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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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第40回接近遭遇「桃子の涙」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。
実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。


●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。
宇宙人やUFOには全く興味がないらしい。

この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「遊太郎・・・?」

会社をジャックし、桃子を監禁した凶悪なエイリアン、ゼルダが逮捕され、
全てが終わったかのように静かな応接室。

桃子は倒れたまま動かないレンに触れた。
その背中が無数に切り裂かれていた。
出血がなく、放電するように微細な光を放っている。

「まさか、遊太郎。あたしをかばって・・・?」
先刻、桃子に向けて降り注いだゼルダの毒刃の攻撃を、
レンは己の身を楯に、全て受けとめたのだ。


桃子は彼をそっと抱き起こした。
その青白い顔を見て、桃子は暗い予感に襲われた。
乱れかかる髪を指で払い、閉じられた彼の瞼や唇に触れてみる。

「遊太郎?・・・嘘よね」
しかし、レンはもう息をしていなかった。


「い、いやだ・・・こんなのいや!目を開けて、遊太郎」
桃子は彼を抱きしめて叫んだ。
「・・・あたしなんかの為に、死んじゃ駄目だよ。
誰か、遊太郎を助けて・・・・!!」
涙がぽろぽろとこぼれ落ちる。


その時、人の気配に桃子は濡れた顔を上げた。
神崎部長と白衣の女が立っていた。ヒーラーの天野律子である。

「桃子君・・・」
そう呼ぶ神崎へ桃子は泣きながら訴えた。
「・・・遊太郎を助けてください」
神崎は彼女の側に腰を下ろし頭を垂れた。
「桃子君には、本当に申し訳ないことをしました」
「そんなことより、遊太郎を助けて!」
すがるように叫ぶ桃子。
「死なないよね?絶対大丈夫よね?ねえ・・・何とか言ってよ!」
「・・・」

神崎がふいに桃子の肩に手を置いた。
彼女は一瞬びくっとなったが、ゆるゆると眠りに落ちて頭を神崎の肩に落とした。


天野律子は、眠らされた桃子から優しくレンを引き離した。
淡い紫色に光る天野律子の指が、彼の眉間に当てられる。
しかし、何の反応もない。

「ドクター律子、レンは・・・」
神崎の問いには答えず、天野律子はレンの白い首筋に手を添えた。
手首を取り、そして心臓部分にエネルギーを注入をし始めたが、
やがて、ゆっくりと頭を振った。

「残念だわ・・・」
「・・・・」
神崎は険しい表情を天野律子に向けたが、彼女は淡々と言った。
「ロータス、事後処理が大変でしょうけど、五十嵐桃子さんをお願い。
レンをステーションへ移送するわ」
「・・・頼む」
次の瞬間、レンと共に天野律子が虚空へ消えた。
残された神崎は、眠る桃子をしばらく見つめていた。



エイリアンによる会社ジャック事件は、銀河連盟の決定に従い、
事件に関係した全社員の記憶消去をすることで、幕を降ろした。
・・・・・・桃子以外は。


マンションのベッドで目を覚ました桃子は、
いつ、どうやって自分が帰ってきたのかとぼんやりしていたが、
はっとしてすぐに起き上がった。

「遊太郎?」
もしかしたら、平気な顔をして自分の部屋に帰ってるかもしれない。
傷なんて翌日には消えていたことがあったではないか。

ドアを勢い良く開けるが、がらんとした部屋には、
観葉植物が寂しく立っているだけだった。
「そんな・・・」
膝がガクガクと震えた。
自分の部屋に急いで戻って携帯をつかむ。
あれから神崎が何かをしたはずだ。しかし携帯もメールも通じなかった。


桃子はリビングのソファに沈み込んだ。
涙があふれ、再び止まらなくなった。
遊太郎には二度と会えないのだろうか?
もう、あのはにかんだ顔や、
本当の姿に戻った時に見せる、不思議な眼差しも・・・


~第41回をお楽しみに♪(^O^)/~
by yu-kawahara115 | 2008-04-29 18:45
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