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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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第13回接近遭遇「激写された宇宙人」

~あなたのとなりに宇宙人が暮らしていたら?~

社員旅行での深夜の温泉街。
本来の姿で桃子といるところを隠し撮りされた遊太郎。
この大ピンチをどう切り抜けるのか?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「どうしたの?」
温泉街を歩いていた桃子は、急に立ち止まる遊太郎を振り返った。

アルコール摂取のせいで、本来の姿に一時的に戻っていた遊太郎は、
桃子の機転によってうまく変装していたが・・・

「ゆ・・・・」名前を呼ぼうとした時だった。
彼からすっと水のような波動が桃子に流れた。
「・・・静かに」

白い顔にかけられたサングラスの下で、青灰色の瞳が不可思議な光を放つ。
彼は数メートル離れて建物の陰にいる高山に感応してたのだ。
高山は隠し撮りを終えて去ろうとしていた。

遊太郎はスキャニング能力を使って、何が行われたのかを悟った。

「まさか、誰かに見られたの・・・?」
桃子は遊太郎の様子から、すぐに察知した。
「携帯で写真を撮られたようです」
低いトーンで彼は答えた。「しゃ、写真!?」
彼女は叫び出しそうになるのを慌てて押し殺す。
「だ、誰に?」
「高山係長です」

そう答えた遊太郎の声が、急におっとりした聞き覚えのある声に変わったので桃子は目を見開いた。

コントロール機能が回復したのだろうか。
さっきまでプラチナの髪をした長身の男が、小柄な遊太郎へと変貌してゆく。
まるで映画のCGを見ているようだったが、いまはそれどころではなかった。

「高山係長に撮られたんならマズイじゃない!早く追いかけてケータイを奪わないと」
「桃子さん、それは駄目です」
すっかり優しい童顔に変わった彼は首を振った。

「な、なんでよっ?」怒る桃子。
「急にケータイを奪おうとしたら、高山係長に怪しまれると思います」
「じゃあ、どうするの?」このままでは、遊太郎の素姓がバレるかもしれないのに本人は至ってのん気だった。

「桃子さん、落ち着いてください。
あそこに写った者が誰だか、普通の人間にはわかりません」
「そ、そりゃそうかもしれないけど」

確かに目の前にいる遊太郎と撮られた時の姿では、あまりにもかけ離れすぎていて、誰も同一人物とは思わないだろう。

「大丈夫ですよ、桃子さん」
にっこりしてぷらぷらと歩き出す天然系メガネ男子に、桃子は心底あきれかえった。

・・・人がこんなに焦っているのに、なんて脳天気なヤツなの!?

それからまもなく、二人は別々に旅館へ戻った。
全員が深く寝静まる部屋へ気付かれずに入る。
運よく高山はまだ帰って来ていなかったため、怪しまれることもなかった。

こうして社員旅行は無事終わったかに見えたのだが・・・

数日後、チューリップ生命営業一課に旅行写真が回覧された。

同僚の清美がカン高い声を上げて桃子をゆさぶる。
「なになに?桃子ってば、いつの間にこんな超カッコイイ男とつきあってたの?
なんかモデルみたいじゃん♪ハーフ?教えなさいよ、桃子」
「・・・・」
目をキラキラして質問攻めにする清美を尻目に、桃子は硬い表情で写真を見た。

旅行の写真の中に混ざって、サングラスをかけた外国人らしい男と桃子のツーショットが散りばめられていた。
幸い全体的に画像が暗くて鮮明ではなかったのだが。

「社員旅行中にこっそり密会デート?恐れ入ったわ」
お局の根岸主任が厭味たっぷりに言う。
他の社員たちも好奇心の目を向けていた。

・・・冗談じゃない。
写真の男が遊太郎とは知れてはいないが穏やかではいられない。

回覧した張本人の高山は出張でいなかった。
桃子はちらっとパソコンの前に座っている遊太郎を見たが、
彼は相変わらずのん気に仕事をしていて、彼女は大きく溜め息をついた。


「みごと、してやられましたね」
ビル最上階の役員会議室。

神崎部長が桃子と遊太郎を後ろに控えて、高窓から下界を見下ろしていた。

表向き、神崎はチューリップ生命の人事部長を務めているが、
異星から調査員として地球へ派遣されている遊太郎の上司でもあった。

隠し撮り事件の報告を受けており、彼ら二人を秘密裡に呼んだのだ。

~さて、写真を公開された桃子たちは?
第14回をお楽しみに♪(^O^)/~
by yu-kawahara115 | 2008-03-01 21:58
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