と言われても、困った事になったと、
遊太郎はため息をついた。
花嫁候補の噂を聞きかじって怒った彼女を、
元に戻すには時間も労力もかかりそうだ。


〜第249回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-03-04 00:10