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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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第275回接近遭遇「胸に暗黒の穴を抱えて」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「あ、あああああ……っっ!!」

苦悶を押し殺したような声がレンの唇から漏れた。
それでも天才ヒーラーDr.律子の手から放たれた紫色の光は、
容赦なく彼の胸を精査し続けていた。
紫色の光はレーザー光線さながら、
異常を発している部位を的確に探し出したのち、
その部位をホログラムとして、あぶり出す事が出来るのだ。

「思ったより、あの時の後遺症が酷いみたいね」
Dr.律子はレンとの中間に立ち現れたホログラム、
つまり立体映像を、凝視しながら厳しい口調で言った。
その映像は禍々しく負の波動を放つ暗黒の穴だった。

探られたくなかったものを強引にえぐり出されたレンは、
カウンセリングの長椅子に、ぐったりと身を沈ませた。
前髪が乱れて、白磁のような肌がさらに青く透き通り、
浅い呼吸を苦しそうに繰り返す。

「荒っぽい方法を取ってごめんなさい。
でも、こんなに酷い穴だったなんて」

律子は映像をデータ化して手元のモニターに移し替えた。
レンとしては、決まりきった説教など聞きたくないので、
早くこの場から逃れたかったが、
残念ながら身体が鉛のように重く、動けない。

「あなたは隠したかったかもしれないけど」
続けてDr.律子はズバリと言い当てる。
「この穴、あの隕石のでしょ?
他の派遣調査員が受けている定期的ヒーリングを、
サボっていた理由の一つが、なんとなくわかったわ」
「……」

天才的ヒーラーの天野律子に誤魔化しは効かないようだ。

確かに数ヶ月前レンは、
マイナスエネルギーの塊である隕石の欠片を、
やむなく胸に受けてしまった事件に遭遇していた。
あの特殊な隕石は、どんな微細な破片であっても毒々しい磁場を持ち、
超人的能力者のレンにとって、唯一の弱点だった。

「それにしても、呆れた。
普通、自分のエネルギー体に穴を開けたままで、
平気で生活していられると思う?
今まで時々、強いめまいとか、胸の痛みがあったはずだけど」
「さあ……気づきませんでした」

レンは、ややかすれ気味の声で、まるで他人事のように答えた。
すると律子が見透かし気味に、あらそうと微笑んで、
サラリと命令する。

「とにかく、大穴が開いている事実が私にバレたんだから、
いいかげん観念して、一週間に一度は私のクリニックへ来ること。
いいわね。レン?」
「一週間に一度?」
「あら、不服そうね。
本当はメディカルセンターに2ヶ月くらいは縛り付けたいくらいなのよ。
嫌なら、桃子さんにこの事実を教えて、
私の元へ通うように、あなたを説得して貰った方が良いかしら?」
「……今度は脅迫ですか」

レンは不機嫌そうに言い、立ち上がろうとしたが、
まだ心臓辺りに圧迫を感じ、
諦めて長椅子に深く寄りかかって目を閉じた。
この時がチャンスとばかり、律子が声を柔らかく落とし、
諭すように言う。

「ねえ、レン。
あなたは優れた身体能力の持ち主だけど、
自分を粗末に扱い過ぎよ。
もう、あなた1人の体じゃないって事を自覚しないとね」
「……」

その意味がすぐには理解できずに黙っていると、
律子が鈍感ねとため息をついて腕を組む。

「あなたには桃子さんがいるじゃないの。
ちょっと地球的表現だけど、
桃子さんの為に、もう少し自分を大切にしなきゃ」

しばらくして、レンは重たげに瞼を開けた。
あぶり出された負のエネルギーの名残か、
青灰色の瞳に一瞬、赤い光がよぎって消えた。

「……僕のことは、彼女に、何の関係もない」


〜第276回をお楽しみに♪〜
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by yu-kawahara115 | 2010-08-15 16:52
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