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ようこそ、川原 祐です♪
by yu-kawahara115
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第193回接近遭遇「連続傷害事件の秘密調査命令」

〜もし、あなたの彼氏が宇宙人だったら?〜

★森田遊太郎(23)=レン・ソリュート★
地球に派遣された銀河連盟調査員。
普段は高校生のような童顔にまん丸メガネ。
おっとりした新人営業マンだが、
その正体は、プラチナの髪と青灰色の瞳を持つ美しき異星人である。

★五十嵐桃子(26)★
遊太郎の正体を知る、同じ会社の勝ち気で現実的なOL。
宇宙人やUFOには全く興味がない男前な女性。

この2人、表向きイトコ同士としてルームシェアをしているのだが.....?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

遊太郎は携帯電話を切った。
上司からの緊急コールだ。
桃子を怒らせたままだが、ステーションへ戻らねばならない。
それでも、彼女が飲み散らかしたテーブルやキッチンを片付ける。
家事全般は、遊太郎の分担だからだ。

やがて彼は自分の部屋に入り、まん丸メガネを外すと、
ついさっきまで情けなくも桃子にやりこめられていた、
頼りなげな遊太郎から、本来の姿へ戻ってゆく。
地球時間では深夜に差し掛かるが、
平凡な営業マンから裏の顔へと、鮮やかに切り替わる瞬間だった。
……彼、レンは速やかに瞬間移動した。



「他エリアのメンバーだが、調査員が数名、連続してやられた」

月の裏側に浮遊する銀河連盟ステーション。
その円形ミーティングルームでは、
上司ロータスが事件の概要を説明していた。
やや遅れて入室したレンは、29名の視線を一瞬だけ受けてしまった。
メンバーの中で最年少のレンが、
先輩より遅れて登場したため、多少呆れた表情も見て取れる。
彼がデスクの空席に座ると、ロータスが咳払いをして続けた。

「何者かに急襲された調査員は、一様に身に覚えがないと言う。
身辺には充分な警戒をしてもらいたい」

そこで、誰かが質問をした。
「不法侵入者の仕業ですか?」
すると、ロータスは首を振る。
「まだ不明だ。調査員ばかり狙われているとすると、
その可能性は高いが……」
「ある特定の調査員に恨みを持つ、エイリアンかもしれませんね」

そう言った者が、レンの方を意味ありげにチラリと見た。
「凄腕な彼のやり過ぎで、痛い目に遭った侵入者は多い。
報復として、他の調査員を無差別に狙っていると考えても、
おかしくないと思います」
他にも同意するメンバー達が一様に、レンを見やる。
迷惑な話だと、不穏なざわめきがミーティングルームを揺らした。

当の本人、レンは相変わらずクールな顔をさらして、
動揺もなく黙って座っていた。
優れた身体能力、さらに特殊能力者である彼は、
短期間で数々の不法侵入者を摘発し、
その圧倒的な強さに、中には危惧するメンバーも多いのだ。
今回の事件も、レンに逆恨みを持つ者がいるからだと、
安易に考えてしまう者がいてもおかしくはない。

「犯人はまだ特定されてはいない」

ロータスがやんわりと釘を刺し、ざわめきが静まった。
幾つかの定例報告のあと、解散を告げたロータスは、
それぞれのエリアへ散ってゆくメンバーを後目に、
レンにのみ、サインを送った。

中枢センターに呼ばれたレンは、詳細な事件データを渡された。
自分に向けられる周りの批判は慣れているかのようだ。

「頭部強打、全身打撲、背後から急所を外した狙撃。
このデータを見る限り、エイリアンの匂いはしません」
あっさり分析してのける彼へ、
ロータスは苦笑をして肩をそびやかせた。
「さすがに、君には誤魔化しは効かないようだな。レン」
「え?」

次に聞いた一連の話は、耳を疑うものだった。
「今回の事件に見え隠れするのは、別の調査員」
「別の?」
「やられた者は例外なく、ある調査員と何度か接触を持っている。
その者の名は、笹川夏希」

「!」

初めてレンの表情が動いた。
笹川夏希。
先日、再会したばかりの女性であり、
別の管轄に所属する派遣調査員だと言っていた。
ロータスは、思慮深い眼差しでレンを見つめる。

「やはり、知り合いかね?」
「……昔の話です」

視線を落としたレンは、苦いものを感じて黙り込んだ。
そんな彼にロータスは抑えた声音で言った。

「この情報は君にしか流していない。
まだ、関わっていると決まったわけではないからだ。
……秘密裏に、笹川夏希を調査してもらいたい」

しばらく考えたのち、レンは頷いた。

「承知」



〜第194回をお楽しみに♪〜
by yu-kawahara115 | 2009-08-19 23:50
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