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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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<   2008年 07月 ( 12 )   > この月の画像一覧

第82回接近遭遇「トニー、アメリカへ帰国する」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

●森田遊太郎(23)
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。

●五十嵐桃子(26)
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。
彼氏イナイ歴三年。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「桃子が食中毒で入院なんて。食い意地はってるからよ。
ほ~んと遊太郎ちゃんがそばにいてくれて、助かったわあ。
入院手続きもしてくれて。伯母さん、なんてお礼を言っていいか。
お仕事忙しいのに、ごめんなさいねえ」

桃子の病室に乱入して来て喋りまくっているのは、
桃子の母親、弘子だった。
うんざりした桃子はシーツを頭から被っていて、
弘子の相手はもっぱら遊太郎である。

遊太郎にリンゴをむかせて、自分だけ美味しそうに食べながら、
そうそう、と思い出したように言った。
「そう言えば、遊太郎ちゃんに会いに、妹夫婦がカナダから近々帰国するはずよ。
連絡来なかった?」
「え?そうなんですか」

そのやり取りに、桃子は少しだけ顔をシーツから出した。

(カナダから遊太郎の両親が来るんだ。
カッコ悪いから早くあたしも元気にならなきゃ)

そこで桃子はあれ?と思った。
遊太郎は、遊太郎の顔をしてはいるが、姿形だけをコピーしている異星人である。
正確には、彼らは遊太郎にとって両親ではく他人であるはずだ。

(っていうか。日頃すっかり忘れてるんだけど。
遊太郎って地球の人じゃなかったんだよね)
色々、前代未聞な災難に巻き込まれながら、
やっぱり実感がわかない現実的な桃子だった。


その頃、トニー・アンドリュースは、チューリップ生命本社の部長室で、
日本での研修を終えて報告書を神崎部長に提出していた。

「ご苦労だった。トニー・アンドリュース君。
営業も調査の仕事も、森田君と組んで君には珍しい経験となったと思うが?」
神崎部長は何もかもお見通しのような、落ち着いた貫禄でトニーを見た。
トニーは肩をそびやかせる。
「神崎部長、あなたは遊太郎を普通の新人だと言いましたが、
彼は圧倒的に場数を踏んでる。それも星の調査とか生易しいもんじゃない。
戦場みたいなところにいたのかもしれない。
違いますか?」

しかし神崎は書類に目を落として答えなかった。
トニーはやれやれと諦めて最後に、と重ねて聞いた。

「じゃあプライベートな質問を一つだけ。
遊太郎は桃子サンと暮らしていて、お互い好きあってる。
いっそ彼女と結婚すればいいのにとボクは思うんですが?」
すると神崎は独り言のようにつぶやいた。

「それは、本人次第だろうね」



部長室から出たトニーは病院から戻った遊太郎と屋上に行った。

「遊太郎。短い間だったけど面白かったよ。
また日本には来たいな」
トニーが明るいブルーの目を悪戯っぽく輝かせた。
遊太郎もはい、と笑顔で答える。
「トニーさんから色々教わりました。ぜひまた来てください」
「じゃあ、今度ボクが来る時までには、桃子さんをモノにするんだよ?」
「えっ?」
一瞬驚く遊太郎にトニーは軽くウインクをして肩を叩いた。
「キミ、恋愛には疎いみたいだからさ。
ラブテクニックの相談ならいつでも乗るから、メールしてくれよ?」

こうして、アメリカ支部から来た調査員トニー・アンドリュースは帰って行った。


~新展開の第83回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2008-07-31 22:58

第81回接近遭遇「桃子、食中毒で入院する」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

●森田遊太郎(23)
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。

●五十嵐桃子(26)
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。
彼氏イナイ歴三年。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

銀行強盗事件発生から約2時間後。
警察がようやく現場に到着し強盗団を逮捕した。

もちろん事件の裏で異星人たちが暗躍していたとは、
誰も思いつかないだろう。
彼ら異星人に関わった全ての人間には、記憶操作がなされるからだ。

その異星人の一人であるレンは、遊太郎へと姿を変えて、
銀行内部から外へ、速やかに瞬間移動した。
そして近隣のビルの螺旋階段下に、うずくまる桃子とトニーを発見する。

「やあ、遊太郎。お疲れさま。
さっき救急車を呼んだんだけど、遅いんだ。
人目がなきゃ、病院へテレポートした方が早かったよ」
イライラしているトニーに礼を言って、
遊太郎はお腹を押さえて脂汗を浮かべている桃子の背中に触れた。
うつむいていた桃子が、苦しそうな顔を上げる。


「遊太郎…?」
「桃子さん。来るのが遅くなりすみませんでした。
お腹、痛みますか?」
「どこに行ってたのよ?もうっ!大変だったんだから。
トニーさんが助けてくれたんだよ」
「本当にすみません。事件の後始末に手間取りました」

実は遊太郎は朝野玲子に変身して、桃子の近くにいたのだが、
そのことは黙っていた。


「気持ち悪い。吐きそう…!」

絞り出すように桃子がつぶやいた。
遊太郎は何の躊躇もなく、自分の上着を脱いで桃子の前に丸めて置いた。
そして彼女の背中を抱きながら優しく言った。

「吐いてください」
「えっ…。でも、服が汚れるよ?」
「かまいません。どうぞ、桃子さん」
「そんな。それに、こんなとこで恥ずかしいし…」
「いいから、吐いて。僕が桃子さんを隠します」

遊太郎は両腕で桃子を包みこむようにした。
そんな二人を見たトニーは溜め息をつきながら、
救急車を誘導するために大通りへ出る。

(…参ったな。完璧に遊太郎に負けた)

花嫁を探しに日本へ来て、ヤマトナデシコを見つけたと喜び、
桃子に猛アタックを試みたトニーだった。

(ボクには、あんなふうにしてやれない。
しかし、こういうのがブレイクハートってやつなのかな?)

トニーがアメリカへ帰る時期が近づいていた。
神崎部長に研修報告書を提出しなけりゃな、と彼は苦笑した。



救急病院に運ばれた桃子は、食中毒で数日間の入院と決まった。
驚いて見舞いに来る同僚の清美や斎藤課長達で、病室内は一気ににぎやかになる。

「でもさあ、銀行強盗にあわなくてラッキーだったよね。桃子」
清美が花を活けた花瓶をベッドの脇テーブルに置きながら、無邪気に言った。
「お腹痛くなったから、すぐ銀行を出たんでしょ?
あのままいたら、人質になってスリリングだったじゃん」

…つまり、そういうことになっているらしい。
きっと遊太郎やトニーが記憶操作をしたのかもしれない。

(でも、彼女はどうなったんだろ?聞いたら死傷者は出てないっていうし、
あの時確かに発砲音が聞こえたんだけど…?)

見舞い客から、ようやく解放された桃子は、
入院手続きを終えた遊太郎が病室に戻って来たので、
思いきって聞いてみた。

「ねえ、遊太郎。あの女の人、大丈夫だったの?
ほら、最後まで人質になってた人。すごく気になってて…」
「大丈夫でしたよ。桃子さんは何も心配しなくていいです」

桃子のそばに行き、遊太郎はにっこり笑った。
「伯母さんには連絡しておきましたから、すぐに来てくれますよ」
「え~っ! お母さんが聞いたら怒られるし、ウザいじゃん。
別に呼ばなくていいのに~!」
「すみません」

いつものように文句を言い出した桃子に、遊太郎はほっとした。

(良かった。一時はどうなるかと思った)

思わず、桃子の手を握ると彼女はテレたように頬を赤らめる。
握られた手から、暖かい波動が流れ込み、
彼女は、その瞬間悟った。

(この感じ。でもまさか、あの女の人が…遊太郎?)

銀行で人質同士として偶然居合わせた美しき令嬢。
その彼女の手から流れた波動は、遊太郎と同じものだったのだ。

(じゃあ。あたし、ずっと守られていたんだ。
ありがと。遊太郎。トニーさん)

まだ熱があり体はだるかったが、桃子は幸せ感に浸っていた。


~第82回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2008-07-27 19:16

第80回接近遭遇「弾丸シャワー!」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

●森田遊太郎(23)
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。

●五十嵐桃子(26)
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。
彼氏イナイ歴三年。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

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「おい、どうしたんだ?」

桃子がうずくまって腹痛を訴え、
トイレの中で人質達を見張っていた仲間が何事かと出て来た。
この一芝居により、男二人を一カ所に集めることが出来たトニーは、
壁向こうから猛進し、ハッと振り返った二人にパワーを放出した。
金縛りにあったようにフリーズして重なり倒れる二人。

口笛を吹き、トニーはざわめく人質達へGOサインを出した。

「シ~っ!静かに。さあ逃げるよ。レディたち」

銀行カウンターにいる、強盗団の残党に気づかれないよう、
彼は裏口へと女性達を誘導し始めた。
桃子はその時、トニーに早口でささやく。

「待って。トニーさん、まだ中に人質の女の人が…」
「あ?…ああ」
トニーはちょっと妙な表情をしたが、桃子は真剣である。
「あたし達のために1人残ってくれた人がいるの。
全員が逃げたとわかったら、殺されちゃう!
だから、お願い、彼女も助けて!」

朝野玲子のことを、桃子は心配しているのだ。
トニーは、それはレンだから心配いらないと説明したかったが時間がない。
かなり強引に、桃子を裏口の外へと連れ出した。
そして中に残っている朝野玲子、つまりレンへテレパシーを飛ばす。

(レン、桃子サンはボクが逃がしたよ)
(良かった。ありがとうございます。トニーさん。
では、すぐに警察を呼んで下さい)


この時、女子トイレの様子を見に行った強盗団の手下が、
仲間がやられ、人質に逃げられたことを察知した。
急ぎリーダーに知らせると、空気が一気に不穏なものに変わる。


「おまえ…、図ったな?」
押し殺したようなリーダーの声と共に、全員のライフルの銃口が朝野玲子に向けられた。

「人質が逃げた。やっぱり警察の仲間だったのか?
約束通り、あんたの顔に無数の大穴を開けてやる!」

すると玲子は、ふわりと立ち上がった。

「どうぞ、お好きなようになさって。
私もこれで遠慮なく、あなたがたのお相手ができます」
「な、なんだと?女だと甘く見てりゃあナメやがって……!」

リーダーの合図と共に、ライフルの弾丸シャワーが、
1人の女性だけに集中した。


広範囲に響き渡る発砲音。
銀行から無事脱出して近くのビルの下に身を潜ませていた桃子が、
電気を帯びたように体を震わせた。

「まさか、あの人が撃たれた…?」

後悔と絶望感が心を浸食してゆく。

(どうしよう、自分たちのために…彼女は犠牲になったんだ)

傍らにいるトニーが軽い調子で笑った。
「桃子サン、大丈夫だよ。だって彼女は…」
説明しようとした時、華々しいパトカーの音が聞こえて来た。



硝煙の匂いが立ち込める銀行内部。
誰が見ても、玲子がが蜂の巣になったと思った。

「!?」


この時、黒マスクの強盗団は信じられない出来事に遭遇していた。
まるでSF映画のように、
弾丸が朝野玲子の顔前に空中停止していたからだ。

彼女は面白そうに細い指先で、順番にその弾丸をつついた。
まるで楽器を奏でる優雅さだ。
弾丸はカランカランと軽い音を立てて床に散らばっていく。

「う、うわっ!何なんだ?こいつ」

さすがに声が裏返り、強盗団は恐怖にかられてライフルを撃ち続け、
ついには弾が無くなった。

朝野玲子がゆっくりと彼らに歩み寄った。


今まで長い髪をした深窓の令嬢だった人間が、
微粒子の風と共に、長身の青年へ変貌してゆく。
彼は淡いプラチナの髪にサングラスをかけ、
クールな表情で彼らに対峙した。

「!!」

驚きのあまりライフルを地に落とした強盗団は、
狂ったようにレンに飛びかかった。
しかし彼は水のようになめらかな動きで、
彼等に手刀を喰らわせた。

次々に倒れる強盗団へ向かって、レンは記憶操作のために光のボールを見せた。

「あなたがたは、銀行へ強盗に入りましが、仲間内でケンカになり、
警察に捕まえられました。
いかがでしょう?こんなシナリオで、お願いします」


そこへ、慌ただしくトニーからテレパシーが入った。
(レン、片付けは警察に任そう。
それより、桃子サンが大変なんだ!)

(桃子さんが……?)


レンはサングラスを外した。
そして眉を曇らせて瞬間移動した。


~第81回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2008-07-25 22:25

第79回接近遭遇「人質救出作戦!」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

●森田遊太郎(23)
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。

●五十嵐桃子(26)
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。
彼氏イナイ歴三年。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

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「私1人がここに残りますから、
みなさんをトイレに行かせてあげてください」

朝野玲子のこの申し出に、ギョッとなったのは強盗団だけではない。
桃子があっけに取られて、美しき令嬢に叫んだ。
「馬鹿じゃないの?1人で、怖くないわけ?」

しかし玲子は大丈夫、と桃子の手を握った。
ふわっと暖かな波動が流れる。

(なに?この感じ…、知ってる。
この暖かさは前にどこかで…?)


強盗団のリーダーは鼻先で笑った。
「お嬢さん。よくわかってないようだが。
トイレに行った女子供が、もし下手なことをしたら、
あんた、そのお綺麗な顔にデッカイ穴があくことになるんだぜ?」
「わかってます。でも」
次に玲子はとんでもないことを喋り始めた。

「私は資産家の娘です。お金なら腐るほどあります。
こういう場合、推理小説に登場する犯人は、
利用価値のある人質なら1人で充分と考えるようですが、
現実に強盗をなさる方って、そう思わないのですか?」

トボけた調子の彼女に、桃子が呆れて突っ込みを入れた。
「…あのさ、悪いけど。小説と現実は違うんじゃない?」
すると玲子は、目を丸くした。
「まあ、そうなのですか?
私、家で推理小説ばかり読んでいるものですから、つい」


強盗団は、このやり取りを聞いて、やはり朝野玲子は世間知らずの金持ちの令嬢だと捉えた。
しかし彼女が大金を所持していたことから、
いざという時は、玲子を盾に銀行から脱出をはかり、
巨額の身代金さえ要求できるかもしれないと妄想を抱き始めた。


彼らは知らない。
この世間知らずの資産家の娘が、
実は異星人の変身した姿であることを…


リーダーは仲間としばらく打合せをしていたが、威厳を保ちながら答えた。
「よし、いいだろう。この女以外は全員トイレに行け」

人質達がビクビクしながら立ち上がり、桃子も腹部を押さえて立った。
そして後ろ髪を引かれながら玲子を見たが、
彼女は天女のように桃子に微笑を返した。
再び、桃子は不思議な気持ちになる。

(こんなお金持ちの美人、今日初めて会ったはずなのに、
なんだか、よく知ってる気がするのは、どうしてなんだろう?)


人質全員が奥のトイレの方へと消えた。
複雑な構造のため、その場所は銀行カウンターから完全に死角となる。
強盗団の前に1人残された玲子(レン)がトニーにテレパシーを飛ばした。

(トニーさん、いま人質全員がトイレへ行きました。
見張りが2人付いてますが、大丈夫ですか?)

(ボクを誰だと思ってるんだ?レン。
廊下の見張りを入れて3人だけど、任せておきたまえ。
ボクが桃子サンを助けてみせる)


まず倉庫内のトニーは、縛られていたロープを難なくほどき、
少し伸びをしたあと、ドアのロックを念動力で外した。
外の見張りが急に開いたドアにギクリとしたが、
その時はもう遅く、トニーの力によって簡単にフリーズされてしまった。

廊下へ出て、用心深く女子トイレに向かった彼は、
人質の行列の後ろにいる黒マスクの男を見つけた。

こういう時は、トイレの中にもいる仲間もおびき出して、
まとめてやっつけた方が合理的だ。

幸い、桃子は用を足して最後尾に回るところだった。
具合が悪そうなところは気になるが、少し協力してもらおうとトニーは考えた。

(桃子サン、聞こえるかな?ボクはトニー・アンドリュースだよ。
キミを助けに来た正義の味方だ)

テレパシーを送ると同時に桃子だけに見えるように、
手だけ壁から出してピースサインをして見せた。

(ト、トニーさん?なんで?)

桃子は突然のテレパシーに少し身をかたくした。
しかし見張りに気づかれず、なんとか冷静さを保った。

(じゃあ、遊太郎もいるのね?)
(もちろんさ。とにかく助けてあげるから、
三文芝居でスマートじゃないけど協力してくれるかな?)

遊太郎やトニーがそばにいるなら信頼していい、と桃子は判断し、
トニーから教えられた通りにうずくまった。
そして、苦しげにセリフを喋った。

「痛い!お腹が張り裂けそうよ!」


~第80回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2008-07-22 22:15

第78回接近遭遇「変身マトリックス」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

●森田遊太郎(23)
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。

●五十嵐桃子(26)
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。
彼氏イナイ歴三年。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

桃子が立ち寄った銀行が強盗団に乗っ取られ、
女性や子供だけが人質に取られていた。

そんな中、得意客専用の出入り口に、若い女性が供の男を連れて現れた。
見張り番らしい強盗団の一人が、彼女を中へ入れてしまうが、
付き添いの男は縛り上げられ、倉庫に押し込まれることになった。


「なぜ、その女を入れた?」

強盗団のリーダーが見張り番へ詰問すると、彼はバツが悪そうに頭をかいた。
「預けに来た大金が凄い金額で、美人だったし…」

スーツケースの中身は巨額の札束が整然と敷き詰められていた。
その持ち主の女性が通された時、彼らは場違いなものを見たような顔をした。


おそらく彼女の美貌は、
10人の美女が束になってもかなわないだろう。


リーダーの男が、鼻で笑った。
「お嬢さん、せっかく預金しに来て、残念だったな。
あんたも人質の仲間入りだ」
「人質?これは映画の撮影なのですか?」
大金持ちの令嬢らしく、彼女は珍しそうに強盗団を眺めた。
そして何気ない風を装いながら、
店内の隅にかたまった人質の女達の中に、
五十嵐桃子の姿を確認した。

(トニーさん。桃子さんは無事です)

令嬢の名前は朝野玲子。
だが、本当は調査員レンの変身した姿であった。
玲子の内側に潜み、レンは倉庫内のトニーにテレパシーを投げたのだ。
大人しく縛られているトニーから、文句タラタラな返事が飛んで来る。

(冗談じゃないよ、遊太郎!いや、レンだったかな?
こんな子供騙しなロープ、すぐに解けるのに)
(我慢して待機してください。
人質を保護して強盗団を捕まえる機会をつかむまでは)
(もちろん、分かってるさ)


…レンの変身マトリックス。

それを目の当たりにしたトニーは、正直なところ混乱していた。
レンという男は、変身能力に長けており、
分身とも言うべき幾つかの変身マトリックスを持っているらしい。
従って朝野玲子は、レンであると同時に、
彼女オリジナルなパーソナリティも発揮できるようなのだ。

(全く、理解不能なヤツだ)

しかし、いまは桃子を助けることが最優先である。
いざとなれば、レンのサインなど待たなくても、
桃子だけを自分の手で助けるつもりだった。
その時こそ、プロの調査員トニー・アンドリュースの、
魅力的な一面を桃子に見せることができるはずだ。


「映画の撮影?面白いお嬢さんだ。
せいぜい人質役を演じてもらおうか」

リーダーが部下に命じ、朝野玲子を人質の集団の中へ押し込んだ。
ちょうど桃子のとなりに座らされた玲子は、
桃子にふんわりした微笑を向けた。

「驚きました。本物の強盗なんですね?」
それを聞いた桃子は、呆れたように眉を上げた。
「はあ?ホントに映画のロケだと思ってたんですか?」
「はい。あまり外に出ないもので、世間には疎いんです」
「へ、へえ。それはアンラッキーでしたね」

こんな時でも、気丈な桃子を見て、玲子の内側に潜むレンは少し安堵を覚えた。

(良かった。彼女はそれほど怯えていない)


あとは、強盗団を取り押さえ、人質を安全な場所へ逃がすだけである。

その頃、強盗団は女性行員に現金を全て用意させ、
着々と脱出準備を進めていた。

しばらくして、玲子のとなりで桃子が少し身じろぎをした。
「…トイレに行きたいんだけど」

すると、他の女性達全員がトイレを希望し始めた。
「トイレ?金を運び出すまで我慢しろ!」
リーダーは強い調子で彼女達の要求を却下した。

「お腹、痛いしなあ…」
桃子が胃の辺りを押さえているのを見て、玲子は心配そうに聞いた。
「具合が悪いのですか?」
「…実はランチを食べてから、なんかおかしくて」


…桃子が急病ならば、事は急を要する。

「あのう…」
美しい声で、玲子がリーダーに呼びかけた。
男がなんだと顎をしゃくる。

「トイレへ行かせては頂けませんか?」
「だから、さっき駄目だと言っただろう?」
桃子が玲子に、もういいと囁いたが、玲子は驚くべきことを申し出た。


「私1人がここに残ります。
だから、みなさんをトイレに行かせてあげてください」

その場の全員がギョッとなった。


~第79回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2008-07-19 13:46

第77回接近遭遇「銀行強盗事件発生!」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

●森田遊太郎(23)
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。

●五十嵐桃子(26)
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
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彼氏イナイ歴三年。

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「遊太郎、キミはウソつきだ」

翌日、会社の屋上に遊太郎を呼び出したトニー・アンドリュースは、
ストレートにそう言った。

「……え?」
「昨日、桃子サンが自分が本当に好きなのはキミだと、教えてくれたんだ。
多分キミだって彼女のことが好きなんだろう?
それなのに、桃子サンにプロポーズし続けるボクには隠してた」
「それは・・・」

遊太郎は、どんな顔をしていいのか、わからなかった。
トニーはかまわず続ける。
「でも、黙っていたのは、それだけキミに自信がないとも取れるよね」
「・・・・・」


自信がない。
言葉が出なかった。
確かにトニーの言った通りだからだ。

「キミがそんな態度でいるなら、ボクは彼女を奪って
アメリカに連れて行って地球生活でのパートナーにする。
ボクのことを好きにさせる自信はあるからね」
「・・・・・」

曇り空の湿った風に吹かれながら、
遊太郎は応える術を持たず、トニーと対峙していた。


その頃。
桃子は、いつものように資金を預けるために、
取引先の大手都市銀行を訪れていた。
呼び出しコールを待ちながら、ふっと溜め息をつく。

毎日のように花束をプレゼントされたり、
甘い言葉を降らせるトニーに辟易して、
ついにキレた桃子は、遊太郎が好きだと言ってしまった。

(考えナシだったかなあ。でも言っちゃったものは仕方ないし。
ごめん。遊太郎。
トニーさんと仕事がしにくくなったなら、あたしのせいだよね)


その時、である。


パン!

突然、破裂音と幾つもの悲鳴が上がり、桃子は愕然とした。

「!?」

銀行のカウンターの上を、黒いマスクの集団が占領していた。
彼らはライフル銃を構え、店内に居合わせた全員に命令した。

「男だけ外へ出て行け!女子供は残れ」
リーダーらしき男が禍々しい低い声で脅迫する。
「この銀行は我々が占拠した。
指示に従わなければ、子供でも容赦なく撃ち殺す!」

(ゆ、遊太郎っ……!!)


(桃子さん……?)

まだ屋上にいた遊太郎が、はっとした。

「どうした?遊太郎」
トニーが、様子が変わった遊太郎を怪訝な顔で覗き込む。
しかし彼は返事をする代わりに、
目を閉じてスキャニングを始めた。

砂嵐のような電波の中で、視えたのは大手都市銀行のビル…


ふいに。
メガネの下の、子犬のようだった遊太郎の目が、
空間を裂くように、アーモンド型に変貌して見開かれた。


その瞳が、黒から青みを帯びた灰色に変わり、
黒髪が、淡いプラチナに変わってゆく。
さっきまでの気弱そうな遊太郎から、
本来の姿である調査員レンへ、意図的に戻ったのだ。


その変貌を息を詰めて目撃していたトニーに、
レンはクールすぎる視線を流した。

「桃子さんが、銀行で強盗団の人質になりました。
すぐに現場へ急行します」

それを聞いてトニーの顔色も変わる。
「桃子サンが?大変じゃないか!彼女に何かあったら…。
ボクも行くよ!」



速やかに、
二人は目的地である銀行の裏側へ瞬間移動した。
ちょうど裏口からは、男性客ばかり吐き出されているところだった。

トニーが好戦的に提案する。
「多少の犠牲はやむを得ない。すぐに強行突破すべきだ!」

それをレンが静かに制した。
「それは危険すぎます。他に何人も人質がいる」
「じゃあ、どうするんだ?
客にまぎれて潜入できたとしても、男は追い出されるみたいだぞ?」


レンは、少し考えてつぶやいた。

「仕方ない。変身マトリックスを使います」
「な、なに……?」


夢でも見ているのだろうか。
瞬時、風が吹いたような感覚があった。
トニーの目の前に、レンではない違う人物が立っていた。

それは清廉な美しい女性であり、
長いストレートの髪がサラサラと揺れて、
気品漂う深窓の令嬢に見えた。
驚くトニーに、彼女は微笑した。

「私は、朝野玲子といいます」

まるで天女のように優しい声だった。


~第78回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2008-07-16 21:48

第76回接近遭遇「カルチャーショック?」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

●森田遊太郎(23)
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。

●五十嵐桃子(26)
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。
彼氏イナイ歴三年。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「神崎部長、彼はいったい何者なんです?」

ステルス星人確保から数時間後。
チューリップ生命本社会議室で、
トニー・アンドリュースは、人事部長の神崎に問うていた。

「ステルス星人の溶解光線を遮断すると同時に、
絶対零度でヤツを凍結させてしまった。
あんなことは、普通の調査員じゃできない。
森田遊太郎は、何者なんですか?」

アメリカ支部で、日本へ研修に来る前に遊太郎の簡単なプロフィールデータは得ていた。

ほんの数ヶ月前に、地球の日本に派遣されたばかりの新米調査員であると。
数日間しか行動を供にしていないが、
確かに、
彼は童顔に大きめなメガネをかけた、目立たない小柄な若い男でしかなかった。

「森田君は普通の調査員だが?」

神崎は相変わらずダンディな物腰で、ひどく簡単に答えた。
「普通?」
「普通だよ、トニー・アンドリュース君。
いずれにしてもステルス星人確保、ご苦労だった。
さすがは、アメリカ支部のプロフェッショナルだけはある」
「今回は、ボクの手柄じゃありませんよ」

トニーは不機嫌そうにつぶやいて、会議室から出て行った。

神崎は苦笑を禁じ得なかった。
遊太郎、いやレンが前に凶悪なゼルダと闘った時、
一度完全に死んだのに蘇生した驚くべき事実や、
調査員になる以前の凄絶な経歴を、伏せておいて良かったのかもしれない。
初めて、高い鼻っ柱を折られたトニーには・・・



「トニーさん、お昼どうします?
僕、高山係長に教えてもらった美味しい蕎麦屋を知ってますよ」

翌日の午後、営業の外回りに出た遊太郎は、
無邪気にトニーに話しかけた。

(まるで、別人だな)

トニーは蕎麦屋に連れて行かれながら、遊太郎を不可解な表情で眺めていた。

どう見ても、
昨日のステルス星人を凍結させた人物とは重ならない。
見かけだけではない。波動も違う。
緊急時にだけ、特殊能力を発揮するタイプなのだろうか。

(夢でも見たような気分だ)

ベテランでエリート調査員のトニー・アンドリュースは、
プライドを回復したいとこだわっていた。

(そう。調査員の経験はボクがずっと上だ。
昨日はちょっと油断したが。
日本にいるあいだ、次は得意のテクニックを、
たっぷり彼に見せつけてやるさ)


気を取り直したトニーは、
花嫁候補の五十嵐桃子を会社のエントランスで待ち伏せることにした。
エイリアン捜査も大事だが、恋愛も楽しみたいのだ。

帰ろうとしていた桃子は、またかとうんざりした。
派手な金髪に明るいブルーの瞳をきらめかせ、
花束を抱えたトニーに毎日デートに誘われているからだ。

「今日こそハッキリ言うけど、あたしには好きな人がいるの」
「かまわないさ。そんなの」
余裕で切り返すトニーに、とうとう桃子はキレた。


「あたしが好きなのは、遊太郎よ」

一瞬、トニーは固まった。
(な、なんだって?)
信じられない名前を聞いた気がした。

「遊太郎?ウソだろう?
あんな目立たない彼が好きなのかい?
このボクよりも?」
「当たり前じゃん!あたしには遊太郎が一番大切なの」


ますます、トニーの遊太郎への闘争心が高まった。


~第77回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2008-07-13 00:03

第75回接近遭遇「絶対零度」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

●森田遊太郎(23)
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。

●五十嵐桃子(26)
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。
彼氏イナイ歴三年。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ビルの裏側に斎藤課長を連れ込んだ老婦人は、
彼からつかんでいた腕を離したかと思うと、
全身が緑色に変貌した。

「う、うわっっ・・・!バ、バケモノっ!」
斎藤課長は腰を抜かして引きつったように緑色の生命体を見上げた。
「地球のサラリーマンというものは、本当にくたびれていて妙味だ。
では、頂くことにしよう」
無機質な声で、ステルス星人は右手を振り上げた。
溶解能力により、斎藤課長の身体が溶かされようとした瞬間・・・・・


「そこまでだよ、ステルス星人。
残念ながら、ご馳走はおあづけだ」
金髪に明るいブルーの瞳を踊らせながら、
トニーが遊太郎と共に空間をワープして現れた。
驚いたのは斎藤課長である。
何もない空間から、部下である二人が現れたのだから。
ショックが重なり、彼は失神してしまったが、
あとで記憶消去をしておけば問題はない。


緑色のステルス星人はひとつだけ目を持っていた。
食事の邪魔をされて、その黄色い目の瞳孔がマイナスの形に細くなる。
「銀河連盟のイヌが調子に乗るんじゃない。
きれいさっぱり溶かしてやろう」
右手をトニーに振りかざすが、とたんにフリーズしてしまった。
トニーが動けないように力を放ったからである。

「ほらね、遊太郎。見てくれたかな?
エイリアン確保は、スピードとタイミングがテクニックの最重要ポイントなんだ。
さあ、銀河連盟パトロールを呼んでくれたまえ」
トニーは得意満面である。
地球に駐在して長いプロの調査員として、
まんまるメガネに童顔な新人に、お手本を披露して気分がいいらしい。


しかし、得意げな彼に反して遊太郎は慎重につぶやいた。
「…トニーさん、気をつけてください」
「うん?何を心配してるんだ。もう大丈夫だよ。
キミ、そんなに怖かったのかい?」
遊太郎が臆病風に吹かれていると思い、少し鼻で笑ってしまう。


その時である。
固められたはずの緑色の生命体の目だけが、
ぎょろりと回転したのだ。
黄色い目玉の瞳孔が大きく縦に伸び、
見えない光線のようなものが、トニーに向けて発せられた。

「危ない!」
「!!」

速すぎてさすがに避ける時間がなかった。
反射的に目を閉じたトニーは、自分がもう溶けると観念した。
しかし、何の変化も感じないまま目を開けてみると、
自分の前に誰かが立っているのが見えた。
どうやら、強力なバリアを張ってトニーを守っているようだ。

(あんな速い攻撃を防御できるなんて、そんな馬鹿な……)
トニーは内心信じられないでいた。
(そんな、……ありえない)


しかし、ステルス星人の光線を受け止めて、
平然と立っている人物は、透明なプラチナの髪をした長身の青年だった。


「絶対零度で凍結」

遊太郎、いや…本来の姿に戻ったレンは、
事務的にそう口にして、ステルス星人を凄まじいパワーで、
氷のオブジェに変容させてしまった。


~第76回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2008-07-11 23:08

第74回接近遭遇「ステルス星人あらわる!」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

●森田遊太郎(23)
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。

●五十嵐桃子(26)
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。
彼氏イナイ歴三年。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

人間を瞬時に溶かして食い尽くす肉食系種族、ステルス星人。
早速エイリアン確保に乗り出した遊太郎とトニーは、
表向きの営業をするフリをしながら、ビジネス街をスキャニングしていた。


雑踏の中で怪しげな波動を有する人間を見つけるのは至難のワザである。
しかし、エイリアン捜査にかなりな自信を持つトニーは、
すぐにその人物を特定してしまった。

「遊太郎、いくら地球人に変装していても、
異人種のかもし出すオーラは消せないものだからね。
ボクが思うには、多分あのご婦人だよ」
雑居ビルの前で、道を尋ねている老婦人がいた。
忙しいビジネスマンに相手にされずに困り果てている様子で、
地図を片手に目を泳がせている。

「トニーさん、僕が囮になります」
遊太郎は自然にそう提案した。
道を教えてやるフリをして、人気のない場所へ連れて行けば、
誰にも迷惑をかけずに済むと思ったからだ。

すると、トニーは苦笑しながら首を振った。
「馬鹿言っちゃいけない。キミに囮なんて、まだ無理だと思うよ?
それよりヤツが獲物になる人間を見つけた時こそ、
確保の絶好のタイミングだね」

トニーには、新米の調査員である若い遊太郎は、
未熟で頼りないヒヨッコに見えるらしい。
しかも相手は老婦人に変装してはいるが、溶解能力を持つエイリアンである。
遊太郎など、ひとたまりもなく溶かされるのがオチだと思った。


その時、老婦人の上手い擬態にまんまと乗せられた中年サラリーマンがいた。

見覚えのある男性に、遊太郎は小さく叫んだ。
「斎藤課長・・・・・!」
トニーも少し驚いて口笛を吹いた。
寄りによって、会社の上司がステルス星人に選ばれてしまうとは。

「ビルの裏側へ連れ込む気だ。行こう、遊太郎」
「はい」



人の善い斎藤課長は、老婦人の話を聞いてやるために、
雑居ビルの側面を通り、裏手の方へ歩いて行った。
老婦人に腕をつかまれ、その力の強さに多少違和感を覚えながら。

錆びたコンクリート壁に囲まれた場所で、
田舎から出てきたような老婦人は振り返って、
斎藤課長に向かってニヤリと黄色い歯を見せた。


「あんた、いいくたびれかげんだねえ・・・・・」


~第75回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2008-07-09 12:21

第73回接近遭遇「人間を溶かすエイリアン登場!」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

●森田遊太郎(23)
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。

●五十嵐桃子(26)
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。
彼氏イナイ歴三年。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

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「遊太郎、人間が溶けているよ?」

ある日、遊太郎とトニーは高層ビルの谷間に立ち尽くしていた。
警察が慌ただしく取り巻く現場では、
奇妙な緑色の粘液が人間の輪郭を形作ってコンクリートに残されていた。

転がった鞄から、被害者が普通のサラリーマンらしいことが分かる。

「エイリアンの仕業だね。
人間を瞬時に溶かせることができるヤツといえば、
ボクのデータじゃあ、M96星雲のステルス星人だな。間違いないよ」
頭の回転の良さを見せて、得意気に犯人を割り出した。
遊太郎はトニーに同意しながらも、疑問を口にする。


「でも頭のいいステルス星人なら、こんな目立つ跡を残したりするでしょうか?」
「いい質問だ。遊太郎。
おそらくヤツは、調査員たる我々に挑戦してるのさ」
「挑戦、ですか?」


M69星雲 ステルス星人。
他の生命体を瞬時に溶かし、食い尽くす肉食系種族である。

トニーは、楽しそうに明るいブルーの瞳を輝かせた。
「ワクワクして来たぞ。ちょうど雑魚ばかり相手にして退屈していたんだ。
せっかく日本に来て桃子サンにもイイところを見せたいし、
遊太郎にもエイリアン確保のテクニックを伝授したかったから、
ステルス星人出現はグッドタイミングだ」
一人はしゃぐトニーをよそに、
遊太郎はじっと考えていた。


昼日中に堂々と犯行するには、ステルス星人はやはり地球人に変装しているのだろう。
トニーの推測通り、調査員を挑発しているなら、
被害を拡大させないようにしなければ。

「遊太郎、心配しなくても大丈夫だよ。
ボクが、すぐに捕まえてやるから」
トニーは自信たっぷりに言い切った。
「ステルス星人は、くたびれた中年サラリーマンがお好みらしい。
ビジネスマンが多い場所を張り込もう」


有言実行である。
アメリカ支部からやって来たベテランの調査員、
トニー・アンドリュースは遊太郎を連れてビジネス街を張り込み始めた。
銀河パトロール達も同時に配備されていて、
やることが万事に於いて早かった。


ただ、遊太郎には危惧がある。

ターゲットが中年サラリーマンならば、あまりにも被害者になり得る地球人が多すぎる。
瞬時に人間を溶かせられるステルス星人なのだ。
かなり危険ではないのか。

しかし、トニーは遠隔スキャンでステルス星人を捕獲するべく、
意気盛んに張り込みを楽しんでいるのだった。


~第74回をお楽しみに♪~
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by yu-kawahara115 | 2008-07-06 23:41