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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
ICELANDia
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<   2008年 05月 ( 16 )   > この月の画像一覧

第56回接近遭遇「中年男と令嬢のカップリング」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ある日の夕刻。
雑居ビルの一角にある時任設計事務所を、美しい令嬢が訪ねて来た。

「朝野さん、よく来て下さいました。散らかっていてすみません」
時任晴彦は慌ててデスクを片付け始めた。
朝野玲子は上品に会釈して、持参した手土産の洋菓子を渡した。

「この間は、危ないところを助けて頂いて、ありがとうございました。
これは、ほんの気持ちなのですが・・・」
「そんな、気を遣ってもらって、こちらこそ申し訳ない」

時任晴彦はしどろもどろになった。
若く美しい女性の来訪にド肝を抜かれている助手の男性に、
急いで茶を入れろとうながした。

朝野玲子はさりげなく事務所内を見た。
建築模型や設計ボードなどがある小さな事務所であり、
時任晴彦と助手の二人しかいないようだ。


この清楚な美しき令嬢、朝野玲子の正体はレンである。
彼は、外見や声など別人に変身できる能力を持っているのだ。

現在、レンは他人の生体エネルギーを奪うシーマ星人を調査中であり、
シーマ星から地球へ滞在している時任晴彦に、接近を試みることになっていた。


朝野玲子は片隅の来客用のソファに通され、腰を下ろした。
テーブルに置かれた週刊誌に目が止まる。

『通り魔続出!首に噛み傷?現代の吸血鬼』

そこへ、助手がコーヒーを持って来た。
彼女に見惚れ、モジモジするが、晴彦が呆れたように追い散らす。

「すみません。あなたのような女性がこんな事務所に来るなんて、
初めてなので舞い上がったようで。
・・・いや、僕も似たようなものかな?」
向かいに腰掛けた晴彦が、精悍な浅黒い顔を人懐っこく崩して笑う。


・・・どう見ても普通の地球人になりきっている。
朝野玲子であるレンは、
晴彦の波動をスキャニングしながら質問を始めた。

「時任さんは、建物の設計をされて長いのですか?」
「ああ、いや。設計の会社を立ち上げたのは数年前なんです。
以前は探偵業をやってました」
「探偵・・・・?」

「ああ、いや。お恥ずかしい話ですが、食えなくて。
途中で商売変えをしたんですよ」
「探偵って、面白そうですね」
さりげなく話を振る。
すると、晴彦が目を見開いた。
「興味がおありですか?」

深窓の令嬢が珍しいな、と思ったのかもしれない。
玲子は微笑を返した。

「あまり、外には出ないので、推理小説ばかり読んでいるんです」
「ああ、なるほど」
納得した彼は、探偵時代のエピソードをいくつか披露したあと、
少し真剣な表情で語った。

「本当の目的は、人を捜す為に探偵を始めたんです」
「人を?」
「ええ。僕の好きだった女性を捜すために」

晴彦の目は憂いを含み悲しげであり、普通の女性なら心を奪われるかもしれない。


・・・つまり、女を捜すために地球にやって来たシーマ星人なのだろうか?
レンがスキャンする限り嘘ではなさそうだ。

「それで、その方は見つかったのですか?」
遠慮がちに聞いてみる。
しかし彼は首を振り、コーヒーを飲んだ。
「・・・全く消息がつかめなくて。
結局、知り合った女性と結婚しました。すぐ別れましたけどね」
「・・・そうだったのですか」

話を聞いてくれている令嬢に悪いと思ったのか、
晴彦は、少年じみた笑いをして頭をかいた。
「いや、せっかく来て頂いたのに、中年オヤジのつまらない話ばかりで。
朝野さんは聞き上手ですね。とてもリラックスします」
「いいえ。時任さんのお話は、いつまでも聞いていたくなります」
そう答えると、晴彦は瞳を輝かせた。


「よろしければ、時々会って頂けませんか?」
「私でよければ・・・」


~第57回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-05-31 19:06

第55回接近遭遇「恋する観覧車」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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日が傾きオレンジ色に染まる、ハッピードリームランドの公園広場。

女性たちの憧れの視線の先には、
観葉植物を背に立つ長身の青年がいた。
桃子が近づくと、彼はゆっくりこちらを見た。
遊太郎からレンに戻ってしまったようだが、黒髪と黒い瞳に変えている。
それでも目立つことには変わりはなかった。


「なんか、あった?」
桃子が周りを気にしながらささやいた。
するとレンは微笑して桃子を見つめた。
「少しアクシデントがあって・・・。でも解決しました。
待たせてすみません」
「いいけど・・・」
何があったのか聞こうとしたが、レンは彼女の手をスッと取った。
「行きましょう、桃子さん」
そのまま彼がエスコートしたのは、観覧車だった。


暮れ行く世界を見下ろす観覧車の中で、
桃子は何故か急にドキドキして来た。
気付かれないよう顔を窓の外へ向ける。
花火が上がり、いくつもの光の輪が彼らを歓迎していた。

「桃子さん?」
窓に張り付いたままの桃子へ、向かいに座るレンが不思議そうに声をかけるが、
桃子は顔をますます赤くしていた。
黒耀石のような彼の瞳をちゃんと見ることができない。

つい、ごまかすように言ってしまう。
「ホント。あんたが元に戻っちゃう時って、ロクなことないんだから」

・・・せっかく、二人で定番の観覧車に乗っているというのに、
あたしは、どうして憎まれ口しか言えないんだろう・・・

それでも、さすがに気が引けてレンの方へチラッと見ると、
彼は腕を窓にかけて眠ってしまっていた。


「・・・・」
桃子はそっと近づいて、彼の寝顔を見つめる。
・・・疲れてるんだよね。きっと。
仕事で忙しいのに、あたし、文句ばっかり言って。
・・・でも、観覧車がこのまま地上に着かなければいいのに・・・


その時、何気なく彼の首筋あたりに淡いピンクの跡を発見した桃子は、
目を大きく見開いた。

(なに、これ???)

もちろん、それは子供の格好で遊園地に現れた、宇宙の吸血鬼シーマ星人に、
レンが生体エネルギーを奪われた跡だったのだが、桃子は知るはずもない。


・・まさか、キスマーク?いつの間に?

「桃子さん?」
フッと目を覚ましたレンは、腕組みをして立っている桃子を見上げた。
彼女の形相が一変している。

「遊太郎!迷子を連れて行ったきり全然戻らないから、
さっきはホントに心配して探していたのに。
いったい、どこでナニをしていたわけ?この浮気モノっ!」
「え・・・・?」
観覧車が落ちそうな勢いだった。



「それは災難だったな、レン?」
月の裏側のステーションで、上司ロータスが苦笑いをしていた。
レンが憮然としているので、それ以上聞かなかったが。

「それにしても真昼間から、子供のシーマ星人が堂々と現れるとは、
パトロールの強化を検討しよう」

そして巨大モニターにある人物を映し出す。

時任晴彦。
30代後半、落ち着きと精悍さが同居する男。

「あれから、時任晴彦の周辺を調べさせたのだが。
地球に住んでかなり長い。途中、地球人女性と結婚もしている」
「結婚?」
少しレンが反応する。
異星人同士が結婚するのは珍しくはないが、今まで関心がなかったのだ。

「他の惑星で現地人と結婚をして暮らすとは、
よほど住みやすかったのか、故郷シーマを忘れるほど」
「・・・・」
レンは黙ってモニターを凝視していた。
ロータスがニヤリと笑う。

「さて、朝野玲子の出番だ。
時任晴彦にもう一度、接近したまえ。いいね?レン」
「承知しました」


~第56回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-05-28 21:54

第54回接近遭遇「キケンな遊園地デート」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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「なんで遊園地なわけ?」
ハッピードリームランドの前で、桃子は膨れっ面をして遊太郎に聞いた。
ようやく初デートなのに、と不満げだった。
「え?桃子さんは遊園地は嫌いでしたか?」
キョトンとする遊太郎。
「べ、別に。そういうわけじゃ」

・・・遊太郎といられるなら、どこだって楽しい。
でも、初めてのデートって映画見てステキなレストランで食事して・・・
とか、色々あるじゃん。
と、女ゴコロはなかなかフクザツなのだった。


「遊太郎、ジェットコースターに乗ろうよ!」
それでも、中に入ると桃子はアトラクションに夢中になった。
二人は歓声をあげてジェットコースターに身を任せた。
メリーゴーランド、イルカのショー、ビックリハウス、
次々と制覇していき、二人はオープンカフェでお茶をすることにした。

「遊園地なんて久しぶりだから、楽しい♪
ごめんね、遊太郎。さっきは文句言って」
桃子が素直に謝り、遊太郎は機嫌がなおった彼女にニッコリした。


ふと見ると、カフェに散在する花壇のそばで、
小さな子供が泣いているのが見えた。
3才くらいの女の子だ。
「迷子なんじゃない?」
「そのようですね」
放っておけなかった遊太郎は子供に近づき、優しく抱き上げた。

「僕、案内所へ連れて行ってきますから、桃子さんは待っててください」
「親切だね、遊太郎は」
なんだか男子高校生が子供を抱いてるみたいだけど、と思いながら、桃子は笑顔で手を振った。
「行ってらっしゃい♪」


案内所へ向かう遊太郎の腕の中で、子供は紅葉のような小さな手を伸ばした。
そして彼の首筋にピタリと添わせる。

「!」
スウッと血の気が引いて、遊太郎の顔が苦しそうに歪んだ。
子供は泣きやんで、無邪気に笑う。
「おにいちゃん、すき。おいしいから」
「・・・・!」
子供の姿をしているが、彼女は手配中の宇宙の吸血鬼、シーマ星人だった。
しかも生体エネルギーを奪う力は強力である。
遊太郎はすぐに銀河連盟パトロールへテレパシーを放ち、
外れにある倉庫の中へ飛び込んだ。


幸いにも中には誰もいない。
使用されなくなった乗り物たちが眠っているだけだ。
遊太郎は吸い付くようにしがみついている子供を、電気的パワーを使ってフリーズさせた。
まもなく、パトロール隊員が数名やって来て、
金縛り状態の子供を遊太郎から引きはがす。

パトロール隊員たちがシーマを連行して誰もいなくなった倉庫内で、
遊太郎は古びた乗り物に座り込んだ。


吸われた首筋を押さえる。
伝説のドラキュラのように噛み傷などはないが、淡いピンク色の跡が残っていた。

・・・子供の姿をしていたから油断した。
確かに大人のシーマ星人だけが、地球に侵入しているとは限らない。

気がつくと、生体エネルギーを急激に奪われたので、
遊太郎の姿を保つことができなくなり、本来のレンに戻っていた。

・・・途中で帰ってしまったら、彼女は怒るかもしれない。
今日を楽しみにしていたことを考えると変装しかなかった。
レンはシャツの衿をを立てて首の吸われた跡を隠し、
プラチナの髪と青灰色の瞳のカラーだけを変えた。


「遅いなぁ、遊太郎」
カフェで待ちくたびれた桃子は歩き出した。
ケータイが鳴る。遊太郎からだ。
「ちょっと、遊太郎!今どこ?
まさか、あんたも迷子になってるんじゃないよね?」
怒ったように怒鳴ると、答えが返って来た。
「すみません。桃子さん」
遊太郎のふわっとした声ではない。
この声のトーンは・・・

「もしかして、元に戻っちゃった?」


~第55回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-05-25 21:12

第53回接近遭遇「ちょいワル中年男、登場!」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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きらびやかな夜の街の一角で、
場違いに清廉な令嬢が男達にからまれていた。

「お嬢チャン。こんなところを一人で歩いていちゃいけねえよなあ?」
明らかに彼らはカタギの人間ではなく、
強引に女性を自分たちの住み処へ、連れ込もうとしていた。

「待ちなさい!」
こういう場合、必ず誰かが助けに現れるものだ。
男たちの前に立ちはたがったのは、30歳後半の男だった。
程よい落ち着きとエネルギッシュさが同居した、精悍な顔付きをしている。

「オッサン、正義の味方やってんじゃねえよ」
男たちが凄んで殴ろうとしたが、あっさりかわされ、カウンターパンチを喰らった。
ネオンの空の下で、仰向けにひっくり返る男と、血気上がるその仲間たち。
「てめえ!調子こいてんじゃねえぞ!」
すると、彼はさっと彼女の腕を取り、
「さ、逃げましょう!」
と、スマートに誘導した。


追いかけて来る男たちを器用にまいて、彼と令嬢は噴水のある駅前広場へ辿り着いた。
近くに警察署もあり、安全と見た彼は彼女に声をかけた。
「大丈夫ですか?」
そして、彼女の清廉な美しさにしばらく見とれた。

令嬢は気品漂う微笑みで、礼を言う。
天女のような優しい美しい声だった。
「ありがとうございます」
「いえ。とにかく物騒ですから、よろしければタクシーでお送りしますが・・・」
しかし彼女はゆっくり首を振り、
「お礼がしたいので、お名前をお聞きしたいのですが・・・」
「礼なんて、そんな・・・」
「でも・・・」
ためらっていた彼はようやく名刺を出した。

彼は時任晴彦。設計事務所の所長のようだ。
彼女は朝野玲子と名乗り、二人は別れた。

朝野玲子の優雅な後姿を、時任晴彦は魅入られたように見つめ続けていた。


一方、美しき令嬢は近づいて来た黒のベンツに乗った。
「朝野玲子くん、食いついたかな?ヤツは」
報告を待っていた神崎が、ニヤリとして聞いた。

・・・どういう魔法だろうか。
先ほどの清廉な令嬢が、プラチナの髪をした青年に変貌してゆく。
派遣調査員・レンは、老若男女に変身できる能力を持っていたのだ。


「時任晴彦。地球に長く滞在しているシーマ星人のようです。
地球人になり切っていて、怪しげな素ぶりは見せなかったのですが」
レンがさっき手にした名刺を神崎に渡す。


地球に侵入している宇宙の吸血鬼、シーマ。
他人の生体エネルギーを吸い取り、生きながらえている種族である。
外見が地球人と区別がつかないため、派遣調査員のレンたちが囮捜査を続行しているのだが・・・

神崎は名刺を見ながら言った。
「なるほど。さっそくパトロールにこの男の周辺を洗わせよう。
時任晴彦をマークすれば、仲間が芋ヅル式に釣れるかもしれない。
地球に長く住んでいるなら、仲間との接触もあるだろうからな」
そして、淡々と命令する。
「人使いが荒くて悪いが、時々ヤツと会って観察を頼む。レン」
「承知」


しかし、捜査に忙しくなると、
レン・・・つまり遊太郎の同居人・五十嵐桃子のキゲンがますます悪くなる。

遊太郎に戻ってマンションに帰ると、桃子が待っていた。
「遊太郎、日曜空けといてね」
「日曜、ですか?」

いきなり誘われたので、
まんまるメガネに童顔の遊太郎は、ちょっと戸惑った。
「え?また予定あるの?」
「い、いえ。なんとか・・・します」
迫力に押されて、承諾する遊太郎。
日曜は銀河連盟パトロールとエリア内を視察する予定だったのだ。

「ドタキャンは無しよ。遊太郎」
ダメ押しのひと声が飛んで来た。


~第54回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-05-24 12:45

第52回接近遭遇「囮(おとり)捜査スタート!」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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「どこかで、キミと会ったことあるよね?」

夜景が贅沢に一望できる、一流ホテルのスカイラウンジ。
アルマーニのスーツ姿の気取った男が、カウンターに一人でいる若い女性に近づいた。
彼女は淡いラベンダーのオーガンジードレスを着て、柔らかなブラウンの長い髪をしている。

男はウエイターに彼女と同じものを頼み、手慣れたように隣に腰掛けた。
「でも、キミみたいな素敵な女性に会っていたなら、絶対忘れたりしないけどね」
ドラマで聞き慣れたセリフを恥ずかしげもなく繰り広げる男に、
ウエイターは心の中で苦笑しながらシェイクし始めた。

「ボクは仕事でこのホテルにしばらくいるんだけど。キミは?」
すると彼女はゆっくりと男へ視線を流した。
その顔を見た彼はごくりと息を呑む。


・・・その高貴なる美貌。
普通の美人が10人束になっても叶わないだろう。

「ボクはなんて幸運な男だ・・・!」
夢心地に喜んだ彼は、馴れ馴れしく彼女の肩に手をかけた。
その時、微細な生体エネルギーが彼の手の中に吸い込まれ、
美女は形の良い唇をわずかに開いて、吐息をもらした。

「素晴らしいエナジーだ・・・」
次第に男は恍惚となった。
しかし次の瞬間、美女は彼の手を強くつかんだ。
「!」
つかまれた手から電流のようなものが伝わり、
フリーズした男へ、美女は微笑みながらささやいた。


「ようこそ、地球へ。
宇宙の吸血鬼シーマ星人。あなたを確保させて頂きます」

動けぬ男を、客に混じった黒服の銀河連盟パトロール隊員たちが捕えた。
何が起こったのかわからないウェイターに、
彼女は優雅に微笑みを返し、ラウンジを後にする。

エレベーターに乗り込んだ美女は、ホテルの地下駐車場に着くと、
不思議なことに、サングラスをかけたプラチナの髪の青年に変わっていた。
ベンツの後部シートで待っていたのは、上司の神崎部長だった。

「やはり吸血鬼か?レン」
「間違いありません。少し吸われました」
レンはサングラスをはずし、青灰色のクールな瞳をさらした。


地球に侵入したシーマ星のエイリアン。
他人の生体エネルギーを奪うことから、宇宙の吸血鬼と異名を取っていた。
現在地球に何人潜んでいるのかは不明であり、
調査員による囮捜査を展開中である。

「古典的な方法だが、当面続けるしかないな。
大丈夫か?レン」
「・・・なんとか」
それよりも心配なのは、帰りが遅くなることだった。


「遅いっ!」
レンが遊太郎の姿になり、マンションに帰ると、
予想通り桃子の怒声が飛んで来た。
「すみません、桃子さん。仕事がたまっていて・・・」
言い訳をする遊太郎へ、桃子が疑わしげに睨む。

「仕事って接待?なんか香水の匂いがするけど?」
「えっ?そうですか?」
遊太郎は自分の袖をつまんだ。
まさか、美女に変身して吸血鬼をおびき出していたとは言えない。

「な、何か作りますね」
遊太郎はエプロンをつけて、桃子の為に料理を作り始める。


「ね、遊太郎」
「何ですか?桃子さん」
「今度の日曜、どこかへ行かない?」

キッチンから振り向くと、桃子がクッションを抱いていた。
「だって、ここんとこ色々ありすぎて、だから・・・」
つまり桃子なりに勇気を出して、デートに誘おうとしているのだ。
しかし遊太郎は鈍感にも、手軽に答えた。

「じゃあ、桃子さんの実家に行きませんか?
遊びに来なさいって、伯母さんに言われてるし」
それを聞いた桃子が風船のように頬を膨らませた。

「バカっ!」
クッションが遊太郎めがけて飛んで来る。


相変わらず、女ゴコロには疎い遊太郎だった。


~第53回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-05-21 21:37

第51回接近遭遇「初めてのキス」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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遊太郎の悲しい過去を神崎から聞かされ、
ショックを受けた桃子は力なく歩き続けた。
気がつくとマンションに着いて、入口に佇む人影に声をかけられた。

「お帰りなさい。桃子さん」
「遊太郎・・・・!」

戸惑う桃子へ、遊太郎は普通ににっこり微笑んだ。
「部屋のカギを忘れて、桃子さんの帰りを待ってたんです」
「え?ああ、そうなんだ。ドジね~!」
つられて桃子も普通に答えた。
「カギなくたって、あんたなら中に入れるじゃん?」
「そうですけど」

はにかんだように髪をかいている遊太郎に、
彼女はもう、と怒る真似をして鞄からカギを取り出そうとした。
その腕をそっと遊太郎が捕らえる。
「な、なに?」
驚く桃子へ彼はささやいた。
「桃子さん、ちょっとだけ海を見に行きませんか?」「え・・・・?」

その瞬間、フワリと身体が舞うような感じがした。
潮風が顔に当たるまで、何が起こったのか分からなかった。


・・・信じられない。
景色が一瞬で変わっていたからだ。
目の前に、静かな夜の海と砂浜がどこまでも続いている。
「海・・・!」
「驚かせてすみません。急に、一緒に見たくなって」
遊太郎がゆっくり腕をはなすと、桃子は一応怒ったフリをした。
「び、びっくりするじゃん。強引なんだから」

いきなり地面がアスファルトから砂浜に変わったせいか、
よろけた桃子を、遊太郎があわてて支える。
「桃子さん、大丈夫ですか?」
「・・・・」
返事の代わりに、桃子は彼の胸に顔を埋めた。
すると遊太郎も、ふんわりと彼女を抱きしめた。


さざ波の優しい音と、遊太郎の規則正しい心臓の音だけが重なり、
桃子は素直な気持ちになれた。

「遊太郎、ごめんね」
「・・・桃子さん」
「ひどいこと、言ってごめん」


遊太郎の手が桃子の髪を優しく撫でる。
ゆっくり顔をあげると、遊太郎はレンの姿に戻っていて、
月の光を受けながら彼女を静かに見つめていた。


「あなたをそんなに苦しめて、・・・謝るのは僕の方です。
桃子さん、許してくれますか?」
「・・・遊太郎」

・・・なんという瞳だろう、と桃子は思った。
最初の頃は怖くて、まともに見たことがなかった。
青く、少し灰色が混ざった不思議な瞳の奥に、
想像を絶する哀しみがあるのだと思うと、今は堪らなく愛しく思えた。

「ずっと、ここにいて」
「桃子さん・・・・」
「地球にいて。あたしと一緒に。あたし、遊太郎のことが・・・」

好き、と言いかけたとき、
レンの唇が桃子のそれと重なった。


・・・もう、何も考えられない。
身体ごと溶けそうな気がした。
こんなキスは初めてだ。
温かい心地良いエネルギーが、細胞全てに駆け巡る。


漆黒に浮かぶ月が、柔らかく透明な光を投げ掛けていた。
二人は砂浜に寄り添って座り、自分たちだけの時間を味わっていた。

「ありがとう、桃子さん」
レンが礼を言った。
「どうして?」
「地球にいて、と言ってくれたからです」
「なんだ、そんなこと。いいじゃない?好きなだけいれば」
膝の前で手を組んで、桃子は悪戯っぽく聞いた。
「ハケンだもんね、違う星に行かされちゃうかな?」
「上司に相談してみます」
大真面目なレンに吹き出す桃子。
おかしいですか、と彼が聞くので笑ってしまった。

「遊太郎らしいなって思って」
だから好きだと心の中で告白して、桃子はレンの肩に頭をちょこんと乗せた。


彼がどんな過去を持つ異星人でもかまわない。
ずっとそばにいたい。
そして、少しでも安らいだ気持ちになってほしい。

桃子はただ、そう祈った。

~第52回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-05-18 10:52

第50回接近遭遇「封印された悲しい過去」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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「なるほど。桃子君の元気がないわけが、わかりました」

喫茶店でコーヒーを飲みながら、神崎部長が穏やかに笑った。
いつもながらダンディで、落ち着いた雰囲気がある。
「すみません。お忙しいのに・・」
桃子は申し訳なさそうに頭を下げた。
実際、ヒラのOLが人事部長とお茶をするなどありえない。
しかし神崎はウラでは地球へ派遣された遊太郎の上司でもあり、
桃子には、色々と心を砕いている人物だった。


「あたし、遊太郎を怒らせちゃったかもしれないんです」
桃子は遊太郎と同じ星から来たというカミラの出現で、
嫉妬から八つ当たりをしてしまったのだ。

「王子サマのヒマつぶしに地球に来ないで、早く自分の星に帰ったらって」
「おやおや」
それを聞いて神崎は苦笑したが、つぎに独り言のようにつぶやいた。
「彼はあまり自分のことを話さない男ですから。
・・・そうですか、そんなことを」
「やっぱりあたし、言い過ぎたんですよね・・・?」
不安そうな桃子を、神崎は温和な表情で受けとめた。
「桃子君には、お話をしておいた方が良いかもしれません」


しばらく間があって、神崎は語り始めた。
「そのカミラという女性から聞いている通り、
森田遊太郎の本当の名はレン・ソリュート。
平和で美しい星ソリュートの王子です。
しかし、彼は王である父親に疎まれている」
「え?・・・お父さんなのに?」

神崎は続けた。
「実は、ソリュート星に隕石が落下するという事件が多発しました。
レンは隕石群の軌道をそらす為に特殊能力を使ったのですが・・・」
「ちょ、ちょっと待ってください。特殊能力って?」

聞き慣れない言葉に頭がついていけなかった。
神崎はゆっくり説明する。
「地球で言われる超常能力です。レンは精神力で対象物を動かすことができた。
しかし、その頃はコントロールが出来なかったのでしょう。
隕石群の軌道をうまくそらせたものの、一部を破壊してしまった。
その時、宇宙船に乗っていたレンの母と姉が巻き添えとなり、
不運にも宇宙船もろとも破壊され、亡くなったそうです」
「!!」


しばらく二人は黙したまま時を過ごした。
膝の上で組んだ桃子の手が震えた。

「過失とはいえ、自分の最愛の母と姉を殺してしまったことになる。
その衝撃はレンにとって、はかりしれないものだったでしょう。
さらに父親の絶望する姿を見て、レンは王子であることも、
生まれた星も、何かも捨てたのです」
「・・・・・・」
コーヒーはもう冷めきってしまっていた。


「それから、ずっと一人で様々な星々を流浪して、
多くの過酷な体験をして来ている。
そして永い旅の果てに、銀河連盟の惑星調査団に志願し、
現在、地球に来て桃子君と暮らしている、というわけです」
「・・・・」
桃子は深い溜め息をもらした。


・・・そんなことがあったなんて。
なのに、王子のヒマつぶしだとか、早く星へ帰ればいいなんて、
あたしは平気で、遊太郎の心を踏みにじるようなことを言ってしまったんだ・・・


神崎が落ち込む桃子へ、ことさら明るく言った。
「桃子君がそんなに気にすることはありません。
何も知らなかったわけですし、彼にもきっと分かってるはずです」
「でも、遊太郎の気持ちを考えたら・・・」
いたたまれなかった。
会わせる顔がないと思った。


神崎は虚空を見ながら感慨深く言った。
「そうですね。深い心の傷は、癒されるのに時間がかかるかもしれません。
でも、いつもの桃子君として彼に接すればいいんですよ」


『レンはとても孤独なの』

桃子はカミラの言葉を思い出していた。

を第51回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-05-17 12:14

第49回接近遭遇「恋敵とデート?」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

・・・ど~してこうなるかな???
と、桃子はカミラが買ったばかりの服を持たされながら混乱していた。

会社帰りに、遊太郎の婚約者と名乗るカミラと会い、
何故かショッピングに付き合わされている。

「ねえ、ねえモモコさん、美味しいものが食べたい!」

・・・なんで、あたしが。
何故か逆らえない自分に呆れてしまう。
遊太郎も異星人だから世間と多少ズレてはいるが、
初めての地球旅行らしいカミラは、いちいちギョッとする行動をするので、
桃子をヒヤヒヤさせた。

ラーメンを食べてみたいとリクエストされ、カミラを屋台のラーメン屋に連れて行く。


港近くの屋台で、夜の海を見ながら二人並んでラーメンをすすった。
箸の使い方から教えなければならなかったが、
熱いけど美味しい、とカミラが喜んだ。


「星が少ないね」
と、夜空を見上げてカミラがつぶやいた。
「そう?いつもこんなもんよ。都会ってやっぱ汚れてるから。
でも田舎に行ったら、もっと見えるかな?」
「ふうん。あたしの星、見えたら教えてあげられたのに」


・・・不思議だった。
カミラが天真爛漫だからだろうか、
遊太郎に八つ当たりするほど嫉妬していたのに、
こうしていると、普通に女の子同士の会話ができる。

「・・・王子、仕事で忙しいって。全然相手をしてもらえなくて」
「そうなんだ」
「でも、モモコさんがつきあってくれたから、ガマンする」
「カミラさん・・・」
はるばる彼に会いに来たと言っていたのに、なんだかちょっと可哀相に思えて来た。


「アイツのどこが好きなの?」
桃子は、なんとなく聞いてみたくなった。
すると、彼女は夢みるように微笑んだ。
「全部スキ!子供の時から一緒に遊んでくれたし優しいから。それに・・・」
カミラは少し声のトーンを抑えて言った。

「レンはとっても綺麗。・・・そう、悲しいくらい綺麗・・・」


しばらく黙ったあと、寂しそうにもらした。
「でもレン、あたしのこと妹だと思ってるみたい」
「え・・・?」
暗い海を見つめるライトブラウンの大きな瞳が、少し潤んだ。
「ごめんなさい。あたしが勝手に婚約しているつもりになってたの。
だって何か約束していなきゃ、どんどん遠い星へ行っちゃうと思って」
「・・・カミラさん」

「本当はね、レンはとても、孤独なの」
「孤独?だって、あなた達の星の、王子なんでしょ?」
そう質問されてカミラは一瞬黙った。
何かを隠して胸に秘めているように。
しかし次の瞬間、振り切るように桃子に笑顔を向ける。


「モモコさん、レンをヨロシクね」
「えっ?」
ビックリしてカミラを見た。
彼女は悪戯っぽく言う。
「モモコさんがそばにいるんなら、安心だもの」
「カミラさん・・・!」


セレブなお嬢様だと思い込んでいたカミラが、
本当は桃子よりずっと精神的に大人だったのだと、いま気付いた。
彼女は桃子の気持ちを知っていたのだ。


「カミラさん、ゴメンね。あたし・・・」
心の内でねたんでいたことを正直に謝ろうとしたら、
カミラは桃子の唇に細く長い指を当てた。

「ね、これからも、時々遊びに来てもいい?」
「もちろん。もっと色々案内してあげる」
「ホント?約束!」
ぱっと花のような笑顔になるカミラに、桃子は地球式の指切りを教えた。



よろしくと言われても、桃子は遊太郎にまだ謝ってさえいなかった。
それに、あまりにも自分は彼のことを知らなさすぎる。

・・・そうだ、やっぱりあの人に相談してみるしかない。

桃子はケータイに手を伸ばした。

~第50回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-05-15 23:49

第48回接近遭遇「星を捨てた王子」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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(レン。人間の生体エネルギーを吸うイリアンが地球へ侵入したらしい。
いわば、宇宙の吸血鬼ってところだな)

キャプテン・ロータスが射撃訓練中のレンの頭の中へ、
直接話し掛けて来た。

ここは月の裏側にあるステーションのサイキックジム。
地球へ派遣された調査員たちがトレーニングに利用していた。

レンはいつものようにセピア色のゴーグルを装着し、
宇宙空間に似た天球の中を浮遊しながら、
サイキックガンを仮想敵に向かって撃ち続けていた。
目を見張るスピードに周囲が感嘆の声をあげる。


(厄介なことに、宇宙の吸血鬼は見た目が地球人と区別がつかない)
(吸血鬼なら・・・)
と、レンがテレパシーでロータスに返した。
(星を旅していた頃に退治した経験があります)
(それは頼もしい)
すぐさま笑いを含んだ想念が飛んで来た。


「レン、最近ジムによく来るが」
訓練中の同朋たちが聞いた。
「君に会いに地球まで来た、可愛い彼女を放っておいていいのか?」
カミラのことが噂になっているらしい。
「彼女は遊びに来ただけで、すぐに帰らせますよ」
「相変わらずクールビューティだな、君は」
彼らは肩をそびやかせて訓練に戻った。



突然、地球にやって来たカミラ。
同じ星で一緒に育った幼なじみだった。
しかし、彼女は母星の波動をレンに思い出させてしまった。
みずから封印していた苦しい過去の記憶が甦える。

そのうえ、何も知らない桃子が吐いた言葉がこたえた。

『あんな可愛い婚約者がいるのに、
王子サマのヒマつぶしに地球に来てないで、早く星に帰ったら?』

・・・・・星に帰る?
自分が帰っても、誰も喜びはしないだろう。


ステーションのレストルームに立ち寄ったレンは、
カウンターに寄りかかると、目を閉じてこめかみを押さえた。
しばらく前から頭痛が続いている。
ロータスが入室して、何度か呼んでいたが気がつかなかった。

「レン?」
肩をつかまれて、ゆっくり顔を上げる。
「どうした?顔色が悪い」
「・・・いえ、別に」
「疲れているのか?君は全く休むということを知らない男だからな」
「大丈夫ですよ」

レンは素っ気なく答え、カウンターに設置されている小型モニターから、
連盟のデータベースを検索し始めた。

「宇宙の吸血鬼が出没したとなると、生体エネルギーの強い桃子君が心配だな?」
話を振ったロータスは、返答がない彼へ冗談混じりに付け加える。

「やっぱりケンカでもしたか?」
その言葉にレンの長い指が動きを止めた。
「ケンカはしてはいません」
「私にはお見通しなのだがね?」
ロータスは苦笑した。
「今日、桃子君を見みかけたが、元気がなかった。
・・・まあ、仲たがいも地球人の意識調査の良い勉強だが」


わずかに沈黙が降りた。
レンは静かな横顔をロータスにさらして、ポツリと言った。
「違う。彼女は悪くはない。
僕があの事件を思い出したから・・・」
抑えた声だった。

「キャプテンは知っているはずです。僕が・・・」


レンの青灰色の瞳が暗い光に揺れた。
「僕が生まれた星を捨てた理由を・・・」



その夜、五十嵐桃子は仕事を終えて帰ろうとしていた。
このあいだから遊太郎とはすれ違ったままだ。

・・・遊太郎、きっと怒ってるよね。

常日頃、怒らない人間が違う感情を見せた時、
どう対応していいのかわからなくなる。
やるせない溜息をつきながら、会社を出た桃子の前に、
華やかなオーラをまとったカミラが手を振って現れた。

「モモコさん!つきあってくれる?」
「カミラさん・・・?」

~第49回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-05-13 23:48

第47回接近遭遇「遊太郎×桃子☆初めてのケンカ?」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「遊太郎って本当は、レン・ソリュート王子サマなんだって?
あのカミラってコが教えてくれたのよ。
あんな可愛い婚約者までいるのに、なんで地球へ来てるの?」

ワケわかんないし、と桃子は続ける。
昼間会社にやって来た、カミラの顔がチラついて仕方がない。


遊太郎はただ黙って聞いていた。
よく怒る桃子に、いつもニコニコと聞いている彼とは、
表情が違っているのに桃子はまだ気がつかない。


「あんたに会いに来たらしいじゃん。
あんな可愛い婚約者をほったらかして、
王子サマのヒマつぶしで地球なんかに来ないで、
早く自分の星に帰ったら?」
全く自分はどうかしている、
と桃子は心の中で咎めながらも、勢いがついて止められなかった。


しばらくして、遊太郎が口を開いた。
「・・・あなたは、本当にそう思ってるんですか?
僕が早く星へ帰ればいいと・・・」
桃子が聞いたことのない、抑えた声だった。
メガネをはずした遊太郎の黒い髪が透明なプラチナへ、
黒い瞳が青灰色に変貌してゆく。
「僕は・・・ヒマつぶしで地球へ来ることを、志願したのではありません」

「ゆ、遊太郎・・・」
桃子はハッとした。
ようやく彼女は、自分が彼の中の地雷を踏んだのだと悟った。
一気に酔いが冷めて、桃子の頭の中が真っ白になる。

・・・もしかして、遊太郎。怒ってる?


その時、チャイムが鳴った。
桃子は転びそうになりながら玄関に走った。
・・・こんな夜遅く誰だろう。
果たしてドアの向こうには、招かれざる客がいた。


「モモコさん、来ちゃいました♪」
無邪気なカミラの姿を見て、再び血の気が昇る。
「カ、カミラさん・・・?」
「あっ!王子、帰ってる?」
カミラは嬉しげに中へどんどん入り、遊太郎・・・いや、レンを見つけるや否や抱き着いた。
「王子!会いたかった!!」
それを見た桃子は、言葉も出ずに壁に張り付いてしまった。

「カミラ・・・」
レンは、冷静に彼女の肩をつかんで聞いた。
「地球へは一人で?」
「うん。宇宙船に乗せてもらったの」
「君の両親には?」
「あ、・・・大丈夫。王子に会いに行くって言ったら喜んでくれて」
「カミラ、調べたらすぐにわかることだよ?」
柔らかだが、手慣れたレンの尋問にカミラは少しピクッとなった。

「・・・ごめんなさい。王子。
あたし、あなたに会いたくて。本当は勝手に来てしまったの」
嘘が見抜かれて渋々答えたカミラは、くるっと桃子の方に向き直る。
「ねえ、あたし、しばらく、ここに居ていいでしょう?
ねっ、モモコさん」
「えっ・・・・???」
桃子はギョッとした。
・・・空気、読めないの?このコ。
天真爛漫すぎて、ついていけなかった。


「カミラ」
はしゃぐカミラを制するように、レンがやや厳しい口調で言った。
「宇宙船まで送ろう」
「どうして?いま来たばかりなのに」
桃子と彼の両方を見比べて聞くカミラだが、
レンはすぐに腕時計を移動先の照準に合わせた。
「話はまた聞くから。いいね?カミラ」
「う、うん。・・・モモコさん、またね」
桃子の方を振り返ったまま、カミラもそしてレンも空間にかき消えた。


「な、なんなのよ・・・・?」
残された桃子は、その場にしゃがみ込んだ。

しかし、混乱しながらも、わかったことがある。
自分の知らない遊太郎がいるということ。
そして、初めて遊太郎を怒らせてしまったらしいこと。

「どうしよう・・・」
桃子は頭を抱えてしまった。


~第48回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-05-11 23:42