第47回接近遭遇「遊太郎×桃子☆初めてのケンカ?」 |
~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~ ●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。 実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。 ●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。 宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。 この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・? ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 「遊太郎って本当は、レン・ソリュート王子サマなんだって? あのカミラってコが教えてくれたのよ。 あんな可愛い婚約者までいるのに、なんで地球へ来てるの?」 ワケわかんないし、と桃子は続ける。 昼間会社にやって来た、カミラの顔がチラついて仕方がない。 。 遊太郎はただ黙って聞いていた。 よく怒る桃子に、いつもニコニコと聞いている彼とは、 表情が違っているのに桃子はまだ気がつかない。 「あんたに会いに来たらしいじゃん。 あんな可愛い婚約者をほったらかして、 王子サマのヒマつぶしで地球なんかに来ないで、 早く自分の星に帰ったら?」 全く自分はどうかしている、 と桃子は心の中で咎めながらも、勢いがついて止められなかった。 しばらくして、遊太郎が口を開いた。 「・・・あなたは、本当にそう思ってるんですか? 僕が早く星へ帰ればいいと・・・」 桃子が聞いたことのない、抑えた声だった。 メガネをはずした遊太郎の黒い髪が透明なプラチナへ、 黒い瞳が青灰色に変貌してゆく。 「僕は・・・ヒマつぶしで地球へ来ることを、志願したのではありません」 「ゆ、遊太郎・・・」 桃子はハッとした。 ようやく彼女は、自分が彼の中の地雷を踏んだのだと悟った。 一気に酔いが冷めて、桃子の頭の中が真っ白になる。 ・・・もしかして、遊太郎。怒ってる? その時、チャイムが鳴った。 桃子は転びそうになりながら玄関に走った。 ・・・こんな夜遅く誰だろう。 果たしてドアの向こうには、招かれざる客がいた。 「モモコさん、来ちゃいました♪」 無邪気なカミラの姿を見て、再び血の気が昇る。 「カ、カミラさん・・・?」 「あっ!王子、帰ってる?」 カミラは嬉しげに中へどんどん入り、遊太郎・・・いや、レンを見つけるや否や抱き着いた。 「王子!会いたかった!!」 それを見た桃子は、言葉も出ずに壁に張り付いてしまった。 「カミラ・・・」 レンは、冷静に彼女の肩をつかんで聞いた。 「地球へは一人で?」 「うん。宇宙船に乗せてもらったの」 「君の両親には?」 「あ、・・・大丈夫。王子に会いに行くって言ったら喜んでくれて」 「カミラ、調べたらすぐにわかることだよ?」 柔らかだが、手慣れたレンの尋問にカミラは少しピクッとなった。 「・・・ごめんなさい。王子。 あたし、あなたに会いたくて。本当は勝手に来てしまったの」 嘘が見抜かれて渋々答えたカミラは、くるっと桃子の方に向き直る。 「ねえ、あたし、しばらく、ここに居ていいでしょう? ねっ、モモコさん」 「えっ・・・・???」 桃子はギョッとした。 ・・・空気、読めないの?このコ。 天真爛漫すぎて、ついていけなかった。 「カミラ」 はしゃぐカミラを制するように、レンがやや厳しい口調で言った。 「宇宙船まで送ろう」 「どうして?いま来たばかりなのに」 桃子と彼の両方を見比べて聞くカミラだが、 レンはすぐに腕時計を移動先の照準に合わせた。 「話はまた聞くから。いいね?カミラ」 「う、うん。・・・モモコさん、またね」 桃子の方を振り返ったまま、カミラもそしてレンも空間にかき消えた。 「な、なんなのよ・・・・?」 残された桃子は、その場にしゃがみ込んだ。 しかし、混乱しながらも、わかったことがある。 自分の知らない遊太郎がいるということ。 そして、初めて遊太郎を怒らせてしまったらしいこと。 「どうしよう・・・」 桃子は頭を抱えてしまった。 ~第48回をお楽しみに♪(^O^)/~ |
by yu-kawahara115
| 2008-05-11 23:42
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