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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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第285回接近遭遇「彼氏のキモチ」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜
★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

部長の神崎から、
桃子と遊太郎の結婚には特に反対の理由もなく、
逆に望ましいとさえ言われたが、
問題なのは遊太郎の意思なのだと桃子は諭された。

「その様子では、まだ森田くんには話してないようだね」
「……はい」

桃子は勢いを失って下を向いた。
言うタイミングがわからないし、実のところ勇気がないのだ。
ひょっとしたら、遊太郎は何も考えてなくて、
結婚したいと思っているのは自分1人なのではないか。
何故なら、遊太郎は前に言ったからだ。
誰ともそうなる気はない、と。

神崎はワインを一口飲んで、優しい表情で桃子を見た。
「桃子くん」
「はい」
「森田くん、いや、レンをそれほどまで好きになってくれて、
私は嬉しい。礼を言わなければ。本当にありがとう」

その言葉を聞いて桃子は真っ赤に顔を染めた。
慌てて両手をバタバタさせる。
「なんで、お礼なんて。そんな……神崎部長!」
「いや。今まで本当に色々な事件に巻き込まれながらも、
桃子くんは一途に彼を思いやり、信じてくれたのだから。
異星人という壁を超えて、愛を育んで来た桃子くんは素晴らしい」
「素晴らしくないですよ。
もっと女らしい地球人だったら良かったけど、
あたしなんか、自慢できるとこ1つもないし、
でも、出会って好きになっちゃったから、仕方ないというか。
遊太郎には、ずっとずっと、
そう、あたしがおばあちゃんになってもそばにいて欲しいんです」

穏やかな神崎が目の前だと、素直に本音が言える。
神崎はしばらく黙って、
何かの思念を読み取るように虚空を眺めたあと、口を開いた。

「森田遊太郎。つまりレンは、幸せとは程遠い場所に身を置いて、
長い間、孤独だった。
そんな彼の心をつなぎとめるには、
生半可な感情や意志では太刀打ちできない。
本気で、ぶつからなければ伝わらないのだよ。
それだけ、レンという男の中には喪失感が在るということだ」
「喪失感」

桃子は息を呑み込んだ。
それは遊太郎、いや、レンがいまだ過去を背負って苦しんでいるからだろうか。
それを完全に克服できる日が来るのか。
克服しなければ、彼は幸せにはなれないというのだろうか。

「桃子くんが本気ならば、レンを地上につなぎとめられるかもしれない。
私はそう信じているのだがね」
「あたしが?」
「そう。全身全霊をこめてぶつかれば。
あるいは、自己犠牲に傾きやすいあの男の心を、
暖かく人間らしいぬくもりで満たすことが出来る可能性はある。
桃子くん次第だな」

応援しよう、と神崎が大きな手をさしのべ、
桃子はおずおずと自分の手をそれに近づけた。
ぐっと強く握られ、彼女は暖かいメッセージを受け取った。
それは、まるでレンの父親のように深く大きな愛情を込めたものだった。

( レンを幸せにしてくれたまえ。
桃子くんなら、それが出来る。私は信じているよ )

桃子は涙が出そうになるのをこらえた。
神崎がこんなにも自分たちを気遣い、支えてくれている。
なんて有り難いことなんだろう。
自分に出来るかどうかわからないけれど、
やれるだけやってみよう。
遊太郎、レンと幸せになるのだ。

「神崎部長、ありがとうございます。
あたし、なんか勇気が出た気がします」

桃子は強く手を握り返し、
茶目っ気たっぷりに笑顔を向けた。



〜第286回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-10-24 20:34
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