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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
ICELANDia
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<   2008年 03月 ( 16 )   > この月の画像一覧

第28回接近遭遇「エイリアンの脅迫」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。
※ただし、アルコールを飲むと元の姿に戻ってしまう。

●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やスピリチュアル系には全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

営業の途中、遊太郎と高山の車に張り付いて来たナゾのタクシー。
ドライバーはキツネ面を被った男であり、
窓越しにテレパシーで遊太郎に話しかけて来た。


「あなたでしょ?最近地球へ来た新米の派遣調査員のくせに、
ある侵入者を生意気に捕まえたらしいじゃないですか」
キツネ面はややねっとりと言った。
どうやら、この男も無断で地球に侵入したエイリアンの一人らしい。

「はじめまして。昨日捕まえた人のお仲間ですか?」
表情を変えずに遊太郎もテレパシーで返すと、キツネ面が軽く笑った。
「一緒にしないでください。あんな絶滅寸前の種族なんかと。
我々は地球を楽しみたいだけなんですから」
昨夜、桃子につきまとっていた痴漢男とは違うタイプのようだ。


しかし高山は普通の地球人である。
何が起こっているのかわからずパニックに陥っていた。
「ハンドルが動かない!ブ、ブレーキも!!」
「高山係長、落ち着いてください」
遊太郎が制するが、うるさい!と払われた。
両目が血走り常軌を逸している。
「もうダメだ、死ぬ、死ぬ、死んじまうんだ!」
頭を抱えてハンドルに突っ伏して泣き始める。
いつも強気な高山らしくなく、遊太郎は少し戸惑ったが、
「高山係長、ちょっと失礼しますね?」
そう断って彼の肩に手を置いた。
「!」
一瞬上体がエビのように跳ねたが、それきり高山はだらりと運転席で失神した。


「そうそう、地球人はお呼びではありませんからねえ。
しばらく眠ってもらって、我々だけでドライブしましょうよ」
クスクス笑いながらキツネ面が、横からすっと前方へタクシーを動かした。
遊太郎はすぐに高山を助手席に移動させ、運転席へ変わった。


いつの間にかトンネルを抜け、2台の車は海岸線沿いを走っていた。
キツネ面が邪魔が入らない場所へと、自分達だけワープさせたのだろう。

海面がキラキラと太陽の光を反射させて美しい。
ワープとはいえ、日本のどこかには違いなかった。
「良い天気だ。海にでも行きましょう」
まるでデートを楽しむかのように、キツネ面が誘導する。


青い海と白い砂浜だけなら、のどかこの上ないが、
2台の車から降りた人物は尋常ではなかった。

キツネ面のタクシードライバーと、プラチナの髪をした長身の男である。
彼はやや窮屈な地球人・遊太郎の姿から、レンへと戻っていたのだ。


「わかって欲しいですねえ。
我々はただ地球でバカンスを楽しみたいだけなんですよ?」
キツネ面が海に向かってそう言うと、
遊太郎 = レンは慎重に後ろ姿を見つめながら言った。
「銀河連盟のルールを敗ってまでバカンスとは、
ただの旅行者ではないはずですが?」
「うたぐり深いですねえ。銀河連盟のみなさんはいつもそうだ。
だから、私は大嫌いなんですよ・・・」

ピシリ!と、カマイタチのようなものがレンに飛んだ。
脚と左肩がかすり、そしてレンの白い頬に細く赤い線を作った。


「おや、よけないんですねえ。毒入りですし、かなりキツイはずですが。
色男の割にキモが座ってらっしゃる」
振り返ったキツネ面が、粘り着くような視線を投げた。
物腰は柔らかいが、得体の知れない思考の持ち主のようである。

「何が目的ですか?」
レンは水のように冷静に質問した。
「目的っていうか、我々の楽しいバカンスを邪魔するなら、
あなたの大切な誰かを壊すかもしれない。
それだけを伝えに来たんです」
キツネ面は楽しそうにケラケラと笑ってかき消えた。


~第29回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-03-30 19:05

第27回接近遭遇「タクシードライバーの挑発」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。
※アルコールを飲むと元の姿に戻ってしまう。

●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やスピリチュアル系には全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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「え~?チカン~?大丈夫だったの?」
翌日、桃子は同僚の清美と社内食堂で日替わりランチをとりながら、
昨夜の痴漢事件について話した。

「まあね、チカンが勝手に素っ転んでくれたから、運が良かったというか」
「そういうとき、森田クンが一緒だったらよかったのに。
一応あれでオトコじゃん?」
清美だけが、遊太郎と桃子が同居していることを知っているのだ。
すると、桃子は手を振った。
「一緒に帰ったら同居がバレるからダメよ」
「だよね~。それに超頼りないし、森田クンより桃子の方が強そうだもん」
「それ、どういう意味?」


二人のいる席から少し離れた喫煙席に、同じ営業一課の高山係長がいた。
携帯に登録した盗み撮り写真を眺めていたのだ。


社員旅行の夜に目撃した、桃子と手をつないでいるナゾの男の写真。
画像は全体的に暗いが男の特徴はなんとなくわかる。
まず自分より長身で、外国人のように等身が高いことが気にくわない。
さらにサラサラした銀色のふざけた髪をしていること、
目をサングラスで隠しているものの、目立つ顔立ちも面白くなかった。
高山は苛立ちながら煙草を灰皿に擦りつける。

特に五十嵐桃子が好きだからというわけではない。
普段から女に困ることがないのだ。
ただ、桃子が他の女性社員と違うのは、
彼女が入社した頃から、いくら誘っても一向になびかないことだ。


・・・いつか、あの女の弱みを握りたい。
その為に、彼女が隠れるように会っていた謎のギンパツ男を捕まえて、
何故あんな風にコソコソ付き合っているのかを知ることだ。
どうも、あの二人には秘密の匂いがする。

高山は勝手に、その男が桃子の恋人だと思い込んでいた。


「高山係長、そろそろ時間ですよ?」
まんまるメガネで童顔の若い社員が近寄って来た。
森田遊太郎である。

「わかってるよ」
うんざりして立ち上がり、仕方なく上着を着る。
「今日は電車にします?車にします?」
「・・・お前なあ。俺のヨメじゃないんだから、
食事にする?それともお風呂?・・・みたいに言うなよ」
「???」

執着している写真の男と、すぐ目の前にいる遊太郎が同一人物とは、むろん高山は知らない。



ほどなくして、彼らは会社所有の車の中にいた。CDをガンガンかけながら高山が意気揚々と運転している。
高速を走りながら、遊太郎はふと後方の車が気になった。
車はタクシーで、キツネ顔した男が無表情にこちらを見ている。
タクシーは高速を降りてからも執拗につけて来た。

さすがに高山が気付いたようで鼻息が荒くなる。
「ケッ!目つき悪いタク野郎が、後ろからガン飛ばしやがった」
「気にしないで行きましょう」
遊太郎がさりげなく言うが、ケンカっ早い高山が聞くはずがない。
「ふん、腰抜け!いざとなりゃ、あんなの一発で片付くぜ」
「挑発に乗らない方がいいと思うんですけど・・・」
「バカ!売られたケンカは高く買って後悔させてやるのさ」


2台の車がトンネルに入る。
その時、謎のタクシーが助手席側、つまり遊太郎の横にすうっと近づいた。
ドライバーはキツネ面を被ったようで不気味この上ない。
「な、なんだ、コイツ!」
高山がギョッとしてスピードを上げるが、タクシーはぴったり張り付いて来る。
しかも他の車が消えていて、まるで時間が凍りついているかのようだ。


・・・・・その時。
「銀河連盟の調査員ふぜいが、ずいぶんナメた真似をしてくれたじゃないですか」
キツネ面のタクシードライバーが、動かぬ口で喋りかけて来た。


~第28回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-03-29 22:14

第26回接近遭遇「ファミレスで取調べ?」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。
※アルコールを飲むと元の姿に戻ってしまう。

●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やスピリチュアル系には全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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「コーヒーでいいですよね?」

遊太郎はニッコリして、さっき捕まえた痴漢男に話しかけた。
場所は深夜営業のファミレス。
客はまばらの上、会話もシールドされていて周囲には聞こえない。


夜道に桃子を尾けた痴漢は、ガリガリに痩せた中年男だった。
大人しく座っているところを見ると、
遊太郎の放つ見えない力で、動けなくされているからだろう。

「すぐに迎えが来ますから、それまでお茶でもしましょう」
おっとりと話す遊太郎を、男は悔しげに睨みつける。
その糸のような細い目から緑色の火花が散ったが、
遊太郎が男に向けて視線をスッと流すと、とたんに苦しがった。


「兄ちゃん、優しそうなツラして容赦ねえな?」

急にぞんざいな日本語を喋り出す男に、遊太郎が愛想笑いをする。
「ああ、痛かったですか?すみません。
地球の環境に慣れてないもので、手加減できないんですよ」
「・・・慣れてないって、いつこっちへ来たんだ?」
「あなたよりは最近でしょうね」
「何だって?そんな新参者に捕まえられたのかい?オレは!」
残念そうに舌打ちをする。


「さて・・・」
遊太郎はのん気そうな風情から、一転して波動を切り替えた。
「そろそろ聞かせてもらいましょうか。なぜ彼女を尾行していたのか」
遊太郎のメガネの奧の瞳が青灰色に染まると、
男は電気的な攻撃が再び来ると思ったのか、ビクッと身を震わせた。


「そ、そりゃインパクトがあったからさ」
「 何が?」
「あの女の生体エネルギーがだよ!」
「生体エネルギー・・・?」
桃子を尾行していた異星の侵入者は、全身から緑色の煙を立ちのぼらせたが、
むろん遊太郎しか見えなかった。
「オレ達の種族は、もう子供が生まれなくなって絶滅しかけてる。
種の存続のためには、他の星の女にオレ達の子供を産んでもらうしかないじゃねえか」
再び細い目から緑の火花が散るが、段々と弱々しくなっていった。
「種を絶やさない為にオレ達はずっと、強い生命力を持った女を探して続けてきたんだ・・・」


「それは大変ご苦労様でした」
遊太郎はあっさりとそう言い、胸ポケットから携帯を取り出して着信メールを確認した。
「同情はしますが、あなたのしようとしたことは立派なルール違反です。
お迎えが来たようですから、行きましょうか」

男を立たせファミレスの外へ出る。
町はずれの公園に数人の黒いスーツ姿の男達が待っていた。
銀河連盟から送られたパトロール隊員である。
遊太郎は侵入者として男を彼らに引き渡した。



「遊太郎、遅いじゃない!
あたしがどれだけ怖い目にあったか!」

遊太郎がマンションに帰るなり、桃子から凄い剣幕で怒られた。
「本当に大変だったんだからね!
まあ勝手に転んでくれたマヌケな痴漢だったから、逃げることができたけどさ。
それにしても、あんたはいつものんびりしてて羨ましいわ」
「・・・・」

痴漢の正体については、桃子を不安がらせるので伏せておこうと彼は思った。
しかし怖かったという割に、彼女が相変わらず元気に怒っているので、ホッとした。


「ん?何がおかしいの?」
桃子が目を吊り上げる。
「い、いえ別に」
「だって、いま笑ったじゃん!人の不幸がそんなに楽しいわけ?」
「桃子さんが元気だから、いいなあと思って」
無邪気にそう答える遊太郎に、桃子は変な顔をした。

「バッカじゃないの!ほんとズレてるんだから。
ああ、それにしても疲れた。遊太郎、冷蔵庫からビール取って」
「はい」
彼はニッコリと彼女に微笑んだ。


第27回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-03-26 21:49

第25回接近遭遇「宇宙人の初任給」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。
※アルコールを飲むと元の姿に戻ってしまう。

●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やスピリチュアル系には全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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「森田、初任給は何を買うんだ?」

チューリップ生命本社営業一課の斎藤課長がニヤニヤしながら、
新入社員である遊太郎に給与明細を渡した。
「普通は育ててくれた親に何かプレゼントをするもんだぞ」

すると高山係長が横から嫌味を言った。
「カノジョとかにプレゼントするとかな。まっ、お前には相手いないから無理か!」
「おいおい、高山。それはわからんぞ?」
斎藤課長がフォローをするが、彼は遊太郎を指さして笑い出す。
「でも課長。こ~んな、のび太みたいな冴えないヤツに彼女なんか100万年早いっスよ」


・・・初任給、地球人として初めての給料である。
遊太郎はふと桃子のことを考えた。
同居してから迷惑をかけっぱなしで、喜ばれることなど何もしていない。
彼女に何かプレゼントできないだろうか?


「そりゃ花だろうね。花をあげて喜ばない地球人女性はいないそうだ」

そう答えたのは、取引先の企業に勤めている佐々木である。
昼休みにセルフコーヒーの店で待ち合わせて聞いてみたのだ。
「しかし、君も女性へのプレゼントに悩むなんてのん気だよねえ。
・・・銀河連盟からの通達は見ているだろう?」

佐々木もまた、遊太郎と所属は違うが地球へ派遣されている調査員である。


侵入者への取締強化については、銀河連盟より緊急通告が出ていて、
どうやら、地球人に危害を与える異星からの侵入者が出没しているらしく、
発見次第、調査員が対処しなければならないらしい。


佐々木は神経質そうに髪をかきあげ、コーヒーをひとくち飲んで答えた。
「こんなヨロイみたいな身体は使い勝手が悪くて、敵に逃げられやすいからね。
君、ずいぶんおっとりしてるから心配だよ」
佐々木は少し先輩風を吹かせて眉を上げたが、
遊太郎はそうですよね、と愛想笑いでごまかした。


その夜、初めて花束を買った遊太郎は、
電車から降りるなり、見覚えのある波動をキャッチして身構えた。
目を閉じてスキャニングしてみると・・・

・・・誰かに尾行されている女性が視えた。
「桃子さん?」

次の瞬間、おっとりした遊太郎とは思えぬ動きで、
彼はまるで風と化したように走っていた。



・・・まいったな。
桃子は尾けてくる気配に滅入りそうだった。
かなり暗い夜道。マンションまで尾いて来たら嫌だと思ったので、
わざと遠回りしようとしたが、次第に尾行者とは距離が縮まり、
粘りつくような気配に全身が鳥肌立っていた。


その時、既に遊太郎は桃子に近づく男の背後に回っていた。
スキャンした結果は、表向きは単なる痴漢らしいのだが。


(・・・確保しなければ)
普段は子犬のような遊太郎の瞳が、ほんの一瞬メガネの奧で変貌する。
青灰色に彩られた冷たく鋭利な瞳へ・・・・・


「ギャッ!!」
見えないものに足を取られたかのように、尾行していた男が地に転がった。
「?」
桃子は何が起きたのかわからないまま、この隙に走って逃げる。


彼女の姿が視界から消えてから、遊太郎は静かに男に近づくと、
男はもがきながら日本語ではありえない言葉で吐き捨てた。

「・・・乱暴だな、たかが地球の女一人のために」

遊太郎は、そんな男を電気的なパワーで路上に固定しながら挨拶をした。


「ようこそ、地球へ。
後でゆっくり話は聞かせてもらいますね?」

しかし、とんだ捕物騒ぎで、
桃子の為に買った花束は、残念ながら花びらが一枚も残っていなかった。


~第26回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-03-23 15:52

第24回接近遭遇「もう一つのミッション」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で新米営業マン。かなり天然系。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査員。
※アルコールを飲むと元の姿に戻ってしまう。

●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やスピリチュアル系には全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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「・・・遊太郎?」

酔いつぶれてリビングのテーブルで寝てしまっていた桃子は、
夜中にふと目を覚ました。
空の缶ビールが片付けられ、自分の背中にも毛布がかけられている。
帰って来た遊太郎が色々やってくれたのだろう。

・・・あたしの「飲んべえ」ぶりにあきれちゃったかもね。

ますます美人女医との差が広がった気がしたが、
深く考える気力もなく、シャワーだけ浴びて自分の部屋に戻った。

彼女はこの時、遊太郎が部屋には居なくて、
クローゼットが外部世界につながる転送装置だとは夢にも思っていなかった。



その遊太郎、つまりレンは何の変哲もないクローゼットから、
月の裏側に隠れて存在するステーションへ移動していた。
その中枢にコントロールセンターがあり、
そこで待っていたのは、上司であるキャプテン・ロータスだった。


ロータスは、地球では神崎人事部長としての顔を持っているが、
本来の姿は褐色の肌にグレーの瞳を持つ、逞しい偉丈夫である。

ロータスは、ステーションが見える透明で流線形の壁見ながら話をした。
そこからは、あらゆる星々、あらゆる次元へ行き交う人々の流れを一望できる。


「どうした?疲れているのか、レン」
父親のように聞くロータスにレンは無表情に大丈夫です、とだけ答えた。


おっとりとして愛想が良い遊太郎とレンとは、姿形はもちろん雰囲気さえ別人になる。
それはレンがコピーした地球人・遊太郎の身体を「着る」ことで、
遊太郎が元来持っている気質が、彼に多少の影響を与えるからだ。
実際の彼はかなり無口で、感情をあまり出さない。


「・・・さて、レン。歓迎したくないニュースだ」

多種多様な旅行者やステーションスタッフが動く光景を見下ろしながら、
ロータスは少し重々しく本題を切り出した。

「銀河連盟のルール違反を犯す連中がいるのは周知の事実。
我々の調査を邪魔するどころか、
地球人に危害を加える困った者達がまた最近になって、出没し始めたらしい」
「日本にもですか?」
「そうだ。日本各地に被害報告が徐々に出ている。
我々のエリアにも、いつ何が起こってもおかしくはない」
それを聞いて、クールなレンの表情が少し陰った。


地球調査団の仕事は、地球人の生活様式や意識観察を通して、
その進化過程を見守ることだけではなかった。

地球人に危害を加える外部からの侵入者に対し、
地球人には気取られないように速やかに対処すること。
それが隠れた任務でもあった。


レンは、優れた特殊能力を持つ調査団メンバーの一人だが、
地球人の姿でいるあいだ、制約が多い為にあまり自由には動けない。
それを見越して、ロータスは警戒するようを諭しているのだ。


「侵入者は、ピンからキリまである。
子供のようにイタズラを楽しんでいる者、人体に危害を及ぼす者まで。
ステーションのボディチェックをうまく通り抜けて侵入するらしい」


ロータスは透明な壁からレンの方へ視線を移した。
「侵入者のデータファイルを後ほど転送しておく。
君の高い身体能力、サイキック能力は信頼しているが、
なにぶん地球は勝手が違う。心したまえ、レン」
「了解しました。キャプテン・ロータス」
レンはロータスの意を受けとめてセンターを後にした。


マンションのクローゼットから部屋の中へ戻ってきた彼は、
既に地球人・遊太郎に変わっていた。
桃子が部屋で眠っていることを知り、なんとなく安堵を覚える。


ルームシェアの試験期間の一カ月が近づいていたが、
やはり彼女から離れるわけにはいかないと遊太郎は思った。


~第25回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-03-20 13:47

第23回接近遭遇「ストイックな彼氏」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で新米営業マン。かなり天然系。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査員。
※アルコールを飲むと元の姿に戻ってしまう。

●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やスピリチュアル系には全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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「雄太郎ちゃんとケンカでもしたの?」

週末に久しぶりに実家へ戻った桃子へ、
梅昆布茶を入れながら母親の弘子が面白そうに聞いた。
「別に。・・・お父さんは?」
「泊まりでゴルフよ。あんたが帰って来ると知ってたら行かなかったかも」

実家は桃子のマンションから2時間ほどの所にり、
部屋に居たくはなかった彼女は、遊太郎には何も言わずに週末だけ帰って来たのだ。

「ケンカしてないんなら、遊太郎ちゃんと来ればよかったのに。
あの子がいたら、料理を手伝ってくれるし助かるんだけどねえ♪」
都合のいいように弘子が妄想を始めるが、
桃子は茶をがぶりと飲んで、テーブルに音を立てて置いた。
ひやっと飛び上がる弘子。

「残念でした。アイツはね、たぶんナイスバディの美人とデート中よ!」
「デ、デート?遊太郎ちゃんが?」
弘子はますます楽しげに悪ノリを始めた。
「まあまあまあ!遊太郎ちゃんがそんな美人とデートしてるの?
まだまだ子供だと思ってたのに、やるじゃな~い?
わかった。だから、あんた焼いてるんだね?」

「ち、違うわよっっ!!」
大きなカミナリがどんと落ちた。



日曜日の夜になって、溜め息をつきながら、
桃子は買ったビールを片手にマンションへ戻ってきた。
部屋にはまだ遊太郎は帰っていなかったが・・・


・・・あんな年上の色気オンナが好みだったとは。
どうせ、あたしはナイスバディには程遠いし平凡な顔だし料理もできないし。
そういえばアイツ、週末になると居ない時が多かったっけ。
もしかしたら、あの女医とずっと付き合っていたのかもしれない。


ぐるぐると考えているうち、何本もビールを開けてリビングで寝てしまった。
そこへ夜遅くに帰って来た同居人がいた。


「桃子さん・・・」
遊太郎はテーブルにうつぶせて熟睡している桃子を見て驚いた。
まず散乱している空のビールを片付け、ゴミを綺麗に捨てた。
そしてソファにあった膝かけ毛布を見つけて、
彼女を起こさないようにそっとかけた。


その時、ふと桃子の寝顔に遊太郎は何かを感じて、
顔を赤く染めて無防備に眠っている彼女に顔を近づけてた。


・・・何だろう。ずっと見ていたいような、不思議なこの感覚は・・・


彼女の髪に触れようとした時、邪魔をするかのように胸元の携帯電話がふるえ、
彼は桃子から離れて着信メール見た。


「遅刻だぞ。転送してセンターへ来るように」
あの神崎部長からのメールだった。


遊太郎は部屋に入ってドアを閉めた。
上着を脱いでメガネをはずし、腕時計や携帯電話、金属製のものは全てデスクに置いた。
そして平凡な長方形のクローゼットの扉をゆっくり開く。
真空のような暗闇が口を開けているその中へ、
彼はすうっと吸い込まれるように入って行った。



クローゼットの向こうは、真昼のように銀白色に輝くフロアが広がり、
多くの人々が行き交うステーションに直結していた。
顔見知りたちが、遊太郎に挨拶をする。


「やあ、レン。日本じゃ今頃は夜だろう?コンバンワ」
「地球の暮らしには慣れたかい?レン」


~転送装置~

それは遊太郎の場合、マンションの部屋にある何の変哲もないクローゼットだったのだ。
通り抜ける際、黒髪からブラチナの髪へ、青灰色の瞳へと戻った彼は、
コードネーム・レンとして、ステーションのフロアから半透明な筒状のエレベーターに乗り移った。
そこからセンターへすみやかに移動する。


~新展開の予感?第24回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-03-17 21:54

第22回接近遭遇「宇宙人たちのクリニック」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で新米営業マン。かなり天然系。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査員。
※アルコールを飲むと元の姿に戻ってしまう。

●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やスピリチュアル系には全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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「目を閉じて」

淡いクリーム色に輝く丸天井の診察室。
長椅子に座っている人物に天野律子はささやいていた。


ここは、異邦人たちのクリニック。
豊かな緑に囲まれた場所にあるドーム型の建物の中である。
美人女医、天野律子はここの医者ではあるが、
実は地球に駐在している異星から来たサイキックヒーラーでもあった。
午前中は普通の外来患者の診察に、午後は地球を訪れている者たちのヒーリングに充てている。


天野律子の比類なく見事なプロポーションは、白衣に包まれ、
艶やかな黒髪に飾られた美貌はまるで女神のようだ。
いまも、しなやかな腕を伸ばし、長椅子の人物に触れようとしていた。


目を閉じて長椅子にもたれているのは、プラチナの髪の青年である。

地球人名・森田遊太郎。
実は地球へ派遣されている調査員であり、コードネームはレンと呼ばれている。
今日はクリニックへ半強制的に呼ばれたため、地球人はなく本来の姿に戻っていた。


「・・・相当ダメージが大きいわね。レン?」
天野律子はそう言って、白い手を彼のシャープな頬に宛てた。
そのまま、すうっと額へ動き、掌をかざす。
彼女の指先が淡い紫色に点滅し、その光がふわっと彼の眉間に吸収された。

その一瞬、瞼を閉じている彼の長い睫毛がふるえ、天野律子は手をゆっくり離した。

「もういいわ、レン」
彼女のサインに、彼はゆるりと閉じていた瞼を開けた。
やや上がり気味の涼しげな青灰色の瞳が、目覚めたばかりの湖を思わせる。


「ありがとうございました、ドクター律子」
彼が形の良い唇で、ゆっくり礼を言うと、
彼女は教師のように、やんわりとたしなめた。
「他の調査員は定期的にヒーリングを受けに来ているのに、
サボっているのは、あなただけよ?レン」

本当のことなので、レンは素直に聞くしかない。
生徒を指導するように、彼女は諭した。

「もちろん慣れたら地球もなんとか住めるのだけれど。
マイナス電波や汚染がひどいから体調管理には気をつけないと。
・・・カフェイン抜きのコーヒーでも飲む?」


二人は診察室から観葉植物に取り囲まれたサロンに移った。
「で?あなたと同居している彼女・・・五十嵐桃子さんは何故だか怒ってるというわけね?」

美しい指先をあごにあてて、カウンセリングをしているかのように質問する。
レンは考えながらうなづいた。
「あなたを紹介しなかったので、怒っているんでしょうか?」
すると、天野律子は鈴のように笑った。
神妙な女医のマスクが溶けて、人間的な雰囲気に変わる。


「まあレン。地球人を調査する仕事をしているのに、
あなたって全然、女心がわかってないのね?
桃子さんは、私があなたと親しそうに接していたからヤキモチを焼いているのよ」
「・・・・?」

彼はさらに困惑した表情になった。
女心という言葉の意味がわからないらしい。


天野律子はそんなレンをほほえましく感じながら、
そうね、と言ってわかりやすく言葉を重ねた。
「桃子さんは、あなたに好意を持ち始めているのよ。
つまり、一緒に暮らしているうちに森田遊太郎を異性として見るようになって来たのね」
「好意・・・」
彼はやや戸惑ったように視線をコーヒーに落とした。
いつも桃子に迷惑をかけたり、怒らせているばかりいるのだ。
例え嫌われていても、好意を持たれているとは考えにくい。


「地球の男もニブいけど、あなたもかなり鈍感なところがあるみたいね」
さらっとつぶやくように言って、天野律子はコーヒーを優雅に飲んだ。


~第23回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-03-16 13:58

第21回接近遭遇「女ゴコロとの遭遇」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で新米営業マン。かなり天然系。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査員。

●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。

二人は表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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「桃子さん、大丈夫ですか?」

遊太郎はビックリして路上に転がったビールを拾い始めた。
桃子は憮然とそんな彼を見降ろしている。
赤い車はすでに視界から消え、あの謎の美女もいない。

「はい、桃子さん」
遊太郎はビールを袋に入れて、ニッコリと渡した。まるで無邪気な童顔である。
「いらない。それ、全部あげるから」
「え、でも僕、飲めないし」
うろたえる遊太郎に、ますます腹が立ってきた桃子はかみついた。
「ビールも満足に飲めないくせに、偉そうにハデな車で女に送ってもらうんじゃないわよ!」
「も、桃子さん・・・・?」


・・・全く自分はどうかしている、と桃子は心の中では呆れていた。
ただの同居人の遊太郎が何をしようが、自分には関係がないではないか。


「桃子さん、怒ってるの?」
「怒ってないわよ」
「怒ってるじゃないですか」
「うるさい!怒ってないって言ってるでしょ!」
いつもの掛けあい漫才だが、今夜は少し勝手が違う。

「と、とにかくマンションへ帰りませんか?」
みんな見てますから、と人目を気にして遊太郎がビールの袋を持って帰ろうとするので、
桃子は中途半端に怒りの表情を張り付かせたまま、彼に従った


「美味しい夜食スープでも作りますね」
マンションに着くと、遊太郎は手慣れたようにエプロンをつけた。
桃子がなぜ機嫌が悪いのか見当もつかないが、
ミルクをたっぷり使ったスープで、彼女のとんがった神経をなだめようと思ったらしい。


「出来ましたよ。桃子さん」
豆と野菜のクリームスープが湯気を立てていた。
仕方なく飲んで落ち着いたところで、桃子は思い切って聞いた。


「あの綺麗な人、誰?」
「え?」
「さっき車で送ってもらってたでしょ?すっごい美人よね」
「ああ、クリニックの先生ですけど?」
予想外にあっさりと答える遊太郎。
「せ、先生って女医ってこと?」
桃子は目を丸くした。あんな女優みたいな医者がいるなんて信じがたい。


「あの人は天野律子さんと言って、普段は医者ですが、本当はとっても凄いヒーラーなんです」
「ヒ、ヒーラー???」


女医にヒーラー・・・怪しげな肩書にますます疑いが募った。
桃子は全くスピリチュアルの知識がなく、あまり興味もない。

「ヒーラーってボディタッチするものなの?」
さっき遊太郎の背中に手を伸ばしていた光景が目に焼き付いていたのだ。
「・・・ボ、ボディタッチ?」
おっとりしている遊太郎は、桃子が何を言おうとしているのかわからないようだ。


「天野先生は僕みたいな調査員の置かれている環境とか調べて、
1番合ったヒーリングをしてくれるんですよ」
遊太郎は口下手ながら、頑張って日本語を選んで話した。

「桃子さんはわからないと思うんですが、地球は波動がとても粗いんです。
今まで住んでいた星と、あまりにも環境が違いすぎるから、
定期的にメンテナンスしなきゃいけないんですけど。
僕、ずっとサボってて・・・・・・」


「あんたの話はさっぱりわかんないけど。
ようするに、あんた達がお上品で、あたし達みたいな地球人が雑草みたいに図太いって聞こえるけど?」
「い、いやそういう意味じゃ・・・」


桃子にはやっぱり面白くなかった。
女医だかヒーラーだか知らないが、ベタベタしすぎるんじゃないの?とまだ思っていた。
あんなハデな赤い車に乗って昼間からお茶なんかして。
本当にあれで、医者?ヒーリング?ありえない!


桃子はスープを飲んで、お休みと言って部屋に帰ってしまった。


「桃子さん、なんで怒ってるんだろう?」
遊太郎にはさっぱり理解できなくて、困り果てた。


~女ゴコロに超・鈍い遊太郎。第22回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-03-14 22:39

第20回接近遭遇「謎の美女 登場!」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で新米営業マン。かなり天然系。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査員。

●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。

二人は表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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「桃子、また合コンあるけど、どうする?」

金曜の昼休み、コンビニに向かって歩きながら同僚の清美が誘った。
「こないだはハズレだったけど、今度は期待できるかも。
でも、桃子は超イケメン彼氏がいるみたいだし、別にいっか~?」
「彼氏?いないよ」
知ってるくせにと桃子が文句を言うと、清美はニヤリと笑った。

「いるじゃん。ほら、社員旅行の時に桃子が会ってた、モデルみたいな超カッコイイ人」

・・・・ああ、アレか。
桃子はうんざりした。高山係長が写真を回覧してくれたおかげで、
いまだに社内では好奇の的になっているのだ。


あれが遊太郎の本当の姿だとは、口が裂けても言えない。


「彼氏とかじゃないって」
「え~?でもさ、手を握ってたじゃん。あたしだけには教えてよ、桃子」
「だから、違うんだって」

その時、いきなりコンビニの前で桃子は立ち止まり、清美も驚いて彼女の目線を追いかけた。
オフィスビルの中に華やかなオープンカフェがあり、二人の視線はいやおうなく、そこに注がれる。


「あそこにいるの森田君だよね。一緒にお茶してる人、誰?」
清美が楽しげにクルクルと瞳を動かしたが、桃子は唇をギュッと引き結んだ。


オープンカフェで遊太郎が一緒にいたのは女性だった。
桃子よりずっと年上で、艶やかな長い髪をした美人である。
色白で胸が大きくあいた黒い服を着ている。


「ねねね、すっごいナイスバディな美女だよね。桃子、知ってる?」
「知るわけないでしょ。イトコたって他人みたいなもんなんだから」
「まあ森田君の恋人じゃないのは確かかな?だって年上過ぎるし、
あんなセクシー美人、メガネのボクちゃんにはぜ~んぜん似合ってないもんね。
きっと仕事がらみのお客サンだよ」
延々と喋る清美を無視して桃子はさっさとコンビニに入った。


・・・別に、アイツが誰と会っていようが関係ないけどさ。


それから一日中、遊太郎と謎の美女のツーショットが頭から離れず、帰宅してからも考えていた。

あの女は一体何者なんだろう?
真っ昼間から親しげにお茶なんか飲んで、仕事の付き合いでもなさそうだし。

しかもあの女は、自分よりもはるかに洗練された大人の美しさを持っていて、
羨ましいほど女らしいボディをしていた。



桃子は気がついたら缶ビールを何本も開けていたが、冷蔵庫を開けてみたら「在庫」切れらしく、
仕方なく追加ビールを買いにコンビニへ走ることにした。
週末の夜に女一人、コンビニでビールだけを買っている自分が情けない。


買物を終え、コンビニの袋をぶらぶら下げて歩いていると、
マンションの前に鮮やかな赤い車がすうっと止まり、
中から見覚えのある人影が出て来た。


遊太郎である。
今夜は車で送ってもらったらしい。すぐに車からもう一人誰かが現れた。


「!」
桃子は反射的に電柱に身を隠した。
遊太郎を車で送って来たのは、昼間のオープンカフェで見たあの美女だったからである。


車のそばで、二人は何か親密そうに会話をしていた。
女は優雅な動きで、遊太郎の背中にしなやかな腕を伸ばし、
彼の耳元に何かうっとりとささやいていた。


「・・・・・・」
桃子は我慢ができなくなって、その場を逃れようとした。
何故か、これ以上見たくなかった。
マンションの反対の方向へ足早に歩くたびに、缶ビールが渇いた音を鳴らしてゆく。


その背中へ、
「桃子さん、どこへ行くんですか?」
と、緊張感のない遊太郎の声が追って来た。やっぱり見つかったらしい。
それでも構わず歩き続ける。


「桃子さん!」
ついに彼女の右腕が彼につかまれた。
「はなしてよ!」
叫んだ拍子に袋が手から離れ、冷たい路上ににカラカラと耳障りな音を立ててビールが転がり始めた。


~謎の美女と遊太郎の関係は?第21回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-03-12 20:17

第19回接近遭遇「異邦人たちのカフェ」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で新米営業マン。かなり天然系。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査員。

●五十嵐桃子(26)・・・同じ会社の事務職のOLで、遊太郎の正体を知る、
勝ち気で現実的な女の子。

二人は表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

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接待の席を抜けて、料亭の庭で煌々と輝く月を見上げながら、
遊太郎は佐々木に聞いてみた。

「佐々木さんは、あの・・・お酒は大丈夫なんですか?」
自分のように元の姿に戻ってしまわないのか?と思ったのだ。
彼はメガネの曇りを几帳面に拭きながら答える。
「酒なんて、50年も地球暮しをしてたら慣れてくるよ。
よほど疲れてなければ、元には戻らないしね」
「慣れ・・・・なんですか」


遊太郎は地球人「変装」してはいるが、
アルコールの摂取で一時的にコントロール機能がマヒし、本来の姿に戻ってしまうのだ。

佐々木は地球暦が遊太郎より長いだけあって冷静である。
「ルーキーらしい悩みだね。
それにしても君の会社の接待ぶりには呆れたよ。時代遅れというのか。
こないだも言ったけど、適当にやらなきゃ続かないと思うよ」

ああそうだ、と彼はあるカードを取り出して遊太郎に渡した。
「ストレスが溜まったら、この店に行けばいい。
地球でカルチャーショックに悩む、君みたいなのが集まってるから」
「?」

ハンカチは返さなくていいから、と言って佐々木は部屋へ戻るよう促した。
渡された店のカードを内側ポケットに入れて、遊太郎は接待席へ戻った。



翌日、遊太郎はさっそく佐々木から教えられた店を探した。
接待での失態を、高山にかなり責められて少しばかり疲れていたのだ。



~カフェ・アルシオン~

そんな名前の喫茶店が都会の穴場に存在していた。ログハウス風で数人しか客はいない。
遊太郎はカウンターに座った。

大柄であごヒゲを豊かにたくわえたマスターが、無愛想に水を置き、
好きなのを頼めと言わんばかりにメニューを無言で指差した。


そこには、地球以外の文字でドリンクが書かれていて、
遊太郎はその中のひとつを注文し、ぐるりと店内を見渡した。

何の変哲もない静かで落ち着いたカフェ。
だが、まばらに座る客は全て地球以外から来た者ばかりだった。
表向きは学生や主婦、タクシー運転手、教師、自由業など様々のようだが、
遊太郎には二重写しで彼らの本当の姿が見えている。


マスターが金色の不思議なドリンクを遊太郎の前に置いた。
どうもマスター自身は普通の地球人らしい。
しかしドリンクは地球にあるものではなかった。


「美味しい。・・・懐かしいな」
つい口から、ほろりと出てしまった。

すると離れて座っている高校生の少年が振り向いて微笑した。
「そう、懐かしい。ここしか飲めないから、つい来てしまうんです」
少年がそう言うと奧に座っていたタクシー運転手が同意する。
「みんな疲れたらここで休憩するんだ。この店は磁場が違うからホッとする」


マスターは彼らの話を聞いているのかいないのか、カウンターの向こうでマイペースに新聞を読んでいる。


不思議で、癒される喫茶店「カフェ・アルシオン」。
おそらく、遠い宇宙の果てから訪れている旅行者やビジネスマンたちが立ち寄る店なのだろう。

「元気が出て来ました。ありがとうございます。また来ます」
遊太郎はマスターたちににっこり笑ってぺこりと頭を下げた。



「昨日の接待、なんとかなったみたいじゃん?遊太郎」
マンションに帰ると、珍しくも桃子がキッチンにエプロン姿で立っていた。
「ど、どうしたんですか?桃子さん」
「はあ?あたしが料理してたらそんなにヘン?」

桃子はコゲついたヤキソバを作って、さあ食べろと遊太郎に強引に勧めた。
「あんたの超ヘルシー豆料理もいいけど、地球の食べ物もけっこうイケるのよ」
「は、はい。頂きます」


ヤキソバを不思議な珍味だなあと味わいながら、遊太郎は桃子に礼を言った。
「ありがとう、桃子さん。
僕を元気づけてくれたんですよね」
「バカ。黙ってあたしの手料理をよっく味わうの!」


カフェで飲んだ懐かしいドリンクも、桃子のコゲたヤキソバも、
どちらも遊太郎を癒してくれる大切なものに思えた。

~第20回をお楽しみに♪(^O^)/~
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by yu-kawahara115 | 2008-03-10 23:42