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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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<   2008年 06月 ( 14 )   > この月の画像一覧

第70回接近遭遇「トニー流・エイリアン確保」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。
彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

とうとう、見合いをする日曜日。
美しい庭園が見えるホテルの一室で、振袖姿の桃子がいた。
そばに仲人の女性と、向かいには相手の男性が控えている。

母親の弘子が同席しなかったのは、桃子がゴネたからだ。

「こちらが五十嵐桃子さん。営業事務をされているお嬢さんで、
趣味は音楽鑑賞。お料理も得意だそうよ」
仲人の女性がにこやかに紹介し始める。

(音楽鑑賞に料理が得意?ぜんぜんウソじゃん!)

桃子は思いっきり舌を出したい気分だ。
とにかく早く逃げようと企んでいた。

相手は銀行勤務のお坊ちゃまらしく、髪を七三にキッチリ分けている。
桃子はおしとやかな演技をしながら、会話を右から左へ聞き流していた。



同じホテルのロビーで、
遊太郎はトニー・アンドリュースと、
表向きの営業の仕事ではなく、調査員として侵入者の張り込みをしていた。

「日曜日は日本の観光を遊太郎に頼もうと計画していたのに、
エイリアンの張り込みだなんて野暮だよねえ」
トニーは肩をそびやかせた。
「さっさと捕まえて遊びに行こう。遊太郎」
「・・・・・」

この時、遊太郎は桃子と同じホテルにいるとは、まだ気付いていなかった。
何故なら、今日はピアス型発振器を彼女がつけていなかったからだ。


今回のターゲットは観光客のフリをして、
女性を騙して振り回すという人騒がせなエイリアンだった。
「遊太郎。心配しなくていいよ。
ボクは強いし、アメリカでも検挙率は100%なんだ。
すぐにエイリアンを確保してみせるからね」
トニー・アンドリュースにとって遊太郎は、
幼なすぎる童顔に丸い黒ぶちメガネをかけた、小柄な日本人にしか見えていない。

トニーが、リーダーシップを取らなければ、あまりに頼りなかった。
ここは素晴らしいエイリアン確保のワザを見せてやるのが、
日本へ研修に来た自分の仕事でもあるのだと、悪気なく思っているようだ。


豪語するだけはあり、トニーはすぐに気付いた。
「見つけた。あの男が怪しい」

団体客に紛れて、女性に執拗に話しかけている男に目を付けたらしい。
高価なカメラを手にしてブランドに身を固めた男だ。確かに波動スキャンでは、地球人ではありえない。

「トニーさん、どうするつもりなんですか?」
動き出そうとするトニーへ、遊太郎がささやいた。
トニーはウインクをする。
「キミは見学していたまえ。ボクがうまく誘導して捕まえよう」
「えっ?」

調査員は目立たないよう動くのが鉄則である。
しかし、トニーはいかにも目立つ派手なルックスであり、
そのまま怪しいカメラ男に近づいた。

「やあ、いいカメラじゃないか。見せてくれない?」
「な、なんだよ?コイツ」
女性たちとの会話を中断されたカメラ男は、露骨にムッとした。
「誰?この人、カッコイイ!」
女性たちが、トニーの魅力的な容貌に釘づけになったので、
さらに面白くないカメラ男は、トニーの胸ぐらをつかんだ。

「顔貸せよ!」
「いいとも。ボクもキミに話があるのさ」


二人は遊太郎の視界から消えて男性トイレへ入った。
他の客は幸い誰もいない。

トニーは、カメラ男を奥の壁に追い詰めて詰問した。
「無断侵入の上に、地球でガールハントかい?」
「やっぱり貴様、調査員かっっ!!」
男が殴りかかろうとするのを、余裕でかわしたトニーは、
圧倒的な腕力を見せて男の首を締め上げた。

「キミのルックスで女を落とすなんて、100万年早いよ?」


~第71回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-06-29 11:52

第69回接近遭遇「桃子のお見合い」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。
彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「日本に来た本当の目的は、ボクの花嫁を探すためさ。
キミも協力してくれるよね?遊太郎」

チューリップ生命本社の営業課にアメリカ支社から研修にやって来た、
トニー・アンドリュース。
表向きは営業マンだが、遊太郎と同じく、
地球に派遣されたアメリカ支部の調査員であった。


「あなたは地球人と結婚するつもりなんですか?
調査員なのに?」
驚いて質問する遊太郎へ、トニーはおおげさにジェスチャーをする。
「ノンノン!キミ、調査員が現地惑星人と結婚しちゃいけないルールはないんだよ?
ボクはアメリカでもパートナーを探したけど、ピンとくる女性がいなくてさ。
日本研修のチャンスが来たから、ヤマトナデシコを、
ボクの花嫁候補にしようと決めたんだ」
「はあ・・・」


「ところで遊太郎は、地球人女性とルームシェアしてるそうじゃない?」
トニーは興味津々に質問した。
「え?ええ、そうですが・・・」
「どんなレディなのかな?近いうち紹介してくれたまえ」
「・・・」

妙な展開になって来た、と遊太郎は困惑した。
実は自分は、その女性を好きになってしまったのだと言えばいいのだが、
遊太郎の性格上できなかった。



「ただいま、桃子さん」
マンションに帰ると、リビングで振袖姿の桃子が目に飛び込んで来た。
赤地に花模様がよく似合っている。

「お帰り。遊太郎」
驚いている彼をよそに、桃子は帯と格闘していた。

「どうしたんですか?その着物」
「え?ああ、振袖が珍しい?」
「はい。綺麗ですね」
「そう?でもさあ、成人式以来だから着慣れなくて。
あ、そこの帯のはしっこ、持ってよ」
「これですか?」
都合よく遊太郎に手伝わせる。

「そうそう、この写真どうりだと、こうなるはず・・・」
テーブルに広げた着つけ写真を見ながら四苦八苦する。
見兼ねた遊太郎が、写真を見て器用に帯を形作る。
「桃子さん、たぶん、こうじゃないですか?」
「あ?そうか、そうなるんだ。ありがと」


実は、と桃子はぎこちなく説明し始めた。
「今度の日曜日、お見合いすることになっちゃって」
「お見合い?」
案の定、彼は意味を知らないようだ。
「お見合いっていうのは、・・・つまり、知らない男女がホテルとかで会って、
お互い、気に入ったら結婚を前提にした、お付き合いをする、
まあ、日本特有のイベントよ」
「・・・結婚?」

その二文字に遊太郎が反応したのは、
花嫁を探しに来たトニーの影響かもしれなかった。


「・・・桃子さん、結婚するんですか?」
「わ、わかんないわよ。まだ会ったことないし」
「でも、お互いが気に入ったらって」
「ああ、うん。そういうこともあるかもね」

帯が苦しいと言って、桃子はとうとうギブアップした。
「ンもうっ!着物なんかウザイって言ってんのに。
お母さんが、お見合いは着物でなきゃダメなんて言うからさ、
必死に練習してたけど、着替えてくるっ!」
桃子は文句を言いながら部屋に入ってしまった。

「桃子さん・・・・」

リビングに残された遊太郎は、初めて混乱していた。


考えたこともなかったが、桃子が同じ地球の男性と、いつ結婚しても不思議ではなかったのだ。

花嫁を探しに来たトニーの場合はともかく、
少なくとも自分は、仕事のために地球に派遣されて来たのであり、
地球人を好きになったからといって、
彼女の人生を自由にしていいとは思わなかった。


(桃子さんには、桃子さんの幸せがある)

遊太郎は理性では分かっていながら、
複雑な感情を持て余していた。


~第70回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-06-27 21:07

第68回接近遭遇「花嫁募集の宇宙人、登場!」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。
彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「あんた、まさか一緒に住んでるからって、
遊太郎ちゃんに手を出してないでしょうね?」

桃子に、母親の弘子が疑わしげに問い詰めた。
「な、なに言ってんのよ?」
うろたえる桃子。
「そんなわけ、ないじゃん!」
「ホントに?遊太郎ちゃんは、まだ社会人になりたてだし、
あんたより三つも年下よ?
妹の大事な箱入り息子を預かってるんだからね。
ヘンなことにならないようにしなさいよ」
家事全般ができる遊太郎は、弘子のお気に入りでもある。

「だ、大丈夫よ。遊太郎なんかガキだし」
精一杯に平静を装う。
弘子はなんとなく、まだ疑っていたが、
見合い話を強引にけしかける。

「とにかく会うだけでも、会いなさいよ。
お母さんの知り合いの顔を立てるつもりでね」


ルームシェアしている遊太郎は、確かにイトコではあるが、
中身は遊太郎のDNAをコピーしている宇宙人レンである。
レンは地球に派遣されている銀河連盟の調査員であり、
そのことを知るのは桃子と、
会社の人事部長、神崎のみなのだ。


(彼氏が、宇宙人だなんて、
誰にも言えやしない)

結果、見合いをするハメになりそうな桃子はげんなりした。
遊太郎に話したらビックリするだろうか?
いや、そもそも地球の「見合い」の意味なんか理解不能だろう。

(どうしよう・・・?)



それから数日後。
遊太郎はチューリップ生命本社の会議室に呼ばれていた。
人事部長の神崎がある人物を紹介する。

「森田君、アメリカ支社から研修に来た彼と、
しばらく一緒に同行してほしい」

神崎の横に、外国人の若い男が立っていた。
派手な金髪に明るいブルーの瞳。
まるでタレントのような華やかさがある。
「やあ、君が森田遊太郎クン?ベビーフェイスだね。
ボクはトニー・アンドリュースだよ」
トニーはスマートに手をスッと差し出し、遊太郎は戸惑ったように握手した。
その際、トニーは楽しげにささやいた。

「実はね、ボクも銀河連盟アメリカ支部調査員なんだ。
ヨロシク、遊太郎」
「・・・そうなんですか。よろしくお願いします。アンドリュースさん」
「トニーでいいよ」

流暢な日本語を喋るトニーも、裏では遊太郎と同じ調査員メンバーらしい。
そばで神崎が咳ばらいをして付け加えた。
「まあ、そういうことだ。
表向きの営業と、我々の調査を兼ねて、よろしく頼む。森田君」
「わかりました」

また忙しくなるな、と
遊太郎は頭の隅でチラッと思った。
桃子といる時間が少なくなって、また彼女が怒りだしそうだ。



チューリップ生命本社の営業課は、一気に盛り上がった。
アメリカ支社から研修に来たトニー・アンドリュースがハンサムなので、
女子社員は色めき立ち、営業マンはやっかみ半分に騒ぎ始めたからだ。

「しかしだ!なんで、よりによって新米の森田と組ませるんだ?」
と、係長の高山が不満げだに遊太郎を睨んだ。
「さ、さあ?」
「お前なんかの仕事を見られちゃ、ニッポンをナメられるじゃねえか!」
そこへ斎藤課長がフォローを入れる。
「まあ、アレだ。森田の成長の為にもなるだろうってコトだよ。
しっかりサムライ魂を見せてやるんだぞ?森田」
肩をバシッと叩かれる。
「は、はい」
サムライ魂と言われても、意味がよくわからないまま、
遊太郎はなんとか返事をした。


さっそく遊太郎の営業に同行することにしたトニーは、
ニヤニヤしてこんな事を言ってのけた。

「実はボク、花嫁を探してるんだ」
「え?」
「日本に来た本当の目的は、日本のヤマトナデシコを、
ボクの花嫁候補にしたいからさ」


~第69回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-06-24 23:34

第67回接近遭遇「新しい門出」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。
彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「宇宙の吸血鬼、黒木毬絵は再生センター送りになる。
かなり被害者を出しているから当然だな」

月の裏側にあるステーションで、上司ロータスがレンに説明をしていた。
まだ残党シーマ星人は散在していて、ひき続き捜査中だが、
大物が捕まったことにより、彼らの活動は沈静していくだろう。

「時任晴彦はどうなりましたか?」
同じシーマ種族の男性の名前をレンが口にした。
ロータスはわかっている、という風に茶褐色の瞳を柔和に向ける。

「レン、君の治療中に事情聴取をさせてもらったが、
桃子君の救出に手を貸してくれたこともあり、
危険な因子はないと見て、地球滞在を引き続き認可したよ」
「そうですか」
レンは安堵した。
時任晴彦がいなければ、桃子を安全な場所へ運び出すことはできなかったからだ。


その日の午後。
時任晴彦の設計事務所を訪れた人物がいた。
雑居ビルの事務所の看板が違うものに変わっているのを、
不思議そうに見ていると・・・

「探偵を、また始めようと思って」
後ろから声がしたので振り向いた。
時任晴彦が嬉しそうに笑っている。

「朝野さんが、訪ねて来てくれるなんて嬉しいです」

晴彦の目の前にいたのは、清楚な美しい令嬢、朝野玲子だったのだ。
「時任さんに、お借りしていた本をお返しに来たんです」
玲子は丁寧に本を晴彦に渡した。
「ありがとうございました」
「わざわざ、どうも。結末はいかがでしたか?
殺人鬼と化した恋人を許して、
共にやり直すというハッピーエンドでしたが」
「ええ、とても感動しました」


晴彦は冴え渡る青空を見上げてた。
「僕が探していた元恋人も、別の人生を歩むことになりそうです。
だから、僕も思い切って探偵業で再スタートしたいと思います」
瞳が少年のように輝いている。
「私も応援します」
玲子は思わずそう言った。


その時、ふっと晴彦が直観を得たように言った。
「・・・朝野さんの応援があるなら、頼もしいな」
「え?」
「あなたの捜査なら、いつでも喜んで手伝いますよ?」
晴彦が爽やかに笑う。


彼は気付いたのだ。
朝野玲子が、実は調査員レンの変身した姿であることを。

「いや・・・その。ピンと来たのはさっきなんです。
僕はそのへんニブイですからね。
なんとなく波動が似てるなあって。やっぱりそうだったんだ」

「見破られるなんて、さすがは探偵さんですね」
これは素直に受けとめるしかない。
「今まで、申し訳ありませんでした」
「いやいや。仕事だから、仕方ないことです。
でも、元気そうで良かった」
晴彦との友情はこれから先も続いていくだろう。

「また五十嵐さんと遊びに来て下さい。
今度は、森田君としてね?」
晴彦がにやっとして片目をつぶった。



その頃。
マンションにいる桃子にとんでもないイベントが、
持ち上がりかけていた。

「お、お見合い?誰が?」
「あんたに決まってるでしょ、桃子」

週末、桃子のマンションに押しかけて来た母親が、
見合い写真をズラリとテーブルの上に展開し始めたのだ。

「もう26でしょ?あたしはその歳には、あんたを生んでたわよ?」
「だからって、押し付けないでよ」
桃子はふて腐れて、写真を見ようともしなかった。
「ひょっとして、好きな人、いるの?」
「え・・・・???」

一瞬、固まってしまう。
母親のカンか、妙に敏感なところがある。
「べ、別に」

弘子がちょっと考えて、ズバッと聞いた。
「あんた、遊太郎ちゃんに手を出してないよねえ?」
「はあ???」


~新展開の第68回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-06-22 10:39

第66回接近遭遇「恋人たちの森で」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。
彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

(なんか、頭がガンガンする)

桃子は顔をしかめて起き上がった。
「?」
どうやら目覚めた所がマンションではない。
夢でも見ているのだろうか。
淡いグリーン系のベッドに寝ていたようで、部屋は白くて円形である。

「ハーブティでも飲む?桃子さん」
華やかな声がして、白衣を着た見覚えのある美女がお茶を運んで来た。
「あ、あの・・・・?」
「びっくりさせてごめんなさい。ここは天野クリニックよ。
お話をするのは初めてよね?
私は天野律子。レンから聞いたことあるでしょ?」

そういえば、この凄いほどの美人を桃子は知っていた。
遊太郎の知り合いで、ヒーラーだと聞かされたことがある。

目の前に出されたハーブティを見て、だんだん思い出して来た。
確か、会社の帰りにパンフレットを持って輸入家具の店を訪ねたはずだ。
そこで、着物姿の女性に紅茶とクッキーをご馳走になり・・・

「あなたは、事件に巻き込まれたのよ。
でも大丈夫。レンが解決したから」
あっさりと天野律子が説明するが、よくわからない。

それでもパニックにはならずに済んだのは、
遊太郎と出会って以来、災難には慣れていたし、
あの洋館じみた店で、眠気に襲われてから、
なんとなく、おかしいとは感じていたからだ。

「あの、あたし、すごく怖い夢を見て・・・」
「夢?」
「あたしを助けるために、遊太郎が、
魔女みたいな人に、襲われている夢を見たんです」
少し鳥肌が立って来た。夢にしては生々しかったからだ。

「・・・遊太郎は?」
急に不安になって、恐る恐る律子に聞いた。
「レンなら、別の場所にいるわ」
「え?」


ほどなく、天野律子に案内されて部屋を出た。
隣接された建物に移ると、そこはやはり吹き抜けの円形の建物で、
びっしりと緑におおわれている。
スウッと気分が楽になるのを桃子は感じた。
緑の吐き出す心地良い波動が、全身を浄化するようだ。

まるで森の中にいるような錯覚を覚えながら、天野律子についていくと、
木々に囲まれて半透明な楕円形のカプセルが見えて来た。
白い服を着た誰かが、横たわっている。


「・・・遊太郎!」
驚いて声がふるえた。
カプセルの中のレンは、細い管につながれて眠っていた。
胸に管が二本差し込まれているのを見て、
桃子は助けを求めるように、天野律子を仰ぎ見た。

(ひょっとしたら、あたしを救うために遊太郎が・・・)

そんな桃子の心配を、律子は心得ながら答えた。
「大丈夫。いまはエネルギーチャージ中。安心して
でも、彼っていつも強引なスタンドプレーに走るのよね。
もう少し自分を大切にしてほしいわ。そう思わない?」
桃子の肩にそっと触れ、後で迎えに来るからと、
律子はその場を離れて行ってしまった。


「ごめん。・・・ごめんね、遊太郎」
桃子は、すがりつくようにカプセルに手を置いた。
体温に反応したのか上部が開いたので、ビクッとなった。
すると、眠っていたレンがふっと目を開けた。
青灰色の涼しそうな瞳がゆるりと動いて、桃子を見つめる。


「桃子さん、大丈夫ですか」
「遊太郎こそ、何言ってんのよ」

こんな時でも、憎まれ口しか言えなかった。
「あたしを助けるために、イイカッコして危険なことしないでよ」
毒舌が止まらない。
「遊太郎、聞いてる?」


その次の瞬間、レンが起き上がり、
まだ何か言いかける桃子にキスをした。
「・・・・・」

とても、優しいキス。

桃子はもう何も考えられず、
両手を伸ばし、レンを大切に抱きしめた。


~第67回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-06-21 10:38

第65回接近遭遇「誰よりも愛している」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。
彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「・・・あなたは、僕のエネルギーを吸い過ぎたようです」

レンはそう言って、ゆっくりとグランドピアノから身を起こした。
乱れたシャツの胸元を少し整える。

生体エネルギーを奪う宇宙の吸血鬼、毬絵は、
身体に違和感を覚えながらレンに問い詰めた。
「吸い過ぎた・・・?それ、どういう意味?」
「僕は特殊能力者です。
普通の人とは異なるエネルギー粒子を持っている」
「何ですって・・・?」
毬絵の顔がびくびくと痙攣し、歪んだ。

「残念ながら、あなたの身体で、僕のエネルギーを全て消化するのはキツい。
飽和状態になり、細胞が壊れてしまいます」
淡々と話すレンとは逆に、毬絵の切長の目が憎悪で燃え始めた。
「あなた、最初から分かってて・・・?」
紅蓮のオーラが毬絵から放たれ、
まるで妖婦のように髪を振り乱しながら、襲いかかろうとした。


その刹那。
何もない空間から、レンが半透明な銃を出現させた。
しなやかにそれを右手に構え、毬絵に照準を合わせる。
「無駄なことを!」
毬絵は悪鬼のように向かっって来たが、一瞬圧倒的な白い閃光に包まれた。


サイキックガン。
力を増幅させる銀河連盟公式の武器である。
閃光を浴びた毬絵が床にどうと倒れた。
「毬絵・・・!」
晴彦はハッとして叫んだ。

「大丈夫です。時任さん。
毬絵さんを、一時的に凍結させただけですから」
レンの手の中で、サイキックガンが吸い込まれるように消えた。
「まもなく、身柄確保の為に銀河連盟パトロールがやって来るでしょう」

「さすが調査員だな。見事な腕前だ」
晴彦は、大きな溜息を吐き出した。
そうなのだ。毬絵はもう晴彦の知る、かつての恋人ではなかった。
これ以上、吸血鬼の犠牲者を出すことは許されない。
・・・これで、良かったのだ。


「時任さんに、お願いがあります」
レンは柩に近づいて、中で眠っている桃子を見つめた。

「桃子さんを・・・・」

そのあとが、途絶えた。
不意に息を乱して、レンが前のめりに倒れかけたのだ。
晴彦が走り寄り、彼の身体を支える。

「君・・・!」
「・・・・大丈夫です」
柩に寄りかかり、レンは微笑した。
しかし、その顔は雪よりも白い。
毬絵に心臓をつかまれ、大量の生体エネルギーを奪われたのだ。
普通なら、生きている方が不思議だろう。

「桃子さんを・・・安全な場所に、移して欲しいんです」

晴彦には断る理由がなかった。
「わかった。だけど、君は?」
レンは静かに首を振った。
「・・・僕は、しばらく動けない。
だから、彼女だけは・・・お願いします」


「君は、本当に五十嵐さんのことを大切に思っているんだな」
感慨深くつぶやく。
そのあとで、複雑な表情を漂わせた。
「君のような勇気が、昔の僕にあったなら・・・」

凍結している毬絵を目の端にとらえたが、もう過去へは戻れない。
晴彦は柩から桃子を丁寧に抱き上げた。
「五十嵐さんのことは安心していい。でも・・・・」

穏やかに、しかし強くレンに言葉をかける。
「君も、必ず彼女のそばに帰ること。約束だ、いいね?」

レンはかすかににうなづいた。
晴彦とのあいだに、いつしか温かい友情が芽生えていた。

桃子を抱いて広間を出て行く晴彦を、見送ったあと、
レンはつらそうに左胸を押さえた。

(・・・・・もう、限界だな)

サイキックガンを放射したがために、
わずかに残っていた力さえ使い果たしてしまったようだ。

(桃子さん・・・・・)

果てしのない深い闇が、容赦なく落ちて来て、
・・・・・・レンは意識を失った。


~第66回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-06-18 00:02

第64回接近遭遇「魔女の生け贄として」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。
彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「地球人を助けるために、自分を好きにしてかまわないなんて、
麗しい自己犠牲だこと。
そんなに、こんな娘が好きなの?」

宇宙の吸血鬼と呼ばれるシーマ星人、黒木毬絵が、
グランドピアノの上に押し倒したレンにそう尋ねた。
こうしている間も、大量の生体エネルギーを毬絵に吸われ続けている。
もう、指一本動かすことさえ難しかった。

「・・・あなたには、わかりません」

そう言って、レンは苦しそうに瞼を閉じた。
毬絵がふふふ、と笑う。

「銀河連盟の派遣調査員が、地球人の娘を好きになったですって?
くだらない。愛なんかのためにイケニエになるなんて」
すると、ようやく立ち上がった晴彦が口を開いた。

「くだらなくなんか、ない」

ゆっくりとグランドピアノに近づく。
柩の中で眠っている桃子と、毬絵に心臓をつかまれてているレンを見て、
精悍な顔が苦渋に歪んだ。

「もう、こんなことはやめないか?毬絵。
若い頃はこんなじゃなかった。
シーマ星で、二人でいつも楽しかったじゃないか」
昔の記憶を呼び起こして、晴彦は問う。
「他の惑星の住人をエサにするだけでなく、彼らの愛をもてあそぶ真似はやめろ。
もう充分だろう?二人を解放してやるんだ」


すると毬絵は可笑しそうに言い返した。
「愛なんて壊れやすいもの、信じないわ。
相変わらずロマンチストね、晴彦。
だから、わたくしはあなたに愛想がつきたのよ?」
「毬絵・・・」

「永く生きるためには、永遠の若さや美しさを保つためには、
愛よりも、目の前にある獲物を自分のものにすることが重要だわ。
それの、どこが悪いの?」

「・・・・・」
晴彦には、もうかけるべき言葉がなかった。
一連の通り魔の犯行をやめさせようと決心して、
この洋館へ足を運んだのだが、やはり現実は甘くなかった。
彼女には昔の面影はなく、吸血鬼になり果ててしまったようだ。

「毬絵、君の考えはわかった。だが、お願いだ。
もうこれ以上、彼の生体エネルギーを奪わないでくれ。
本当に、死んでしまう・・・!」
そして、ありったけの力で、毬絵の身体をつかんだが、
彼女はにっと笑うと片方の白い手で晴彦の首を締め上げた。

「!」
細い指がワイヤーのように晴彦の喉に食い込む。
「晴彦、あなたってあまり、美味しくないわね」
彼女はすぐに飽きて投げ捨てた。
再び床に叩き付けられ、晴彦は激しく咳込んだ。


「これで、邪魔者はいないわ。美しい調査員さん。
あなたは今度こそ、わたくしのもの」
毬絵はうっとりと、レンの唇に己の赤いそれを重ねた。


・・・なんという素晴らしいエナジーだろう。
彼女は今まで味わったことのない、深い満足感に酔いしれた。
形のない愛よりも、
永遠に美しく生きながらえる存在になるために、
彼の全てを呑み干そう。余すところなく・・・


その時。毬絵になされるがままにされがら、
閉じていたレンの瞳が、うっすらと開いた。

「・・・・?」
彼に覆いかぶさっていた毬絵の全身が、びくびくと震え始める。
・・・この違和感は?

全身の細胞が粟立ち、たまらなくなった彼女はレンから飛びのいた。

「な、・・・何をしたの?わたくしに何を!」
毬絵は、引き攣ったような顔をして数メートル後ずさる。
晴彦も何が起こったのかわからず、二人を見比べた。


グランドピアノの上から、
ゆらり、とレンが身体を起こした。
乱れた前髪のすき間から、青灰色の瞳がのぞき、
空間を斬るように毬絵に向けられる。

「・・・あなたは、僕のエネルギーを吸い過ぎたようです」


~第65回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-06-15 23:59

第63回接近遭遇「レン、魔女に襲われる!」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。
彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「ようこそ。銀河連盟調査員の坊や。
わたくしを捕まえに来たんでしょう?」

ワイン色に蜘蛛の巣を張ったような文様の着物を着た、
黒木毬絵がにんまりと白い顔で笑った。
会社の設立記念パーティーに来た時から、遊太郎の正体を知っていたのだ。


「調査・・・員?」
時任晴彦は訳がわからず、遊太郎を信じられない顔で見つめる。
「君が?・・・いや、嘘だろう?」
遊太郎は、童顔にまんまるメガネ、おっとりした風情である。
噂に聞く銀河連盟から派遣された調査員には見えなかった。


「だから、晴彦はカンが鈍くなったと言ったのよ。
すっかり地球人になってしまって、それでもシーマ種族?」

これには晴彦が反論した。
「地球人の生体エネルギーを奪っている君には、言われたくはない」
「まあ、ひどい。あなたは古いタイプのシーマ種族だから、
生体エネルギーの味なんか分からなくて当然だけれど」
「君とは進化の仕方が違うんだ。
僕は他人からエネルギーを奪うなんておぞましくて出来ない」


どうやら同じシーマ星の出身でも、
晴彦は毬絵のように、生体エネルギーをエサにする種族とは違うようだ。


遊太郎はこの不意をついて、
スッと二人のあいだを抜けた。
そしてグランドピアノの横に置かれた柩に近づいた。
柩の中で、桃子が無防備に眠っている。


「桃子さん・・・」

遊太郎は膝まづいて桃子に触れようとしたが、背後から何かが忍び寄った。
「!」
黒木毬絵が、遊太郎を後ろから抱きしめたのだ。

「そんな娘のどこが好きなの?」
「放してください」
「い・や。放さない」

毬絵の結われた髪がハラリと解けて、ゆらゆらと不気味なオーラが立ちのぼる。遊太郎は電気的パワーで相手をフリーズさせようとしたが、
何故か全て吸収されてしまう。
仕方なく力任せに、彼女の腕を振り払った。
傍にあるグランドピアノの上に手をついた遊太郎へ、
髪を振り乱した魔女が襲いかかる。

「毬絵、やめろ!」
晴彦が走って来たが、毬絵が放つエネルギーフィールドに弾き出され、
床に叩きつけられてしまった

黒木毬絵という女。
今まで捕まえて来たシーマ星人とは、比較にならない力があった。
ピアノの上に追い詰めた彼を、毬絵は凄まじい力で押さえ付けた。
彼女の右手が遊太郎の心臓に当てられ、
彼の生体エネルギーが急激に吸われてゆく。


「森田君・・・?」
床にはいつくばりながら、晴彦は目撃していた。
森田遊太郎と呼ばれていた地球人が、まさに別人に変わっていくのを。


髪が淡いプラチナへ、顔立ちが変わり、黒い瞳は青灰色へと変貌する。
調査員レンは、大量の生体エネルギーを奪われた為に、
遊太郎の姿を保てなくなったのだ。


「・・・・・美しい」

毬絵はレンを恍惚とした表情で眺めた。
彼の首筋から顔へ、その冷たい指をゆっくりと這わせ始める。
片方の手を使ってネクタイを解き、シャツのボタンをはずした。

「これが、あなたの本当の姿なのね。
エナジーも思った通り極上の味だわ。
その美しさ、若さをわたくしにちょうだい」

レンは苦しそうな表情で、かすれた声で答えた。
「・・・桃子さんだけは、・・・助けてください」
「あの娘を助けたら?」
「僕を、・・・好きにしてかまいません」

それを聞いた毬絵はひどく喜んだ。
またとない獲物が手に入ったのだ。
しかも自分を捕まえに来た調査員である。
桃子のことなど念頭にはもう、ない。

「聞いた?晴彦」
毬絵は楽しそうに、床にへたりこんでいる晴彦へ勝ち誇ったように叫んだ。
「彼は、わたくしのものになったわ」


~第64回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-06-15 00:10

第62回接近遭遇「男たちの魔宮」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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「・・・確か、森田君といったね?君はここで待っていればいい」

店の前で、時任晴彦は遊太郎にそう言った。
「ここ、僕の知り合いがやっている店なんだ。
中にいる五十嵐さんを連れて来てあげるから」
「いえ。僕はこのお店に仕事で伺ったので、ただ待ってるわけにはいかないんです」
遊太郎はまんまるメガネの童顔で、おっとりと言った。
時任晴彦は、何故か遊太郎を中に通したくはなさそうだったが、
少し考えたあと、じゃあ、と諦めて扉を開けた。

「お好きなように。中は古い洋館だ。
妖怪やお化けが出て来ても知らないよ?」
まるで子供に言うセリフだった。


晴彦の言った通り、駅前にあるとは思えない洋館で、
入った者の感覚を狂わせるような奥深さがあった。
高い天井と漂う香の匂い・・・

人の気配がなく、男たち二人の足音と、古い柱時計の音だけが不気味に響いている。
さらに進むと、古い骨董品が並べられた薄暗く広い廊下が延々と続いていた。
まるで魔宮に迷い込んだようだ。


「こんなに広いなんて。外から見た建物とは違いますね」
遊太郎は天井を見回しながら、心細そうな顔をしたので、
晴彦はそれ見たことかと苦笑した。
「怖いなら、ついてこなくて良かったのに」
すると遊太郎は頭をかいた。
「時任さん。もしゴーストなんか出て来たら、その時はお願いします」
「最近の若い奴は軟弱だな。あの五十嵐さんの方が何倍も気が強そうだけど」

晴彦は、桃子が威勢良く遊太郎を言い負かしているところを見ていたのだ。


廊下はまだ続いている。
「ところで、森田君は五十嵐さんの彼氏?」
「イトコです」
「そう。同僚でイトコ同士か」
「黒木さんは、時任さんのご友人か何かですか?」
遊太郎がさりげなく聞いた。

晴彦は皮肉っぽく笑った。
「いちおう、昔の元カノということにしようか」
「そうなんですか」
遊太郎はのんびりと歩きながら、調査員レンとしての思考を巡らせていた。


時任晴彦が地球に探しに来た恋人は、やはり黒木毬絵である。
しかし、その毬絵は通り魔のように生体エネルギーを奪う吸血鬼であり、
ついに桃子までが捕われてしまった。
もし晴彦が、毬絵の仲間であるなら、その時は・・・・


暗い突き当たりに壁いっぱいの扉があった。
中からピアノの音が聞こえ、二人は顔を見合わせた。
注意深く開けると、明るい広間が視界に飛び込んで来た。

広間の中央にはグランドピアノがあり、そのすぐ横に花に囲まれた柩があった。

「桃子さん・・・・!」

遊太郎は柩に寝かされた人物が桃子だと知った。
晴彦も眉をひそめる。

ピアノを弾いていた黒木毬絵が優雅に立ち上がった。
ワイン色に白い蜘蛛の巣のような文様の着物を着て、張り付いたような笑顔を彼らに向ける。

「毬絵!五十嵐さんに何をしたんだ?」
晴彦が大きな声を出した。
すると毬絵が淡い眉を吊り上げた。
「声が大きいわ。晴彦。彼女は気持ちよく眠ってるだけよ?」
「どういうつもりだ?悪趣味なことをやめて、五十嵐さんを帰せ!」


晴彦の命令など意に介さず、毬絵はつかつかと近づいて来た。
「晴彦。長く地球に住みすぎて、カンが鈍くなったのね。
生まれた時から地球人みたいよ?」
「な、何を言ってる」
晴彦は遊太郎の手前、ごまかそうとしたが、彼女は鼻で笑った。
「あなた、一体誰を連れて来たのか、分かってる?」
「なに・・・?」
言われた意味がわからない晴彦を、毬絵はきれいに無視をした。
晴彦のすぐ後ろに立つ遊太郎へ言い放つ。


「ようこそ。わたくしの館へ。銀河連盟調査員の坊や」


~第63回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-06-12 23:55

第61回接近遭遇「魔女の誘惑に堕ちて」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ある夕刻。
桃子は、会社帰りに封筒を脇に抱えて街を歩いていた。
「確か、ここよね?」

輸入家具の店『クレジュール』と書かれた釣り看板の前に立ち止まる。
何故、桃子が寄り道をしているのかというと話は30分位前のことだ。


「五十嵐君。済まないが帰りに、ここに寄ってパンフを届けてくれないかな?」
帰ろうとした時、斎藤課長にそう頼まれたのだ。
客から電話で至急パンフレットが欲しいと電話があったらしい。
営業担当が出払っていて人手がなかった。
「森田の客なんだ。場所は駅前に近いらしい」
「はい、あたし行ってきます」
「悪いな。森田にはメモを残しておくから」
斎藤課長は会議に走り、桃子は一人で届けることになったのだ。


「すみません。チューリップ生命の五十嵐ですが・・・」
飴色の重厚な扉を開けると、そこは駅前にあるとは思えない洋館に一変した。
古めかしい家具や調度品が埋め尽くされ、東洋的な香の匂いがする。
桃子はしばらく見事な細工のオルゴールに見とれていた。


その時、肩にヒヤリと冷たい手の感触があり、振り返ると、
見覚えのある和風美人が立っていた。
「驚かせてごめんなさい。パンフレットを持って来て下さったのね?」
「あ、はい。営業の森田の代わりにお持ちしました。
私、事務担当の五十嵐です」
慌てて早口で挨拶をすると、和服美人は白い顔で微笑んだ。

「ありがとう。五十嵐さんとおっしゃるの?
確か、設立記念パーティーで受付にいた方よね。
わたくし、店主の黒木毬絵です」
ああ、だから見覚えがあるんだと桃子は安心した。
黒木毬絵はワイン色の着物を着こなしていた。
お茶を入れるから、とアンティーク調の円いテーブルへ桃子を誘う。

「いえ、おかまいなく。パンフレットを届けに来ただけですから」
「あら、せっかくいらして下さったのに。
わたくしの紅茶とクッキーは美味しいのよ」
そう言われて、戸惑いながら猫足の古い椅子に腰を下ろした。

毬絵は優雅に紅茶を入れて、クッキーをどうぞと微笑んだ。
空腹だった桃子は、おずおずと手を伸ばしてしまった。

「美味しい?」
「はい。すごく美味しいです」
空腹が満たされたからか、桃子の瞼はだんだん重くなっていった。

「・・・あなたも、とっても美味しそう」

桃子のすぐ近くに白い手が近づいて来たが、
甘い睡魔に誘われて何もわからなくなった。



その頃、帰社した遊太郎は斎藤課長からの伝言メモに凍りついていた。

(桃子さん・・・・・!)

高山が何だどうした、とまとわりつくが、
遊太郎は何も言わずに会社を走り出た。

パンフレットを届けるよう電話を架けて来た人物は、
黒木毬絵という名のシーマ星人であり、生体エネルギーを奪う宇宙の吸血鬼なのだ。


輸入家具の店『クレジュール』に辿り着いた時、
遊太郎は、店先に立ち尽くす人物を見て内心驚いた。
「・・・・・」

時任晴彦。
遊太郎が、別人に変身して接近中の男だった。
彼もシーマ星人である。

「君は、確か五十嵐さんの会社の営業の人だね?」
時任晴彦は遊太郎を見て思い出したようだ。

「・・・実はさっき、五十嵐さんがここに入っていくのを見かけて」
「はい。この店の黒木さんにパンフレットを届けるよう言われたからです」
遊太郎はつとめて事務的に答えた。


・・・やはり、時任晴彦と黒木毬絵は繋がりがあったのだ。
でなければ、彼はここに来るはずもない。
しかも、いま桃子は黒木毬絵に捕われていて、
時任晴彦は、敵か味方かわからなかった。


さあ、どうする・・・・?


~第62回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-06-10 23:28