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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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<   2009年 01月 ( 8 )   > この月の画像一覧

第141回接近遭遇「桃子、超セレブ男子にキレる!」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
超童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているが、
恋愛モード激走中♪

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「こんな空気や自然が汚染された地球に、
親友のレンが派遣されていたとは驚きでした」

そう感想を言ったのはサーフィスである。
遊太郎、つまりレンの友人らしく、
桃子のマンションへカミラと共に訪問していたのだ。


悪かったわね。どうせあんたの星よりは環境は劣悪よ。
桃子がふてくされていると、
彼がグリーンの瞳で自分をじっと観察しているのに気がついた。

「何ですか。あたしの顔、珍しい?」
ついぶっきらぼうな口調になる。
するとサーフィスは微笑して遠慮なく言った。
「失礼しました。あのレンが女性に関心を抱くなんて、
一体、どんな方かと思って」
「はあ?」
「故郷の星には美しい良家の姫君たちが、たくさんいたのに、
レンは、ほらあの通りクールな奴で。
宇宙船の操縦やスポーツにばかり熱中していた。
だから、そんな彼の心を射止めた地球人女性に興味があるんですよ」

へえ。そんなにキレイな女の子がいっぱいいるのか。
カミラを見ているので納得するが。
それにしても露骨に比較されて桃子はムカムカした。
しかも彼は、無神経にも喋り続ける。

「地球に恋人がいると知って、
親友としては気になる。
ボクの愛するレンが、
変な地球人女性に遊ばれていたら嫌ですからね」

ボクの愛するって。このセレブ、もしかしてホモ?
それにコイツの言い方じゃ、
あたしが遊太郎をたぶらかしているように聞こえるんだけど。
桃子はカミラへ救いの視線を向けるが、
残念ながら彼女も相当な天然だった。

「まあ。カミラもサーフィスに負けないくらいレンが好き。
でもレンはね、モモコさんがもっと好き。
だからカミラ、あきらめたの」
それを聞いて彼がオーバーに眉をひそめる。
「なんと、人は自分に無いものを求めるというが。
それにしても信じられない」


桃子のこめかみが怒りでピクピクと動いた。
客がいるからと我慢していたが、冷蔵庫からビールをガシッとつかみ、
豪快に一気飲みする。
カミラはともかく、このデリカシーに欠ける変態セレブ男子は、
早く出て行って欲しい。

するとカミラが思い出したように言った。
「モモコさん。このあいだ、
レンと離れて暮らさなきゃいけないかもって言ってた。
あれから、どうなったの?」
「え」
あああ。いまそれを話題にしちゃヤバいって、カミラさん。
ところが抜け目なく聞いていたサーフィスが、
楽しげに目をキラキラさせた。

「おや、レンと別れるのですね?桃子さん」


そのセリフに桃子の中で何かがぶちっとキレる音がした。
「誰が、別れるって?」
缶ビールをテーブルにダンと音を立てて置き、
サーフィスを睨みつける。
「ちょっと、あんた。
遊太郎の親友かなんか知らないけど、さっきから超ムカつくのよ。
だいたい人の家に上がり込んで、
自分ちのシャワールームより小さいだの、汚い星だの、
あたしを色々品定めしたり、
挙げ句の果てには別れるんですかって?
バカにするんじゃないわよっ!」
突然の物凄いタンカに一同シンとなる。


…しまった。
頭の片隅で桃子は後悔したが、もう引っ込みがつかない。
サーフィスやカミラは驚き過ぎて石像のように固まっていた。



そこへ、背後から声が聞こえた。
「何をしている」

サーフィスがギクリとして振り返る。
いつの間に帰って来ていたのか、
リビングの入口にレンがもたれて立っていたのだ。
半ば呆れた表情でサーフィスを見下ろし、
彼は慌ててソファから立ち上がった。
「や、やあ。レン。早いお帰りだね。お邪魔しているよ」
カミラも素直に謝る。
「ごめんなさい。レン。サーフィスを連れて来たのは、わたしなの」

レンは何も言わず、リビングのドアをスッと開けた。
顔だけ動かし、帰れと促すポーズをする。
表立って怒鳴らないだけにサーフィスには恐ろしいので、
早口で弁解し始めた。

「君に黙って来たのは謝るよ。レン。
でも気になるじゃないか。
君の暮らす場所や、どんな女性と同居しているのか。
それにしても下品な女性だね。
きっと君は彼女に騙されてるんだよ。
早く別れてボクと星へ帰…」


サーフィスの頬に、レンの拳が飛んだ。


~第142回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2009-01-28 18:49

第140回接近遭遇「ルームシェア続行の条件」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

★森田遊太郎=レン・ソリュート(23)★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
超童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているが、
ただいま恋人モード激走中♪

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「遊太郎ちゃんの新しい部屋、見つかりそうよ」

桃子が会社から帰宅したところへ、母親の弘子から電話が入った。
「今週の日曜にでも、遊太郎ちゃんに見に行かせなきゃね」
「お母さん、ちょっと待って」
桃子は弘子の勢いを必死に止めた。
ここはもう、勇気を出して話すしかない。

「あたしも遊太郎も子供じゃないし、
自分の身の振り方くらい自分で決めます」
電話の向こうで、息をゴクリと呑む音がして、
次に来る言葉が予想出来た。

「あんたって子は、今まで大きくしてもらって、
よくそんな偉そうなこと言えるわね。
あたしから見たら、あんたたち2人とも世間知らずなヒヨッコなんだからね」
「ヒヨコだって、いつかニワトリになるもん」
「ったく。理屈だけは一人前ねえ。
ちょっと遊太郎ちゃんに代わりなさい。桃子。あんたじゃ話にならないし」
「残念でした。アイツなら仕事」
「じゃ、遊太郎ちゃんのケータイ教えなさい」
「イヤ」
「何ですって」


怒鳴られるかと構えたところへ、意外にも真面目な質問が返ってきた。
「桃子、ひょっとしてあんた本気なの?」
「え」
「遊太郎ちゃんのこと。本気で好きになったの?」
いきなりの核心を突いてきた。
適当に誤魔化しても良かったが、
今しかないと直感して、正直に答えた。
「…うん。本気だよ」
「そうなの?イトコな上に、遊太郎ちゃんは、あんたより3つ年下よ」
「好きになっちゃったんだから、仕方ないよ」


ああ、言っちゃった。もう取り返しがつかない。
でも不思議とスッキリしていた。
「信じられない…。
そりゃイトコ同士で、そうなっちゃいけない法律はないけど」
「……」
「で、あんたたち結婚したいの?」
「へっ?」


ちょっと待った。遊太郎と結婚?
桃子は顔を赤くしてしどろもどろになった。
「け、結婚とかって、それは…まだ」
「結婚するつもりでそうなったのなら、
まあ。そりゃ手放しで賛成できないけど無理に離れろとは言わないわ。
でもねえ。遊太郎ちゃんは社会人一年生。これからって子なの。
妹の洋子から預かってる手前もあるしね。
ちゃんと結婚前提の同居じゃなきゃ、別れさせるから」

ピシッと言うなり電話を切られ、桃子は大きなため息を吐いた。
「ったく。結婚なんて急に。
だいたい、あの遊太郎がハイなんて言うはずないじゃん」
その時、玄関のベルが鳴り響き、
こんな時間に宅配便かなと思いながらドアを開けた。


「モモコさん、こんばんは」
やって来たのは、先日も遊びに来たカミラである。
相変わらずモデル並みに手足が長く愛くるしい。
ここしばらくは地球に滞在しているようだ。

「カミラさん。ちょうど良かった。
この間の事で、聞いて欲しいことが…」
先刻の母親との電話の内容について喋りかけたが、
彼女の背後に立っている人物にギョッとした。


ウェーブのかかった金髪に澄んだグリーンの瞳、
ワインレッドのスーツを着た外国人男性が立っていたのだ。
カミラが無邪気に笑う。
「レンの友達とちょうど会ったの。だから連れて来ちゃった」
「と、友達?」
すると、その外国人は上品に微笑した。
そういえば、この人、見たことがある。

「あなたがレンの同居人の方でしたか。
この間はぶつかってしまい失礼しました。
ボクはサーフィス・ロード。レンの親友です」
「ええっ!」
ってことは、彼も宇宙人?
桃子は思考回路がぶっ飛びそうになった。


遊太郎の留守中とはいえ、カミラも知っている人間なら、
むやみに追い返すわけには行かない。
リビングに通したサーフィスという男は、
ストレートに感想を述べた。
「これは驚いた。ボクのシャワールームより小さい」

はあ?

桃子は茶を淹れながらムッとしたが、愛想笑いを作る。
「そんなに大きな家に住んでるんですか?」
すると彼はニコニコと答えた。
「ボクやレンの宮殿は、日本でいえば東京ドームの10倍はあるから。
レンもこんな小屋でよく我慢してるなあと思って感心しました」


…コイツ、一発殴ってやりたい。
桃子はキレそうになった。


~第141回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2009-01-24 12:10

第139回接近遭遇「レン×サーフィス」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

★森田遊太郎=レン・ソリュート(23)★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
超童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の男勝りで現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているが、
ただいま恋愛モード激走中♪

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「父の命令で地球に来たのか?」

レンの鋭い視線にサーフィスは少し怯んでみせたが、
クスッと笑って、あっさりと白状した。
「その通り。親友であるボクなら君を故郷のソリュート星に、
連れ戻すことが出来ると思われたみたいだね」
「それは無駄足だったな」
レンは、肩を抱くサーフィスの手を振り払った。
しかし彼はお構いなしに続ける。

「ねえ、レン。君のお父上様は支えが必要なんだよ」
「支え…?」
「そう。あんな広大なソリュート星系を統治してるんだもの。
王子の君を片腕として欲しいはずだ」
「今さら…」
レンは何かを言いかけて止めた。
そこでサーフィスはわざと思い出したように声を高くした。

「あ、そうそう。君の恋人に会ったよ。
美しいボクを見ても反応が鈍いというのか。
少し変わっているよね?五十嵐桃子っていう地球人女性は」
「!」

驚いたレンが、ぐいとサーフィスの襟元をつかんだ。
「会った…?どういうつもりだ」
「おお、怖いね」
「彼女には絶対に近づくな!」
「ふふ。怒った君も凛々しくてドキドキする。愛してるよ」
からかうことを楽しんでいる彼に、
レンは怒りをかろうじて抑え、手を放した。

調子に乗ったサーフィスは構わず質問する。
「あれが君を地球に引き止めている恋人とはね。
あんな平凡で気が強そうな女のどこが良かったの?」
「……」
「ソリュート王子にふさわしい、洗練された多くの姫君達には、
今まで振り向きもしなかった君がね」

その質問にレンは、ほんの一瞬だけ微笑した。
「サーフィス。君には、わからないだろうな…」
「え?」
「僕のことは、もう放っておいてソリュート星へ帰れ」
言うなりスッとドアに向き直り、
レンは甘い花々の香りが漂う部屋から出て行った。



広いスイートルームに残されたサーフィスは、
豪華なソファに深く腰掛けてため息をつく。
「ああ、紅茶が冷めてしまった。
数年ぶりの感動の再会のはずだったのに、
相変わらず無愛想な奴」

そこへ奥の部屋から1人の紳士がすうっと現れた。
撫でつけたダークグレイの髪に秀でた額、
知的な面長の顔には細いフレームの眼鏡をかけ、
落ち着いた物腰でテーブルにつく。

「初めてレン王子を拝見しましたが、硬派な好青年ですね。
あなたとは面白いように対照的だ」

その男の素直な感想に、
サーフィスはナルシズムを露わにして細い眉を片方あげた。
「ボクの方が、よりゴージャスで美しいと思うけど?
実際言い寄る女の子の数は、
いつもボクの方が多かったんだよ。ランドエル博士」
ランドエルと呼ばれた男は彼の自慢話を聞き流して、
淡々とコメントを述べた。

「どちらも絵になるお二人です。
レン王子は確かにサーフィス様のような華やかさは無い。
しかし凍てついた銀の月のように、
まさにクールビューティー。
非常に、私には興味のある素材です」
「博士は地球が珍しくて、ついて来ただけだろう?」
「つい、何でも研究対象として見てしまうものですから」
ランドエル博士の眼鏡の奥の目には、
油断のならない光が宿っていた。

「サーフィス様。レン王子を恋人から引き離す方法を教えましょうか」
意味ありげに提案する。
「引き離す?頭脳と身体能力ではレンに勝てないんだよ。
ケンカだって相当強いしね」
肩をそびやかす彼へランドエルは薄い唇を曲げた。


「忘れさせるのですよ」
「忘れさせる?」
「ええ。全てを忘れさせてしまえばいい。
地球の恋人のことも何もかも…」
「……」

不意にサーフィスはグリーンの瞳で睨んだ。
「博士、不穏過ぎる発言は慎みたまえ。
ボクの断りもなく、大切な親友に勝手な真似をすることは許さないよ」
すると彼は眼鏡を直す仕草をし、穏やかに頷いた。
「仰せのままに。サーフィス様」


「さて。それより問題は五十嵐桃子だ」
一転して軽い調子のサーフィスに戻り、楽しげに言う。
「今まで、あまり女の子に関心がなかったレンが、
本気になったという彼女にボクは興味がある」


~第140回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2009-01-21 19:23

第138回接近遭遇「セレブな親友 サーフィス」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

★森田遊太郎=レン・ソリュート(23)★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
超童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の男勝りで現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているが、
ただいま恋愛モード激走中♪

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

あの激しい雨の夜。
遊太郎が発見した小型偵察機は合計47個。

あらゆる角度から映像や盗聴が記録できる金属のボールであり、
マンション周辺に浮遊していたそれを、
ひと晩で全て回収し破壊したのだが、
こんな事がこの先も続くなら、
桃子から離れた方がいいかもしれない。
と、彼はそう思い始めていた。
父親との諍いに彼女を巻き込みたくはなかったからだ。


「森田。待たせたな。何見てんだ?お前」
頭の上でぶっきらぼうな声がした。
いま遊太郎はホテル内の喫茶店にいて、
高山を待っていたのだ。
いきなり彼は遊太郎から書類を引ったくり、
ドカッと隣の椅子に座った。

「社員寮の案内?。へえ、お前いまの部屋を追い出されるわけ?」
桃子とルームシェアしているとは知らない高山は、
馬鹿にしたように言った。
「さては家賃滞納してたんじゃね?貧乏くせーしな、森田って。
そうだなあ。こんな超高級ホテルにゃ仕事でもねえ限り、
まあ一生縁がねえんだから、
打合せだけの間でも利用できて有り難く思えよ?」
相変わらず言いたい放題である。

しばらくして取引先の担当者が現れ、
口達者な高山のお陰で商談はすぐにまとまった。
その相手も帰り、自分たちもそろそろ行くかと立ち上がった時である。
フワリと華やかな香りが漂った。


「失礼」
目の前に若い外国人男性が微笑していた。
女性と見紛う美しい顔立ちに高山が思わず口を半開きにする。
軽くウェーブのかかった金髪と澄んだグリーンの瞳、
淡いラベンダーのスーツを着こなし、
その美男子は周囲の注目を浴びていた。


「知り合いかよ?森田」
高山は肘をこづいて遊太郎に尋ねた。
しかし遊太郎が黙ったままだったので、
美しき貴公子はクスッと笑った。

「サーフィスだよ。忘れたのかい?
何年ぶりだろう。親友の君に再会できるなんて。
良かったら、あとでボクが泊まっているスイートに遊びに来ないか?
君の住んでいた城に比べたら、
このホテルもハト小屋みたいなものだけどね」
流暢な日本語を操ったあと、
では、と丁寧に一礼して立ち去って行った。
甘い残り香の中、高山が遊太郎のネクタイをむんずとつかむ。

「いま城とか聞こえたけど、冗談だよな?」
「人違いですよ。きっと」
遊太郎があっさり答えたので、とたんに苦笑いする。
「だよなあ。地味なのび太のくせに、あんなセレブと親友なわけねえか」

2人がホテルを出たあと、遊太郎が遠慮がちに言った。
「あの、高山係長。僕、用事を思い出したので、
ちょっと帰社が遅れても良いですか?」
すると腕時計を見ながら高山が頷く。
「ああ。契約の話も無事まとまったからな。
実はオレもヤボ用があるんだ。
お前が帰社報告してくれるんなら、別にかまわんぜ」
「はい。ありがとうございます」
遊太郎はぺこりと頭を下げ、高山と別れた。

そのあとさりげなく踵を返し、ホテルの方へと戻った。
エレベーターで最上階の豪華な客室フロアに、
1人降り立った遊太郎は、既に別人に変貌していた。
プラチナの髪と青灰色の瞳のレンに。



「やあ。さっそく来てくれると思っていたよ。レン」
サーフィスは嬉しそうにスイートルームへ招き入れた。
「さっきは驚いた。君、見事に地球人に変装してるんだもの。
あ、紅茶でも飲む?」
社交的で華やかなサーフィスと対照的に寡黙なレン。
サーフィスはゆっくりと近づき、
その優雅な白い手でレンのシャープな頬に触れた。

「君、少し痩せ過ぎだよ。顔色も良くないし」

そして、同情するように言った。
「銀河連盟調査員なんてキツい仕事をしてるんだって?
ソリュート星の第一王子なのに、
こんな汚染された惑星で働いてるなんて心配だよ」

そうして、まるでキスでもしそうなほど接近し、
もう片方の腕で肩を抱く。
「レン。ソリュート星へ帰ろう。その方が君のためだ」

その時。
初めてレンが口を開いた。


「さわるな」

ピクリとなる彼へ、切長の鋭い目をスッと向ける。
「誰の命令で地球へ来た?サーフィス」

それは、
静かな怒りを潜ませた声だった。


~第139回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2009-01-18 00:50

第137回接近遭遇「美形宇宙人登場!」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

★森田遊太郎(23)★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
超童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているが、
ただいま恋人モード激走中♪

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「…こんなもので監視とは、悪趣味だな」

レンは空中に浮遊していた金属のボールを掌に乗せ、
火のような視線で破壊した。
小型の偵察機なら、他にも仕掛けられている可能性がある。
桃子に心配をさせないように処理をした方がいい。

「遊太郎?」
動かないようにと言われたのに、
かまわずベランダの窓際に近寄って来た桃子の方へ、
彼はゆっくりと振り向いた。
激しく降り続く雨の中、レンの引き締まった身体が、
濡れたワイシャツに淡く透けていて、
桃子はつい顔を赤く染める。

「どうしたの。何かそこにあった?」
「いいえ。何でもありません」
いつもより低く抑えた声。
表情も、さっきまでのレンではない。
目の色が冷たくて近寄りがたい。
こんな彼を見たのは初めてだった。

「少し…ひとりで考えたいことがあるので」
「え?」
「すみません。桃子さん」
そう言うと、彼は声をかける間も与えず、
ふっと瞬間移動して消えた。
あとは怒涛のような雨と暗黒の世界が広がるだけで、
桃子は虚空を見つめて、はあっと息を吐いた。
「遊太郎のバカ…」



そして翌日の月曜日の正午。
桃子は同僚の清美とランチを取るために、
オフィス街をぶらついていた。

あれから、遊太郎は一晩中マンションに帰って来なかった。
今朝はいつも通り出勤していたようだが、
プライベートな話は出来ないし、
すっきりしなくてモヤモヤが残る。

「ったく、いいところだったのに。アイツ」
そうボヤく桃子へ、隣を歩く清美が絶妙なタイミングで突っ込んだ。
「何がいいところだったって?桃子」
「へっ?」
思わず顔が真っ赤になって立ち止まる。
「べ、別に」
「ふうん。彼氏とうまくいってないとか?」
相変わらず清美はカンが良い。
確かに少し進展しかけたかに見えたのに、
途中で彼がいなくなったため、正直いって気持ちの持って行き場がない。
さらに、もっと厄介なのが,
母親に自分たちの仲がバレたことだ。
このままでは同居が難しくなりそうで落ち着かなかった。


つらつらと考えながら歩いていた桃子の横を、
華やかな風がフワッと通り抜けた。
手からスルッと携帯電話が滑り落ちてしまう。


「失礼しました。お嬢さん」

そう言って彼女の携帯電話を拾い上げたのは、
淡いグレーのスーツを着こなした若い外国人男性だった。
ウェーブのあるブロンドに澄んだグリーンの瞳の持ち主で、
傍らの清美や周囲が足を止めるほど美しく、
さらに気品と優雅さにあふれていた。

驚いた桃子が頭を下げる。
「あたしこそ、ぼんやりしていたから。すみません」
「いいえ。本当に申し訳ありません。
でも、あなたの大切なものが壊れてしまったのではありませんか」
「ああ、全然大丈夫です」
桃子は携帯電話を振ってみせた。
しかし彼はサッと金色のペンを取り出して、
サラサラとメモを書いて渡した。

「もし何かあったなら、こちらに連絡を。
私はサーフィス・ロード。
しばらく、このホテルに滞在しています」
そう言うと優雅に微笑み、フワリと歩き去って行った。


さっきから、そわそわと成り行きを見守っていた清美が騒ぐ。
「桃子、今の人。すっごい美形のガイジンだったよね!」
そして桃子からメモを奪い取って読んだ。
「しかもだよ。ここ5つ星の超ハイグレードなホテルじゃん。
サーフィスっていう名前も王子様っぽくない?
あの人、絶対お金持ちの観光客だよ」
「う~ん。あたしそういうの興味ないし。
それより早くランチ行かないと時間なくなるよ」
「はあ?桃子ってホント変わってるよね。
あんな美形に話しかけられても食い気を忘れないんだもん」
「当たり前でしょ。バカ」



そのサーフィスは、かなり距離を置いたところでクスッと笑った。
「あれが五十嵐桃子。
銀河連盟調査員レンの恋人か」


~第138回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2009-01-14 23:54

第136回接近遭遇「せつない雨の夜」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

★森田遊太郎(23)★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
超童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているが、
最近ようやく恋人モードに♪

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

雨音だけが聞こえる。
急な雷と停電に驚いて、遊太郎にしがみついた桃子を、
彼は思わず両腕で抱き締めていた。


暗闇がいまは優しい。
柔らかな桃子の身体に触れながら、
遊太郎はせつない気持ちになった。
こんなに近くにいて、こんなに温かいのに、
彼にとって彼女は、決して手に入らない宝物のようだ。


一方で、桃子はドキドキしていた。
こんな風に抱き合うのは久しぶりだからだ。
雨に濡れた彼のワイシャツに顔をうずめていると、
少し火照った頬が心地良い。
このままでいたいと思った時、部屋の灯りが無情にも生き返った。


「…すみません」

慌てて遊太郎が桃子から離れ、足元に落ちたタオルを拾いあげる。
視線をあわさないよう自分の部屋に行こうとする背中へ、
桃子は思い切って打ち明けた。
「昨日お母さんが来て、カンづかれちゃった。
あたしと遊太郎のこと…」
「え…?」
ドアノブに手をかけようとした遊太郎は、
すぐに意味がわからず、曖昧な顔で振り向いた。

「遊太郎は知らないだろうけど日本って古くさくてさ。
イトコ同士が恋人みたいになるの、あんまり良く思われないんだ。
だから、お母さんは反対して遊太郎に新しい部屋を探すって」
「そう、ですか…」

事態が呑み込め、複雑な表情になる遊太郎へ、
彼女はたたみかけるように言った。
「でも、あたしイヤだから。
遊太郎と離れて暮らすのなんて絶対イヤだからね」
「…桃子さん」

彼女の強い真っ直ぐな瞳には迷いのない意志が宿る。
しかし遊太郎の反応は彼女の予想と違っていた。
「伯母さんに迷惑はかけられません。
僕は自分で部屋を探そうと思います」
「えっ?」
「会社に独身寮もあるようですから」
「ちょ、ちょっと。遊太郎。何言ってんのよ?」

動揺するあまり声がカン高くなる。
「遊太郎は、あたしと離れて暮らしても平気なの?
離れ離れになるのがイヤって思うのは、あたしだけ?」
彼女の剣幕にたじろいだ彼は、
少し困ったように声を落とした。
「そうじゃないんです。
伯母さんに知れた以上、これまで通り同居を続ければ、
もっと迷惑や心配をかけてしまいます。
だから、いまは従った方が…」
「迷惑?あんたは周りに気を遣いすぎ。
もっと自分のやりたいようにするべきよ」
「……」


しばらく2人は黙り込んだ。
雨がいよいよ激しく降り続いて、しんしんと冷気が広がっていく。
「そういや、濡れて帰って来たくせに、
そんなカッコじゃ風邪引くじゃん」

桃子はリビングのキャビネットから、
もう一枚タオルを出しながら、こっそり深呼吸した。
ダメだ。ここは冷静にならなければ。
いつものように怒ってしまったら、またケンカになってしまう。

「ほら」
桃子はタオルを遊太郎の濡れた髪へふわっとかけた。
すると突然その手首を彼がつかんだ。
「あ…」
桃子が驚いて見あげると、
まるでベールのような白いタオルの下で、
遊太郎の顔がレンに戻っているのに気がついた。

2人はそのままゆっくりと床に倒れ込んだ。
「いいよ」
桃子は手を伸ばし、
そのプラチナの髪にサラリと触れ、柔らかく言った。
「遊太郎なら、いい」
「……」
レンの青灰色の瞳が揺れる。
彼は桃子の唇にそっと忍び込んだ。
もう何も考えたくはない、とレンは思った。
桃子と一つに溶けてしまいたい。
父親のことも過去のことも、
関係のない世界へ行きたかった。



その時。
ふいに金属的な振動を感じて、レンは瞳を見開いた。
「遊太郎?」
「ここを動かないで。桃子さん」

ゆっくりと身を起こし、
すぐにマンションの周辺をスキャニングする。
誰かに見られている気がするのだ。
怪訝そうな顔の桃子から離れて、
彼は雨が降りしきるベランダへ出た。

冷たい雨粒が直線的に身体に当たるが、
かまわず右腕を虚空に突き出すと、
キュッと何かを捕まえた感触があった。
手を広げてみると、
直径1センチにも満たない金属の偵察機が光っていた。



「…悪趣味だな」

レンは火のような視線を注ぎ、それを瞬時に消滅させた。
誰の仕業なのかは分かっていた。


~第137回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2009-01-10 00:07

第135回接近遭遇「父と息子の邂逅」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

★森田遊太郎(23)★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
超童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているが、
最近ようやく恋人モードに♪

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

月の裏側に存在する銀河連盟ステーション。
レンはモニタールームにある個人専用ブースにいた。
そこでは何億光年も離れた星系と、
衛星通信によるリアルタイムな会話ができる。
やがて速やかに重々しい男の声が響き渡った。

「もう何年ぶりの再会になるのだろうか。
レン、わが息子よ」

目の前に現れたのは男性のホログラム(立体映像)である。
その彫深い顔立ちには気品と威厳はあるものの、
暗い翳りが刻印されていた。

「…お久しぶりです」

レンは、やっとそれだけのことを口にした。
するとソリュート王は彼の顔を凝視しながら遠い目をした。
「ますます似てきたな。王妃やソフィ王女に。
あの頃は幸福だった…」
「……」
レンは伏し目がちになり、何も言わなかった。
ソリュート王は咳払いをして言い放つ。

「用件は他でもない。
お前にソリュート星への帰還を命じる」
「!」

突然の帰還命令。
映像を通して有無を言わさぬ圧力を感じたが、
彼は神妙な表情で答えた。
「…僕はもう、あなたの息子でも王子でもありません。
それに、いまは一介の銀河連盟調査員です。
ですから、そのご命令に従うことは出来ません」


「断ると……?」

次の瞬間、ソリュート王の画像が激しく揺らいだ。
「このソリュート王たる私が、
お前の過去の大罪を全て水に流してやると、
こう言っているのだぞ」
「……」
「数年前、事故とはいえ化物のようなその能力で、
母親と姉を殺したお前を許し、
王位継承権を再び与えようというのだ。それを断ると?」


化物。
実の父親の口から、毒を含ませた言葉が続く。
まるで心臓が、生きたままえぐられるようで、
ようやく平穏さを取り戻した心が、
再び切り裂かれるような感覚があった。
「この父の命を背いても、
銀河連盟の調査などと称して、
そのように未開もはなはだしい地球で暮らす方が良いというのか?」


「…僕のことは、いい。どう言われても」

乾いた声で、レンは辛うじて言葉を紡ぐ。
「しかし、地球人を悪しざまに言うのは、やめてください」
「ほう?ずいぶん入れ込んでいるようだな」
ソリュート王は見下したように嘲笑し、
思い出したように付け加えた。

「まさか、地球人の女に惚れたのか?」

ソリュート王の言葉に彼は一瞬ピクリとなったが、
無言を貫いた。
「くだらぬ。そのような女と早急に縁を切り、
ソリュート星に戻れ。これは絶対命令だ」
その時ホログラムが分裂するように揺れ、
睨みつけていたソリュート王の映像がフッと消えた。


通信終了の音声が無機質に響いても、
レンはしばらく動くことができなかった。
抑えに抑えていたものが一気に噴出するように、
心臓が波打ち呼吸が乱れ、冷たい汗がこめかみから流れる。


(レン。どうした?)

ふいに上司ロータスからテレパシーが伝わってきたが、
それには応えられなかった。

(…レン?)

ロータスの声が、ひどく遠く聞こえる。
過去は何故どこまでも追いかけてくるのか。
何故、自分をそっと静かにさせておいてはくれないのだろう…
レンはブースに身を沈ませたまま、顔を手で覆った。




日曜の夜。
雨がマンションのガラス窓を叩いていた。
桃子は携帯電話を睨み、独り言をつぶやく。

「ったく。あたしたちの一大事だってのに何してんのよ?
遊太郎のバカ」

電話も圏外でメールの返信もなかった。
それでも雨音が激しくなった頃、
かすかな音がして遊太郎がようやく帰って来た。

「お帰り。傘持ってなかったの?遊太郎」
頭からびしょ濡れの遊太郎を見て、タオルを渡しながら、
桃子が呆れたように言った。

「すみません。遅くなって…」
彼は上着を脱ぎ、ワイシャツだけになった。
少し青い顔をしていたが、
桃子は気づかず、早口で言った。

「シャワー浴びたら?風邪引くじゃん。
それとさ。あとで話があるから」

その時、雷が鳴り響いた。
部屋の灯りが停電し、きゃっと短い悲鳴をあげて、
桃子が遊太郎にしがみつく。
タオルがふわりと足元に落ち、
遊太郎は思わず彼女を強く抱き締めた。


~第136回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2009-01-05 22:19

第134回接近遭遇「2人の恋愛がバレたとき」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

★森田遊太郎(23)★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
超童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているが、
最近ようやく恋人モードに♪

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「遊太郎ちゃんと、そういう仲になってるの?桃子」

桃子に向けられる母親弘子の視線がキツい。
ペアのマグカップや、カミラの話に女のカンを働かせたのか。
「いい?あんたたちはイトコ同士なのよ。
遊太郎ちゃんは妹の大事な箱入り息子。
帰国子女だから、いきなり1人暮らしはムリだし、
桃子ならお姉さん代わりで安心だと考えて任せたけど。
まさか、手を出すなんてねえ」
「手を出すって。ちょっと待ってよっ!」

大人しく聞いていた桃子はついに逆ギレした。
「だいたい、あたしに何の断りもなく、
最初、お母さんが遊太郎を強引に寄越したくせに、
今さらゴチャゴチャ言わないでよ」
「モ、モモコさん?」
カミラがビックリして茶色い瞳をクルクルしているが、
かまっている余裕はない。

「イトコったって、あたしたち、
それまであまり会ったこともない他人同然の男と女だよ?
半年以上も一緒に住んでたら、色々あるのは当たり前じゃん」
「色々あったの?」
「へ?」
弘子の突っ込みに一瞬呆けた顔をしてしまう。

「まさか遊太郎ちゃんと寝たとか、してないよねえ?」
おそろしいほどの直球だ。
「してませんっ!」
残念ながら、それは本当だった。

そこへ、一生懸命に早い会話をヒヤリングしていたカミラが、
無邪気にも余計な質問をする。
「寝たって、なあに?」
「え」


カミラの超天然な質問に、桃子と弘子は同時に固まった。
しばらくシベリア寒気団がリビングに吹き荒れる。
しかしその沈黙を破ったのは弘子だった。
「…とにかく妙なことになる前に、
すぐに遊太郎ちゃんの新しい部屋を探さなきゃ」
「えっ?ちょ、ちょっと待ってよ。勝手にそんなの…」

「お黙り。どうせあんたたちのは一時の気の迷い。
遊太郎ちゃんも、日本に来て心細くて、
疑似恋愛しちゃっただけよ」
「…疑似恋愛?」
「そうよ。お互い離れ離れになれば熱もスグ冷めるし。
あんたと遊太郎ちゃんのために、早いうちに離れた方がいいわ」

断言するや、弘子はすくっと立ち上がり、
「じゃ、カミラちゃん。遊太郎ちゃんのことよろしくね」
と、愛想笑いをカミラに作って帰っていった。



桃子はソファに座りこんだまま腕組みをした。
カミラがそっと心配そうに声をかける。
「モモコさん。ごめんね。
カミラ、内緒にしてるの知らなくて、2人のこと話したから」
しおしおと謝る。
桃子はううんと苦笑いをした。
「いつかはバレちゃうことだったし。気にしないで」
「…でも、レンと離れて暮らすの?」
「そうなるかもね…」
硬い声で返事をする。

しばらくしてカミラがふっと柔らかい声で訊いた
「モモコさん、レンと離れて平気?」
「それは…」

平気なはずはない。
離れて暮らすなんて、絶対に考えられない。
「平気なわけないよ。あたし、遊太郎とずっと一緒にいたい…」
「じゃあ、決まってるんだね。モモコさんのキモチ」
「カミラさん…」

この時、桃子はカミラがそばにいてくれて、
良かったかもしれないと思った。
「ありがと。あたし、後ろ向きなことを考えちゃいそうだった。
カミラさんの言う通りだよね。大事なのは自分の気持ちだもん」
「そう。一番たいせつ」
カミラはぱっと花のような笑顔を見せ、
桃子は遊太郎にちゃんと話さなくてはと、気合いを入れ直した。


その頃。
遊太郎、つまりレンは事件の事後報告をするために、
月の裏側にあるステーションにいた。
習慣でトレーニングセンターへ向かおうとしたが、
妙に身体がだるく、頭痛がしていた。

そこへ上司ロータスが通りかかる。
「レン。君に衛星通信が入っている。モニタールームに行きたまえ」
「誰からですか?」
「ソリュート陛下。君の父親だ」
「!」

一瞬、レンの表情が強張るのをロータスは見逃さなかった。
しかし、彼はすぐにいつものクールな顔に戻り、
目礼をしてロータスの前から去ろうとした。
「レン」
そんな彼にいま一度声をかける。
「数年ぶりだろう?せっかく向こうから通信が来たのだ。
きちんと向き合って話をしなさい」
「……」


レンは返事の代わりに、
人を寄せ付けないような冷たい背中を向けた。


~第135回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2009-01-02 14:08