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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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<   2009年 12月 ( 9 )   > この月の画像一覧

第231回接近遭遇「秘蔵のUFO写真」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「凄いだろ?森田君。このUFO写真。
無記名で投稿して来たものでね。
まだウチの情報誌には掲載していない未公開写真だから、
ここだけの秘密にしておいてくれよ」

宇宙人情報誌の編集長、熊野がヒゲ面を撫であげながら、
遊太郎に人懐っこい笑みを見せたので、
彼は頷いたが、内心では少し首をひねっていた。

何故なら、写り込んでいたUFOは、
紛れもなく銀河連盟の機体だったからである。
朝焼けの空に、点滅しながら浮かぶフルートに似た細長い母船と、
周りに浮かぶ無数のディスク型宇宙船は、
地上パトロールに飛び回っている探査機だ。
通常は、特殊な粒子でコーティングされ、
視野範囲の狭い地球人には目撃されないはずなのだが……


そこへ、ライターの木村が得意げにウンチクを披露し始めた。
「森田君。UFOが何故アクロバティックな動きが出来るか知ってる?
空間に存在するらしい無尽蔵のフリーエネルギーを、
推進力に使っているという説があるんだけど」
「フリーエネルギー?そうなんですか」

ひどく間抜けな相槌に聞こえたらしく、木村が呆れた。
「何だ、君。ウチの本誌の読者だっていうけど、
実は、宇宙人とかUFOにあんまり関心なかったりする?」
「いえ、そういうわけではありません。ただ、びっくりして……」

遊太郎が慌てて弁解すると、
優しい大倉健人がフォローするように口を挟んだ。
「俺だって、最初見た時、凄い写真だから言葉が出なかったよ」
すると、気を良くした木村は今度はワープがどうのこうのと、
遊太郎たちに向かって得意げに教え始めた。

もちろん遊太郎、
いや、銀河連盟派遣調査員のレンは、
スペースシップのパイロット経験があり、宇宙航法には通じている。
シップの不可思議に見える飛び方は、
空間の性質を知れば簡単に分かる事で、
飛びたい場を折りたためば、ピンポイントで自在に移動が出来るのだ。


編集長の熊野が、次々と秘蔵写真を見せてくれたので、
遊太郎はさりげなく眺めながら、
はるかな月のステーションにいる上司ロータスへ、
速やかにテレパシーで報告をした。

(……写真には、わが銀河連盟のスペースシップ、
他には、地球に訪問中の旅行者の宇宙船が写り込んでいます。
後ほど見たものは、全て転送しますが……)

まもなくロータスの返信が、やや呆れ気味にやって来た。

(なるほど。撮影した者は、侵入エイリアンの可能性が高いな。
その写真の残留思念から、何か探れそうかね?レン)

(数種類の波動が重なっているために、すぐには特定できません)

(わかった。分析はあとで良い)

(了解)


まさか宇宙人情報誌編集部に、
異星人が1人、在席してるとは夢にも思わない面々は、
ひとしきりUFO写真で盛り上がったあと、
遊太郎に宇宙人らしき人影が映っている海外のDVDなどを見せた。
遊太郎は表向きには無難な反応を見せながら、
特殊能力を使って、くまなくスキャニングし続けた。

巧妙だが合成と分かる写真やビデオフィルム、
コンタクト記録などの中には、本物らしいものがあった。
それでも多少、真実から歪められた情報が混入していて、
放置して良いものか迷った。
しかし、もし悪質な侵入者が絡んでいるようなら、
銀河連盟派遣調査員として、見過ごす訳にはいかなくなるだろう。


すっかり夜になり、
編集部の仕事を邪魔してはいけないので、
遊太郎は礼を言って帰ろうとしたが、
編集長の熊野が夕食を奢る言い出した。
木村は仕事があると言って参加しなかったが、
大倉健人にも、行こうと誘われ、断り切れず、
3人で近所にあるという、熊野たちの行きつけの店へ向かった。


〜第232回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2009-12-31 12:07

第230回接近遭遇「遊太郎、宇宙人情報誌の編集部へ潜入!」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

桃子は反対していたが、
結局、遊太郎は見学するという名目で、
大倉健人の勤務している出版社へ出向く事になった。
何故なら、巷にあふれた宇宙人情報誌にしては、
何か引っかかりを感じたからだ。
もちろん、その事は桃子に話さなかったが。


「遊太郎君、こっち、こっち」
大倉健人は手を振って出版社の一角、
宇宙人専門情報誌の編集部へ案内した。
至るところに雑誌や資料が積み上げられ、
壁にはびっしり書かれたスケジュールや写真、メモ類が貼られていて、
普通の編集部そのもので、変わったところも特にない。

遊太郎が少し閉口したのは、タバコの煙だ。
編集部全体に、濁った雲のようにカスミがかかっている。
すると大倉健人が苦笑いした。

「ごめん。俺たちは慣れてるけど、空気、最悪だろ?
あっちの会議室へ行こう」

簡単に間仕切りしているだけの会議室にも、
資料が床の上に直に山積みされ、吸い殻だらけの灰皿や、
飲みかけのマグがメモと一緒に机に置きっぱなしになっていた。
慌てて女性たちが片付けながら、遊太郎を珍しそうに見る。

「大倉さんの知り合い?」
「そう。普通のリーマンで読者さんだ」
健人がそう言うと、遊太郎がぺこりと頭を下げた。
すると彼女たちは、コナンみたいだと茶化して行ってしまい、
入れ替わりに男2人が入って来た。

「ウチの読者だって?大倉」
大柄の中年男性がヒゲ面を太い指で撫でながら、
遊太郎を見下ろした。
もう1人の青白い痩せたメガネの男は、ぶしつけに遊太郎をジロジロ見る。

「えっと。太ってるオジサンが編集長の熊野さん。
クマみたいで覚えやすいだろ?
こっちの痩せてるメガネの人はライターの木村さん」
大倉健人が紹介してくれたので、遊太郎も名刺を出した。
「森田遊太郎です。お忙しいところをお邪魔して、申し訳ありません」

すると編集長の熊野は、いやいやと豪快に笑い、
遊太郎を人懐っこい笑みで見つめた。
「へえ。森田君は営業マンなのか?
どう見ても学生みたいだけど。いや、失敬」
「よく言われます」
はにかんだように微笑む遊太郎に、
熊野はゴツい腕を伸ばし、肩を叩いた。
「森田君。今日はよく遊びに来てくれた。
ウチみたいなトンデモ系情報誌って、マイナーだから。
よし、君に秘蔵のUFO写真や資料、特別に見せてやるかな」

と勝手に決めてしまい、
木村がそんなことをしていいのかと鼻白むが、
熊野は持って来いと平気だった。
大倉健人は楽しげに囁く。
「来た甲斐があったろ。森田君」
「でも、僕、部外者だし。
大事な写真なんか見せて貰っていいんでしょうか」
「いいって。編集長に気に入られたってことだよ」

彼らが写真を用意する間、
遊太郎のまん丸メガネの奥が、一瞬だけ青灰色に染まって消えた。

( 普通の出版社で編集部員も地球人です。
特に調査の必要は、なかったかもしれません )

速やかにテレパシーが遠く離れた上司へ到達する。
相手は、もちろんキャプテン・ロータスである。

(いや、調査は続行したまえ。レン。
君が少し引っかかりを覚えたように、
近頃、日本中で銀河連盟の情報を流している連中は、
どうもあちこちに存在するらしい。
しかも、残念ながら、その情報は多少、歪んでいる)

(歪んで……?)

(正しく伝わっていないという意味だ。
意図的なのか、どうなのか。
調査した結果、このまま見過ごして良いかの判断は君に任せよう )

( 了解しました )

テレパシーによる会話は中断された。
ライターの木村が不承不承にも秘蔵写真を持って来て、
細長い机に並べ始めたからだ。
それは、引き延ばされたUFO写真であり、
その中の一枚に、遊太郎は釘付けになった。

不明瞭なものや偽造が多い中、
その写真には、彼がよく知る宇宙船が、鮮やかに写り込んでいた。


〜第231回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2009-12-27 16:29

第229回接近遭遇「桃子、雷を落とす」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

あれから2日後。
再び雑多な日常の生活が戻って来たが、
桃子はまだ甘い余韻に浸って、気持ちだけ現実から浮遊していた。

仕事帰りにコンビニに立ち寄り、デザートに手を伸ばす。
「太るぞ」
聞き覚えのある声に振り返ると、
同じマンションに住む大倉健人がニヤニヤして立っていた。
「それ、どうせ晩メシのあとで、また食うつもりだろ?」
その通りだから言い返せない。
大倉健人は桃子とは大学時代からの友人で、
偶然にも最近になって引っ越して来たのだ。
以来、何故か遊太郎とも気が合うらしく、
ご近所付き合いというものを続けている。

肩を並べてマンションまで歩きながら、健人が訊いた。
「桃子。2日前、どこか行ってた?」
「え?」
「夕方、お前んちに寄ってみたら留守で。ケータイもずっとつながらないしさ」

咄嗟に答えに詰まった。
携帯電話などつながるはずがない場所に居たからだ。
しかしまさか、自分も遊太郎も、
月の裏側にある銀河連盟ステーションへ飛び、
異星人だらけなパーティーに出席してました、とは言えない。

「ごめん。ちょっと2人でウチの実家へ行ってたの。
なんか用事あった?」
さりげなく嘘をつくと、彼はホッとしたように顔を柔らかくした。
「そうか。いや、ちょっと心配してたんだ」
「心配?」
「ほら、この間来てた金髪の派手な外人」
「ああ……」
「また押しかけられて、困ってんじゃないかって」

そういえば先日、大倉健人は遊太郎の親友、
サーフィスと部屋の前で顔を合わせてしまっていたのだ。
もちろんあの時はなんとか誤魔化したが、
あのキラキラした外見や、馴れ馴れしさは、大倉健人が怪しんでも仕方ない。

「ああいう男と遊太郎君が友達っていうのが、よくわからないけど」
エレベーターの中で、大倉が首をひねる。
桃子もその点では大いに同感だ。
ホスト顔負けな女好きでナルシスト、
さらに空気を読まないセレブ系異星人だからだ。
同じ星の人間とはいえ、真面目な遊太郎とは真逆過ぎて未だ謎である。


「よく考えりゃ、桃子なら男でも殴り飛ばすだろうし、
二度と寄り付かないから、心配するだけムダかな」
「なにそれ。ムカつくなあ」
口を尖らせていると、大倉は笑って膨らんだ彼女の頬を人差し指でつついた。
何気ない仕草だが、一瞬、2人は固まった。
「ご、ごめん」
「あ、うん。……別に」
部屋の前まで来て、お互い顔を少し赤らめる。
テレ隠しに、彼が早口で言った。

「今度、ウチの編集部へ遊太郎君が遊びに来てくれるみたいなんだ。
時間とか、またメールするから、よろしく伝えといてくれよ」
「へっ?」

一瞬、桃子の目が泳いだが、
彼は、じゃあと手を振って自分の部屋の方へ行ってしまった。
開いた口がふさがらないまま、カギを開ける。

( 遊太郎と大倉君。いつの間にメル友に。
……っていうか、編集部に遊太郎が遊びに行くって、どういうことよ?
なに考えてんの、あのバカ! )

ちょうど先に帰宅をして、夕飯の支度をしていた遊太郎が、
レモンイエローのエプロン姿で、お帰りなさいと微笑んだところに、
ドカンと雷を落としてしまう。

「遊太郎っ!」
「はい」
「そこで大倉君と会って聞いたんだけど。
宇宙人情報誌の編集部なんかに、何で行く約束したのよ?」

遊太郎は彼女の剣幕にフライパンを取り落としそうになる。
「大丈夫ですよ。僕ならバレません。この姿ですから」
と、まん丸メガネをかけ直す仕草をするが、言い返された。
「だから。そういう問題じゃないっつうの。
宇宙人をスクープするような記者がウヨウヨいるのよ?
呑気なあんたが不用意にポロッともらした言葉で、
怪しまれるかもしれないじゃん」

鈍感なヤツ。
2日前の甘い余韻が一度でぶっ飛んでしまった。


〜第230回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2009-12-23 21:53

第228回接近遭遇「ダイヤモンドの海の中」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

銀河連盟ステーションの交流パーティー。
その巨大なホールから抜け出し、
桃子はレンと滞在者用コンパートメントに居た。
透明な壁全体の向こうに、ダイヤモンドのような星の海が広がっていて、
ありえないくらいロマンチックな雰囲気だ。

チラッと、レンの方を見た。
彼は半円形に連なるソファの端を背に、片膝を立てて座っていた。
疲れている為か、仮眠を取るように目を閉じている。

(もっとそばにくっついても良いかな。
せっかく2人きりになれたんだもの)
桃子はマーメイドのようなピンクのドレスが、
シワにならないよう気をつけながら、そろそろと移動した。

やや向こうに頭を傾けているレンの、
陶磁器のように白い首筋に後ろ髪がまとわりついて、
清廉とした中にも色気を感じた。

(あたしより、色っぽいっていうのが、なんか、悔しいんだけど)

心の内でぼやきながら近づき、
憂いを含んだ端正な顔を覗き込んだ。
伏せられた長い睫毛、高く通った鼻梁、
その下の形の良い唇に、つい吸い寄せられてしまう。

一瞬だけ、重なる唇。

「……」
レンがふっとうすく瞼を開けた。
そして、深い湖面ような青灰色の瞳で彼女を見上げる。
それがまた何とも言えず蠱惑的だが、本人は気づいてないだろう。

「ごめん」
キスして驚かせたかもしれないと思って謝ると、
彼は桃子のいつもより大きく開いた胸元に視線を移してしまい、
戸惑ったように瞬きをし、こう言った。

「綺麗、ですね」
「え?」
「今日の桃子さんは、とても綺麗です」
「ドレスが。でしょ?」

誉められたのがテレくさくて、悪ぶって見せると、
彼は、いいえと優しく首を振り、
そっと桃子の方へ腕を伸ばし、彼女を引き寄せた。
ダイヤモンドを集めたような星の海を背景に、
2人はもう一度温かいキスをした。
するりとレンの胸に身を寄せた桃子は、
彼の心臓の音を心地よく感じながら、なんとなく思いついた事を口にした。

「ねえ。ここにいると、竜宮城に居るみたいな気がしない?」
すると、レンが聞き慣れない単語を繰り返した。
「竜宮城?」
何だ、やっぱり知らないんだ。
仕方がないので、日本の古いおとぎ話を簡単に教えたあと、
冗談を付け加える。

「あたしが浦島太郎だとしたら、亀が宇宙船で、
竜宮城の乙姫が遊太郎だよね」
「僕が乙姫なんですか?」
「そう」
言ってから、桃子は軽く吹き出して笑った。
「でも、そうなると、竜宮城から地球に帰ったら、
あたし、おばあちゃんになっちゃう。そんなのは、いやだな」

その時、短い電子音が響き、桃子がビックリして身を起こす。
「遊太郎。ひょっとしてルームサービスでも頼んだ?」
「いえ。パーティーに出席している旅行者が、
空いたコンパートメントを探しているんでしょう。
そろそろ、出た方が良さそうです。
僕も交代でSPの仕事に戻らなければ」

そうなんだ。つまらない。
桃子は少しふてくされたフリをして、もう一度レンに軽いキスをした。
ちょっと驚く彼に言い訳をする。

「だって。また忙しい日常に戻ると思ったら、
充電しておかなきゃって、思ったんだ」
「充電?」

そういえば、とレンは立ち上がりながら、
身体が少しラクになっている事に気づいた。
桃子には秘密だが、先刻、受けてしまったマイナス波動のせいで、
生体エネルギーをごっそり奪われ、キツかったのだが。

「桃子さん」
「なに?」
「桃子さんこそ、僕にとって充電できる存在かもしれません」
「あたしはケータイの充電器か」

テレを誤魔化すために突っ込みを入れる彼女の、
マーメイドのようなドレスが揺れて、レンは愛おしく感じた。


……ずっと、彼女のそばに居られるなら、どれほど幸福だろう。
しかし、それは竜宮城の童話よりも儚い夢だと思った。
何故なら、自分は彼女にふさわしくない、
罪深い存在だからだ……


〜第229回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2009-12-20 13:46

第227回接近遭遇「2人きりのコンパートメント」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

……動悸が早い。
レンの全身から急速に血の気が引いていき、
冷たい汗が額から一筋だけ流れ落ちた。
原因は、手の中にある数センチほどの石だ。
交流パーティーの席上で、あまりレンを良くは思わない評議会から、
直接渡されたのである。
もちろん普通の人間なら何も感じないが、
特殊能力者にとって、この石がもたらす心身へのダメージは計り知れない。
一刻も早く自分から遠ざけなければ。
強いマイナス波動を放射している隕石のカケラを……

パーティー会場のホールの外に出ると、
フロアの片隅に待機中のSPメンバーが居た。
同じ調査員としてはかなりの先輩だが、迷ってはいられない。
「急に申し訳ありません。
これを、キャプテン・ロータスに届けて貰えませんか?」
「何だ、その石。まさか新手の爆弾じゃないだろうな?」
相手は、当然ながら怪訝な顔をする。
「いいえ。パーティーの参加者から預かった希少な石です。
僕は、わけがあって、すぐには動けなくて……」

SPメンバーは首を傾げ、茶色と緑の混ざった小さな石を眺めた。
しかし、後ろから追いかけて来た桃子の姿を見たとたんニヤリとする。
「なるほど、そういうことなら了解だよ。
そこの旅行者用コンパートメントを使えばいい。
大丈夫。彼女の事は秘密にしておいてやるから」
勝手にカン違いをされたが、いまはそれに乗るしかない。
レンは礼を口にして、フロアに並ぶ個室へ向かった。
すぐに桃子が追いついて来たが、説明する余裕もなく、
彼女をコンパートメントに促し、内側から電子ロックをかけた。


「え? なに?ここ」
桃子は、知らずについて入った旅行者用の個室に目を丸くした。
天井まで10メートルと高く、
光源はないのに全体的に柔らかいクリーム色に発光している。
継ぎ目のない流線型の壁は半分以上が透明で、
その向こうにダイヤモンドのように輝く大宇宙が広がっていた。
絶景を楽しめるように、ソファが半円形に長く連なっている。

桃子が珍しそうに部屋中を見て回っている間、
レンはソファの端に、ふらりと手をついた。
乱れた呼吸を整えるために深く俯く。
石を握り締めていたのは、ほんのわずかな時間だったはずなのに、
体力が恐ろしく消耗していた。


「遊太郎?」
桃子が驚いて駆け寄ろうとしたので、レンは努めてさりげなく顔を上げた。
心配させたくはなかったからだ。
「すみません。少し疲れただけです」
「ホントに?」
「パーティーは苦手で」

すると桃子は疑い深く首をひねった。
「なんか隠してない?」
「何を、……ですか?」
「だって、さっき評議会の奴らに変なモノ渡されてたじゃん。
アレって隕石じゃないの?
ほら、遊太郎が記憶障害を起こしたのと同じやつ。
あいつらなら、嫌がらせの為に持って来てもおかしくないし。
やっぱり、一発ぐらい殴っとくんだった」

拳を振りかざして憤慨している彼女に、彼は苦笑して、首を小さく振った。
「それは、思い違いです」
「ふうん。なら、いいんだけど」

(なんだ、あの超ヤバイ隕石じゃなかったんだ。
あいつらの手土産なら、絶対そうだと確信したんだけど)

でも、あっさり否定されてしまった。
妙な違和感が残って、得心がいかぬまま、
ふと、桃子は目の前に瞬く果てしない星の海を眺めた。
冷静に考えたら、部屋に彼と2人きりである。
もし急にいなくなった自分たちをサーフィスが探しに来ても、
まず簡単には見つからないだろう。

(2人きり……?)

スレ違いが多くて、最近はデートもままならなかったのに、
これは嬉しいハプニングかもしれない。
桃子は密かに淡い期待を抱いた。


〜第228回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2009-12-17 23:25

第226回接近遭遇「消えない彼氏の過去」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「レン王子。
よく平気で、あなただけ生きていられるものだ。
陛下が許しても、我々、評議会は認めていませんよ。
……あなたのような母親殺しの化け物をね」

魂まで凍りつくセリフだった。
それを吐いたのは、グレーのマントを着た一団である。
寡黙に立ち尽くしているレンへ、
彼らは追い詰めるように決定的な言葉を発した。

「隕石爆破事故を起こし、大量の被害者を出したあなたが、
辺境の惑星の派遣調査員として、
侵入者を取り締まっているとは笑止千万。
確かに人間離れしたその化け物じみた能力を、
存分に披露するには打ってつけかもしれませんがね」

観葉植物に隠れて聞いていた桃子は拳を震わせた。
何故あんな奴らに言いたい事を言わせておくのだろう。
チラッと見たレンの横顔は、前髪に隠れて表情はわからない。
気がついたら身体が勝手に動いていた。
グレーのマントの集団に向かって走り寄り、怒りを爆発させたのだ。

「ちょっと、おじさんたち。
さっきから聞いてたら、超ムカつくんだけど。
昔の事故の事を今さら蒸し返してどういうつもり?」
「桃子さん」
レンが驚き、止めようと桃子の肩に触れたが、引き下がらない。
慌ててやって来たサーフィスは、青くなって壁に張り付いた。

「ほう。これは勇ましいお嬢様ですね。
レン王子とはどういうご関係ですかな?」
突然乱入して来た桃子を冷ややかに観察する。
しかし彼女はひるまなかった。
「あたしは、五十嵐桃子。地球人よ。
この遊太郎の、……ううん、レンの恋人だけど、何か?」
「地球人。……恋人?」

彼らは一様に険しく眉をひそめ、お互いに顔を見合わせる。
危惧を感じたレンは背後から桃子を制した。
「桃子さん、離れて」
「いやよ」
「これは僕の問題なんです」
「遊太郎の問題は、あたしの問題でしょ」

それを聞いて、レンは、わずかに苦笑した。
どんな時でも、彼女は自分というものを忘れない。
とても桃子らしいのだが、相手はソリュート星団の評議会メンバーだ。
彼女まで巻き込むような事は避けなければならなかった。


「……申し訳ありません」
レンは静かに頭を下げた。
「今日のところは、お引き取り下さい。
ここは交流パーティーの席上。他の招待客の迷惑になり兼ねません」

すると評議会一団は、遠巻きにして見物している旅行者たちを一瞥した。
「これは失礼を。
我々は視察旅行に来ただけなのです。
ソリュート陛下も訪れたという、ローカルな惑星にね」

去り際に、数センチほどの小さな石を、レンに手渡した。
「あなたには、ことのほか縁の深いものを差し上げます。
地球人と仲良くなるのは結構ですが、
ゆめゆめ、ご自身が犯した大罪をお忘れなきように。
では、ご機嫌よう」

無機質な一団が立ち去り、辺りは緩やかに静まっていった。
陰に隠れていたサーフィスが飛んで来る。
「桃子サン、度胸があるんだねえ。
あんな怖い評議会に向かって行くから、
ボクは生きた心地がしなかったよ」
「頭に来ただけよ。なにさ、エラそうに」
「評議会は、ソリュート星の政治権力を握っているから」
「そうなの?遊太郎のお父さんがソリュート星の王様でしょ。
その王様が、遊太郎と和解したんだから、
あいつらに、どうこう言われる事ないじゃない」
「確かに陛下は最高権力者だ。
でも、評議会に睨まれてしまうと厄介なんだよね」

そうなの?
桃子はちょっと反省してしまった。
啖呵を切って、レンの立場を余計悪くしたのかもしれない。
そうっとレンの方を振り返ってみると、
彼はこめかみを手で抑えながらホールの入口へ歩き出していた。
……様子が、変だ。
さっき、男たちに何を渡されていたのだろうか。
ひどく奇妙な感じがして、桃子は追いかけた。

「遊太郎?」


〜第227回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2009-12-13 12:18

第225回接近遭遇「フシギな異星人交流パーティー」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

(なんか、えらいところまで来ちゃったかも……あたし)

数時間前から、桃子は、とんでもない場所に身を置いていた。
遊太郎の親友、サーフィスに誘われて、
異星人旅行者の交流パーティーに出席しているのだ。

月の裏側に浮遊する銀河連盟ステーションに、
こんな巨大な筒型建造物が存在しているとは想像もしていなかった。
壁からは、交差するように幾つもの受け皿が生えていて、
三日月形テーブルが設置されている。
そこで招待客たちが歓談したり、
壁一面に映し出される星雲を眺め、
不思議な音楽に合わせてダンスをしていた。

一見しただけでは、桃子以外の招待客は普通の外国人に思えるが、
もちろんヒューマノイド型異星人であり、
中には想像を絶する人種も混じっていた。
頭部が魚や大鷲、恐竜に似た紳士たち、
体自体がフィラメントのように発光している女、
半身だけ見えたり隠れたりする男など、
桃子が見たことのあるSF映画のような異星人たちが、
リアルに集まっていた。

「桃子サン。何か飲む?」

真紅のスーツを着こなしたサーフィスが、
テーブルの上に自動的に入れ替わるドリンクを手渡した。
シリンダーに似た容器からストローのような管が伸び、
香り高い果実の味がする。

数日前、エスコートすると約束した通り、
サーフィスはステーションへ桃子を案内し、
ドレスまでコーディネートしてくれた。
キザでお調子者だが、桃子は彼を少しだけ見直した。

「そのドレス。よく似合ってるよ。桃子サン。
どう、ボクのセンスに感心した?」
さも得意そうに言う。
今日の桃子は、マーメイドのような淡いピンク色のドレスに身を包んでいた。
サーフィスの好みで、胸元と背中が開いて恥ずかしかったが、
パールの花をあしらったネックレスによって、品良く見せていたし、
毛先だけカールをした髪を後ろでふわりと束ねて、
可愛さと色っぽさが同居した雰囲気に仕上がっていた。

「キミのドレス姿をレンに見せたいけど、
今日はSPとして、パトロールしているみたいだし、どうする?」

桃子も初めて着たドレスを遊太郎、つまりレンに見て欲しかった。
スレ違いが多い日常だからこそ、
自分からもっと彼に近づいて、理解をしたいと、
はるばるこんなところまで来たのだから。


その頃。
噂のレンは、パーティー会場の周辺フロアを一巡し、
他のメンバーと交代する為にホール内に現れていた。
白い銀河連盟調査団ユニフォーム姿のレンを、
サーフィスがすぐに捉えて桃子に教える。

「レンが来たよ」
「え? ホント?」
どこに、と急いで見回すと、桃子たちより数十メートル下を歩く彼を発見した。
他の客人たちが騒ぎ始める。


「ご覧になって。なんて綺麗な青年ですこと。
ステキ。まるで冴えわたる銀の月のようだわ。
どこの星系から訪れているのかしら?」
「あのユニフォームを見る限り、旅行者ではなさそうだ」

周囲の甘いささやきが耳に入ったサーフィスが口を尖らせた。
「絶対、ボクの方が華やかで美しいのに」
そして、桃子へ視線を移しながら訊いた。
「レンを呼びに行こうか?」
「ううん。あたしが行ってみる」

桃子は、あらかじめ靴に装備された個人用移動ベースに乗り、
思い切って下へ降りてみた。
慣れていないので、目的地より外れて壁際に着地したが、
レンが数人のグレーのマントを着た男達に、
取り巻かれているのを目撃して、観葉植物に身を隠した。
男達は旅行者のようだが厳しい顔つきをして、
気品を保ちながらも、レンに向かって凍りつくようなセリフを吐いた。

「あさましい事ですな。レン王子。
よく平気で、あなただけ生きていられるものだ。
陛下がお許しになられても、我々、評議会は認めていませんよ。
……あなたのような母親殺しの化け物をね」


〜第226回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2009-12-10 00:22

第224回接近遭遇「桃子、異星人交流パーティーに誘われる」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「顎の骨を砕いて欲しいのか。サーフィス?」

瞬間移動で帰って来たレンが、
サーフィスの胸倉を掴んで、そう警告した。
以前にも、彼は要らぬ事を桃子に言ったが為に、
レンに顔を殴られた事があり、青くなった。

「相変わらずキミは野蛮だねえ。レン」
「もう手加減はしないが」
「それはやめてくれ。ボクの繊細な美しい顔が粉々になってしまう」

必死に懇願するサーフィスを、レンは仕方なく離した。
すぐに彼は服や髪を整えて、ああ良かったとホッとする。
そんな2人のやり取りを見ていた桃子は、
レンと一瞬目が合ったが、ぷいと自分から外した。
サーフィスにさっき言われた事が、不本意ながら気になっていたのだ。

(アイツに言われた事は、悔しいけど、ちょっと当たってる。
あたしたちの間に進展がないというか、
ホントに恋人って感じがあまりしないし。
あたしが想ってるほど、遊太郎は本気じゃないのかな。
あの夏の海でキスをして以来、必要以上近づいて来ないもの……)

ふてくされた桃子へ、
例によって空気を読むことを一切しないサーフィスが、
胸ポケットから何かを取り出して渡した。

「忘れるところだったよ。桃子サンへのプレゼント」
セレブ系異星人の面目躍如かサーフィスは品良く微笑みを作る。
渡されたものは半透明で、角度によって虹色に輝くカードだった。

「なにこれ?」
「パーティーのIDカードだよ」
「パーティー?」
「近々、地球へ訪れている旅行者が集まって、
ステーションで交流パーティーが開かれるらしい。
この間のお詫びに、桃子サンも誘おうと思ってね」

それを聞いたレンが一瞬眉をひそめた。
「サーフィス、勝手なことをするな」
「え?桃子さんも、一応関係者だという事で招待できるはずだよ。
レンも強制的に参加させられるんだろう?
まあ、キミは昔から、ああいう社交的なイベントは苦手だったものねえ。
本音は、サボリたいんじゃない?」

先刻の気弱さとは打って変わり、悪戯っぽく上目遣いをする彼に、
半ば呆れながらレンは咳払いをした。
「話をそらすな。それより……」
そこへ桃子が割って入った。

「あたし、行ってみようかな。そのパーティー」
レンが少し意外そうな表情で彼女を見ると、
カードを裏返したりしながら桃子が言った。
「だって、遊太郎も参加するんなら、一緒に行ってみたい」

実際は華やかなパーティーに興味のカケラもなかった。
その上、異星人旅行者ばかりとなれば、緊張してしまうはずだ。
しかし桃子は遊太郎、つまりレンに少しでも近づきたかった。
そして彼の事を理解したかったのだ。
それには、多少強引な事もやってみなければ。

「……」
レンは、しばらく考えていたが、観念したように溜め息をついた。
彼女の性格上、言い出したらきかない事を承知しているからだ。

「わかりました。その代わり約束してください。桃子さん」
「約束?」
「パーティーの出席者は、正規の登録手続きを完了した旅行者と、
銀河連盟関係者ばかりですから、危険はないと思いますが、
地球人だという事で何か言われても、大人しくしていて下さい」

すると桃子が抗議した。
「大人しくってなによ。あたし別に暴れたりしないけど?
ニコニコ愛想笑いしてりゃいいんでしょ。
それにさ、遊太郎がそばについてくれるんじゃないの?」

その質問にレンは首を振った。
「僕はSPとしての任務があるので……」
「SP?」

すると、サーフィスが横からしゃしゃり出た。
「そりゃ、レンは銀河連盟調査員だからね。ボクと立場が違うのさ。
でも桃子サンは、ボクがエスコートするから何も心配いらないよ。
キレイなドレスも用意させるから」

すっかりその気のサーフィスに、
今さら断れなくなった桃子だった。


〜第225回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2009-12-06 12:21

第223回接近遭遇「困った友人」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「とにかく入れば?」

桃子はそう言って、サーフィスをリビングへと促した。
金髪にグリーンの瞳の派手な外見の彼は、
遊太郎が母星にいた頃の友人であり、
正直なところ早く追い返したかった。
しかし、さっき通りかかったライターの大倉健人と、
また出くわすとも限らない。


「いつも不思議に思うよ。
レンも桃子サンも、よくこんな四角い箱の中に住めるねえ」
優雅に腰を下ろしたサーフィスは、
あたりを眺め、感心したように言った。
「この建物をトータルしても、ボクの宮殿専用の宇宙船格納庫より小さいし」

それを聞いた桃子は、眉をつり上げる。
「どうせ、あんたの星の、大・豪・邸に比べたらニワトリ小屋よ。
超庶民で悪かったわね」
「どうしてそういつも怒るんだろう。桃子サンは。
こんなに美しいボクを間近に見て、
恋をしない女性は宇宙広しといえども、キミぐらいだよ」

……ああ、ぶん殴りたい。
このセレブ野郎とは永遠に会話がかみ合わないと思う。
適当に茶を出しながら、桃子は口を尖らせて訊いた。
「それにしても、よく堂々と、またウチに来れたもんよね。
この間の事、あんた、本当に反省したわけ?」


数カ月ほど前の事だ。
このサーフィスが、狡猾な科学者に操られたお陰で、
遊太郎が窮地に陥った事件があった。
もちろん彼は単に利用されただけなのだが、
未だにどうにも許せなくて腹が立つ。

「……もちろん、たっぷり反省はしたとも」
サーフィスは少し肩を落とした。
「レンに嫌われたかもしれないと思ったら、
ソリュート星へ帰っても、しばらく食事は喉を通らないし、
女の子と惑星間デートをしているのに、
あまり盛り上がらない日々がしばらく続いたんだよ」
「……あ、そう」

訊くだけバカだった。
心底うんざりしていると、
彼は持って来た赤い薔薇の香りを楽しみながら、
ふと、妙な事を言い出した。

「そういえば」
「え?」
「キミたち、恋人同士だったよね?」
「それがなに」
「もうレンと1年も一緒に住んでいるというのに、
それらしい甘い雰囲気が感じられないからさ。
ひょっとしたら、進展がないのかな」

ドキリとした。
こんなバカな男に見透かされた気がして。
固まっていると、彼が立ち上がり、
桃子が座っている椅子の後ろへ回った。
そして彼女の耳元で楽しげにささやく。

「そりゃあね。ボクはレンに比べたら、
ケンカは出来ないし、メカニックなものにも弱い。
だけど男女の恋愛に関してはプロフェッショナルなんだよ」
だから、よく分かるんだと続ける。
「レンは、何をためらっているのかな。
それとも、キミに本気じゃないとか」
「……本気、じゃない?」
「そう。本気でキミを愛してるわけじゃないのかもしれない。
だってね、彼は銀河連盟から来た派遣調査員。
いつかはバイバイしなきゃいけないなら、
本気になっちゃ、面倒だと思ってるのかもしれないじゃないか」

その時、サーフィスは急に桃子から身を離した。
いつの間にか、壁際に誰かが出現したからだ。
「レン!帰って来たんだね」

そこに現れたのは、彼が待ちわびた友人、レンだった。
いつもの遊太郎の姿を纏っていないのは、
招かれざる客の気配を察知したせいだろう。
銀色の髪の下で、青灰色の瞳が、
冷ややかにサーフィスを捉えていた。

しかし、空気が読めない男サーフィスは桃子から離れ、
花束から薔薇を一本抜き取り、それをレンへ向けて揺らせた。

「相変わらず、キミはクールで美しい。
会いたかったよ。愛するボクの親友、レン」
その言葉に応える代わりに、レンは薔薇の花からスッと顔を背け、
彼の胸倉を手慣れたように掴み、抑えた声で警告した。


「顎の骨を砕いて欲しいのか。サーフィス?」


〜第224回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2009-12-02 23:59