第133回接近遭遇「桃子×母×カミラ?」」 |
~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~ ★森田遊太郎(23)★ 地球に派遣された銀河連盟調査員。 超童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、 その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。 ★五十嵐桃子(26)★ 遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。 宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。 この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているが、 最近ようやく恋人モードに♪ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 「桃子、今日こそ正直に白状しなさいよ?」 週末の夜。 桃子のマンションに乱入したのは、母親の弘子だった。 遊太郎は今夜も遅いらしく、 桃子はビールを大量に買い込んで帰宅したところを、 超マイペースな弘子に急襲されたのだ。 「白状って、何をよ?」 仕方なく缶ビールを弘子にも渡しながら、 リビングのソファに腰を下ろし、ひとくち飲んだ。 ああ、この一杯がたまらないという表情で。 「やめた」 とたんに弘子が呆れたように冷たい視線を娘に注ぐ。 「やめたぁ?なんで」 「あんた見てたらバカらしくなったからよ。 ホント、こんなオヤジみたいな娘、 彼女にするオトコなんていないワ」 「はあ?」 オヤジみたいだと言われて、 桃子は頬を真っ赤に膨らませた。 気にしてることをズケズケと。 「帰ってよ。あたし、めちゃくちゃ働いて、 やっと週末を迎えたとこなんだから」 「まっ!親に向かって帰れだなんて、なんて言いぐさ? そんな口が利けるのも、あたしが自分のお腹を痛めて、 あんたを産んであげたお陰なんだからね」 「ああ、それはどうもありがとうございましたっ!」 母娘の熾烈な口ゲンカが始まった。 しかし、そこへ割って入ったのは、 ワンオクターブも高い声だった。 「ケンカ、いけませ~ん」 2人はギョッとして振り向いた。 リビングに、いつの間にか外国人風の女の子が立っていたのだ。 人形のように可愛らしい顔には見覚えがあった。 「誰っ?」 降ってわいたような女の子の出現に弘子が仰天するが、 桃子はあっと目を丸くした。 「カ、カミラさん?」 カミラは遊太郎の星の幼なじみで、 以前も遊びに訪れたことがあるのだ。 「ごめんなさい。モモコさん。 ドア、開いてたから。カミラ、入ってきちゃった」 彼女は相変わらず天然100パーセントのままである。 「なあんだ。遊太郎ちゃんのガールフレンド?」 騒ぎが落ち着いたところで、 弘子は桃子から紹介されて、 単純にもすぐに納得したようだった。 「そ。遊太郎がアメリカにいたころのね」 まさか異星人の女の子だとは言えない。 「そうだったの。可愛いわぁ。スタイルも良いし。 誰かさんとは大違い」 ひとこと余計だ。 当のカミラも、そのへんのところは桃子に話を合わせる。 「カミラね、レン…じゃない…ユウタロウのトモダチ。 久しぶりに日本に来たので、モモコさんに会いにきたの」 以前よりは日本語がうまくなっていて、 桃子は取りあえずホッとしたが、ボロが出る前に、 弘子には早く消えて貰おうと思った。 「ね、ねえ。お母さん。 あたし、カミラさんと女同士でいっぱい話をしたいんだ。 だからさ、もう帰ってくれないかな?」 「アラ、なんで?あたしだって女よ。 お喋りに、あたしも混ぜなさいよ」 どうやら宴会気分になってきたようである。 桃子はげんなりした。 …ああ、神様。勘弁してよ。 幸い遊太郎は帰る気配もない。 弘子はすっかりカミラと打ち解けて、 スナックをつまみながら楽しんでいる。 「そう、カミラちゃんは遊太郎ちゃんが大好きなのねえ」 「ハイ。カミラ、ユウタロウのこと、すき。 でも、ユウタロウはモモコさんがすき」 「えっ?そうなの」 これには桃子が大いに慌てた。 「ち、違うよ。お母さん。遊太郎は博愛主義で誰でも好きみたいだし」 「そ~お?」 弘子が疑いの眼差しで見、カミラが無邪気にも付け加えた。 「ユウタロウはね、モモコさんが、とってもすきで大事なの。 だから、カミラ、応援してるの。 2人が結婚したらいいなあって」 あああっ!なんてこと言うんだ。このコ。 桃子は頭を抱えた。 何故なら表向きは、桃子と遊太郎はイトコであり、 互いに好きになってしまったことは、 親の弘子に言えないからだ。 「…やっぱり。アヤシイと思ってた」 ここに来て弘子の声が低くなる。 そして、キッチンの片隅に仲良く並んだペアのマグカップを指差した。 それは温泉旅行に2人で行ったときに買ったものだ。 「桃子。あれは、なに?」 「へっ?」 いよいよ追い詰められ、桃子は滝のように冷や汗をかいた。 ~第134回をお楽しみに♪~ |
by yu-kawahara115
| 2008-12-30 20:47
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