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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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<   2008年 04月 ( 12 )   > この月の画像一覧

第40回接近遭遇「桃子の涙」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「遊太郎・・・?」

会社をジャックし、桃子を監禁した凶悪なエイリアン、ゼルダが逮捕され、
全てが終わったかのように静かな応接室。

桃子は倒れたまま動かないレンに触れた。
その背中が無数に切り裂かれていた。
出血がなく、放電するように微細な光を放っている。

「まさか、遊太郎。あたしをかばって・・・?」
先刻、桃子に向けて降り注いだゼルダの毒刃の攻撃を、
レンは己の身を楯に、全て受けとめたのだ。


桃子は彼をそっと抱き起こした。
その青白い顔を見て、桃子は暗い予感に襲われた。
乱れかかる髪を指で払い、閉じられた彼の瞼や唇に触れてみる。

「遊太郎?・・・嘘よね」
しかし、レンはもう息をしていなかった。


「い、いやだ・・・こんなのいや!目を開けて、遊太郎」
桃子は彼を抱きしめて叫んだ。
「・・・あたしなんかの為に、死んじゃ駄目だよ。
誰か、遊太郎を助けて・・・・!!」
涙がぽろぽろとこぼれ落ちる。


その時、人の気配に桃子は濡れた顔を上げた。
神崎部長と白衣の女が立っていた。ヒーラーの天野律子である。

「桃子君・・・」
そう呼ぶ神崎へ桃子は泣きながら訴えた。
「・・・遊太郎を助けてください」
神崎は彼女の側に腰を下ろし頭を垂れた。
「桃子君には、本当に申し訳ないことをしました」
「そんなことより、遊太郎を助けて!」
すがるように叫ぶ桃子。
「死なないよね?絶対大丈夫よね?ねえ・・・何とか言ってよ!」
「・・・」

神崎がふいに桃子の肩に手を置いた。
彼女は一瞬びくっとなったが、ゆるゆると眠りに落ちて頭を神崎の肩に落とした。


天野律子は、眠らされた桃子から優しくレンを引き離した。
淡い紫色に光る天野律子の指が、彼の眉間に当てられる。
しかし、何の反応もない。

「ドクター律子、レンは・・・」
神崎の問いには答えず、天野律子はレンの白い首筋に手を添えた。
手首を取り、そして心臓部分にエネルギーを注入をし始めたが、
やがて、ゆっくりと頭を振った。

「残念だわ・・・」
「・・・・」
神崎は険しい表情を天野律子に向けたが、彼女は淡々と言った。
「ロータス、事後処理が大変でしょうけど、五十嵐桃子さんをお願い。
レンをステーションへ移送するわ」
「・・・頼む」
次の瞬間、レンと共に天野律子が虚空へ消えた。
残された神崎は、眠る桃子をしばらく見つめていた。



エイリアンによる会社ジャック事件は、銀河連盟の決定に従い、
事件に関係した全社員の記憶消去をすることで、幕を降ろした。
・・・・・・桃子以外は。


マンションのベッドで目を覚ました桃子は、
いつ、どうやって自分が帰ってきたのかとぼんやりしていたが、
はっとしてすぐに起き上がった。

「遊太郎?」
もしかしたら、平気な顔をして自分の部屋に帰ってるかもしれない。
傷なんて翌日には消えていたことがあったではないか。

ドアを勢い良く開けるが、がらんとした部屋には、
観葉植物が寂しく立っているだけだった。
「そんな・・・」
膝がガクガクと震えた。
自分の部屋に急いで戻って携帯をつかむ。
あれから神崎が何かをしたはずだ。しかし携帯もメールも通じなかった。


桃子はリビングのソファに沈み込んだ。
涙があふれ、再び止まらなくなった。
遊太郎には二度と会えないのだろうか?
もう、あのはにかんだ顔や、
本当の姿に戻った時に見せる、不思議な眼差しも・・・


~第41回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-04-29 18:45

第39回接近遭遇「レン、絶体絶命!」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「宇宙人と同居して、いいことなんて一つもないでしょう?
あなたも森田遊太郎にいいかげん愛想が尽きませんか?」

会社ジャックをし、桃子を応接室に監禁しているゼルダは、
廊下に忍んでいるはずの遊太郎、つまりレンに聞こえるように言った。

すると桃子が怖さを忘れて怒ったように答えた。
「そうよ、災難ばっかりで、正直アタマに来てるわよ!」
もちろんドアの向こうのレンも彼女の声が聞こえている。

「桃子さん」
どうやらゼルダは桃子の心を乱すつもりのようだ。
しかし彼女はゼルダを振り払い、自分の腕を取り戻して言った。
「あんたの言うとおり、遊太郎と同居してから災難だらけよ。
でも、お陰で退屈しないのよね」
「?」
意表をつかれたようにゼルダが後退し、桃子の反撃が始まった。


「たぶん、あんたみたいな超シュミの悪い宇宙人には、
一生わかんないと思うけど。
遊太郎は確かにアルコールが全然ダメだし、
普段は頼りなさそうに見えるわよ?
でも、すっごく料理が上手で家事も全部できちゃうの。
だから、アイツがいないと困るのよね。あたし」

威勢良くまくしたてた桃子に、ゼルダは呆然とし、
ドアの向こう側のレンは微笑んだ。


・・・なんという女性だろう。
勇気を貰ったような気持ちになる。


「なるほど。よく分かりました。
あなたは彼が宇宙人でも好きなんですね?」
ゼルダの人差し指が桃子の胸をつつき、彼女は反射的にゼルダの顔を張り倒した。
「何するのよっ!」

横面を張られたゼルダは、不気味に笑いながら、ぬっと近寄った。
キツネ顔で切り裂いたような目に、鬼火のような赤い光が燃えて、
桃子は今度こそ鳥肌立った。

「暴力は反対ですねえ、お嬢さん。日本のヤマトナデシコがそれじゃ幻滅です」
「こ、来ないで!!」


次の瞬間、真っ白な閃光が応接室を満たした。
眩しくて思わず目をおおった桃子が、恐る恐る見たのは、
ゼルダが誰かに打ち倒され、床に強く押さえ込まれている姿だった。

「ゆ・・・遊太郎!」
桃子の声にレンは顔を上げた。
プラチナの髪の下に揺れる涼しげな青灰色の瞳。
しかしそれは、すぐに組み敷いたエイリアンに向けられた。

「・・・どうやら、あなたを甘く見すぎていたようですねえ」
ゼルダのV字の口から、しわがれた声が吐き出された。
レンの電気的パワーで身体を固定され、金縛り状態なのだ。
「これで結界が解けるのも時間の問題。
ゼルダ、あなたを確保します」
「・・・仕方ありませんねえ」
ゼルダは口ぶりだけ神妙にしていたが、
突然鬼火のような裂けた目を桃子の方に向けた。
「!」
無数の毒々しいカマイタチが空を飛ぶ。



何が起こったのだろう・・・・?
反射的に床に伏せた桃子の身体を、レンがすっぽりと覆ってくれていた。
「遊太郎・・・」
細い声で呼んでみる。
すると、抱きしめたままレンが聞いた。
「・・・大丈夫ですか、桃子さん」
「あたしは、全然平気よ」
「そう、よかった・・・・」


しばらくすると桃子は部屋に入って来た数人の気配と、
しわがれたゼルダの悔しげなうめき声を聞いたが、
全員が速やかにに立ち去り、急に辺りは静まり返った。


「・・・助かったの?」
桃子は自分を覆っているレンからゆっくり離れた。
その拍子にレンの身体がぐらりと横に傾き、
彼女を抱いていた腕も、力無くパタリと地に落ちた。

そのまま、彼は動かなかった。
その背中には、ゼルダから受けた無数の傷が刻まれていて、
桃子は叫んだ。

「遊太郎・・・・!!」


~第40回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-04-26 22:46

第38回接近遭遇「会社ジャック!」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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「ケータイがつながらない?」

チューリップ生命本社。
高山係長は携帯を架けながらフロア内をうろつき、
女性達も勝手に電源が切れたパソコンに慌てた。
外出しかけた営業マンも戻ってわめき出す。

「おかしいよ!1階の自動ドアが壊れてて外に出られない!」
「一体、何がどうなってるんだ?」
騒然とする中、社内アナウンスが突然流れた。


「チューリップ生命のみなさん、始めまして。
わたしはゼルダ。このビルを占拠させて頂きました」

全社員が凍り付いた。
一斉に逃げ出そうとするが、既に各階のドアが閉ざされていて、
セキュリティカードを使っても動かない。
清美はこの時、桃子が応接室から帰っていないことに気づいた。
「も、桃子・・・・?」


突然、得体の知れない者に会社がジャックされたのである。
ゼルダの喜びの声がビル全体にこだました。
「閉じ込められてパニックになる地球人を、
映画じゃあなく、ナマで見たかったんですよねえ」



「結界を破るには」

外の車中で、神崎はレンに言った。
「かなり危険だが、あの荒々しい波動に一旦同化し、溶け込むことだ」
「解っています」
レンは静かにうなづいた。
ネクタイをはずし、白いワイシャツだけになる。
「僕なら、たぶんできると思います」
「確かに可能なのは、特殊能力者の君だけだろうが。
もし侵入できたとしても、ヤツの胃袋に入るようなものだぞ」
「その胃袋に、桃子さんは捕えられているんです」


スタンドプレーをするなと言っても、もう誰にも止めらない。
神崎はレンの肩を軽く叩いた。
「ヤツを確保する為に銀河連盟パトロールを配備している。
必ず、桃子くんと無事に戻って来なさい。
君はまだ、やらなければならないことが山ほどあるのだから。
・・・・・いいかね?レン」
「承知」

瞬間、レンが消えて残像だけが残った。
神崎は、いやキャプテン・ロータスは初めて険しい表情を見せた。


ゼルダの毒々しい結界に同化したレンは、全身が切り裂かれる痛みに耐えて、
意識を結界の向こう側へと集中させた。


そしてビルの3階エレベーター前。
膝をついてうずくまったポーズのレンが出現した。
異質なものに一度溶け込み、ビルの中へなんとか移動できたようだ。
しかし立ち上がろうとして、激しい目眩が襲われ、
彼は壁に寄り掛かかった。

レンのように優れた身体能力を持つ者でも、
ゼルダの結界を通り抜けることは相当なダメージになる。
「・・・桃子さん」
途絶えていた彼女の波動が、明確に伝わってきた。
今は、それだけがレンの救いだった。
目を閉じてエネルギーチャージをする。
ヤツは奧の応接室に桃子を人質にしているはずだ。


「おや?面白い。わたしの結界を破るとは」
応接室のソファに寝そべりながら、ゼルダは異なる気配に気づいた。
桃子はハッとしてドアにしがみつく。
「まさか、遊太郎が?」
「新人だと思って甘く見てましたが、けっこうやりますねえ」

ゼルダは楽しそうに身体を弾ませて、ソファから床へストンと着地した。
そしてドアの前の桃子に近づいて腕をつかんだ。

「何するのよっ!触らないで」
嫌がる桃子に、ゼルダが意地悪そうに言った。
「本音は、森田遊太郎なんかと同居しなければ、
こんな災難に逢わなかったのに、と後悔してるでしょ?」
「・・・・」
「そうしたら、別れた男と遠慮なくヨリを戻して、
今頃は普通の恋人同士としてラブラブ?損してますよねえ」

桃子は、ゼルダの真意をはかりかねた。


~佳境の第39回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-04-25 21:06

第37回接近遭遇「引き離された二人」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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「異星人と同居しているせいで、あなたも色々災難ですよねえ

五十嵐桃子さん?」

チューリップ生命本社3階の応接室で、
桃子はキツネのような顔をした男と遭遇していた。
反射的にドアへ向かうが、びくとも動かない。

「助けて、誰か開けて!!」
ドアを力の限り叩き、声を張り上げても誰も来なかった。
革張りソファに悠々と腰掛けて茶をすすった男は、
楽しそうにそんな彼女を眺めている。

「自己紹介がまだでしたね?わたしはゼルダ星より来た者です。
あなたが同居している森田遊太郎も宇宙人なのに、
そう怖がられるとショックですねえ」
「宇宙人?・・・ゼルダ?」
桃子はドアに張り付いたまま、ピアス型発信機を無意識に触った。
すると彼女の心を読んだゼルダが笑う。

「彼は助けに来ませんよ。罠と知らずにでかけたからです。
ビルに結界を張ったので、その発信機も役立たないし神崎さんも入れません」

桃子は驚愕した。
このキツネ顔の宇宙人は、遊太郎や神崎部長の正体さえ知っている。
さらに先のクレームの一件が、遊太郎と自分とを引き離す罠だったことも。


「・・・何が目的なの?」
桃子はかすれた声を出した。
「目的?そりゃ地球でバカンスを楽しみたいからですよ。
でも、森田遊太郎みたいな調査員が捕まえようとしてるんです。
ちょっと、お仕置きをしなくてはと思いまして。
桃子さんも気の毒ですが、彼を恨んでくださいねえ」


桃子は、いま解った。
なぜ遊太郎がピアス型発信機をつけさせたのか、
また、いつかの夜になぜ傷を負っていたのかを。
そして、彼が地球人を観察するだけでなく、
ゼルダのような宇宙人を捕まえる仕事をしていたことも。


・・・・・助けて、遊太郎!!



「おかしいな?留守だ」

その頃、クレーム客の自宅を訪れた斎藤課長は、首をひねりながら電話を架けた。
会社に何か連絡が入っているかもしれないからだ。
「会社にも全然つながらんなあ」
「・・・・!」
斎藤課長の様子を見ながら、同行していた遊太郎は愕然とした。

なんという失態だろう。
離れていても、あれほどハッキリ伝わっていた桃子の波動が途絶えている!
「課長、帰りましょう」
「いや、出掛けているだけかもしれない。待とう。
クレーム客だから、そう簡単に帰っちゃいかん」
「いいえ、すぐに帰らなければ危ない」
遊太郎は強く言葉を放った。
「な、何を言ってるんだ。森田?」
怪訝そうな斎藤課長に向けられた瞳は、青みがかった灰色だった。
「!!」


その場にへたりこんで失神した斎藤課長に、すみませんと謝って、
遊太郎は腕時計の秒針を変えた。
すぐに金色に輝くエネルギーフィールドが形勢され、遊太郎は跳んだ。



チューリップ生命本社のエントランス。
遊太郎は誰にも目撃されずに瞬間移動したが、
ビル全体が異様な黒っぽい結界をまとっているのに、はっとした。
そこへタイミング良くベンツが現れる。

「神崎部長!」
車中から、表向き人事部長である神崎が乗るように命じた。
運転手は全てを把握した部下なため心配はいらなかった。


「厄介なことになった。森田君。
ゼルダに桃子君を取り込まれたようだ」
神崎は、こんな際でも落ち着いていたが、
遊太郎は気が気ではなかった。
「この結界を破って突入します。桃子さんが危ない!」
「いや、破るには膨大なエネルギーが必要だ」
「僕ならできます」


神崎のとなりで遊太郎は鮮やかに、
プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ、レンへ変貌した。


~第38回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-04-23 23:06

第36回接近遭遇「仕掛けられた罠」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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「ようこそ、地球へ。
あなたを不法侵入で確保させて頂きます」

遊太郎はにっこりして、地下鉄構内に追い詰めた巨漢に決めセリフを言った。
相撲取りのようなその男は、コインロッカーの隅に張り付いて懇願の目を遊太郎に向けた。

「お願いだ。パトロールに連れて行かれる前に、
もう一度、地球の食べ物を食わせてくれ」
「まだ食べ足りないんですか?」
遊太郎はまんまるメガネの童顔のまま驚いた。
目の前の巨漢は、実は地球へ無断侵入して食い逃げをするエイリアンだった。

「最後にそこの自販機でカップラーメンを買って欲しいんだ。
お願いだよ、優しい調査員さん」
大きな図体を折り曲げて巨漢は頭を下げた。
遊太郎はのんびりした調子で財布から小銭を出した。
「パトロールが来る前までですよ?」
「あ、ありがとう!調査員さん。恩にきます!」
嬉しそうに遊太郎から金を受け取り、
巨漢は自販機に向かってドテドテと歩き出した。

しかし自販機に近づくや否や、巨漢はぐっと身体をまるめて、
自販機を踏み台に蹴り上げ、遊太郎に向かってゴムまりのように突進して来た。


「!」
数メートル後方にいた遊太郎は、
弾丸じみたスピードで猛進して来た巨漢に押し潰されたかのように見えた。
・・・・・ところが

「駄目ですよ。お金を粗末にしては」
いつの間に移動したのだろうか?
遊太郎は凹んだ自販機のすぐ近くにしゃがみ込んでいた。
のんびりとした様子で、辺りに飛び散ったコインを拾い集めている。

巨漢は悔しげに再び遊太郎に向かって突進するが、
彼の直前でフリーズしたように停止した。
遊太郎が金縛りにしてしまったのだろう。
ピクリとも動けない巨漢へ彼はささやいた。
「すみません。僕、手加減できないんです。
お迎えが来るまで我慢してくださいね」


銀河連盟パトロールに食い逃げエイリアンの身柄を引き渡したあと、
遊太郎は携帯を上着の内ポケットから取り出した。

「コラッ!森田、どこでアブラ売ってんだ?」
高山係長からの怒声が耳に痛い。
「すみません、すぐ帰社します」
こうして遊太郎は普通の営業マンに戻るのだった。



「契約者のクレーム対応に同行しろ。いいな?森田」
チューリップ生命本社に帰社した遊太郎へ、斎藤課長が命じた。
「わかりました」
「新人にはいい勉強だからな」
課長と出ていこうとする時、遊太郎はチラッと桃子を見た。
彼女の耳には彼が贈ったピアス発信機がついている。
何かあったら、すぐに自分にはわかるはずだ。
遊太郎はそう納得をして会社を後にした。


「森田クン、クレーム対応なんて初めてじゃない?」清美がささやき、桃子は素っ気なく答えた。
「課長と一緒だから平気よ。それより、あたし接客室にお茶持っていくね」
「うん、お願い」

接客室に向かった桃子は、失礼しますと言って部屋の中に入った。
客は神崎部長と会う約束をしている人物らしい。
穏やかそうな老人であった。

桃子がお茶を出すと、老人は丁寧に頭を下げた。
「神崎さんはまだですかねえ?」
「はい。もうすぐ帰社する予定なのですが、遅れておりまして申し訳ありません」
すると老人はいやいやと首を振り、桃子を手招いた。
「お嬢さんさえいてくれたら、いいんじゃよ」
「は?」
けげんな顔をする桃子の前で、老人はやにわに変化した。
曲がった身体が真っ直ぐに伸びて、浅黒い顔をした男に変貌する。

「な・・・!!」
桃子は驚愕のあまり、盆を取り落とした。
男はにやっと口をVの字に曲げた。
「あの生意気な調査員は、助けには来れないですよ?
五十嵐桃子さん」


~第37回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-04-21 23:37

第35回接近遭遇「忍び寄るエイリアンの影」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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「え~っ?元カレと会ってるの?桃子」

桃子は同僚の清美と、会社近くのイタリアンの屋台でパスタを食べながら、
一ノ宮貴志の話をしていた。

「その一ノ宮って人、商社マンなんでしょ?ポイント高いじゃん。
で、今つきあってる人がいるのか聞いた?」
清美が興味津々にインタビューを始める。
「そんなのまだ聞いてない」
「なんで?超重要だよ!」
「それより昨日は大変だったのよ。
マンションまで貴志が来て、遊太郎とバッタリ!」
「森田クンと?え~~~っっ!」

新入社員の森田遊太郎と同居していることを、清美だけは知っているのだ。
清美はますます好奇心を隠せない。
「マズイじゃん、それ。誤解したんじゃない?
いくら森田クンが桃子のイトコったってねえ」
「大丈夫。あたしの弟だって言って切り抜けたし」
「弟?確かに、森田クンってガキっぽいけどさ」
思いきり笑い出す清美。
そのあと、羨ましそうにつけ加えた。


「でも、なんで桃子ばっかオイシイ思いするかなあ」
「それ、どういう意味?」
桃子がオレンジジュースを飲みながら眉をしかめる。
すると清美がほら!といたずらっぽく声のトーンを落とす。
「桃子にはモデルみたいな超イケメンの、隠れ彼氏がいるじゃん!」
「か、隠れ彼氏って」
「桃子は何も話してくれないけど、タダの友達じゃないのはわかるもん。
隠れ彼氏と元カレ!いいなあ~!両手に花♪♪♪」


清美が言う『隠れ彼氏』とは、
社員旅行で隠し撮りされた遊太郎のことである。
もちろん清美の知る普段の森田遊太郎ではなく、
アルコールを飲んだ為に本来の姿に戻ってしまっていたので、
同一人物だと誰にもわからないのだが。


「アイツとは何の関係もないから」
桃子は打って変わって、突っぱねるように答えた。
こわいなあ、とさすがの清美も追究を諦める。


・・・冗談じゃない。
いつかの夜に、急に抱きしめられたからドキドキしたけど、
あれも考えてみたら、地球人を調査するためかもしれないし。
貴志を部屋に連れて来ても平気な顔をしてるし。
隠れ彼氏でも何でもないんだから。



そんな桃子をずっと見ている視線があった。
それは屋台の店員のもので、
丸いサングラスをかけた痩せた男であった。
調理をしながら、その男は口を片方に曲げてニヤッと笑う。


(見つけた。銀河連盟の調査員が大事にしている地球の女。
さて、どんなゲームで遊ぼうか)

店員に化けていたのは、
指名手配中のエイリアン、あのゼルダ星人であった。


その頃、遊太郎は高山係長と昼食中だった。
携帯がふるえたので「すみません」と断ってメールを見る。


『レン。特にゼルダの動きは見られない。
変装して潜伏している場合もあるため、警戒した方がいい』

レンというのは、遊太郎のコードネームである。
メールは日本語ではなくヘブライ語で、ステーションから情報が入るようになっていた。
携帯やパソコンを使うのは、テレパシーを使えばゼルダ星人に傍受されてしまうためである。


「何だよ?もしかしてカノジョ?」
高山係長がカツ丼に食らいつきながら冷やかす。
「違いますよ。高山係長みたいにモテませんから」
「お?言うようになったじゃね~か。のび太」
高山は可笑しそうに遊太郎の髪をクシャクシャにした。


以前、遊太郎に脅迫したゼルダ星の侵入者は、何故かなりを潜めていた。
しかし、必ずゼルダ星人は桃子を狙うはずなのだ。


のんびりした外見と裏腹に、遊太郎のもうひとつの顔であるレンは、
研ぎ澄まされたアンテナを周囲に張り続けていた。


~第36回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-04-17 23:37

第34回接近遭遇「宇宙人×元カレ、まさかのハチ合わせ?」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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「まだ友達とルームシェアとかしてるんだ?」

ある夜、桃子は一ノ宮貴志の車の中でこう聞かれた。
あれから貴志とは頻繁に会うようになっていたのだ。
「ううん、結婚して出て行ったから」
「じゃあ今は、桃子一人で使い放題ってわけか?」
「そ、そういうことになるのかなあ?」


桃子は当然ながら隠していた。
いま同居している相手が男性であり、
さらに信じがたいことに異星人であることを。

「桃子が男と住んでたら、どうしようって思ってた。ごめん」
貴志が悪びれずに言うので、
桃子は罪悪感を感じずにはいられなかった。
そこへ貴志がさらっと聞く。
「今夜、部屋に行っていい?」
「えっ???」

桃子が身体ごとビクッと反応したので、彼は目を白黒させた。
「そんなに驚くなよ?俺が桃子の部屋に行くとマズイのか?」
「ち、違うって。ごめん。部屋がめちゃくちゃだしさ」
「そんなの今さら気にしないのに」
快活に笑いとばす貴志。

車は既に桃子のマンションに向かっているようだ。
なんとか彼を引き止めなければならない。
この時間だと、遊太郎が帰宅して桃子の為に夕飯を作っている頃で、
二人のハチ合わせは必至である。


「あ、あの貴志。ちょっと待ってよ」
あわてて止めようとしたが、貴志はマンション近くの駐車場に車を預けてしまった。
そして二人はどんどん部屋に近づいてゆく。
もう桃子は、胸が一杯になって何も言えなかった。
・・・その時、ドアが内側から開かれた。


「お帰りなさい」
レモンイエローのエプロン姿をしたメガネ男子が出迎えたので、
貴志はえっ?という顔をした。
桃子はああ、と目を閉じる。


・・・サイアクだ。
元カレである一ノ宮貴志に会えて楽しかったが、
まさかこんな風に、再び終わりが来るとは思わなかった。


ところが、桃子が固まっているのに、
なぜか遊太郎と貴志が普通に会話をしているので耳を疑った。

「いやあ、桃子に弟がいたとは知らなかったなあ。
君、高校生?」
「いえ、この春に大学を卒業したばかりで」
「へえ、じゃあフレッシャーズ?」

硬直している桃子へ、遊太郎がにこっと笑った。
「姉さん、どうしたの?」

・・・・ね、姉さん???((((O_O)

貴志もおどけたように言った。
「桃子、弟と住んでるなら、そう言えばよかったのに」

・・・もう何がなんだかわからなかった。



「遊太郎、彼に催眠術かけた?」
貴志にお茶を飲ませて帰らせたあと、
桃子は放心したようにソファにへたりこんだ。
マグカップを片付けながら、遊太郎はいいえと首を振る。

「桃子さんが誰かと一緒に帰って来るのがわかったので、
弟のフリをした方がいいかなと思って。
一ノ宮さんもすぐ信じてくれて助かりました」

確かに貴志は単純で信じやすい。
さらに普段の遊太郎があまりにも子供っぽく、
自然に「弟」と思い込んだのだろう。


「にしても、良かった~~~!同居がバレてドキドキしてたからさ。
遊太郎って演技うまいよね?」
「桃子さんが困っていたので、頑張ったんです」
無邪気な遊太郎をチラッと見ながら、桃子は少しだけ面白くなかった。


・・・あたしが男を連れて来たのに、何とも思わないわけ?コイツ。
普通、不機嫌になるとか、もっと、色々気になるそぶりを見せるとかするものじゃない?
そういう感情はないんだろうか?
やっぱり宇宙人だから?


自分のやっていることを棚にあげて、今度は不満がもたげてきた。
女ゴコロは複雑である。


~第35回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-04-15 22:43

第33回接近遭遇「宇宙人と元カレと」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やスピリチュアル系には全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

桃子は3年前に別れた男、一ノ宮貴志と再び会うことになってしまった。

金曜の夜。大学時代によく待ち合わせた駅前広場。
いまの自分はどんな風に変わっているだろうか?
少なくとも、一ノ宮貴志は商社マンとして大人っぽくなっているかもしれない。


遊太郎には何も言わないで来たが、きっと居所はこのピアスが教えてしまうはずだ。
別に知れたとしても、遊太郎には何の関係もないけれど・・・

「桃子!」
その時、懐かしい陽気な声に桃子はハッと現実にかえった。
一ノ宮貴志は笑って手を振って走って来た。
日焼けした顔も程よい茶髪も、3年前と変わらない。「・・・貴志」
「久しぶり!変わってないなあ」
気さくな貴志に桃子は時間が戻るのを感じた。


彼女は予約してあるというフレンチレストランへ連れて行かれた。
貴志が、高級な店を選ぶところが3年前とは違う。

「大学の同窓会メールのおかげで会えてよかった。元気そうだな」
「うん、まあね。貴志も元気だった?」
「元気だけど、海外研修のロスから帰ったとこでバタバタでさ。
ようやく落ち着いた頃にメール貰って懐かしかったよ」
快活に笑い、貴志はワインを頼んで乾杯をした。


「で、いまは?」
「何が?」
「いや。だから、つきあってるヤツ、いるのかなって」
「・・・」
さらっと聞かれて、桃子は瞳が泳いだ。
「いきなりだね?」
「ってことは、あれからずっといないの?」
「貴志、ズケズケ言うとこ変わってなさすぎ!」

桃子がおもいっきり膨れっ面をすると、貴志は懐かしそうに笑った。
「それそれ!桃子が怒ると顔がフーセンみたいに膨らむだろ?
見たかったんだ、俺」
「バカ!」

会ってなかった年月が嘘のように、二人は気のおけない楽しい時間を過ごした。
別れ際に一ノ宮貴志は、またメールすると言った。
桃子はうなづいて、久しぶりに気分が晴れる思いで帰宅した。

・・・会ってよかったかもしれない。
よく考えたら、嫌いで別れたわけじゃなかったし。
最初は躊躇したけど、同窓会メールを送らなければ、
いい気分で再会なんて出来なかった。


「桃子さん。お帰りなさい」
玄関を開けるとすぐに、遊太郎のエプロン姿が見えたので、
桃子はこちらの現実に戻った。

・・・そうだ。いまは同居してるんだった。


一ノ宮貴志との再会が予想外に楽しくて、
表向きイトコの遊太郎とルームシェアをしていることを忘れている自分に驚く。


・・・数日前の夜、遊太郎に少しだけ抱きしめられて、
その時、自分は本当は彼が好きなのかもしれないと思ったのに。

「桃子さん、食事は?」
いつものように無邪気に聞くので、
桃子はいい、と断ってしまった。
「大学の友達と食べて来たし。疲れてるから、もう寝るね」
「そうですか。おやすみなさい」
微笑む遊太郎を見ずに、さっさと部屋に入ってしまう。


・・・何だろう、この後ろめたさ。
別に遊太郎に隠す必要もないのに。

ベッドにバタンと横になり、また無意識に耳のピアスに触れる。
物騒だからと遊太郎から貰ったピアス型発信機。
気になるなら外してしまえばいいのに、触ってばかりいる。

桃子の脳裡に、つもはにかんだような遊太郎の笑顔と、
陽気な一ノ宮貴志の顔が交互にあらわれた。


もし一ノ宮貴志に新しい彼女がいなくて、
自分にその気があるのなら、また付き合うつもりなのか?

実は他人で、しかも宇宙人らしい遊太郎とルームシェアをしたままで?

本当は、どうしたいんだろう?
桃子は大きな溜息をついた。

~第34回接近遭遇をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-04-12 00:13

第32回接近遭遇「元カレ登場!」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やスピリチュアル系には全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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「ピアスじゃなくて、発信機なの?これ」

桃子は、遊太郎からダイヤのピアスを貰って喜んだのもつかの間、
発信機と聞いて一気に興ざめした。

「なんで、あたしが発信機を付けなきゃいけないわけ?」
「桃子さん、チカンにあったりして物騒だから、
お守りがわりにと思ったんです」
「チカン~???だからって」
確かに帰り道に尾行されたりして危なかったけど。
「お~げさじゃん。こんなの」
「駄目・・・ですか?」
遊太郎の子犬のような目が懇願しているように思えて、
彼女はなんとなく戸惑った。

「そんな目で訴えないでよ?いじめてるみたいじゃない。
わかった、付けりゃあいいんでしょ?」
「本当ですか?ありがとうございます」
ぱっと遊太郎の頬が明るく紅潮する。
そんな様子を見て、やれやれとピアスをいじる桃子。
「ふうん。こんなので、あたしの居所がわかるんだ?」
「はい。遠くても大丈夫ですよ」
「へえ。B級ミステリーに出てきそう。
ま、見た目がダイヤだし、防犯グッズと思えば、いっか♪」

色々文句を言いながら、耳に付けてみる。
・・・動機がロマンチックじゃないけど仕方ない。
ちょうど髪がピアスを隠すので、近づかないと目立たない微細な光を放っていた。
「よかった」
遊太郎は満足したように微笑み、桃子もサンキューといちおう礼を口にした。


・・・たかがチカン防止に発信機を持ち出すところがズレてるけど、
まあ心配してくれてるってことだよね?
次回は、ペンダントとか指輪をプレゼントしてほしいなあ・・・

・・・などと妄想してしまい、桃子はあわてて打ち消した。


桃子がピアス型発信機を付けることを承諾したので、
遊太郎はそっと自分の部屋に入って目を閉じた。

発信機が桃子の波動を増幅し、より鮮明に伝わって来る。
これなら彼のスキャニング有効範囲である、半径500メートルを越えた場所でも大丈夫だろう。

もしゼルダ星人が桃子に近づいて来ても、すぐに跳べると思った。
位置が確定していれば、制約の多い地球でも空間移動が可能のはずだ。



「うん、悪くないかもね♪」
朝からの機嫌の悪さがどこ吹く風で、
桃子はピアスをした自分の満足そうな顔を鏡に映して喜んでいた。
そこへ携帯から着メロが賑やかに鳴り響く。


「・・・ん?大学の同窓会?」
突然、大学時代の友人からメールが回って来たようだ。
しかし同窓会案内のあとの追伸に少しピクッとなる。
そのメールの内容はこうだった。


『大学時代に付き合ってた一ノ宮クンとまだ続いてる?
桃子からメールしといてね♪』


「・・・一ノ宮」

それは、桃子が3年前に別れた男の名前だった。
別れたというより、卒業後はお互い別の会社に就職した為に、
会う回数が減り、自然消滅しただけの話なのだが。


・・・あたしからメールするの?

なんとなく憂鬱な気分で、携帯のメールフォルダを調べてみた。

一ノ宮 貴志。・・・まだ、残してる。

「メルアドなんて変わってるかもしれないし・・・」
自分に言い聞かせて事務的な同窓会メールを送信してみた。
・・・どうか、変わっていますように。


ところが、10分と経たないうちに返信が来てしまった。
「・・・マジ?」
ためらいながら、一ノ宮貴志からのメールを読む桃子。

『久しぶり!同窓会の前に一度会えないかな?
実は海外から戻ってきたところなんだよね。 貴志』


ふっと懐かしい思いが、さっきまでのためらいを消して、
桃子の胸がにわかに高鳴った。

~第33回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-04-09 21:29

第31回接近遭遇「予想外のプレゼント」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やスピリチュアル系には全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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「どうしたの?桃子。今朝からボ~ッとしちゃって」

会社で同僚の清美から突っ込まれた桃子は、
別に、とごまかして仕事に集中しようとするが、目は無意識に遊太郎を追っていた。
昨夜の出来事が夢だったように、遊太郎は普通に仕事をしている。


・・・・何だったのよ?
あの意味シンな「抱擁」は!
急に抱きしめられて、どれだけビックリしたと思ってんの?
転んだとか言ってたけど、もう顔の傷は消えてるしさ。
遊ばれてるわけ?あたし・・・・?

「バッカみたい!」
急に叫んだので、清美をひえっと驚かせた。



「出たんだって?ゼルダ星人」

その昼休み、セルフコーヒー店で待合せた佐々木に、
遊太郎は昨日の一件について聞かれた。
佐々木も表向き取引先の営業マンであるが、
遊太郎と同じく地球へ派遣されている銀河連盟調査員なのだ。

「ゼルダ星人が君に接触をはかって来たらしいね?
警戒するよう緊急通達が流れて来たよ」
「接触とは言っても、すぐ逃げられましたけど」
遊太郎はまんまるメガネの童顔で無邪気に笑った。
佐々木はおいおい、と神経質そうに銀ぶちメガネをかけ直す。
「でも君、ヤツに脅迫されたらしいじゃないか?」

確かにキツネ面のゼルダ星人は、
自分達の邪魔をするなら、大切な誰かを壊すと言った。

「それは周りの地球人に危害を加えるって意味だろうけど、
特に親しくしている地球人がいたら、その人が狙われやすい。
だから、前に僕はアドバイスしたんだよ。
適当に付き合わないと仕事に支障が出るってね」
佐々木は遊太郎と違って、駐在期間が長いだけに合理的で、地球人と距離を置いているようだ。

「でも、銀河連盟パトロールが巡回していますし」
と、遊太郎はコーヒーを飲みながらゆったりと答えた。
すると佐々木はあきれたように返す。
「パトロールったって、外からしかカバーできないし。
・・・しかし君、そんなのん気で、ヤツと遭ってよく無事だったね?」
「そういえば、そうですよね?」
遊太郎はおっとりと笑った。
実際は怪我を負ったので無事だったとは言い難いのだが。



その夜、マンションに帰宅すると、
先に帰っていた桃子がリビングでビールを飲んでいた。

「あ、あの桃子さん」
「なに」
無愛想な返事が返って来る。怒っているらしい。
女性の感情にはニブい遊太郎には、桃子の怒りの理由がわからない。

「お願いがあるんですが」
「お願い?」
ジロリと睨み付けられ、二の句が告げられなくなる。「・・・やっぱり、今日はいいです」
「なによ?気になるでしょ?」
ますます火に油を注ぐ。
「いや、でも・・・」
「男らしくないわね!言いかけたことはハッキリ言いなさいよ」
缶ビールが飛んできそうな勢いである。
意を決して遊太郎は話した。


「これを桃子さんに付けてもらいたいんです」
ポケットから取り出した小さな箱をテーブルに置く。
なに、これとつぶやきながら、彼女は箱を開けてビックリする。
「ピアス?」
桃子の怒りが消し飛んで、顔がみるみるピンク色に染まる。
それは目立たないが微細に輝くダイヤで出来ていた。

「初任給もらったからって、こんな高価なものを買っちゃっていいの?」
「それは買ったのではなくて、僕が作ったんです」
「つ、作った?ピアスを?」
「ピアスに見えますが、発信機です」
遊太郎はにっこりし、桃子は素っ頓狂な声をあげた。

「は?発信機?」」
どうやら桃子のぬか喜びだったようである。


~第32回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-04-06 18:24