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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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第283回接近遭遇「桃子、神崎部長に相談する」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜
★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

桃子はイライラして残業も手につかないでいた。
遊太郎は外回りで帰って来ないし、
文句を言いたい係長の高山も接待の名目で、
ちゃっかりと遊びに出かけたようだ。

「どいつもこいつも、ムカつく!」

桃子は勢いつけて書類箱をデスクにドンと置き、
まだ居残った他部署の社員たちを震え上がらせた。
桃子が怒っている理由は、ひとつ。
高山が遊太郎、正しくは遊太郎の本来の姿である銀髪男の素性調査を、
探偵に依頼したという件だ。
遊太郎も遊太郎で、さほど慌てる様子もなく、
その探偵事務所からかかってきた電話に呼び出され、
仕事の帰りに立ち寄ると言って、
のんきに会社から出て行ったきり電話やメールの一本もない。

「まあ、もともと、あいつはマメにメールとかしないヤツだけど。
あたしがこんなに心配してんのに、
のほほんとしちゃって、どういう神経なのよ?」

ぶつぶつ文句をたれながら乱暴に仕事用具を片付け、
大股で更衣室に向かおうとした矢先、エレベーターから誰かが降りて来た。
ダンディにスーツを着こなした人物は、桃子を見て穏やかな笑顔を向けた。

「おや、こんな遅くまで残業をしていたのかね。桃子くん」
「神崎部長!」

桃子は天の助けだとばかり大きな声を出し、
慌てて他に誰もいないか辺りを見回した。
すると、神崎は静かに笑い、
せっかちに喋ろうとする彼女をまあまあと優しく制した。

「久しぶりに夕食でもどうかね?
どうせ、森田くんは連絡無しで出歩いたままだろうし、
桃子くんも少し落ち着いた方がいい」
「……はあ」

桃子は顔を赤くした。
おそらく神崎は、桃子がイライラしている原因を見通しているのだろう。
地下駐車場で待っているので着替えて来なさいと微笑んだ。

それからほどなく、部長の神崎と桃子を乗せた黒いBMWは、
夜の街をスムーズに走り抜け、郊外にあるレストランに向かった。
そこはまるでドイツの古城のような荘厳な建物で、
桃子は高い天井やシャンデリアを呆気に取られながら眺め、
神崎の背中を頼りにおぼつかない足取りで、ついて歩いた。
神崎が貸切にしてしまった大広間に通された桃子は、
運ばれてくる様々なコース料理を驚きとともに、
その一級品の味わいを堪能することになった。

「お腹はいっぱいになったかね?桃子くん」
数本灯るロウソクの向こうで、
紅茶を飲みながら、神崎が柔らかく訊いた。
桃子はデザートを口にし、とびきりの笑顔を返した。
さっきまであんなにイライラしていたのに現金なものだ。

「はい。ありがとうございます。
とってもとってもおいしかった。ご馳走さまでした」
「満足してもらえて良かった」
「それにしても、部長はやっぱりグルメなんですね。
こんなに高そうなレストラン、あたし初めてです」
「地球の食べ物は、一応は全て味わってみることにしているのだよ」

そう語った神崎も、遊太郎と同じく異星人である。
チューリップ生命本社人事部長の肩書きは表向き。
実際は、銀河連盟調査団日本支部のキャプテンという顔を持つ。
しかしいまは、50代のダンディな男として、
桃子の良き理解者だ。

「桃子くんのイライラはわかっている。
どうも、地球人は我々とは違う意味で、
相手の弱みを探し出そうと考えるようだ」
神崎が桃子の抱えた問題を先に口にしたので、
桃子は安心したように喋り始めた。
「はい。高山係長がまさか探偵事務所なんかに、
遊太郎の事を調べさせていたなんて知らなくて。
遊太郎も探偵からの電話に平気で呼び出されて行っちゃうし。
あたし、気が気じゃなくて」

こうなったら、遊太郎の直々の上司に聞いてもらうしかない。
桃子は紅茶を一口飲んで、神経な眼差しで神崎に向き直った。

「あたし、どうしたらいいんでしょうか?
教えて下さい。神崎部長」


〜第284回をお楽しみに♪〜
by yu-kawahara115 | 2010-10-10 15:41
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