第32回接近遭遇「元カレ登場!」 |
~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~ ●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で天然系営業マン。 実は、銀河連盟より派遣された地球調査団メンバー。コードネームはレン。 ●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。 宇宙人やスピリチュアル系には全く興味がないらしい。 この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・? ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 「ピアスじゃなくて、発信機なの?これ」 桃子は、遊太郎からダイヤのピアスを貰って喜んだのもつかの間、 発信機と聞いて一気に興ざめした。 「なんで、あたしが発信機を付けなきゃいけないわけ?」 「桃子さん、チカンにあったりして物騒だから、 お守りがわりにと思ったんです」 「チカン~???だからって」 確かに帰り道に尾行されたりして危なかったけど。 「お~げさじゃん。こんなの」 「駄目・・・ですか?」 遊太郎の子犬のような目が懇願しているように思えて、 彼女はなんとなく戸惑った。 「そんな目で訴えないでよ?いじめてるみたいじゃない。 わかった、付けりゃあいいんでしょ?」 「本当ですか?ありがとうございます」 ぱっと遊太郎の頬が明るく紅潮する。 そんな様子を見て、やれやれとピアスをいじる桃子。 「ふうん。こんなので、あたしの居所がわかるんだ?」 「はい。遠くても大丈夫ですよ」 「へえ。B級ミステリーに出てきそう。 ま、見た目がダイヤだし、防犯グッズと思えば、いっか♪」 色々文句を言いながら、耳に付けてみる。 ・・・動機がロマンチックじゃないけど仕方ない。 ちょうど髪がピアスを隠すので、近づかないと目立たない微細な光を放っていた。 「よかった」 遊太郎は満足したように微笑み、桃子もサンキューといちおう礼を口にした。 ・・・たかがチカン防止に発信機を持ち出すところがズレてるけど、 まあ心配してくれてるってことだよね? 次回は、ペンダントとか指輪をプレゼントしてほしいなあ・・・ ・・・などと妄想してしまい、桃子はあわてて打ち消した。 桃子がピアス型発信機を付けることを承諾したので、 遊太郎はそっと自分の部屋に入って目を閉じた。 発信機が桃子の波動を増幅し、より鮮明に伝わって来る。 これなら彼のスキャニング有効範囲である、半径500メートルを越えた場所でも大丈夫だろう。 もしゼルダ星人が桃子に近づいて来ても、すぐに跳べると思った。 位置が確定していれば、制約の多い地球でも空間移動が可能のはずだ。 「うん、悪くないかもね♪」 朝からの機嫌の悪さがどこ吹く風で、 桃子はピアスをした自分の満足そうな顔を鏡に映して喜んでいた。 そこへ携帯から着メロが賑やかに鳴り響く。 「・・・ん?大学の同窓会?」 突然、大学時代の友人からメールが回って来たようだ。 しかし同窓会案内のあとの追伸に少しピクッとなる。 そのメールの内容はこうだった。 『大学時代に付き合ってた一ノ宮クンとまだ続いてる? 桃子からメールしといてね♪』 「・・・一ノ宮」 それは、桃子が3年前に別れた男の名前だった。 別れたというより、卒業後はお互い別の会社に就職した為に、 会う回数が減り、自然消滅しただけの話なのだが。 ・・・あたしからメールするの? なんとなく憂鬱な気分で、携帯のメールフォルダを調べてみた。 一ノ宮 貴志。・・・まだ、残してる。 「メルアドなんて変わってるかもしれないし・・・」 自分に言い聞かせて事務的な同窓会メールを送信してみた。 ・・・どうか、変わっていますように。 ところが、10分と経たないうちに返信が来てしまった。 「・・・マジ?」 ためらいながら、一ノ宮貴志からのメールを読む桃子。 『久しぶり!同窓会の前に一度会えないかな? 実は海外から戻ってきたところなんだよね。 貴志』 ふっと懐かしい思いが、さっきまでのためらいを消して、 桃子の胸がにわかに高鳴った。 ~第33回をお楽しみに♪(^O^)/~ |
by yu-kawahara115
| 2008-04-09 21:29
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