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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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第282回接近遭遇「幸せとは?」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

遊太郎が手渡したニセのプロフィールに目を通した時任晴彦は、
なるほどと顎に手を当ててニヤリとした。

「銀髪の男はイギリス人系外国人、レン・ソリュート。
職業はルポライターで、不定期に来日している。
旅行好きな五十嵐桃子さんとはソーシャルネット上で知り合った友人同士、か」
読み上げて、メールアドレスを眺め、時任は質問した。

「このアドレスは高山に教えて大丈夫なのかな?遊太郎くん」
「はい。世界中を飛び回るルポライターという設定なら、
電話よりeメールでやり取りをする方が説得力あるでしょう」
「で、高山が会いたいとメールを飛ばしたら、
君はレンくんの姿に戻って会う、と?」
「そうです」

わかったと時任は立ち上がり、インスタントコーヒーを淹れかえた。
しばらく黙ったのち、遊太郎の向かいのソファに座り、
柔らかく口を開いた。

「ところで、遊太郎くん」
「はい?」
「君と桃子さんとのことだけど」
「……」

遊太郎は不意に固い表情になった。
訊かれるだろう事を予測して、少し伏し目がちになる。
「立ち入ったことだとは思うけど、気になるんだ。
君はこれからも桃子さんと暮らすのかな」
「派遣期間が終わるまでです」
「桃子さんがずっと君と暮らしたいと言ったら?
つまり、地球人と結婚することになったらという意味だけどね」
「……それは、ありません」

曇りがちになる遊太郎の顔を、
時任はやっぱりという風に覗き込み、
やがて、失礼と断って煙草を取り出した。

「ごめん。俺も地球人女性と一度は結婚した経験があるから、
君と桃子さんを見ていたら、なんなくほっておけなくて、
つい心配してしまうんだ。
答えにくい質問だったね」
「いえ、いいんです」

今回、係長の高山が遊太郎とは知らずに、
銀髪男の素性調査を探偵に依頼した件で、
ますます桃子の事は慎重に考えなければならないと、
遊太郎は思っていた。

「桃子さんは普通の地球人と結婚をした方が幸せになれます」
「そうかな」
「そうです。僕は調査員で、常に危うい立場にいます。
いつ桃子さんを危険な事に巻き込むかわからない。
平和な生活を保証することが難しいんです。
だから……」

遊太郎はあとに続く言葉を呑み込んだ。
胸の奥が、刺すように痛み出したからだ。
思わず眉を寄せ、右手で抑える。
時任が怪訝な顔になり、慌てて煙草を灰皿の中にねじ込んだ。

「遊太郎くん?」
「大丈夫です。時々、痛くなるだけで」
「ケガでもしているのか?」
「ちょっと。色々あって……」

まさかエネルギー体に穴を開けているとは言えず、
遊太郎はしばらく黙り込んで痛みが通り過ぎるのを待った。
時任が水を運んで来てくれたので、礼を口にして少し飲む。

「相変わらず、君は無茶をしてるんだ」
あえて何も問いただしたりせずに、時任が苦笑いを作る。
遊太郎という男が、普段のんびりしたサラリーマンに扮していながら、
裏では侵入エイリアンを摘発する仕事をしている事を、
時任もよく知っている。

「もっと自分を大切にした方がいい。
遊太郎くんだって、幸せになる権利はあるんだよ」
「……」
「桃子さんもそうだ。
幸せってのはさ、なるとか作るもんじゃなくて、
感じるだけでいいんじゃないのかな」

時任が語る染み入るような言葉を、
遊太郎は目を閉じて聞いていた。
幸せとは何だろう。
桃子にとって、一番幸せを感じられることとは。
胸に虚無の穴を抱えながら、遊太郎は繰り返し模索していた。


〜第283回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-10-03 13:45
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