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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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<   2009年 08月 ( 9 )   > この月の画像一覧

第196回接近遭遇「宇宙人とまさかの三角関係?」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

……これって、もしかして修羅場?

桃子は信じられなかった。
営業一課の親睦会で来ている海旅行。
使いを頼まれた遊太郎が戻らないので探しに来てみれば、
ひと気のない岩場で、女と2人きりで居る場面に遭遇したのだ。

遊太郎は、何故か元の姿であるレンに戻っていて、全身濡れている。
しかしそれよりも問題なのは、
会っている女が、あの笹川夏希であるということだ。

「お邪魔しました」

口から飛び出したのは、冗談のようなセリフだった。
桃子はクルリと踵を返しスタスタ歩き出す。
「待って下さい。桃子さん」
レンが追いかけて来たが、振り返らずに怒鳴りつけた。
「うるさい。浮気者!」
「……浮気?」

この後に及んで、浮気という単語の意味が理解出来ないらしい。
仕方なく、数メートル歩いた所で立ち止まった桃子は、レンを睨みつけた。

「遊太郎。別に、あんたが元カノとどこで会おうが、
あたしの知ったことじゃないよ?
でもさ、今日は会社のみんなで海に来てるわけ。
急にいなくなったら誤魔化すの大変なんだから、
課長達に怪しまれないように、ちゃんとうまくやってよ。
言いたい事は以上。……ごゆっくりっ!」

マシンガンのようにまくし立て、桃子は大股で岩場を歩き去ってしまった。
言い訳など通じそうもないくらい、かなり怒っているようだ。
レンが、わずかに溜め息をついていると、
笹川夏希が近づいて来た。

「彼女、五十嵐桃子さんよね。あなたと同居している地球人。
本当にレンの事が好きみたい。……まさか、あなたも?」

……ありえない。
そんなはずはないでしょう?
そう言いたげに問いかけるが、レンは沈黙を守っていた。
すると、笹川夏希は海に沈みゆく夕陽を見て、
長い髪をサラリとかきあげた。
「そろそろ、あなたは森田遊太郎に戻った方がいいわね。
私も消えるわ」
そして、瞬間移動をする前に想念だけを彼に流した。

( 派遣調査員なんて本当に、虚しいだけ。
考えてみて。一緒に宇宙に帰ることを…… )

彼女の気配が全て消えたあと、レンは眉を険しくした。
派遣調査員の連続傷害事件。
この容疑者として、笹川夏希を調査する命令をレンは受けていた。
今後は、自らもっと彼女に接近をしなければならないだろう。
レンは桃子の怒った顔を思い出し、頭を振った。
また自分は、誤解を生む事をしようとしている。
しかし極秘捜査の為、何も話せない事がもどかしかった。


ビーチでバーベキューが始まる夕刻。
レンは遊太郎の姿を纏い、
斎藤課長には道に迷っていたと言って謝ったが、
予想通り、係長の高山には盛大に嫌みを言われた。

「森田ぁ。幼稚園児じゃねえんだし海で迷子になるたぁ、情けなくね?
最近のガキだって、おつかいくらいは出来るしよ。
ったく、仕事でも遊びでもダメダメ人間だな、お前は。
おらっ、ビール運べ、ビール!」
「はい。すみません」

遊太郎はバーベキューの裏方に回り、雑用に走りながら、
高山が変わりなく元気なことに安堵していた。
あの調子では、高山が沖で溺れた際、
遊太郎に助けられた事に気づいてない。
これで良かったのだ。


「桃子。バーベキュー、少なめに食べた方が良くない?」
清美が呆れたように桃子の皿を指差した。
露骨にヤケ食いをしている彼女は、ビールを飲み干して睨む。

「何で?」
「何でって。このあと、この近くの神社に縁日を見に行く予定じゃん」
「そうだっけ」
「さっきから何をそんなに怒ってるのか知らないけど、
せっかくキレイな浴衣を着るんだし機嫌直しなよ。
りんご飴より膨らんでるよ、顔」
「ひっどい!」

桃子は清美に急かされ、浴衣に着替えるべく、
他の女子社員達とホテルの送迎バスへ向かう。
そんな彼女を高山が、意味ありげにニヤリと眺めていた。


〜第197回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2009-08-30 13:56

第195回接近遭遇「元カノの接近」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「おい、森田は?
アイツ、どこまで、かき氷を買いに行ってんだ」

海の家まで使いを頼んで1時間以上戻らない遊太郎に、
斉藤課長が怪訝な顔をした。
他の社員達は馬鹿にしたように笑う。
「迷子のアナウンスでも頼みますかぁ?」

すると、高山がスポーツタオルを肩に引っかけて言った。
「ガキじゃねえんだし、そのうち帰って来るさ」
「そういえば、高山係長。サーフボードは?」
誰かから痛いところを指摘され、高山は引きつった笑いを張り付かせる。

「……いや、あれは捨てた。まあ、オレ的には相性悪かったっつうか」
「え?もしかして、ホントはひっくり返って、なくしたとか?」
「違う!捨てたって言っただろうが。馬鹿っ!」

怒って顔を赤黒くさせた高山は、バツが悪いので携帯をいじり始めた。
まさか本当に転覆して、気がついたら岸辺に流されていたとは言えない。
しかも海水をかなり飲んだはずだが、自力で立ち上がれた事も不思議だった。
そばに誰かが居たような気がしたが……

一方、桃子は妙に気がかりで落ち着かなかった。
一体、遊太郎はどこへ消えたのだろう。
「清美。あたし、ちょっと見て来る」
「え?森田クン探すなら、あたしもつきあうよ、桃子」
「いいって。どうせ、なんかまたやらかして、トラブってるだけだと思うし」
桃子はビキニの上に薄いパーカーを羽織って、清美に手を振った。


その頃、沖で溺れた高山を助け出したレンは、
ひと気のない入江に身を潜め、休息していた。
そこに突然現れた人物が、いる。
彼と同じく派遣調査員、笹川夏希である。

「ムダに力を消耗させて、何故あんな地球人を助けたの?
いつも色々、難癖をつけてくる男なのに」

まるで、ずっと観察していたような口振りだ。
笹川夏希は眼鏡を優雅に外しながら、ゆっくりと近づいて来た。
黒い瞳は紫色に染まり、それにつれてストレートな黒髪も同じ色に変化する。
おそらく、それが彼女の本性なのだろう。

レンは、沈黙を守って答えなかった。
岩の上に身を預け、潮風に吹かれているだけだ。
先刻助けた高山の身体に、自分のエネルギーを分け与えた直後であり、
体力の回復を待たなければ、遊太郎の姿は纏えない。
それでも意識のセンサーは、さりげなく彼女へ向けている。
何故なら、レンは笹川夏希を調査するよう、
上司より密かに命じられていたからである。

「無口なのね。相変わらず」

笹川夏希は、ふっと紫色の瞳で見つめる。
レンの白いワイシャツは濡れて、引き締まった身体が透けて見えていた。
整った白い顔にかかる幾筋かの前髪からは、雫がまだ滴り落ちている。
彼女は、彼の投げ出した長い両脚の間に立ち、
上体だけ前のめりにして、自分の両腕を彼の肩に絡めた。

「ねえ、レン」
耳元で囁く。

「虚しくならない?
私達、調査員はエイリアンから地球人をいつも守っているけれど、
彼らを過保護にしているだけじゃないかしら。
宇宙には、闘いの中で必死に生きている生命体もあって、
あなたも私も、それを良く知っている。
なのに、地球人は守られていることすら知らずに、
安穏と平和を貪り続けているんですもの」

妙に説得力のある言葉だった。
反論しないレンに、問いかける。

「あなたは、生まれた星を捨てて、宇宙を放浪していた。
それなのに何故いま、こんな惑星の調査員なんかしているの?
誰も信じなかった孤高の一匹狼。そんな、あなたが……。
それが、私には理解できない」
「……」

レンは黙って双眸を閉じた。
その時。
近づいて来る人の気配を感じてハッと目を開く。
笹川夏希も察知したように、紫色の髪や瞳を黒い色へと変化させた。

そこに。
遊太郎の行方を探していた桃子の姿があった。
驚きと疑いの目で2人を見つめている。
レンは思わず立ち上がった。

「桃子さん……!」


〜第196回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2009-08-27 00:08

第194回接近遭遇「海ツアーは危険がいっぱい」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜
★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

その週末。
桃子たちは、営業一課の親睦会の名のもとに、
海へ一泊旅行で遊びに来ていた。
最も、喜んでいるのは男性社員達だけである。

「……意外に、なかなかですよねえ」

水着姿の女子社員を眺め、係長の高山がニヤニヤすると、
斉藤課長がたしなめた。
「妙な気を起こすなよ、高山」
「当たり前じゃないですか。こう見えてもオレは紳士ですよ。心外だなあ」
高山は心にもないことを口にして、
ビキニを着た桃子を目の端で捉えた。


一方、桃子や清美たちは心底げんなりしていた。
「ほんっと。何が悲しくて会社連中と海なんかって思わない?
絶対、オヤジたち、ウチらの水着狙いだよ。ねえ、桃子」
「そうかも」
桃子は苦笑しながら、チラッと遊太郎を見た。
男達はスイカ割りの準備をしていて、
下っ端の遊太郎は、重いスイカを運ぶ雑用に忙しそうだ。

桃子はふくれた。
せっかく新しい水着を着ているのに、
遊太郎は今朝から何も言ってくれないからだ。
「あっちでビーチバレーやるって。いこ、桃子」
清美に誘われ、桃子は砂浜を横切った。

そんな彼女を遊太郎はそっと目で追う。
初めて見る桃子の水着姿に、内心はかなり戸惑っていた。
目ざとく高山がからかった。
「森田。お前の相手はスクール水着の小学生だ。
お子様同士、似合いだぜ」
海水浴に来た家族連れを指さして笑い出す。

「にしても、海に来てまでワイシャツとズボンはねえだろ?」
呆れたように遊太郎を見る。
ネクタイこそ外しているものの、
ズボンの裾だけ少しまくった恰好で参加しているからだ。

「すみません。忘れてしまって……」
「泳げねえなら素直にそう言え。情けねえヤツ。
どうせ浴衣もねえんだろ?」
「浴衣?」
「今晩は近くの神社で花火や縁日もある。
少しはTPOってもんを考えて、浴衣くらい持って来いよ。
だから、お前はオンナにモテねえんだ」

高山はふんと鼻で笑って、サーフボードを小脇に、
悠々と海の中へ入って行った。
女性達に海の男をアピールするためだ。


にぎわう海辺の昼下がり。
スイカ割りのあと、遊太郎は先輩社員たちから、
ドリンクやかき氷の調達を頼まれた。
メモを片手に海の家へ向かう途中、何かの異変を感じて立ち止まる。

「?」

危険を知らせる波動が伝わって来た。
遊太郎はスキャニングするために意識を集中する。
センサーに補足されたのは、サーフィンを楽しんでいたはずの高山だった。
かなり沖合まで流され、大きな波に呑まれてゆく。

「高山係長……!」
この事は、遊太郎以外まだ誰も気づいていない。
彼は人目のつかない場所へ隠れ、迷うことなく瞬間移動をした。


陸から隔たった海原。
急激な高波に転覆し、持ち主を失ったサーフボードが浮かんでいた。
その位置から少し離れた海中に、頭から沈んでゆく高山の身体があった。
やがて、その身体がフワリと海の上へ押し上げられる。
遊太郎、いや、元の姿に戻ったレンが、
高山を助ける為に海中へ飛び込んだからだ。

レンは、ぐったりしている高山を抱え、一番近くの岸辺まで泳ぎ切り、
安全を確かめて砂浜に寝かせた。
すぐに彼の胸元に手を当て、エネルギーを注入する。
まもなく、高山の口から海水が吹きこぼれ、息が吹き返された。
高山がピクリと動き、覚醒の気配を見せる。
この男なら、自力で立ち上がることが出来るだろう。
レンは安堵し、正体を悟られないうちに、その場から離れた。


少し歩くと、
巨大な黒い岩がトンネルを形造る入江に出た。
レンは身を隠すように手頃な岩の上に腰を下ろし、
乱れた息を整え始めた。
全身が濡れたままだが、いまはうかつに動けない。
体力の回復を待たなければ、遊太郎の姿を取ることさえ難しいのだ。

その時。
聞き覚えのある女の声がした。

「ムダに体力を消耗するだけなのに、
あんな地球人を助けるなんて。優しいのね。レン」


〜第195回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2009-08-23 13:57

第193回接近遭遇「連続傷害事件の秘密調査命令」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

遊太郎は携帯電話を切った。
上司からの緊急コールだ。
桃子を怒らせたままだが、ステーションへ戻らねばならない。
それでも、彼女が飲み散らかしたテーブルやキッチンを片付ける。
家事全般は、遊太郎の分担だからだ。

やがて彼は自分の部屋に入り、まん丸メガネを外すと、
ついさっきまで情けなくも桃子にやりこめられていた、
頼りなげな遊太郎から、本来の姿へ戻ってゆく。
地球時間では深夜に差し掛かるが、
平凡な営業マンから裏の顔へと、鮮やかに切り替わる瞬間だった。
……彼、レンは速やかに瞬間移動した。



「他エリアのメンバーだが、調査員が数名、連続してやられた」

月の裏側に浮遊する銀河連盟ステーション。
その円形ミーティングルームでは、
上司ロータスが事件の概要を説明していた。
やや遅れて入室したレンは、29名の視線を一瞬だけ受けてしまった。
メンバーの中で最年少のレンが、
先輩より遅れて登場したため、多少呆れた表情も見て取れる。
彼がデスクの空席に座ると、ロータスが咳払いをして続けた。

「何者かに急襲された調査員は、一様に身に覚えがないと言う。
身辺には充分な警戒をしてもらいたい」

そこで、誰かが質問をした。
「不法侵入者の仕業ですか?」
すると、ロータスは首を振る。
「まだ不明だ。調査員ばかり狙われているとすると、
その可能性は高いが……」
「ある特定の調査員に恨みを持つ、エイリアンかもしれませんね」

そう言った者が、レンの方を意味ありげにチラリと見た。
「凄腕な彼のやり過ぎで、痛い目に遭った侵入者は多い。
報復として、他の調査員を無差別に狙っていると考えても、
おかしくないと思います」
他にも同意するメンバー達が一様に、レンを見やる。
迷惑な話だと、不穏なざわめきがミーティングルームを揺らした。

当の本人、レンは相変わらずクールな顔をさらして、
動揺もなく黙って座っていた。
優れた身体能力、さらに特殊能力者である彼は、
短期間で数々の不法侵入者を摘発し、
その圧倒的な強さに、中には危惧するメンバーも多いのだ。
今回の事件も、レンに逆恨みを持つ者がいるからだと、
安易に考えてしまう者がいてもおかしくはない。

「犯人はまだ特定されてはいない」

ロータスがやんわりと釘を刺し、ざわめきが静まった。
幾つかの定例報告のあと、解散を告げたロータスは、
それぞれのエリアへ散ってゆくメンバーを後目に、
レンにのみ、サインを送った。

中枢センターに呼ばれたレンは、詳細な事件データを渡された。
自分に向けられる周りの批判は慣れているかのようだ。

「頭部強打、全身打撲、背後から急所を外した狙撃。
このデータを見る限り、エイリアンの匂いはしません」
あっさり分析してのける彼へ、
ロータスは苦笑をして肩をそびやかせた。
「さすがに、君には誤魔化しは効かないようだな。レン」
「え?」

次に聞いた一連の話は、耳を疑うものだった。
「今回の事件に見え隠れするのは、別の調査員」
「別の?」
「やられた者は例外なく、ある調査員と何度か接触を持っている。
その者の名は、笹川夏希」

「!」

初めてレンの表情が動いた。
笹川夏希。
先日、再会したばかりの女性であり、
別の管轄に所属する派遣調査員だと言っていた。
ロータスは、思慮深い眼差しでレンを見つめる。

「やはり、知り合いかね?」
「……昔の話です」

視線を落としたレンは、苦いものを感じて黙り込んだ。
そんな彼にロータスは抑えた声音で言った。

「この情報は君にしか流していない。
まだ、関わっていると決まったわけではないからだ。
……秘密裏に、笹川夏希を調査してもらいたい」

しばらく考えたのち、レンは頷いた。

「承知」



〜第194回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2009-08-19 23:50

第192回接近遭遇「桃子に白状させられる遊太郎」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜
★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

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「遊太郎。笹川夏希って、女。……だれ?」

怒った桃子に問い詰められた遊太郎は、
突き出された名刺を受け取って、少し戸惑うように見た。
「会ったんですか?桃子さん」
「今日の昼間、会社に遊太郎を訪ねて来たのよ。
たまたま、あたしが応対したんだけど」
「……そうですか」

遊太郎は、ほんの少しだけ何事か考えていたが、
「…何か、話していましたか?」
と訊いた。
桃子はぶっきらぼうに答える。
「自分も本当は派遣調査員だって言ってた。
遊太郎に再会出来て嬉しそうだったよ。
なんか知的な感じで美人だよね。あの人、遊太郎の……」

遊太郎の元恋人?
と、問いかけようとして、
やっぱり抵抗があったので言い換えた。
「あの人と、前に、付き合ってたりした?」
「付き合う?」
どうもニュアンスが通じない。
「だから、その……。単なる友達じゃなさそうだし」
「……」
彼はしばらく黙った。
その沈黙は短いものだったが、桃子には長く感じられた。


「宇宙には」

遊太郎は、ありふれたことのように話し出した。

「星間戦争ばかりしている領域があって。
僕は、生まれ故郷を出たあと、しばらく放浪していましたから、
そういった領域に足を踏み入れ、戦争に巻き込まれたり、
戦闘機のパイロットをしていたこともあったんです。
その時、同じ所属部隊だった彼女と知り合って、
行動を供にしていました」

星間戦争、戦闘機のパイロット?

平和過ぎる日本に暮らしている桃子には、
ピンと来ない単語が並ぶ。
ニュースで流れる外国の戦争風景しか知らない上に、
外見が、高校生か悪くすれば中学生のような遊太郎が話しても、
イメージが全く湧かない。

「全然、説得力ないんだけど?」
ストレートに感想を述べたあと、桃子は、はたと気づく。

日頃は、すっかり忘れているが、
遊太郎の素顔は、背格好も雰囲気も声すら別人のレンである。
さらに、不法侵入者を取締まる任務を帯びているのを、
今さらながら思い出した。
そういえば、そのレンが記憶障害を起こしていた時、
彼の中では時間が逆行していたせいか、
荒々しい波動を身に纏っていたこともあった。
そうした、人を突き放したような一面が、実際の彼なのだとしたら、
笹川夏希は桃子より、本当の彼に近しい存在なのかもしれない。

「でも、何で彼女と離れたの?同じところにいたんでしょ」
「はい。それが、ゲリラ戦になってしまって、
部隊が解体したんです。
無事なのは分かっていたんですが……」
「ゲ、ゲリラ戦?」

おっとりした遊太郎が、ふわっとした高い声で話しても、
やっぱりリアリティに欠ける。

「とにかく」
桃子は話を元に戻した。
「あの笹川夏希って人と同じ派遣調査員同士になって再会したんなら、
これからも時々会うってことだよね?」
「それはないと思います。担当が違うようですから」
「仕事じゃなくってプライベートでも。
彼女はたぶん、会いたいと思ってるはずだよ」
「どうしてですか?」
「女のカン」

遊太郎は、首を可愛らしく傾げた。
「すみません。
桃子さんは、さっきから何を怒っているんですか?」
「何って……!」

このセリフに堪忍袋の緒が切れた。
やけにのん気そうな遊太郎が憎たらしい。
いまに始まったことではないが、女心には本当に鈍感なようだ。

「もういい」
いきなり立ち上がる。
「桃子さん?」
「遊太郎って、ぜっんぜん、人の心がわかんない時あるよね。
別に、あんたが誰と会おうが自由だし、好きにすれば?おやすみ」
早口で言い放ち、桃子はさっさと自分の部屋に引き上げてしまった。

「桃子さん……」

もっと怒らせてしまったようだ。
彼女の飲んだビールの空缶を集めていると、
遊太郎の携帯電話が振動した。

『レン。緊急事態だ。すぐにステーションへ戻れ!』


〜第193回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2009-08-16 14:33

第191回接近遭遇「今カノ VS 元カノ」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「私も森田さんと同じく派遣調査員です。
あなたなんですね。五十嵐桃子さん。
彼と一緒に住んでいる地球人って」

笹川夏希のこのセリフに、桃子は絶句してしまった。
遊太郎と同じく派遣調査員ということは、彼女も異星人なのだろうか……?

「言い当ててしまって、ごめんなさい。
あなたが彼と暮らしている映像が視えてしまったのと、
とても珍しいケースだと思ったから、つい…」
「珍しい?」
「ええ。普通、調査員は1人でいることが多いんです。
特に彼のようなタイプが、誰かと暮らしていることが不思議で」
「どういうことですか?」

食い下がって聞いてみる。
以前の遊太郎のことを良く知っている口振りが気になる。
すると、彼女は思い出すように答えた。

「私といた時、彼は、とても冷たい瞳をしていたから」
「あなたと、いた時……?」
「そう。まるで孤独な戦士みたいな、ね」
「……」
「だから、まだ信じられないんです。
調査員になっていることも、
現地惑星人と、一緒に暮らしていることも」

どう答えていいか分からなくて混乱している桃子へ、
彼女は、我に返って詫びた。
「変なことを話してしまって、ごめんなさい。
お仕事中に、失礼しました」
笹川夏希は軽く会釈し、エントランスの向こうへ消えて行った。
残された桃子は、呆然としながらエレベーターホールへと歩いた。

私といた時。
彼女のそのセリフが引っかかっていた。
…それって、つまり、あの笹川夏希って女と、
遊太郎が昔付き合ってたって意味?
とても賢そうで、落ち着いていて美人で。
なんだか再会出来て、嬉しそうだった。

「遊太郎のバカ……」

桃子は、そう口の中でなじりながら名刺を握りしめた。


その頃。
外に営業に出ていた遊太郎は、ハンバーガーが入った包みを抱えて、
高山が待つ車の中に飛び込んだところだった。
運転席にふんぞり返った高山が罵声を浴びせる。

「森田。てめぇ、ハンバーガーごときで何分かかってんだよ?」
「すみません。混んでいて」
謝りながら、高山の言いつけ通り、特大ハンバーガーとコーラを渡すと、
「ん?お前のは?」
と、妙な顔をした。
遊太郎は、にっこりして、僕はいいんですと答えると、
バカにしたように眉を八の字に寄せる。

「へっ。ハンバーガーが食えないのか?今どき珍しいヤツだな」
「はあ」
逆に、遊太郎からすれば不思議だった。
何故、地球人が好んでファストフードを食べるのか。

仕事に対してやる気がないらしい高山は、
ほとんど遊太郎に仕事を押し付け、
車内でCDを聞きながらハンバーガーをほおばり、メールを打ちまくっていた。
「そういや。今週の土日、開けとけよ」
「はい?」
「会社の電子メール、見てねえのかよ。
イベント好きな斉藤課長が急に計画して、
営業一課全員参加で海ツアー、やるらしいぜ」
「は、はあ」

今週といえば、桃子と海に行く約束をしたのだが、
行事があるなら、流れてしまいそうだ。
すると、高山が嬉しげにつぶやいた。
「けど。海っていや、五十嵐桃子の水着姿か。それも悪くねえよな」
「……」
遊太郎は複雑な思いだった。
プライドの高い高山は、いまだ自分になびかない桃子を、
執念深く狙い続けている。
その為に、この男を彼女に近づけさせたくはないのだが……


その夜。
帰宅した遊太郎は、
リビングで桃子が待っているのに気づいた。
また何やら怒っているが、並みの怒り方ではない。
髪をポニーテールにし、腕を組んでいる姿は男顔負けの迫力だった。
彼女は顎を動かして座れと命令した。
訳がわからないまま、上着だけを脱いでソファーに座った遊太郎へ、
彼女は据わった目つきで尋問した。


「遊太郎。笹川夏希って、女。……だれ?」


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by yu-kawahara115 | 2009-08-12 23:20

第190回接近遭遇「遊太郎の浮気発覚?」

~もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

土曜日の昼前になって、ようやく桃子は目を覚ました。
頭がズキズキ痛い。
また酔っ払ってリビングで寝てしまったらしい。
見ると、自分にブランケットがかけられていて、
テーブルの上も綺麗に片付けられている。
きっと遊太郎が帰って来てやってくれたのだろう。

「ねえ、遊太郎、合コンどうだった?」
彼の部屋のドアをノックするが返事がない。
「入りまあす」
と、わざと言って開けてみた。やっぱり、いない。
青いベッドカバーは使われた形跡もなかった。
一度帰ってまたどこかへ行ったのだろうか。
ふと、白い紙が床に落ちているのを見つけた。
名刺のようで、拾い上げて印刷された名前を読んだ。

「ささがわ、なつき……? 」

笹川夏希。
綺麗で知的な感じの女の名前だ。
インテリアコーディネーターのアシスタントと書かれている。
仕事先で知り合ったとは思えず、桃子の胸の中がざわざわと騒ぎ始めた。
まさか、金曜日の合コンで会った女……?

結局、
遊太郎は休日中には帰って来なくて、
顔を見たのは月曜日の朝だった。
ごく普通にキッチンで桃子の朝食を作り、
起き抜けでぼうっとしている彼女の前に、搾りたてのオレンジジュースを置く。

「おはようございます。桃子さん」

のん気そうな笑顔が今朝は憎たらしい。
ひとの気も知らないで。

「あのさ、遊太郎」
「はい?」
「えっと……」

名刺の女のことを聞こうと思ったが、止めにした。
なんだか探りを入れているようで性に合わない。
「何でもない。それより休みの日くらい、一緒にどこかへ行こうよ。
海とか行きたいな。あたし」
「海。いいですね」
「じゃ、決まりだね。今週の日曜日に海に行こ。
仕事はもう入れないでよ。絶対、約束」
「はい。わかりました」

彼は快く承諾し、桃子に新しいおしぼりを持って来てくれたので、
単純にも、すっかり浮気疑惑がふっ飛んでしまった。
新しい水着を買わなきゃと、ワクワクし始める。


ところが、その日の午後。
桃子は、会社で一本の内線電話を取った為に、
幸せな気分が台無しになってしまった
遊太郎に客が来ていたのだ。
もちろん彼は営業に出ていたのだが、
受付から客の名を聞いて彼女は驚いた。

「……笹川夏希?」

程なくして、
桃子が1階に降りてみると、エントランスのロビーに若い女性が立っていた。
黒いパンツスーツがすっきりと似合っていて、
ストレートの黒髪をサラリと流した姿は充分に知的だった。
ノンフレームの眼鏡の下で、利発そうな瞳が桃子を見つめる。

「突然すみません。私、笹川夏希と申します」

名刺を渡された桃子は、
遊太郎の部屋に落ちていたものと同じだと知り、
胸のざわめきを再燃させてしまった。

「近くまで来たので、森田さんがいらっしゃるなら、
と思っただけなんです」
「森田は外出中で、夕方まで戻りませんが」

あんた、合コンで知り合った女なんでしょ?
桃子はそう言いそうになるのをこらえて、
名刺をスカートの前で暖めていた。
そんな彼女を見て、ふっと笹川夏希は微笑んだ。

「あの、失礼ですが。
あなたは、もしかしたら、森田さんの……?」
「同僚です」
すると夏希は、何事か考えて、じっと見ていたが、
やがて、サラリと信じられないことを口にした。

「私も、森田さんと同じく派遣調査員です。
あなたなんですね。五十嵐桃子さん。
彼と一緒に住んでいる地球人って」


〜第191回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2009-08-09 18:40

第189回接近遭遇「別れた元カノ、登場?」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「割に合わない仕事ね。派遣調査員って」

今夜の合コンで知り合った女性、笹川夏希がそう言った。
遊太郎は耳を疑う。
「派遣調査員?ひと違いです。僕は、営業の仕事で」
すると、彼女はポツリと訊いた。

「もう、忘れてしまった?私のこと」

謎めいたセリフに、再び彼は戸惑った。
そして、ためらいがちにスキャニングをしてみる。
あらゆるものを判別してしまう遊太郎のセンサーは、
笹川夏希を地球人ではないと伝えていた。
さらに彼女が自分と、以前会ったことのある人物だということも……

「思い出せそう?懐かしいわね。
あなたも派遣調査員になっていたなんて」
知的に微笑み、さりげなく名刺を渡す。
それは、ごく普通に印刷された会社の名刺だが、
遊太郎には、派遣調査員としての登録データが二重写しで視える。

「派遣キャリアは、まだ3年なの。
あなたとは管轄が違うみたいだから、今まで会わずにいたのかもね。
でも、こうして再会できて、嬉しい」

その時、
幹事が立ち上がって二次会はカラオケですと叫んだ。
それを聞いた笹川夏希は、用があるからと柔らかく断り、
遊太郎に会釈して、その場から居なくなってしまった。
その様子を見た男達が口々にからかう。

「なになに。森田くん、初めての合コンのクセに収穫アリ?」
「笹川さんだっけ。知的美人って感じだよな。
ガキっぽくて、超トロそうなお前なんかと、
全然つりあわねえんだけど?」
続いてカラオケへ強引に誘おうとしたが、
遊太郎はすみませんと断った。
そろそろ帰らなければ、桃子が一層不機嫌になる気がした。


深夜。
マンションに帰ってみると、
リビングで、桃子がふて寝をしていた。
遊太郎は、思わず笑みを浮かべて、
彼女の身体にブランケットかけてやり、
飲み散らかした缶ビールやツマミを片付けた。
そのあと、猫のように丸くなっている彼女の頬に、
触れようと手を近づけたが、
なんとなく、思いとどまってしまった。

そのまま自分の部屋へ入り、上着を脱いでネクタイを外した。
まん丸メガネを取ると、
小柄だった身体が、ふいにスラリとした長身へ変わり、
おっとりした子供のような顔も、驚くほど整った素顔へ戻ってゆく。

…彼、レンは、先刻渡された笹川夏希の名刺を取り出し、
物憂げな表情で見つめていたが、
やがて振り切るようにクローゼットの細長い扉を開けた。
何の変哲もないクローゼットは、
地球と銀河連盟ステーションを繋ぐ転送装置であり、
彼はスッと扉の向こうへ消えた。


月の裏側に浮遊する銀河連盟ステーション。
その中に調査員の訓練用サイキックジムがある。
そこには宇宙空間をシュミレートした、射撃訓練ドームが造られていた。
レンは、全身を覆う漆黒のスーツ姿に着替え、
セピア色のアイガードを装着した。
そして、慣れたようにサイキックガンを構えると、
変幻自在な仮想敵の光を捉えて、鮮やかに撃ち続けた。

しばらくのち、ドームから出てみると
様子を見にきた上司ロータスに声をかけられた。

「相変わらず素晴らしいスピードだな。レン」
「キャプテン…」

アイガードを取り外したレンは、
顔に乱れかかる前髪を、しなやかな長い指でかきあげ、
いきなり訊いた。
「キャプテン。女性も地球へ派遣されているというのは本当ですか」
「もちろん。我々は男性メンバーばかりだが、
他のチームにはいるだろう。
何だ、地上で会ったのかね?」
「・・・・・・別に」

素っ気ない返事のあと、失礼しますと言い捨て、
彼はさっさと別の訓練へ向かった。
ロータスは呆れたように忠告する。

「トレーニングもいいが、睡眠はちゃんと取れ。いいな、レン」

全く休むことを知らない困った部下だ。
やれやれ、とロータスは肩をそびやかせ、
レンが残した射撃訓練の、異常なほど高いスコアを眺めた。


〜第190回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2009-08-06 00:05

第188回接近遭遇「波乱を呼ぶ合同コンパ」

~もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?~

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

金曜の夜。
遊太郎にとって初めての合コンがレストランで始まっていた。
5人の男女の自己紹介や、お決まりのゲームが賑やかに進行していく中で、
女性陣は、童顔の遊太郎に注目し始めた。

「えっとぉ、森田さんだっけ。コナンに似てるって言われない?」
「あたしも思ってた。見た目、絶対コナンだよね」
有名アニメを持ち出して面白がる。
「社会人ぶってるけど、ホントはまだ学生だったりして?」
「お父さんのスーツ借りて着てるみたい。それ、ダブダブじゃん」

遊太郎は少し当惑しながら、愛想笑いを作るしかなかった。
派遣調査員マニュアルに、こういう場合の対応策は載っていない。

面白くないのは他4人の男性陣である。
彼らは遊太郎と同期入社した社員だが、親しいわけではなく、
人数合わせと自分たちの引き立て役に、遊太郎を連れて来ただけだ。
意外なところで彼が注目されたので、
彼らは視線を素早く走らせ、全員に提案した。

「いきなりですが、質問コーナーです。
コナンにソックリな森田遊太郎くん。
君は彼女らの質問には絶対正直に答えなければならない。
どう、これ?」
すると、女性たちがわっと乗って来た。
「あ。いいかも」
「でもぉ。ちょっと、かわいそ」
「面白いじゃん。やろうよ」

遊太郎にとって、ますます困った状況になった。
途中で帰るわけにもいかない。
適度に緊張感が緩み始めた女性たちが質問を始める。

「森田くんの好きなタイプを教えてくださぁい」

いきなりかよ、と皆が笑い出す。
遊太郎は、頭をぺこりと下げた。
「すみません。わかりません」
とたんに男たちが口を尖らせた。
「ダメダメ。森田。初っぱなからシラケるじゃないか。
じゃあさ、今まで付き合った女の子はどんなタイプ?
それなら答えられるんじゃね?」

さらに難解な質問だ。
下を向いた遊太郎に、彼らがこれ見よがしに大きな声で謝った。
「あっ、ごめん。森田。
お前、まだ誰とも付き合ったことなかったっけ?
合コンだって、今日が初めてらしいしさ」

え、そうなんだ?と女たちが世にも珍しげに遊太郎を見た。
「ひょっとしたら、ヲタク系?」
「っていうか、引きこもり系かも」
「やだ。じゃあ、これって社会復帰の合コン?」

彼女たちの反応は目論見通りで、彼らは内心でほくそ笑み、
「まあ、こんなヤツでも、カノジョが欲しいわけなんで、
今夜はお手柔らかに、楽しくやりましょう」
と、スマートにまとめた。
クスクス笑いが生まれて消えたあと、席替えになり、
それぞれ隣同士で話題が散ってゆく。

散々こきおろされた遊太郎は、
早く終わらないだろうかと腕時計を見た。
その時、新たに隣に座った女性に話しかけられた。
「森田さん、飲まないんですね。お酒苦手?」
顔を上げると、長い髪をストレートにした女性が見つめていた。
女性陣の中では、あまり喋らず、
遊太郎をからかっていなかった唯一の参加者だ。
フレームのない眼鏡をかけた知的な顔立ちは、誰かに似ている。

「私、笹川夏希です」
「笹川夏希、さん」
遊太郎は名前を繰り返した。
笹川夏希という女性は、目立たないグレーのスーツを着て、
華やかな他の女性とは違う雰囲気を持っていた。
「急に、人数が足りないからって、仕事帰りに誘われたんです」
「ああ、そうなんですか」

自分も似たようなものだ。
少し安心した彼は、夏希がじっとこちらを見ているのに気がついた。
眼鏡の向こうで、黒い瞳が不可思議な光を放っている。
彼女は、2人にしか聞こえないように言った。

「それにしても、見事な変装。だから、最初は分からなかった」
「え? 」
「あんなに馬鹿にされて悔しくはないんですか?
本当のあなたは、誰よりも美しく、強いのに・・・・・・
割に合わない仕事ね。派遣調査員って」

「!」

遊太郎の表情が一瞬、引き締まった。


この女は……?


~第189回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2009-08-02 12:49