第23回接近遭遇「ストイックな彼氏」 |
~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~ ●森田遊太郎(23)・・・童顔のメガネ男子で新米営業マン。かなり天然系。 実は、銀河連盟より派遣された地球調査員。 ※アルコールを飲むと元の姿に戻ってしまう。 ●五十嵐桃子(26)・・・遊太郎の正体を知る、勝ち気で現実的なOL。彼氏いない暦3年。 宇宙人やスピリチュアル系には全く興味がないらしい。 この二人、表向きイトコ同士でルームシェアをしているのだが・・・? ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 「雄太郎ちゃんとケンカでもしたの?」 週末に久しぶりに実家へ戻った桃子へ、 梅昆布茶を入れながら母親の弘子が面白そうに聞いた。 「別に。・・・お父さんは?」 「泊まりでゴルフよ。あんたが帰って来ると知ってたら行かなかったかも」 実家は桃子のマンションから2時間ほどの所にり、 部屋に居たくはなかった彼女は、遊太郎には何も言わずに週末だけ帰って来たのだ。 「ケンカしてないんなら、遊太郎ちゃんと来ればよかったのに。 あの子がいたら、料理を手伝ってくれるし助かるんだけどねえ♪」 都合のいいように弘子が妄想を始めるが、 桃子は茶をがぶりと飲んで、テーブルに音を立てて置いた。 ひやっと飛び上がる弘子。 「残念でした。アイツはね、たぶんナイスバディの美人とデート中よ!」 「デ、デート?遊太郎ちゃんが?」 弘子はますます楽しげに悪ノリを始めた。 「まあまあまあ!遊太郎ちゃんがそんな美人とデートしてるの? まだまだ子供だと思ってたのに、やるじゃな~い? わかった。だから、あんた焼いてるんだね?」 「ち、違うわよっっ!!」 大きなカミナリがどんと落ちた。 日曜日の夜になって、溜め息をつきながら、 桃子は買ったビールを片手にマンションへ戻ってきた。 部屋にはまだ遊太郎は帰っていなかったが・・・ ・・・あんな年上の色気オンナが好みだったとは。 どうせ、あたしはナイスバディには程遠いし平凡な顔だし料理もできないし。 そういえばアイツ、週末になると居ない時が多かったっけ。 もしかしたら、あの女医とずっと付き合っていたのかもしれない。 ぐるぐると考えているうち、何本もビールを開けてリビングで寝てしまった。 そこへ夜遅くに帰って来た同居人がいた。 「桃子さん・・・」 遊太郎はテーブルにうつぶせて熟睡している桃子を見て驚いた。 まず散乱している空のビールを片付け、ゴミを綺麗に捨てた。 そしてソファにあった膝かけ毛布を見つけて、 彼女を起こさないようにそっとかけた。 その時、ふと桃子の寝顔に遊太郎は何かを感じて、 顔を赤く染めて無防備に眠っている彼女に顔を近づけてた。 ・・・何だろう。ずっと見ていたいような、不思議なこの感覚は・・・ 彼女の髪に触れようとした時、邪魔をするかのように胸元の携帯電話がふるえ、 彼は桃子から離れて着信メール見た。 「遅刻だぞ。転送してセンターへ来るように」 あの神崎部長からのメールだった。 遊太郎は部屋に入ってドアを閉めた。 上着を脱いでメガネをはずし、腕時計や携帯電話、金属製のものは全てデスクに置いた。 そして平凡な長方形のクローゼットの扉をゆっくり開く。 真空のような暗闇が口を開けているその中へ、 彼はすうっと吸い込まれるように入って行った。 クローゼットの向こうは、真昼のように銀白色に輝くフロアが広がり、 多くの人々が行き交うステーションに直結していた。 顔見知りたちが、遊太郎に挨拶をする。 「やあ、レン。日本じゃ今頃は夜だろう?コンバンワ」 「地球の暮らしには慣れたかい?レン」 ~転送装置~ それは遊太郎の場合、マンションの部屋にある何の変哲もないクローゼットだったのだ。 通り抜ける際、黒髪からブラチナの髪へ、青灰色の瞳へと戻った彼は、 コードネーム・レンとして、ステーションのフロアから半透明な筒状のエレベーターに乗り移った。 そこからセンターへすみやかに移動する。 ~新展開の予感?第24回をお楽しみに♪(^O^)/~ |
by yu-kawahara115
| 2008-03-17 21:54
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