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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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第284回接近遭遇「上司に向かってカミングアウト」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜
★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「神崎部長。あたし、どうしたらいいんでしょうか?」

高級レストランの大広間。
桃子はテーブルの向こうにいる神崎に、切羽詰まった表情で訊いた。
もう頼れるのは神崎しかいないと思ったのだ。

「桃子くんは心配性のようだ」
穏やかな笑みで神崎はワインを一口飲んだ。
いついかなる時もダンディで、受け入れる懐の深さを持つ上司である。
「そりゃ心配します。遊太郎はいつもぼやっとしてて、
自分の正体がバレそうになるかもしれないのに、
探偵に呼び出されてノコノコ行っちゃって、
あたしには電話もメールもして来ないんですよ?」

空腹が満たされてパワーが戻って来たらしい桃子は、
ドンとテーブルを叩いて、慌ててすみませんと謝った。
そんな彼女を微笑ましく観察しながら、神崎が答える。

「銀河連盟調査員は常日頃から、
あらゆるリスクに対応できるよう訓練されている。
従って、探偵やマスコミなどが調査しても、
まず真相にたどり着けないようになっているのだ。
何も心配することはないから、安心しなさい」
「そうですか?・・・・・・なら、いいんだけど」

上司である神崎がそう言うのなら、いたずらに焦る必要はないのだろう。
考えてみれば、彼らは地球人ではない。
細かい情報操作は朝飯前なのかもしれない。
豊富に並ぶデザートも終わり、桃子はひと呼吸置いてから、
神崎に真面目な表情を向けた。


「あの、ずっと前から相談したかった事があるんです」
「改まって何かな?」
「さっきの話とは別件で。……プライベートな事なんですけど」
「どうした。桃子くん。
そうかたくならずに遠慮なく話してみなさい」

柔らかく促されて、桃子は息を呑み込んでから、
思い切って溜めていた思いを口にした。

「・・・・・・あたし、遊太郎と結婚したいんです」

早口でそう言ってからキュッと目を瞑り、下を向く。
とんでもない事を、打ち明けてしまった。
でも止められなかった。
ずっと自分だけの胸に隠して、誰か頼れる人に相談をしたかったからである。
しかしすぐに後悔する。
普通に考えると、反対されないはずがないからだ。
恐る恐る顔をあげると、神崎がにこやかに桃子を見つめていた。

「よく言ってくれたね。桃子くん」
「え?」
「いつ決心してくれるのかと私は待っていたのだよ」
「は、はい?」

意味がわからなくて、桃子は目をぱちぱちさせた。
重大なカミングアウトをしたというのに、
神崎はくつろいだ様子で、新しいワインを持って来させ、
桃子にグラスを持たせた。

「神崎部長?あの、反対しないんですか」
「何故かね。結婚ほど素晴らしいイベントはない。
おめでとう、桃子くん。乾杯しよう」
「はあ」

のせられて乾杯をしてしまった桃子は、
神崎が満足そうに話すのを夢見心地で聞くことになった。

「実は最初から、こうなればいいと考えていたのだ。
というのは、調査員は通常1人で住居を構える事の方が多い。
しかし、あえて同居のモデルケースとして、
君たちを選んだのは、いつか異星間の交流を経て結婚をしてほしいと、
私が望んだからだ」

桃子は目を大きく見開いた。
反対どころか、神崎は2人がいつか結婚するように、
望んで同居をさせていたと言うのだ。

「銀河連盟調査団の規則には、
派遣先の現地人、つまり地球人との結婚を禁止する条項はない」
彼女の疑問を払拭するように神崎は説明した。
「私も昔、地球人女性と結婚した経験もある。
むしろ結婚こそ、地球人を知る上で貴重な経験になると、
我々は考えているのだよ」

しかし、と神崎はそこで桃子にやや真剣な眼差しを向けた。

「森田くんも結婚を望めば、の話なのだがね。
彼にはもう話したのかな?桃子くん」
「それは……」

桃子は答えに詰まった。


〜第285回をお楽しみに♪〜
by yu-kawahara115 | 2010-10-17 17:00
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