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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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第97回接近遭遇「ガナック・ギアの新たな罠?」

~あなたのとなりに宇宙人が住んでいたら?~

★森田遊太郎(23)★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は童顔メガネのおっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ異星人レンである。

★五十嵐桃子(26)★

遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているが、
最初ようやく恋人モードに♪

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

月の裏側にある銀河連盟ステーションで、
上司ロータスは、レンの帰還報告を受けていた。

「レン、君は少し放浪癖があるようだな?」
「すみません。ご心配をおかけしました」

2日間無断で職務放棄をしてしまったレンを、
ロータスは責めるというよりは経緯を聞き出すように、
デスクからじっと凝視していた。

「それで。ガナック・ギアにやられたのは、やはり目なのか?」
「…はい」
「まさか失明などしていないだろうな?」

この質問にレンは眉をやや曇らせた。
「…何?本当に見えていないのか?」
ロータスの表情が険しく変わる。
「…いえ。左目は大丈夫です」

何が大丈夫なのか、とロータスは呆れたように首を振った。
全くこの部下は、何故これほど己自身の危機には無頓着なのだろう。

「ちょっと待ちたまえ。レン。
失明した上に幻覚症状まであるのだろう?」
「そうです」
「このままでは脳神経がやられる。
集中治療カプセルに入りなさい。
事によっては緊急手術だ。
ガナックに何かをインプラントされている可能性がある」


インプラント。
つまり肉眼では見えない有害なチップを、
脳の中に植え込まれたかもしれないというのだ。

「いえ、そうとは思えません。
それに僕はこれから、ガナック・ギアと会うつもりです」
「ガナックと?無茶なことを」

しかし、レンは止めても聞かない人間だと、
ロータスは心の内で分かってはいた。
「ガナック・ギアは、銀河連盟パトロールに監視させている。
滞在中のホテルから動いてはいないようだ。
すぐに捕まえる事はできるが?」
「いえ、僕は話したいだけです」
「話?」


ロータスは、レンに何かを感じたように、
全く違う質問をした。

「…そういえば、まだ聞いていなかったが、
この2日どこへ行っていた?」

聞かれて、彼は考えながら答えた。
「気がついたら、かなり山深い寺にいて…
ある和尚に会いました。
そこで、とても大事なことを教えられたんです」
「和尚?」

一瞬、ロータスの表情が純粋な驚きに変わった。
「もしかしたら、それは典然和尚か?」

今度はレンが驚いた。
何故知っているのだろう。
「はい。キャプテン・ロータス。
どうして、典然和尚のことを…?」

するとロータスは、ただ苦笑いをするだけで、
そうかと言ったきり、その疑問には答える気はなさそうだった。

レンは、典然和尚が別れ際にもらした話を思い出した。
ひょっとして、和尚が昔会ったことのある、
空からの来訪者というのは…


「とにかく。油断だけはするな。
相手は違法侵入したエイリアンではないが、
人の精神を幻覚で操れるタチの悪い男だからな」
「承知しました」
レンはそう答えてステーションを後にした。



その頃。
ガナック・ギアはホテルのロビーで、
ある夫妻を眺めていた。
それは遊太郎の両親であった。

彼らは何も知らずにコーヒーを飲み、話していた。
「遊太郎。仕事がそんなに忙しいのかしら?
もうすぐカナダに帰らなきゃいけないのに。
もっと一緒にいたかったわ」
洋子が愚痴を言い、春樹がなだめた。
「照れくさいのかもしれない。息子というものはそんなものだ」


そんな二人に、
ガナックは突き刺すような視線を投げた。


~第98回をお楽しみに♪~
by yu-kawahara115 | 2008-09-11 21:58
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