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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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第286回接近遭遇「見え透いた企み」

翌日の夕刻。
遊太郎は車の中で係長の高山の際限ないお喋りを聞かされていた。

「見ろよ。高い金を探偵に払った甲斐があるってもんだ。
ちゃんと銀髪野郎の素性がわかったんだからな」
話題は、探偵事務所に依頼した銀髪男の身辺調査の件だった。

「五十嵐の周りに影のようにまとわりついてる、
あの忌々しい銀髪野郎、フリーのルポライターだったんだぜ。
イギリス人で、旅先で五十嵐と出会ったらしい。
しかしよ、ルポライターって胡散臭い奴が多いから、
五十嵐もだまくらかされてるにちげえねえよな」

遊太郎は黙って聞きながら真面目に運転を続けていた。
取引先企業には全て足を運んだので、あとは帰社すれば良いのだが、
延々と高山のお喋りを聞く羽目になってしまったのだ。

「おい、森田。俺の話をちゃんと聞いてるのか?」
「聞いてますよ」
「少しは興味を持って相づちを打つとか、
質問をするとかしたらどうなんだよ?
ったく、なんの面白味もねえ。
独り言してる気分だぜ」
「すみません」
「お前のイトコの五十嵐が、うろんな奴と関わってんだ。
お前だって気になるだろうが」
「はい」

遊太郎は仕方なく同意した。
気になるも何も、高山が目の敵にしている銀髪男は、
遊太郎の本来の姿なのだ。
しかし高山が依頼した探偵が遊太郎の知人であり、
うまくカモフラージュした銀髪男の素性を、
高山が信じているらしいので、内心安堵はしていた。

「銀髪野郎のパソコンのメアドもゲットしたし、
これでいつでも、奴を呼び出せる」
高山は好戦的に拳を握った。
そのあたりで遊太郎はさりげなく質問する。

「高山係長はその男を呼び出して、どうするんですか?」
「ブチのめす。わかりきったこと聞くな」
「すみません」
「お前、さっきからすみませんしか日本語知らねーのか?
まあ、いいや。とにかくマトモにいくと、またやられちまう。
あいつ、カタギじゃねえみたいにクソ強ぇからな。
普通にケンカするんじゃ不利だ。
五十嵐の目の前で大恥をかかせる方法を考えないとな。
五十嵐の目を覚まさせて、俺の方に向かせるためにさ」

楽しげに笑い、探偵から渡されたらしい調査資料を眺めた。
もちろん遊太郎には何が書かれているか見なくともわかっている。
ダミーのプロフィールを考えたのは遊太郎自身だからだ。
高山がストレートに自分に連絡を取れるようにしておかなければ、
高山が懲りもせず別の探偵に調査を依頼しかねない。

「でもよ」
ふと、資料から顔を上げて高山が遊太郎を見た。
「お前、この銀髪野郎と、本当は影でつるんでたりしねえよな?」
鋭い勘ぐりに遊太郎は慌てることなく、
のんびりとした調子で訊き返した。

「つるむ?」
「いや、だってよ。イトコだし、
俺よりかは五十嵐のプライベートは知ってそうじゃね?
なんたって弁当まで作ってたりするし」
「はあ」
「それくらい親しけりゃあ、五十嵐の男関係、なんとなくわかりそうなもんじゃねえか。
それにお前も、五十嵐に惚れてるみたいだしよ」
「そんなことないですよ」

あっさり否定するが、まるで信じてない高山は、
皮肉たっぷりに言った。
「どうせ、片思いだし、自分にゃかなわない。
けど、いつもイジメられてる俺を応援する気もねえ。
だとすりゃ、胡散臭い奴でも銀髪野郎の味方でいようとかさ。違うか?」
「違います。もうすぐ会社に着きますよ」

全く関心のないフリをして、
遊太郎は社有車をチューリップ生命本社の地下駐車場へ動かした。


社内にいる社員はまばらだった。
斎藤課長に帰社報告を済ませた遊太郎は、
待ち伏せしていたらしい桃子に腕を後ろからつかまれ、ヒヤッとした。
周りの目があるため、桃子の顔は事務的に笑みを作ってはいたが、
目は怖かった。

「お疲れ様、森田くん。
ちょっと事務処理で打ち合わせしたいことがあるんだけど」
「あ。は、はい」

首根っこを捕まえられた猫のように、
遊太郎は桃子のあとをついてフロアを出て、
自販機前のドリンクカウンターへ案内された。
彼女の話はわかっている。
スレ違いを理由に、今回の素性調査がどうなったのかを、
まだ桃子に話していなかったからだ。


〜第287回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-10-31 17:18
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