第70回接近遭遇「トニー流・エイリアン確保」 |
~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~ ●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。 実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。 ●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。 彼氏いない暦3年。 宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。 この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・? ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ とうとう、見合いをする日曜日。 美しい庭園が見えるホテルの一室で、振袖姿の桃子がいた。 そばに仲人の女性と、向かいには相手の男性が控えている。 母親の弘子が同席しなかったのは、桃子がゴネたからだ。 「こちらが五十嵐桃子さん。営業事務をされているお嬢さんで、 趣味は音楽鑑賞。お料理も得意だそうよ」 仲人の女性がにこやかに紹介し始める。 (音楽鑑賞に料理が得意?ぜんぜんウソじゃん!) 桃子は思いっきり舌を出したい気分だ。 とにかく早く逃げようと企んでいた。 相手は銀行勤務のお坊ちゃまらしく、髪を七三にキッチリ分けている。 桃子はおしとやかな演技をしながら、会話を右から左へ聞き流していた。 同じホテルのロビーで、 遊太郎はトニー・アンドリュースと、 表向きの営業の仕事ではなく、調査員として侵入者の張り込みをしていた。 「日曜日は日本の観光を遊太郎に頼もうと計画していたのに、 エイリアンの張り込みだなんて野暮だよねえ」 トニーは肩をそびやかせた。 「さっさと捕まえて遊びに行こう。遊太郎」 「・・・・・」 この時、遊太郎は桃子と同じホテルにいるとは、まだ気付いていなかった。 何故なら、今日はピアス型発振器を彼女がつけていなかったからだ。 今回のターゲットは観光客のフリをして、 女性を騙して振り回すという人騒がせなエイリアンだった。 「遊太郎。心配しなくていいよ。 ボクは強いし、アメリカでも検挙率は100%なんだ。 すぐにエイリアンを確保してみせるからね」 トニー・アンドリュースにとって遊太郎は、 幼なすぎる童顔に丸い黒ぶちメガネをかけた、小柄な日本人にしか見えていない。 トニーが、リーダーシップを取らなければ、あまりに頼りなかった。 ここは素晴らしいエイリアン確保のワザを見せてやるのが、 日本へ研修に来た自分の仕事でもあるのだと、悪気なく思っているようだ。 豪語するだけはあり、トニーはすぐに気付いた。 「見つけた。あの男が怪しい」 団体客に紛れて、女性に執拗に話しかけている男に目を付けたらしい。 高価なカメラを手にしてブランドに身を固めた男だ。確かに波動スキャンでは、地球人ではありえない。 「トニーさん、どうするつもりなんですか?」 動き出そうとするトニーへ、遊太郎がささやいた。 トニーはウインクをする。 「キミは見学していたまえ。ボクがうまく誘導して捕まえよう」 「えっ?」 調査員は目立たないよう動くのが鉄則である。 しかし、トニーはいかにも目立つ派手なルックスであり、 そのまま怪しいカメラ男に近づいた。 「やあ、いいカメラじゃないか。見せてくれない?」 「な、なんだよ?コイツ」 女性たちとの会話を中断されたカメラ男は、露骨にムッとした。 「誰?この人、カッコイイ!」 女性たちが、トニーの魅力的な容貌に釘づけになったので、 さらに面白くないカメラ男は、トニーの胸ぐらをつかんだ。 「顔貸せよ!」 「いいとも。ボクもキミに話があるのさ」 二人は遊太郎の視界から消えて男性トイレへ入った。 他の客は幸い誰もいない。 トニーは、カメラ男を奥の壁に追い詰めて詰問した。 「無断侵入の上に、地球でガールハントかい?」 「やっぱり貴様、調査員かっっ!!」 男が殴りかかろうとするのを、余裕でかわしたトニーは、 圧倒的な腕力を見せて男の首を締め上げた。 「キミのルックスで女を落とすなんて、100万年早いよ?」 ~第71回をお楽しみに♪(^O^)/~ |
by yu-kawahara115
| 2008-06-29 11:52
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